カムイ伝 第二部

カムイ伝 第二部

徳川幕府の四代将軍徳川家綱 の治世を背景に、将軍から抜忍まで、さまざまな身分の人々の人生を交錯させながら、江戸時代の封建制度の先にある、理想の世界の形を描き出そうとしている。1982年から小学館「ビッグコミック」にて連載。

正式名称
カムイ伝 第二部
ふりがな
かむいでん だいにぶ
作者
ジャンル
アクション
 
時代劇
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概要・あらすじ

徳川幕府の四代将軍徳川家綱の治世。自然界でも人間界でも、生きるための戦いが続いていた。日置大一揆を経て、道を求める草加竜之進。新たな理想を目指す正助。彼らを陰から助けるカムイ。老中酒井忠清の野望にかかわりながら、さまざな身分の人たちが、己の人生を歩んでいく。

登場人物・キャラクター

カムイ

サブと名乗り、草加竜之進や、正助を陰から手助けする。また、正助の息子の一太郎を中根正盛の下から救い出すと、日置領で修行をつけた。抜忍として、公儀隠密団から追われている。

草加 竜之進 (くさか りゅうのしん)

普段は、かつて苦難を共にした笹一角の名前を使っている。宮城音弥や冬木道無と娘のアヤメと知り合ったことから、しだいに幕閣の動きとかかわっていく。音弥とは念者の契を結んだ。アヤメを妻として、医者になるべく長崎を目指す。

正助 (しょうすけ)

日置大一揆の指導者のひとり。一揆後、錦丹波の計略により舌を抜かれ、裏切り者に仕立てられた。そのため百姓たちに襲われ、生死不明になる。しかし生き残り、妻と次男と共に下総に現れる。土木工事を専門とする黒鍬衆の頭の庄左ヱ門として、熊沢蕃山たちと、干拓事業に従事した。

錦 丹波 (にしき たんば)

日置領の代官。厳しい態度で百姓と向き合っていたが、しだいに軟化した。二階堂流の使い手。酒井忠清と望月佐渡守の謀略により、娘の鞘香と共に罪人として扱われるが、加代の嘆願により解き放たれた。

錦 鞘香 (にしき さやか)

日置領代官の錦丹波の娘。関所破りをして、江戸から日置領にやって来る。怒った丹波により、牢に入れられたが、そこで花巻村の百姓の娘の加代と親しくなる。加代を騙した女衒を斬り、ふたりで雪山に逃亡する。その後、長らく行方が分からなかったが、岡場所をたらい回しにされ、錯乱状態で発見された。 アヤメの看病により回復していったが、望月佐渡守の罠にかかった丹波と共に、江戸に送られる。意外な形で再会した加代の尽力により、江戸で解放された後は、丹波と別れ、不安定な心を抱えたまま、女郎たちのために戦った。

錦 源之助 (にしき げんのすけ)

錦丹波の息子。江戸で放蕩無頼な生活を送る。丹波の諫言により立ち直りかけたが、旗本奴の水野十郎左衛門によって、さらに堕落させられた。後に記憶を失い、漁師の源として生きていく。

宮城 音弥 (みやしろ おとや)

貧乏御家人の家に生まれるが、聡明かつ勤勉。自分の性根を認めてくれた草加竜之進を慕い、念者の契を結んだ。冬木道無の力により、旗本青木美濃守の小姓となり、さらには徳川四代将軍の徳川家綱に重用された。剣の天凜があり、将軍家兵法指南役の柳生新陰流を学び、めきめきと腕を上げた。 また父親より、暗殺剣を教わる。

酒井 忠清 (さかい ただきよ)

徳川幕府の老中。下馬将軍と呼ばれる。天下の権力を握ろうと、さまざまな陰謀を画策する。猿渡藩主の望月佐渡守と秘かに繋がり、また猪狩芸州たちを使役する。歴史上の実在の人物、酒井忠清がモデル。

堀田 正俊 (ほった まさとし)

徳川幕府の四代将軍徳川家綱の近習。草加竜之進と知り合ったのが縁になり、無主溜の人々と交わる。天下の権力を握ろうとする老中酒井忠清と、静かに戦い続けた。歴史上の実在の人物、堀田正俊がモデル。

堀田 上野介 正信 (ほった こうづけのすけ まさのぶ)

佐倉藩十一万石の藩主。堀田正俊の兄。武辺者で、将軍への忠義は厚い。しかし激しやすい性格で、視野も狭い。その性格を老中の酒井忠清に利用され、最終的に一万石の大名に転落する。歴史上の実在の人物、堀田正信がモデル。

徳川 家綱 (とくがわ いえつな)

徳川幕府の四代将軍。武芸よりも芸術を愛し、自ら絵を描く。宮城音弥の巧みな誘導により、武芸にも興味を持つようになった。老中、酒井忠清の陰謀により、気鬱の病に追い込まれるが、音弥たちの尽力により回復した。歴史上の実在の人物、徳川家綱がモデル。

望月 佐渡守 正次 (もちづき さどのかみ まさつぐ)

猿渡藩一万石の藩主。隣接する日置領と、兄の望月常陸守正成が治める望月藩を狙う。老中の酒井忠清と結びつき、さまざまな策を弄する。

冬木 道無 (ふゆき どうむ)

医者。草加竜之進と知り合い、娘のアヤメと一緒に、行動を共にする。その正体は、義賊不知火党の首魁。かつて、妻が切支丹だっために島原の乱に参加したが、幕軍の石谷十蔵に妻子を殺される。それにより十蔵と対決し、さらには十蔵の娘を攫い、自分の娘として育てた。 長き歳月を経て、再び十蔵と対決する。

