ワタリ

ワタリ

忍者漫画の巨匠によるミステリータッチの時代劇アクション。忍者たちが百地党と藤林党の二派に分かれ対立する伊賀の里を舞台に、謎の少年忍者ワタリが下忍支配の陰謀を暴く。

正式名称
ワタリ
ふりがな
わたり
作者
ジャンル
アクション
 
時代劇
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概要・あらすじ

時は天正年間、百地党と藤林党の二派に分かれて忍者たちが対立する伊賀の里に、少年ワタリじいと呼ばれる老人が住み着いた。主領の上忍に支配される忍者たちは死のおきてに脅え、やがて現状打開を望む者たちが赤目党を結成。暗雲渦巻く伊賀の里でワタリじいが、巧妙な忍者支配のからくりを暴くため活躍する。

登場人物・キャラクター

ワタリ

二派に分かれた伊賀忍者の一派百地党の領地に、じいと呼ぶ老人と共に住み着いた笛の上手な少年。その正体は誰にも支配されず旅する忍者集団ワタリの一族の一人で、生まれた時に母を失い、伊賀からの抜忍であるじいこと四貫目によって育てられた。武器は背中に背負った斧とカブト割り手裏剣で、少年ながらオボロ影の術など多彩な術を駆使し、忍馬の月影を従えている。 伊賀の下忍たちを縛る死のおきてを暴くことを使命とし、楯岡の道順こと音羽の城戸が影の支配者だったことを突き止めた後は伊賀から離れていたが、出現した0の忍者によって愛するアテカが殺されたため、再び伊賀に戻って0の忍者と対決した。

四貫目 (しかんめ)

白土三平の他作品にも登場する定番キャラクター。この作品ではかつて伊賀から逃げ延びた唯一の抜け忍としてワタリの一族に加わり、ワタリの育ての親になっている。カブト割り手裏剣を使った無角の術を得意とするほか、ピンチの時には右足の義足に仕込んだ銃を使う。

音羽の城戸 (おとわのじょうこ)

伊賀百地党の中忍で、主領の百地三太夫に仕える大頭。死のおきてに脅える下忍たちに味方して赤目党に参加したことから、百地三太夫亡き後、百地党の主領となったが、復活した百地三太夫によって投獄された。赤目党の手により救出されるも、城戸の正体が、対立する藤林党の大頭楯岡の道順の一人二役であったことが判明すると、新赤目党によって鎖に繋がれる。 後に、操っていた0の忍者の手で解放される。最後は織田信長の軍勢による伊賀攻めを手引きした後、死亡した。

百地 三太夫 (ももち さんだゆう)

伊賀百地党の主領の老人で上忍。対立する藤林党主領の藤林長門と密かに通じて伊賀を支配していたが、反抗する赤目党潰しに動くなかでカズラが屋敷に仕掛けた爆薬によって死亡。しかし首を獲られたにも関わらず復活して現れ、裏切った大頭の音羽の城戸を捕らえさせた。 だが実は、復活した後の百地三太夫は藤林長門が化けた姿であった。正体が暴かれた後は、自爆して果てている。

楯岡の道順 (たておかのどうじゅん)

藤林長門に仕える伊賀藤林党大頭の中忍で、血引きという武器を使う。その正体は百地党大頭の音羽の城戸であり、これが暴かれた時、伊賀崎六人衆に化けた新赤目党の六人を真空斬りの術で倒している。下忍の動きを監視するため伊賀忍者を藤林党と百地党の二つに分けて、別々の名前と姿でそれぞれの大頭になり、しかも主領の藤林長門と百地三太夫を操って影から伊賀を支配していた。 これにより、不満を持った下忍たちは対立する党の下忍たちといがみ合うこととなり、さらには戦わせられて、上層部に対する不満をそらされるよう仕組まれていた。

藤林 長門 (ふじばやし ながと)

伊賀藤林党の主領の上忍で、一人娘のアテカがいる。しかし実際は楯岡の道順こと音羽の城戸に操られる手下に過ぎず、後には死んだ百地三太夫に化けて、百地党と藤林党両方の主領となった。やがて正体が暴かれた後は、自爆して果てている。

