あらすじ
第1巻
ある日、私立金玉学院院長の大久保蘭あてに伊賀野才蔵から手紙が届いた。初恋の相手から手紙をもらった蘭は大いに浮かれ、さっそく遠方にある才蔵の自宅へと向かったものの、運悪く到着の数日前に才蔵は亡くなってしまう。蘭はそこで孫の伊賀野カバ丸と会い、これから一人になるというカバ丸に対し、東京に来ていっしょに暮さないかと誘う。当初は断っていたカバ丸だったが、東京の食べ物につられて上京を決意し、蘭の自宅で大久保麻衣との同居がスタートする。麻衣は、一般常識がなく異常な食い意地を見せるカバ丸に対して苦手意識を抱くが、一方のカバ丸は美人の麻衣に好意を寄せるようになる。そんな中、カバ丸は金玉学院に転入して早々、白川たちに目をつけられる。すぐに喧嘩に発展するが、弁当を落とされて怒り狂うカバ丸の圧倒的な強さの前に白川は手も足もでない。喧嘩のあと、なぜケガをしているのかと周囲に問われた白川は、事故に遭い負傷していたところをカバ丸に助けられたのだと嘘をつく。この出来事をきっかけに、カバ丸は一躍学園の人気者となる。一方、目白沈寝に好意を寄せる麻衣は、カバ丸と同居しているせいで沈寝に誤解される日々を送ることとなる。
第2巻
毎年恒例の駅伝大会が近づく中、昨年私立王玉学園に惨敗した私立金玉学院は、リベンジを期していた。そこで目白沈寝は伊賀野カバ丸に対して、焼きそばをおごることを条件に駅伝へ参加してほしいと勧誘する。さらに沈寝の自宅で目白兄弟の歓迎を受け、豪勢な食事を振る舞われたカバ丸は駅伝への参加を承諾する。しかしカバ丸はまじめに練習をせず、沈寝は不安を募らせていた。そして当日、カバ丸の異常な食い意地によるトラブルの連続により、金玉学院はリベンジを果たすことができずに終了。駅伝でのカバ丸の振る舞いをきっかけに、王玉学園のトップ前島秀は沈寝たちが取り仕切っている関東学生諸星連盟からの脱退を表明する。そのせいで関東学生諸星連盟の会合にも各学校のトップの欠席が相次ぎ、沈寝は危機感を募らせる。一度はカバ丸を見限ろうとする沈寝だったが、カバ丸が伊賀忍者の末裔だと知り、改めてタッグを組むことにする。そんな中、金玉学院の創立記念パーティーが行われることになり、カバ丸は沈寝から依頼を受け、野々草かおると共に前島の周辺を探ることになった。
第3巻
伊賀野カバ丸と野々草かおるは、私立金玉学院の創立記念パーティーに出席し、前島秀の動向を探り始める。しかし、食事を目の前にしたカバ丸は理性を失い、かおるは呆れてしまう。その夜、カバ丸とかおるは前島の自宅に忍び込み、マーキングされた謎の地図と大久保麻衣あてのラブレターを発見する。収穫があったことを喜ぶカバ丸とかおるだったが、護衛に見つかりピンチに陥る。だがカバ丸の忍術によってこれを回避し、かおるはカバ丸を見直すようになる。一方、カバ丸のせいで、前島が麻衣への思いをしたためたラブレターはスーばあさんに届く。事情を知らない前島は、強制的にスーばあさんとデートさせられる事態となる。これは目白沈寝の企みに違いないと激怒した前島は沈寝を襲い、沈寝はケガを負って入院する。そのあいだにも着実に権力を強めていく私立王玉学園に打ち勝つため、金玉学院は「カバ丸による体力づくりの会」というイベントを企画する。これはカバ丸の故郷で忍術を中心とした基礎体力作りをして、心身共に強くなるといった趣旨のイベントで、カバ丸人気も手伝って参加希望者が続々集まって来る。
第4巻
私立金玉学院は「カバ丸による体力づくりの会」を開催し、伊賀野カバ丸の故郷で忍術を中心とした基礎体力作りを開始する。最初は、過去に村人たちから受けたひどい仕打ちをトラウマに感じ、気後れしていたカバ丸だったが、食べ物のおかげで元気を取り戻す。そして、カバ丸の案内で山の奥にある老朽化した民家を舞台に忍術の訓練がスタートするが、カバ丸の異常な食欲のせいで、参加者たちは深刻な食料不足に陥る。そんな中、カバ丸は貴重な餅を一人占めしようとするが、突然現れた動く仏像が参加者たちに餅を配ってしまう。激怒したカバ丸は仏像に勝負を仕掛けるが、思わぬ苦戦を強いられる。そんな仏像の動きを見ていた大久保蘭は、死んだはずの才蔵が演じているのではないかと疑念を抱く。一方、私立王玉学園の前島秀からカバ丸たちの監視を命じられた霧野疾風も、故郷に降り立っていた。そこで疾風は以前カバ丸、才蔵と三人で暮らしていた頃のことを思い出す。疾風は不可抗力とはいえ、自身に懐いていた幼いカバ丸を残し、当時一人で逃げてしまったことを後悔していた。
