亭主元気で犬がいい

亭主元気で犬がいい

強盗殺人犯の妹として差別されてきた1人の若い女性が探偵となり、犬に生まれ変わった大学教授の夫とともに難事件を解決していく。シリアスな展開の中にエッチな下ネタが交錯するドラマティックサスペンス。「ビッグコミックスペリオール」2010年第20号から2013年第12号にかけて掲載された作品。

正式名称
亭主元気で犬がいい
ふりがな
ていしゅげんきでいぬがいい
作者
ジャンル
転生
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概要・あらすじ

九頭龍マリは、世間を震撼させた宇都宮一家惨殺事件の犯人の妹として差別されて生きてきた。さらに自身を捨てた男の子供を身ごもっていることを知り、マリはついに川へ飛び込み自殺を図る。しかし、自分より先に1人の男性が川へと飛び込んでしまい、マリが助けるはめに。マリはそのまま水田連太郎と名乗るその男性の家で生活するようになり、ついには連太郎と結婚することになる。

水田マリ」となり、初めて「守られている」という幸せを感じる日々のなか、突然連太郎が何者かにひき逃げされ死亡してしまう。悲しみに暮れ、再び一人暮らしを始めたマリだったが、ある日拾ってきた野良犬が携帯電話を使い、自分は輪廻転生した連太郎だと告げるのだった。

登場人物・キャラクター

水田 マリ (みずた まり)

明るく前向きでナイスバディな20代前半の女性。卓越した空手の腕を持ち、力も強い。兄の九頭龍博章が引き起こした宇都宮一家惨殺事件により、高校中退を余儀なくされ、19歳で水田連太郎と結婚した。連太郎の死後、椿純子にスカウトされ探偵となる。持ち前の勇気と正義の心を活かし、犬に転生した連太郎とともに、探偵として難事件を解決していく。

水田 連太郎 (みずた れんたろう)

水田マリの夫。東大文学部の教授で、スケベな中年男性だが頭脳明晰。マリの兄が宇都宮一家惨殺事件の犯人だと知っても何の躊躇もなく、マリのことを受け入れる懐の深さも併せ持つ。マリに恨みを持つ人物に殺されるが、野良犬の子犬に転生し、探偵になったマリをサポートする。犬に転生してからは、皆に「連ちゃん」と呼ばれている。

水田 ふみ子 (みずた ふみこ)

水田連太郎の母親。「歴女」を自称するユニークな性格の時代劇マニア。忍術使いでもある。連太郎の結婚には大賛成であり、嫁となった水田マリを大切にしていた。連太郎の死後もマリを気にかける優しい性格。

九頭龍 博章 (くずりゅう ひろあき)

水田マリの10歳年の離れた兄。宇都宮一家惨殺事件の犯人。秀才で、名門中学、高校を経て地元の国立大学に合格したエリート。一直線な性格が災いしてギャンブルにハマり、多額の借金を作ったため資産家の家に強盗に入って事件を起こす。

水田マリの母 (みずたまりのはは)

水田マリと九頭龍博章の母親。息子の博章が起こした宇都宮一家惨殺事件の裁判では、なんとか死刑だけは避けるため、博章を心神喪失に仕立てあげて弁護し続けた。博章に対しては異常ともいえる愛情を注いでおり、死刑判決が下された日に失踪する。

水田マリの父 (みずたまりのちち)

水田マリと九頭龍博章の父親。誰からも信頼されていた勇敢な消防士だった。息子の博章が起こした宇都宮一家惨殺事件により、マリが16歳の時に自殺する。全日本の空手選手権で3度も優勝した空手の達人で、マリに空手を教えた。

(りー)

台湾出身の若い男性。水田マリが暮らすボロアパートの隣人。スケベでマリの部屋をいつも壁の穴から除いており、マリと犬の水田連太郎の事情についても知っている。根が善良であり、何かにつけマリの良き協力者となる。

関口夫婦 (せきぐちふうふ)

宇都宮一家惨殺事件の被害者の遺族。娘と孫を殺された。水田マリに、命より大切な人を失う苦しみを味わわせようと、水田連太郎を殺害した。その後、マリと同じアパートに越して来て善良な隣人を装い、連太郎を殺した犯人が水田マリの母だと思い込ませようと誘導する。

大門 直樹 (だいもん なおき)

水田マリ(当時は九頭龍マリ)を無理やりものにした非道な男。マリは山奥の町で中居として働いていたが、宇都宮一家惨殺事件の犯人の妹だと知るや逃げ出した。のちに二世議員として民自党所属の代議士となる。

浅倉 甚八 (あさくら じんぱち)

29歳のバツイチ男性。路上でチンピラに殴られているところを水田マリに助けられ、知り合う。椿純子とコンビを組んで、怪しい事件の真相を探って記事にしているフリーのジャーナリスト。実は、日本屈指の製薬会社の御曹司。巨乳好きでマリに好意を抱いている。