アテカ

伊賀藤林党主領藤林長門の幼い娘。たびたびワタリに変装されて入れ替わられ、本人も楯岡の道順に疑われて丸裸にされてしまう。一方で密かにワタリから笛の曲を教わり、親しくなってもいた。将来ワタリと結婚することを望んでいたが、ワタリへの見せしめとして0の忍者に殺されてしまう。

カズラ

伊賀百地党の下忍養成所の小頭で、タンジンの術の使い手。幼い時に親元からさらわれて忍者になり、三年目に家族を探し当てたものの忍びの掟のため会いに行けず、ハリボテの岩をかぶって家族の様子を見ては涙を流していた。身の上話を打ち明けたワタリと友人になり、オボロ影の術を学んでいる。 赤目党に参加した後、主領の百地三太夫の屋敷に単身潜入して囲まれ、自爆して果てたが、同時に百地三太夫を爆殺することに成功した。

ツユキ

伊賀百地党のくの一で、下忍養成所小頭のカズラの義理の姉。カズラの養父の実の子供である。カズラにとっては姉のような存在で「ねえちゃん」と呼ばれているほか、「ミス伊賀」とも評されるほどの美人。主領の命令により石垣城に潜入して城主の石なぎ軍太夫を殺し、密書が隠されたネコの鈴を奪ったものの発覚。 口封じのために仲間の伊賀忍者に殺されてしまった。

新堂の小次郎 (しんどうのこじろう)

伊賀百地党の忍者で、下忍養成所小頭のカズラと親しい。変化の術を得意とし、四方カタビラと手裏剣の千本を使う。伊賀百地党のくの一ツユキが好きだったが、彼女が殺した石垣城城主石なぎ軍太夫にすり替わって城に潜入した時、ツユキが口封じのため仲間に殺されたことを知る。 それでも密書の隠された招き猫の首の鈴を奪うことに成功するが、楯岡の道順によって倒された。

柘植の百貫 (つげのひゃっかん)

「千里眼の百貫」の異名を持つ伊賀百地党の小頭。隻眼だが、長筒のほか連発の短銃も使いこなす銃の使い手。死のおきてを暴くため仲間と密かに赤目党を結成したが、伊賀崎六人衆のシジマに倒されてしまう。

伊賀崎六人衆 (いがさき ろくにんしゅう)

赤目党とワタリ四貫目を狙った伊賀藤林党の精鋭下忍集団で、独自の技を持つ六人で構成されている。シジマは柄頭に気砲(空気銃)を仕込んだ刀を使って柘植の百貫を倒し、ツブキは自分と同様に水術を得意とする下水のセセナギを昇竜という武器で殺害。だが同じ水術でワタリに乱心法水遁暗夜の術を使われ、破れている。 クグツメは矢流しや春花の術、さらに吹き針やくぐつ人形の使い手だったが、四貫目に敗北。ヨサメは黒塗りの太刀を用いた夜の間ぎりでワタリ暗殺を狙うも、手玉に取られた。マムシや蛾を使うトリコも乱心法カカつつみの術でワタリを追い詰めたが、結局破られている。 鉄のように体を鍛えたハンザキはギバチの術を用いて四貫目と戦ったが、洞窟に閉じ込められた。この後伊賀崎六人衆は新赤目党の忍者が化けたワタリたちと四貫目たちによって罠にかけられ、全滅している。

0の忍者 (ぜろのにんじゃ)

全身を黒い甲冑で固めて木枯という馬に乗り、音羽の城戸の支配から解放された伊賀の里で新赤目党に敵対した謎の忍者。しかしその正体は音羽の城戸に催眠術で操られた忍者たちで、そのため倒されても何度も忍者を替えて甦り、不死身だと思われていた。0の忍者の出現によって伊賀の里は再び音羽の城戸の支配下となるが、ワタリと四貫目の活躍によって0の忍者の正体が暴かれ、追い詰められた音羽の城戸は内通していた織田信長の軍勢に伊賀攻めの合図を送っている。

石川のオビト (いしかわのおびと)

音羽の城戸による伊賀支配が終わった後、新赤目党の頭となった下忍。赤目童子という名の侍に化け、仲間と共に城落としの仕事を請け負っていた。後に0の忍者の報復を恐れた新赤目党の忍者たちに最後まで抗戦を訴えるが、逆に仲間たちによって殺されてしまう。

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