第5巻
引き続き「カバ丸による体力づくりの会」が催された日の夜、大久保麻衣は行き先も告げず外出をした大久保蘭を散歩がてら探しに行く。すると途中で天候が荒れるが、吹雪の中にもかかわらず伊賀野カバ丸が麻衣を助けるために現われ、二人の絆は深まる。そして「カバ丸による体力づくりの会」も無事終了。平凡な日常が戻って来るかと思われた矢先、私立王玉学園の前島秀は目白沈寝に対し、自分たちは関東学生諸星連盟には入る気はなく、王玉学園の傘下に私立金玉学院が入るべきだと挑発。そして前島は、関東スプリング高校野球大会の開催を宣言し、王玉学園が勝った場合は自分たちに従ってもらうと言い放つ。金玉学院としては絶対に負けられない試合ながらも、野球部エースの遠野塁が休学しており、不利な状態にあった。遠野は何とか復学したが、カバ丸に野球部を乗っ取られるのではないかと不安を抱く。結局、カバ丸の驚異的な身体能力が試合には必要だと認め、遠野はいっしょにプレイすることを決める。野球大会を前に、カバ丸たちは近くで行われていた試合を見学しに行く。
第6巻
急遽試合に参加することになった伊賀野カバ丸は、野球のルールはまったく知らないものの、その人間離れした運動神経で一躍ヒーローになる。偶然試合の取材に来ていた新聞記者がカバ丸を取り上げたこともあり、私立金玉学院への世間の注目度が一気に高まる。そんな中、関東スプリング高校野球大会の一回戦の対戦チームは、完璧に相手の行動を先読みする「コンピュータ野球」で有名な真新(ましん)高校と決まる。そしてプレイボール直前、カバ丸は見知らぬ女性からケーキの差し入れを受ける。誰にも取られないように隠れてケーキを食べていたカバ丸は、霧野疾風の姿を見つける。自分は疾風ではないとしらを切る彼に対し、カバ丸は疾風だと認めさせようと忍術を駆使しながら、追いかけていく。そのあいだに真新高校との試合が始まり、金玉学院のメンバーはカバ丸が戻って来るまで試合を長引かせようと奮闘していた。どうにか球場にやって来たカバ丸だったが、何者かの策略によって先ほどのケーキに大量の睡眠薬が盛られていたのだった。睡魔に襲われながら野球をするカバ丸は本来の力を発揮できず、金玉学院はピンチに陥る。
第7巻
スランプに陥っていた遠野塁が活躍し、伊賀野カバ丸が完全に目を覚ましたことから、私立金玉学院は真新(ましん)高校に勝利する。しかしその日、霧野疾風は豪遊宴からカバ丸に情けをかけたことで詰め寄られる。宴に恩のある疾風は、これ以上宴を裏切ることはできないとカバ丸を呼び出し、わざと嫌われるような言葉を口にする。単純なカバ丸は疾風の策略通りに激怒し、決別を宣言する。一方、金玉学院は関東スプリング高校野球大会を勝ち進み、ついに決勝戦で私立王玉学園と戦うことになる。王玉学園に所属する海外からの助っ人ミハイル・ダンテは、これまで誰も打つことができなかったカバ丸のピッチングに対応し、球場を沸かせる。また、秘密裏に王玉学園のコーチを務めている疾風は、伊賀野才蔵仕込みの忍術を用いたピッチングをミハイルに教えていた。それを知ったカバ丸は、そこまでして自分に勝ちたいのかとショックを受ける。しかし、大久保麻衣の叱咤激励によってカバ丸は気を取り直し、両チームは双方一歩も譲らない状況が続く。
第8巻
私立金玉学院と私立王玉学園の激戦は、伊賀野カバ丸のサヨナラホームランによって金玉学院が勝利し、優勝カップがカバ丸たちに渡される。この優勝カップには豪遊宴たちが手にするはずだった密輸ダイヤが隠されていたが、カバ丸はただのビー玉だと思い込み、大久保麻衣にプレゼントしようとする。それを知った宴達は麻衣と目白沈寝を誘拐し、カバ丸に密輸ダイヤと引き換えに二人を解放すると脅迫。カバ丸が交渉場所の港に行くと、そこには宴のほかに霧野疾風も待ち構えていた。カバ丸を撃ち殺そうとした宴側の人間の気配に気づいた疾風は、カバ丸をかばい夜の海に落ちてしまう。そこにどこからともなく死んだはずの伊賀野才蔵が現れ、疾風を助けて二人は和解する。さらに駆けつけた警官に宴が逮捕されたことで、疾風は自由の身となる。そして疾風は己を見つめ直すため、才蔵と共に田舎の山奥で再び修行することを決意する。一方のカバ丸も麻衣からの後押しもあり、田舎へと戻る決心を固めるのだった。
第9巻
