概要・あらすじ
時は大正。結菱(ゆいびし)家の女中である菊は、ある日物置で見つけたしゃべる人形・翠星石と心を通わせるようになる。一方、菊の妹で遥雲閣で働く華はある日、ローゼンメイデンたちの夢の世界である箱庭に迷い込み、雛苺と金糸雀に出会う。その後さらなる偶然から蒼星石のマスターとなった華は、菊と、その主でありローゼンメイデン「真紅」の行方を追っている坊ちゃんとともに「第ゼロドール」の謎に挑むようになる。
登場人物・キャラクター
菊 (きく)
結菱家に仕える若い女中で、翠蒼探偵団のメンバーの1人。童顔であるが華の姉。結菱家の物置で見つけた翠星石と契約し、そのマスターとなる。田舎出身のため、口調に方言が混じることがある。坊ちゃんに対して恋心を抱いているが、身分違いと諦めている。
華 (はな)
遥雲閣に勤める若い昇降機ガールで、翠蒼探偵団のメンバーの1人。大人びて見えるが菊の妹。遥雲閣で鞄に入っていた蒼星石を発見し、そのマスターとなる。田舎出身であることを隠しているが、たまに口調に方言が混ざってしまう。
坊ちゃん
結菱家の令息で、翠蒼探偵団のメンバーの1人。ローゼンメイデンに執着し、中でも特に真紅には格別の興味を抱いており、その行方を捜している。ローゼンメイデンのマスターになることが夢で、水銀燈に対して誘いをかけたこともあるが、拒否されている。
翠星石 (すいせいせき)
ローゼンメイデンの第三ドールで、翠蒼探偵団のメンバーの1人。蒼星石の双子の姉にあたる。栗色の長髪に、右目が赤、左目が緑のオッドアイを持つ少女の姿をしている。「スィドリーム」という、光る小さな下僕を連れている。基本的に毒舌で、それはマスターとして契約を結んでいる菊相手にも発揮される。アンティークなデザインの如雨露(じょうろ)を武器とし、植物を異常成長させる能力を持つ。
蒼星石 (そうせいせき)
ローゼンメイデンの第四ドールで、翠蒼探偵団のメンバーの1人。翠星石の双子の妹にあたる。栗色の短髪に、右目が緑、左目が赤のオッドアイを持つ少女の姿をしている。しかし、その外見から男の子の人形と間違えられやすく、契約者の華からも「王子」と呼ばれている。主に忠実で、家事を手伝ったりもするが、たまに毒舌な一面を垣間見せることもある。 アンティークなデザインの鋏を武器としている。
水銀燈 (すいぎんとう)
ローゼンメイデンの第一ドール。長い銀髪を持つ少女の姿をしている。黒い羽のようなものを飛ばして戦う。ローゼンメイデンの試作品である「第ゼロドール」について何かを知っているようなそぶりを見せるが、詳しいことは語ろうとしない。遥雲閣の屋上に時々姿を見せる。
真紅 (しんく)
ローゼンメイデンの一体。金髪碧眼で、赤いドレスをまとった少女の姿をしている。現在は消息不明となっており、誰かをマスターをして活動している様子がないにも関わらず、活動していないローゼンメイデンが眠りの間に訪れる場所である箱庭にも姿を見せていない。
雛苺 (ひないちご)
ローゼンメイデンの一体。金髪に緑の瞳を持ち、大きなリボンを付けた少女の姿をしている。現在はマスターを持たず、薇(ぜんまい)も巻かれていない。そのため、精神は箱庭にあって休息の時を過ごしており、寝ぼけたような状態のまま金糸雀とともにお茶会をしている。
金糸雀 (かなりあ)
ローゼンメイデンの一体。緑色の髪に緑色の瞳を持つ少女の姿をしている。現在はマスターを持たず、薇(ぜんまい)も巻かれていない。そのため、精神は箱庭にあって休息の時を過ごしており、寝ぼけたような状態のまま雛苺とともにお茶会をしている。
ラプラスの魔