冬木 アヤメ (ふゆき あやめ)

冬木道無の娘。義賊不知火党の一員。草加竜之進と知り合い、慕うようになる。老中酒井忠清の陰謀によって誘拐され、拷問を受けたが、竜之進たちによって助け出される。後に竜之進と夫婦になるが、立ち寄った日置領で騒動に巻き込まれた。実は、かつて道無によって攫われた、石谷十蔵の娘。

喜太郎 (きたろう)

日置領の風鳴り谷で湯宿を営む。猿の歯ッ欠けたちが持ってくる金塊を集めている。その後、金鉱を発見するが、これが縁になり、日置領を預かった望月佐渡守から、山奉行に取り立てられた。たまたまラッパを手に入れたが、歯ッ欠けに奪われた。

猪狩 芸州 (いかり げいしゅう)

老中酒井忠清の密偵。酒井家の目付頭中山主膳の命を受け、さまざまな活動をする。どこか憎めないところがあり、草加竜之進に見逃されたが、その後、アヤメを誘拐した。

熊沢 蕃山 (くまざわ ばんざん)

元岡山藩士の陽明学者。正助たちと共に、干拓事業に乗り出す。恐竜の化石を発見し、夢の中で啓示のようなものを受けた。歴史上の実在の人物、熊沢蕃山がモデル。

一太郎 (いちたろう)

正助とナナの息子。幼い頃に攫われ、前将軍直属の隠密集団の頭領、中根正盛の下で、忍者に仕立てられる。カムイに助けられ、日置領で修行を重ねた。

石谷 十蔵 貞清 (いしがや じゅうぞう さだきよ)

旗本。北町奉行。大坂の陣や島原の乱にも参戦した古強者。島原の乱で、当時、不知火の才蔵と名乗っていた冬木道無の妻子を殺している。誘拐されたアヤメの件に絡んで、島原の乱の時に続き、道無と再戦。道無に破れると奉行職を退いた。歴史上の人物、石谷貞清がモデル。

水野 十郎左衛門 (みずの じゅうろうざえもん)

旗本。旗本奴の白柄組の頭領。日置領代官の錦丹波とは昔馴染み。丹波の息子の源之助を堕落させる。歴史上の実在の人物、水野成之がモデル。

苔丸 (こけまる)

日置領の百姓を陰から守る、日置影衆の頭領。正助や草加竜之進とは長い付き合い。日置領にやって来た草加竜之進と、久しぶりに再会する。

歯ッ欠け (はっかけ)

『カムイ伝 第二部』に登場する動物。日置城跡を根城とする猿の集団の第四ボスだったが、戦いに敗けて群れを離れる。やはり猿の集団を離れたメスの群れと共に、新たな集団を作る。縁のあった喜太郎から義手とラッパを手に入れ、日置城跡の猿の集団の第一ボスとなった。

カムイ【狼】

『カムイ伝 第二部』に登場する動物。謎の巨人、山丈がカムイと呼んだ白狼。仲間たちと逞しく生きる。かつて縁のあったカムイと再会した。

場所

無宿溜 (すらむ)

江戸深川の戸面原にできた、無宿者の集落。カムイがサプの名で暮らし、草加竜之進や堀田正俊が出入りしていた。祭りのような状態になったときに謎の巨人、山丈が現れた。徳川幕府の意向によって、取り潰される。

下総 (しもうさ)

漁業が発展中であり、住み場所を追われた無宿留の人々の新天地となる。黒鍬衆頭の庄左ヱ門となった正助と、サスケや草加竜之進が再会した。正助たちが、干拓事業に従事している。

日置領 (ひおきりょう)

幕府の直轄領。日置大一揆を経て、領内は比較的落ち着いている。日置城は廃墟となり、今は猿の集団が棲み付いている。漁村だった五木代は、港町に発展した。風鳴の谷で湯屋を営んでいた喜太郎が、金鉱を発見する。中根正盛の下から助け出された一太郎が、カムイと修行をしている。

その他キーワード

変移抜刀霞斬り (へんいばっとうかすみぎり)

『カムイ伝 第二部』に登場する必殺技。カムイの使う秘太刀。素早い体捌きを使用しながら、背中に隠した刀を繰り出す。謎の忍者によって破られた。

飯綱落とし (いづなおとし)

『カムイ伝 第二部』に登場する必殺技。カムイの使う秘術。空中で相手にしがみつき、脳天から落とす。また、相手が空中に居ない場合は、プロレスのバックブリーカーのようにして、脳天を叩き潰す。謎の忍者によって破られた。

十文字霞くずし (じゅうもんじかすみくずし)

『カムイ伝 第二部』に登場する必殺技。カムイの使う秘太刀。踏み出した相手の膝を踏み台ににして、ジャンプしながら二刀で斬る。謎の忍者によって破られた。

ラッパ

オランダ人のヘイシンクが、外様大名の息子ドド丸に与えた子供用のラッパ。ドド丸のお気に入りだったが、カラスに持ち去られ、曲折を経て、日置領の風鳴り谷で湯宿を営んでいた喜太郎が手に入れる。その後、歯ッ欠けに盗られ、他の猿をひるませるための武器として使われる。

前作

カムイ伝 (かむいでん)

江戸時代の日置藩を主な舞台として、多数の人物を交錯させながら、封建制度に対する戦いがいかに起こり、潰えていったかを描く。白土三平自らも立ち上げに関わった青林堂「月刊漫画ガロ」にて1964年から連載。 関連ページ:カムイ伝

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