椿 純子 (つばき じゅんこ)

「椿探偵事務所」の女所長。やり手だが、したたかな性格で、とんでもなくケチ。水田マリにロールスロイスの車庫出しを手伝ってもらったことから知り合い、マリを探偵としてスカウトした。高校時代にはモデルをしていたほどの美貌の持ち主だったが、今は見る影もない。

椿 正治 (つばき せいじ)

椿純子の息子で刑事。ロングヘアで体格のいい青年。スケベネタを連発するが、柔道の達人。しばしば水田マリのピンチを助ける。マリとともに行動することも多く、いつしかマリに惹かれていく。普段は軽薄に見えるが、時に鋭い勘を働かせることもある。マリを「マリっぺ」と呼んでいる。

佐山 源助 (さやま げんすけ)

とんかつ屋の主人。とんかつ屋は、「椿探偵事務所」が入居しているビルの1階にある。昔から椿純子の助手を務めており、実質的には片腕として活躍する訳ありな男性。かつては「般若の源」と呼ばれる極道であった。

若林 (わかばやし)

芸能事務所「デジャビュ」でマネージャーを務める男性。ヤクザのような出で立ちで強面だが、潜入捜査のためオーディションを受けた水田マリのマネージャーとなり、純粋にマリを応援し売り出そうとする面倒見のいい人物。「デジャビュ」が運営する秘密売春クラブ「ローズクラブ」については何も知らない。

宇木田 (うきた)

秘密売春クラブ「ローズクラブ」のスタッフの女性。冷たい印象だが、自身の父親が犯罪者ということもあり、水田マリには密かにシンパシーを感じている。芸能事務所「デジャビュ」から山奥にある秘密売春クラブ「ローズクラブ」まで、場所を特定されないよう、車で女性たちを運ぶ役割を担っている。

赤根 茂 (あかね しげる)

かつてDNAのデータベースを作る仕事に従事していた若い男性。過去に無実であるにもかかわらず、有罪とされたことがある。これを恨み、今度は完全犯罪を成し遂げ、罪を犯しながらも無実となって、司法に復讐しようとしている。

南方 怜子 (みなみかた れいこ)

かつての水田連太郎の教え子の女性。夫である南方大作の捜索を依頼するため「椿探偵事務所」を訪れた。若い頃は連太郎のファンだったが、見向きもされなかったため、失恋旅行と称した旅先で大作と恋に落ちた。のちに大作と結婚し、8年ものあいだ塾の講師をしながら、夫を支え続けた献身的な女性。

南方 大作 (みなみかた だいさく)

南方怜子の夫。元理科の教師だった51歳の男性。休日には自作の実験道具を担いで、日本中の小学校を回っていた。宗教法人「地球立派会」に入信した知人を救出しようと出かけたまま、行方不明となっている。政治家、田中正造の「真の文明は、人を殺さざるべし」という言葉が座右の銘。

仲野 由紀恵 (なかの ゆきえ)

宗教法人「地球立派会」の信者の中年女性。踏切で車がエンストしたところ、浮気の尾行調査をしていた水田マリに助けられた。映画好きで、のんきな性格。南方大作が「地球立派会」の教祖をインチキ呼ばわりした事件についてマリに語る。

藤沢 幸子 (ふじさわ ゆきこ)

人気急上昇中の女性アイドル。国立大学に通う大学生でもある。宗教法人「地球立派会」の教祖が出演したテレビ番組に共演し、彼を論破する。南方大作の好きだった田中正造の言葉「真の文明は、人を殺さざるべし」を引用したことから、大作の教え子だと判明する。

近藤 しげる (こんどう しげる)

「椿探偵事務所」と付き合いのある生命保険会社「クラク生命」に勤務する若い男性。一見クールだが実はスケベ。保険金詐欺の疑いのある殺人事件を水田マリとともに調査する。幼い頃に父親から虐待を受けていた過去がある。

京極 次郎 (きょうごく じろう)

盲目の老人。保険金詐欺の疑いのある殺人事件で殺された京極昌一の父親。孫である京極安優美とは血が繋がっていない。自分の気持ちを上手く人に伝えらない不器用な人物でもある。盲人という理由で捜査対象にならないからこそ、水田マリは殺人事件の犯人ではないかと疑いを持つ。

京極 安優美 (きょうごく あゆみ)

保険金詐欺の疑いのある殺人事件で殺された京極昌一の娘。母親の連れ子であり、祖父の京極次郎とは血の繋がりがない。女子高生であり、腕にリストカットの傷があるため、水田連太郎は、殺された義理の父である京極昌一に性的虐待を受けていたのではと疑う。

江戸川 散歩 (えどがわ さんぽ)

