あらすじ
第1巻
蛍と許嫁の朝陽は、定例になっている月1回の食事デートをすることになる。せっかく食事をしているにもかかわらず、会話をしようともしない朝陽に対し、蛍は嫌味で返す。しかし朝陽は、そんな蛍の言葉など耳に入っていないかのように振る舞い、二人は険悪な空気に包まれる。そんな中、明日誕生日を迎える朝陽に、蛍はプレゼントを手渡す。どんなものが好きなのかわからないからと複数のプレゼントを渡された朝陽だったが、気に入るものがまったくなかった。やはりあくまで親同士が決めた結婚のため、自分のことなど興味がないのだと落胆する朝陽だったが、その中のネックレスだけには興味を示す。そのネックレスは、今回のプレゼントの中でも一番気合いを入れて選んだものだったので、蛍は嬉しさのあまり饒舌になってしまう。(第1話。ほか、15エピソード収録)
第2巻
ある日、蛍は富田虹次からオペラ公演のチケットをもらう。蛍が会場に着くと、指定された座席のとなりには朝陽が座っていた。朝陽も虹次から余ったチケットをもらったと説明し、二人は虹次が自分たちの仲を取り持とうと画策したことに気づく。二人はお互いに観たい演目だったこともあり、そのまま鑑賞を続ける。そして終演後、蛍が気づいた時には朝陽は既に離席しており、自分も帰宅するためにホールをあとにする。するとそこにはトイレのためにホールを先に出た朝陽が待っており、当然のように蛍に早く帰ろうと声を掛ける。別々に帰るものだと思っていた蛍は、そんな朝陽のかわいらしい態度に顔を赤らめ、一方の朝陽はカン違いしたことに気づき動揺する。(第17話。ほか、12エピソード収録)
登場人物・キャラクター
蛍 (けい)
朝陽と交際している青年。裕福な家庭に生まれ育ち、現在は親族が経営する会社に勤務している。将来は会社を引き継ぎ、社長になる予定。親同士が勝手に決めた許嫁の朝陽に対しては、文句ばかりを言って気のないふりをしているが、内心では自分にとって理想の結婚相手だと好意を抱いている。本当はもっと優しく接したいと考えているが、朝陽に嫌われていると思い込んでいるため、素直になれずにいる。鈍感なところがあり、朝陽から異性として意識されていることに気づいていない。
朝陽 (あさひ)
蛍の許嫁の女性。年齢は蛍と同じ。親同士が勝手に決めた婚約のため、蛍に対しては愛情のないふりをしているが、実際は優しくされると照れるなど、異性として意識している。一方で、蛍が朝陽自身に好意を抱いてくれていることには気づいていない。華奢な色白の美人で、大勢が集まる場所でも自然と目立つ存在。裕福な家庭に生まれ育ったため、立ち振る舞いも完璧。ステラとは幼なじみで、まるで姉妹のように仲がいい。また家の関係でパーティーで富田虹次と偶然会うことが多く、虹次からは「許嫁ちゃん」と呼ばれている。
富田 虹次 (とみた こうじ)
蛍と親しい青年。幼稚舎からの付き合い。蛍が朝陽と婚約していることも知っており、二人が気のない素振りをしているものの、両思いであることを見抜いている。そのため、時には二人の背中を押すような行動を取ることもある。長髪で耳に複数のピアスを開け、一見軟派な人間に見えるが、裕福な家庭で生まれ育った生粋のお坊ちゃま。家の関係でパーティーで朝陽と偶然会うことが多く、親睦を深めている。ステラと婚約しており、そのまま結婚する予定ながら、とかく身体を動かすことが大好きなアウトドア派の彼女とのあいだにすれ違いが生じている。ステラからは「コウ」と呼ばれている。
ステラ
フランス人の女子大学生。朝陽と幼なじみ。朝陽とは非常に親しく、まるで姉妹のように仲がいい。少し前に富田虹次と婚約をし、その縁で蛍とも親しくなる。明るく人懐っこい性格で、どんな時でも笑顔を絶やさない。身体を動かすことが大好きなアウトドア派で、今一つ自分の提案に乗り気じゃない虹次に不満を抱いているが、嫌いなわけではない。
蛍の母 (けいのはは)
蛍の母親。上品で凛とした佇(たたず)まいの美人。心優しい性格で、穏やかな雰囲気を漂わせている。朝陽のことを気に入っており、このまま何事もなく蛍と結婚してくれることを望んでいる。一方で、二人の関係が両思いながらも、微妙な行き違いが生じていることには気づいていない。朝陽からは「お義母さん」と呼ばれている。
真庭 (まにわ)
蛍の住む屋敷で執事を務める中年の男性。蛍が朝陽と食事をする際には飲酒をすることもあるので、二人がデートをする時には運転手役も担っている。そのため朝陽とは顔見知りで、親しくしている。直接的なアドバイスを送ることはないものの、二人の関係がうまくいくよう、温かく見守っている。