人間の身体に兎の頭を持ち、シルクハットを被った正体不明の存在。ローゼンメイデンたちとは昔馴染みで、不意に現れては警句めいた言葉を口にする。箱庭にいた雛苺と金糸雀の前に現れ、箱庭にあった不思議な「ラヂヲ」について2人に解説する。
兎頭 (うさぎあたま)
帝都に出没し、人々に恐れられている人さらいの怪人。ローゼンメイデンと昔馴染みである「ラプラスの魔」と呼ばれる存在と外見的特徴がそっくりなため、同一人物と誤解されていたが、のちに別人であることが判明する。性別や年齢は不明だが、その正体は兎の仮面を被った生身の人間である。
お敏 (おとし)
結菱家に仕える年かさの女中。菊にとっては厳しい上司でもある。娘のタツが兎頭によってさらわれてしまったことで、しばらく仕事を休んでいた。翠蒼探偵団の活躍によってタツが助け出された際には、恩人である菊に対しても感謝の言葉を述べる。
揚羽
見世物小屋の団長の娘で、踊り子をやっている少女。今は見世物小屋になっているが、かつてはサーカスの一座であり、揚羽はそこのスターのブランコ乗りであった。カフェで女給のアルバイトをしている時もある。翠蒼探偵団に協力し、さまざまな事件に関与する。
第ゼロドール
ローゼンメイデンが創られる以前、その製作者であるローゼンが試行錯誤の段階で作っては壊していた人形たちの、その最後の一体。翠星石や蒼星石たちもその存在すら知らなかったが、第一ドールたる水銀燈だけは過去に第ゼロドールと接触したことがある。
集団・組織
翠蒼探偵団
菊、華、坊ちゃん、そして翠星石と蒼星石らからなる探偵団。「翠蒼探偵団」という名前は翠星石が付けた。もともとはローゼンメイデンの第ゼロドールの謎に迫るために結成された組織だが、それ以外にもさまざまな事件に首を突っ込んでいく。
場所
nのフィールド
「現実の世界をヒトのココロの内側から覗いた裏側の世界」と称される異世界。ローゼンメイデンの還る場所とされ、nのフィールドの内部には箱庭がある。ラプラスの魔と呼ばれる謎の存在が時おり出没する。
箱庭
nのフィールドの中にある、ローゼンメイデンたちが、「次に誰かに薇(ぜんまい)を巻かれるまでを待つ場所」。ローゼンメイデンが見ている夢の世界のようなものである。雛苺と金糸雀は、時の止まったこの箱庭の中でお茶会に興じている。
遥雲閣 (よううんかく)
華が昇降機ガールとして勤務している、世にも珍しい12階建ての建物。「東京十二階」の通称を持ち、略して「十二階」と呼ばれる場合もある。昇降機の針が存在しないはずの「十三階」を指す時、nのフィールドと接続され、華はこれに巻き込まれて箱庭に辿り着くことになった。
その他キーワード
ローゼンメイデン
人形師ローゼンの創った、「生きた人形」の姉妹。「薔薇乙女」と呼ばれることもある。生きてはいるが身体の構造は球体関節を持つ無機物の人形であり、大きさも一般的な人形と同程度。翠星石が第三ドールに該当し、その他、作られた順番に従って第一ドールから第六ドールまでいる。第七ドールは現在製作途中。ただし、第一ドールである水銀燈によれば、水銀燈よりも先に創られた試作品の第ゼロドールも存在するという。 人間をマスターとして「契約」する性質を持ち、マスターとなった人間の手には「指輪」が現れる。人間と同様に物を食べ、睡眠を必要とするが、眠る時は専用の鞄の中で眠らなくてはならない。
ラヂヲ
箱庭に置いてある、ラッパ型ラジオの形をした物体。音が出るが、一般的な「ラジオ」とは構造が異なり、ラプラスの魔によれば「ずっと遠いどこかで誰かが奏でている音が、彷徨いたゆたって、がらんどうの箱の中に響いて鳴っている」ものだという。外の世界からの呼びかけなどがラヂヲを通じて箱庭に聴こえてくることもある。