人造人間の理想と殺戮
人造人間たちは、理想の人間を創造することを目指して博士によって造り出されたが、いずれも失敗作として放置されていた。博士はナンバー100を造り出したあとに亡くなるが、人造人間たちは博士が目指した理想の人間になるために、優れたパーツを持つ人間を殺害し、そのパーツを自らの体に移植してきた。ナンバー100も、不老長寿の一族として知られる八百家を襲撃し、一家を皆殺しにした人造人間の一体である。しかし、生き残ったあしびは「18歳になったら最後の生き残りの人造人間に自分の身体を差し出す代わりに、すべての人造人間を殺してほしい」という提案をナンバー100に持ちかける。こうしてあしびは、ナンバー100を従えて人造人間への復讐の旅に出ることになる。
理想を追い求め続ける人造人間
人造人間は理想の人間になることに強い執着を持ち、優れた身体を見つけると、たとえその相手に自分よりも強い護衛がついていても、背を向けて逃げることができない特性を持つ。これまで執着していた人間がいたとしても、より優れた相手を見つけると、あっさりと乗り換え、その身体を手に入れるために犠牲を厭(いと)わない。また人造人間には、死肉を生き返らせ、身体に宿る潜在能力を最大限に引き出すための核が埋め込まれている。そのため、治癒能力に優れた八百一族のパーツを手に入れた人造人間は、異常な治癒力を発揮し、身体が切断されても、核が破壊されるまでは行動を停止することがない。さらに、人造人間は理想の人間になるために、殺害した人間のパーツを次々と移植し続けるが、どれだけ移植しても、核によって身体のどこかにナンバーが刻まれてしまう。ナンバーは製造順を示しており、ナンバーが大きい人造人間ほど優れた能力を持つ。
対人造人間組織「モートセーフ」
モートセーフは、人造人間の被害者たちによって設立された対人造人間組織である。所属するメンバーは、保護された一般人と人造人間を討伐する戦闘員、そして負傷者の治療や人造人間の居場所の調査を行う非戦闘員の3種類に大別される。戦闘員を志望する者は、モートセーフ本部に保管されている、過去に討伐された人造人間ナンバー99の核に触れることで、身体に秘められた潜在能力を引き出すことができる。しかし、核に触れた人間の生存率はわずか5パーセントと非常に低く、死を覚悟した者のみが人造人間との戦闘に参加することが許される。あしびはモートセーフに入隊後、ナンバー100を物理的にサポートするため、戦闘員としての訓練を受けることになる。
登場人物・キャラクター
八百 あしび (やお あしび)
不老長寿の一族として知られる八百家の最後の生き残りの少年。年齢は14歳。大きな三白眼が特徴で、サスペンダー付きのズボンを身につけている。ある日、自宅で人造人間に襲われ、親族全員が惨殺される光景を目の当たりにする。そして、人造人間に復讐することを決意したあしびは、その場で「18歳になったら最後の生き残りの人造人間に自分の身体を差し出す代わりに、すべての人造人間を殺してほしい」と提案する。この提案を即座に受け入れたナンバー100は、ほかの人造人間をすべて破壊し、あしびと共に行動を開始することになる。人造人間が優れた身体の血の匂いを嗅ぎつける特性を利用し、あしびは自らの身体を傷つけて人造人間をおびき出す戦法を多用する。しかし治癒力が高いため、傷はすぐに完治し、痕跡も残らない。対人造人間組織「モートセーフ」に入隊後は戦闘員として訓練を始め、ナンバー99の核に触れたことで開花した火花(スパークル)は、負傷したり欠損した自らの身体を、動画を巻き戻すように再生する治癒能力である。
ナンバー100 (なんばーひゃく)
博士が最後に造り出した女性型の人造人間。身長180センチを超え、首元には大きな縫い目がある。八百家の唯一の生き残りであるあしびと、「18歳になった際に身体を譲り受ける」という契約を交わしており、その代わりにほかの人造人間をすべて破壊する任務を担っている。あしびが自らの身体を傷つけることを嫌うのは、完璧な状態の身体を手に入れるためであり、愛情からではない。その証拠に、あしびが対人造人間組織「モートセーフ」に入隊し、火花(スパークル)の力で治癒力を高めてからは、彼の身体が傷つくことを気にしなくなった。すべての人造人間の中で最強の能力を持っているが、人間や建物を容易に破壊してしまうため、全力を発揮できないという欠点を抱えている。
書誌情報
人造人間100 5巻 集英社〈ジャンプコミックス〉
第1巻
(2023-04-04発行、 978-4088834559)
第2巻
(2023-06-02発行、 978-4088835525)
第3巻
(2023-09-04発行、 978-4088836324)
第4巻
(2023-11-02発行、 978-4088836881)
第5巻
(2023-11-02発行、 978-4088837369)