概要・あらすじ
少年レイは、カーニバルと共にやって来た羽の生えた少女ヴァンデミエールに出会う。座長は彼女を、人間ではない、と言った。レイは不思議に思いながらも、興行を覗きに行くと、そこにいたのは明らかに人間とはかけ離れた姿の自律胴人形ヴァンデミエールだった。彼女を救い出したい、という思いにかられたレイは、ヴァンデミエールをバイクに乗せて村から逃げ出そうとする。
ところが追いついた座長によってヴァンデミエールは身体を切り裂かれ、レイは右腕を失う。その他にも数多くいるヴァンデミエールは少年少女たちと出会い、「人間のまがい物」「天使のまがい物」「機械のまがい物」である束縛から解き放たれるべく、自由を模索していく。
登場人物・キャラクター
ヴァンデミエール
背中に羽が生えた自律胴人形の総称。外見は人間と全く同じで周囲から気づかれることがない。全裸になると、胴が機械のような形状をしていたり、関節が特殊なため、見世物にされることがある。一体ではなく様々な種類の容姿の個体があり、天使のような羽の生えたもの、白い蛾のような羽のもの、黒髪に黒い羽のものなどがある。 羽は人間の憐憫をさそうためにつけられたもので、飛ぶことはできない。
レイ
カーニバルで村にやってきたヴァンデミエールと出会った少年。今まで村からは出たことがなく、酒場で働いている。バイクを運転して、村の荷物を運んでいた。ヴァンデミエールが大人たちの間でのいかがわしい見世物になっているのを目撃し、彼女を救うべくバイクに乗せて逃走するも、座長に見つかり右腕を切り落とされてしまう。 後に自らの失った右腕がヴァンデミエールのものになっていることに気づき、大人になってからヴァンデミエールのいたカーニバルを探す。
座長
カーニバルを率いてレイの住む村を訪れた。ヴァンデミエールを雇っており、夜に開かれる大人の見世物として彼女を裸にして、触らせていた。レイが彼女を連れて逃げようとした際、ヴァンデミエールとレイの右腕をムチで切り落とした。人形からは、「私たちの創造主 絶対服従の父なる存在」と呼ばれている。
ミルトン
第6代目グリーンクロッシング伯。闘うことを好まず、森の中にある、乳母フリュクティドールの狩猟小屋で、人目を避けて暮らしている。黒髪に短い羽のヴァンデミエールと出会い、彼女を追ってきた神父から助け出した。彼女との会話で、自らの中にあった乳母への依存から解放された。
ブリュメール
ヴァンデミエールの双子だと言われている気が強い少女。自分の真似ばかりするヴァンデミエールが周囲に愛されていることを疎ましく思っており、彼女を陥れるための画策をする。