ミステリー作家で50歳近い男性。女好きで、嫉妬深い妻の江戸川恵子が邪魔になったため、殺害したのではないか、と恵子の弟に疑われている。何かを見つけて庭を掘り返した犬の水田連太郎を殴ったことから、水田マリに半殺しにされそうになる。

江戸川 恵子 (えどがわ けいこ)

江戸川散歩の妻。江戸川がアメリカに滞在している間に、自宅で服毒自殺した。江戸川の作品を誰より愛し、江戸川に尽くしてきた良き妻。江戸川からダイエットに効くと言われ、大量の桃を毎週購入していた。

庄司 澄子 (しょうじ すみこ)

70代の女性。椿探偵事務所に依頼するためにやって来た。依頼内容は、1か月の間、須沼忠雄という男性のボディガードをしてほしいというもの。実は須沼がかつて社長を務めていた「黒十字製薬」が引き起こした薬害問題の被害者。依頼は、夫や仲間を殺人者にしたくないと考えたためであった。

須沼 忠雄 (すぬま ただお)

40年前に若くして「黒十字製薬」の社長になった男性。今は現役を引退し、釣り仲間との交流を楽しんでいる。過去に会社が薬害問題を起こしたが、薬事審議会が決めたことだからと、罪悪感を持っていない。

葉山 ひとみ (はやま ひとみ)

36歳の女性。「椿探偵事務所」に婚約者の男性の浮気調査を依頼するためにやって来た。婚約者の母親を献身的に世話しているが、いつも口汚くののしられており、近所の主婦達に同情されている。かつて20歳で結婚したが、夫は交通事故死し、3人の子供も、原因不明の感染症で相次いで失った不幸な過去を持つ。

本間 理沙 (ほんま りさ)

中年女性。葉山ひとみが、自分の婚約者と浮気しているのではないかと疑っている。ファミレスで働いているが、かつて看護師として、ひとみが子供を亡くした秋田の病院で働いていたことがある。その際、ひとみの尋常ではない行動を目撃している。

倉木 民子 (くらき たみこ)

複数の美容会社を経営する女社長。高校時代はいじめられっ子でパッとしない存在だったが、高校卒業後とんとん拍子に成功し、現在の地位を築いた。高校時代のクラスメイトである椿純子を、結婚祝いのパーティに招待した。純子には、ある理由で今も感謝の気持ちを抱いている。

北原 ひとみ (きたはら ひとみ)

倉木民子の秘書を務める若い女性。以前、民子の夫である倉木健と恋愛関係にあった。しかし、社長という肩書に惹かれて自分を捨て、民子に乗り換えた健に恨みを持っている。

花園 美咲 (はなぞの みさき)

「椿探偵事務所」に調査依頼に訪れた若い女性。政治家の岡田日出夫と結婚予定だったが、彼が「花園美咲と結婚すれば殺す」という内容の脅迫状を受け取ったので相談にやって来た。母親に捨てられ孤児として育ったが、明るい性格で巨乳の持ち主。

柳生 敦子 (やぎゅう あつこ)

41歳の女性。花園美咲と結婚する予定の、岡田日出夫の家でメイドをしている。大学時代、1人で登山をしていた時に岡田に強姦されてから、転落人生を送っている。岡田に怨みを持ち、美咲との結婚をなんとしてでも阻止しようとしている。

集団・組織

椿探偵事務所 (つばきたんていじむしょ)

椿純子が所長を務める探偵事務所。入っているビルの1階はとんかつ屋。純子が水田マリをスカウトし、マリは犬の水田連太郎とともに、ここで探偵として働くことになった。フリージャーナリストの浅倉甚八と組んで、怪しい事件の真相を探っているが、実は御曹司である甚八のお守り的な役割も果たしている。とんかつ屋の店主である佐山源助が、純子の実質的な補佐役を務め、椿正治も、暇な時は事務所に入り浸っている。 マリが採用されてからは、調査成功率が目覚ましく伸びた。

地球立派会 (ちきゅうりっぱかい)

宗教法人。神の生まれ変わりといわれる「夢ノ助」という人物を教祖に立て、彼の母親が1965年に設立した。カリスマ的な魅力を持つ夢ノ助を信仰の中心に置き、信者の90%を女性が占める。その実態は、信仰を利用した金集めの宗教ビジネス。それを暴こうとした南方大作が失踪したことを機に、水田マリが潜入捜査に乗り出すことになった。

イベント・出来事

宇都宮一家惨殺事件 (うつのみやいっかざんさつじけん)

日本中を震撼させた強盗殺人事件。何の関わりもない善良な資産家一家を、金を奪う目的で殺害した。水田マリの兄である九頭龍博章がその犯人。水田マリの母は博章の心神喪失を主張し続けるが、死刑判決の日に失踪。水田マリの父は、いわれなき差別に屈し自殺した。

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