概要・あらすじ
ソフト開発会社に勤める藤井は、突然現れた由野から、「坂の上に住んでいる女」の噂を聞かされる。そこには、タダでヤらせてくれる女性が住んでいるという。怪しい話だと一蹴する藤井だったが、興味本位でその家を覗いてしまう。そこに住んでいる律夏は、見るからに藤井の嫌いなタイプの女性だった。しかし、なぜか藤井は彼女に入れ込んでしまう。
自分でも訳のわからない衝動に突き動かされるようにして、藤井は彼女との同棲生活を始めるのだった。
登場人物・キャラクター
藤井 (ふじい)
パソコン・プログラム関係の会社に勤める男性。開発4部に所属している。仕事に没頭する極度のワーカホリックで、周囲からも心配されている。あれこれと悩む必要がないからと、白黒はっきりしている、主張の強い女性が好み。自分は優秀な人間であると自負し、周囲の人間を見下すような発言をすることが多い。
律夏 (りつか)
タダでやらせてくれると、一部の男性の間で噂になっている女性。赤い屋根の古い木造家屋に住んでいる。家は、藤井の通勤途中、住宅街の坂を登り切ったところにある。家の窓はすべて開けっぱなし。浮き世離れした雰囲気の持ち主で、世間ズレした発言をしつつも、家庭的な面も持ち併せる、という不思議な人物。麦茶に蜂蜜を入れて飲む。
由野 (よしの)
藤井の勤めている会社で、アルバイトをしている男性。品質調査室で働いている。社会人として働き始めた藤井のもとに、突然現れた。アルバイトながら、会社から表彰されるほど優秀な人物。藤井に律夏の噂を伝え、彼が律夏へと入れ込むきっかけを作った。顔を合わせるたびに、藤井に何かと意味ありげなアドバイスを送る。
衣理 (えり)
大学時代の藤井の恋人だった女性。藤井好みのハッキリとした性格の持ち主。別の男性と二股をかけた挙げ句、公衆の面前で藤井を振ろうとするなど、性格に若干の難がある。律夏を快く思っておらず、彼女の悪口を友人に言いふらしている。
大塚 (おおつか)
藤井の勤めている会社で、デザイナーをしている新入社員の女性。ハッキリとした性格で、藤井に想いを寄せ、アタックを繰り返していた。それから10年後、デザイナーから海外事業本部に転属し、副部長まで出世。別の男性と結婚し、子供を1人もうけた。得意料理はカレーで、それ以外の料理は苦手。
藤井 航 (ふじい こう)
藤井の弟。藤井花乃の父親。藤井と同様、パソコン・プログラム関係の会社に勤めている。兄が大学時代、そして就職して働き始めた頃に、犯してしまった罪のことを気にしている。なるべく風評の被害に遭わないよう気を使っている。
藤井 花乃 (ふじい かの)
藤井航の4歳の娘。猫のぬいぐるみ「ねねこちゃん」が大好き。亡くなった祖母を慕っており、祖母の死をうまく理解できていない。落ち着きがなく、葬式会場でも父親にじゃれついてしまう。