霧野疾風が仕事のために田舎から出ていったことをきっかけに、伊賀野カバ丸は私立金玉学院に戻る。そんな中、金玉学院でバレエを教えている葦原ミキのスクールが、人気プリマ水鳥美羽の所属するスクールに生徒を取られ、閉校の危機に陥っていた。まずは敵を知るため、美羽の力量を改めてチェックしようと、カバ丸たちはバレエ鑑賞に向かう。そこでミキは美羽の素晴らしい演技に刺激を受け、もう一度頑張ろうと奮起するものの、ミキのスクールのプリマは何者かによってケガを負わされてしまう。その犯人は美羽で、美羽はカバ丸の幼なじみの忍者だった。美羽は何者かに依頼され、ミキのスクールを潰すためにプリマを演じていたが、同時にライバルでもあるカバ丸も倒そうと画策していたのだ。一方、なにも知らないミキは予定していた公演ができないことに落ち込んでいた。そんな時、カバ丸は戯れで美羽や大久保麻衣を手本にバレエの真似事を始め、完璧に踊り切ってみせる。その様子を見たミキは驚愕し、今度の公演のプリマの代役にカバ丸を指名する。カバ丸は急遽バレエの特訓を受け、女性に扮してステージに立つ。その公演中、美羽は忍術を駆使してカバ丸に攻撃を仕掛ける。
第10巻
目白沈寝の自宅にラブアルデ国王の第一王子・ハリール・アヴァ・ナルドウがホームステイにやって来る。今、私立金玉学院では伊賀野カバ丸が不在なこともあり、沈寝はハリールに金玉学院に通わないかと誘う。こうしてハリールの学園生活がスタートしたものの、タイミング悪くカバ丸が戻って来てしまう。沈寝はハリールが悪影響を受けぬよう、カバ丸との接触を最小限に抑えようとするが、結局カバ丸とハリールは意気投合。ハリールはカバ丸の粗野な言葉づかいや振る舞いをまねするようになる。このことに絶望する沈寝だったが、ハリールとそのお目付け役は以前よりたくましく成長したことを内心で喜ぶのだった。カバ丸はハリール、大久保麻衣たちと「忍者同好会」を設立し、修行に励み始める。一方、ハリールは腹違いの弟と王位継承権でもめており、弟の母親から依頼されたスナイパー米川スジ男に命を狙われていた。しかし、カバ丸の奇妙な行動によって米川はハリールの暗殺に失敗するのだった。そんな中、金玉学院ではクラス対抗アスレチック大会が催される。米川に続いてハリールの命を狙う者たちは、そこで彼を確実に仕留めようと動き出す。
第11巻
伊賀野カバ丸は急遽イギリスに留学することになり、お目付け役の大久保麻衣、霧野疾風と共に旅立つ。イギリスに着いたカバ丸は、自分と瓜二つのアンソニー・ナオト・グラッドフォースと出会う。これから催されるパーティーに行きたくないと打ち明けるアンソニーに、カバ丸は豪華な食事を楽しめるならと、代わりに出席を申し出る。あくまでパーティーのあいだだけ、カバ丸はアンソニーと入れ替わるつもりだったが、一方のアンソニーはなにも告げず行方をくらませてしまう。また、アンソニーは伯爵家の養子になっており、遠縁の親戚から恨みを買い、命を狙われていたのだ。アンソニーの代わりに生活しなくてはいけなくなったカバ丸は、麻衣と疾風の二人と共に現地の寄宿学校に通うことになる。カバ丸はできるだけ上品なアンソニーのイメージを崩さないようにしていたが、食べ物を前にすると理性をなくして、常識はずれな行動を取ってしまう。そんなドタバタの学園生活を送っている中、カバ丸とモニカ・ウォールドンは何者かに呼び出され、誘拐されてしまう。
第12巻
アンソニー・ナオト・グラッドフォースの命を狙う者により、伊賀野カバ丸とモニカ・ウォールドンは崖から突き落とされてしまう。しかし人並外れた体力を持つカバ丸は、モニカを助けて何とか危機を乗り越える。一方、カバ丸と入れ替わったアンソニーは日本へ向かい、ずっと思いを寄せていた高樹久美子と再会。その場面を偶然目撃した目白兄弟は、イギリスにいるはずのカバ丸が、なぜ日本にいるのかと疑問を覚える。それはイギリスにいる大久保麻衣の耳にも届き、本物のカバ丸たちは急遽日本へと帰国して、アンソニーと再会。そしてアンソニーはカバ丸に対し、日本を訪れたのは久美子だけではなく、本当の両親に会うためだったことを正直に打ち明ける。それを知ったカバ丸たちは、日本でのアンソニーの行動をサポートすることを決意する。しかし、イギリスからはアンソニーの命を狙う者たちもまた日本にやって来ており、アンソニーの周辺は物騒な出来事が続くようになる。そこでカバ丸と伊賀野才蔵は、アンソニーの護衛役を買って出る。
登場人物・キャラクター
伊賀野 カバ丸 (いがの かばまる)
伊賀忍者の末裔で本名は伊賀野影丸。高校生一年生。人里離れた山奥で、祖父・才蔵に怯えながら厳しい忍術修行をしていたが、才蔵が死んだため自由の身となる。その後、食い物に釣られて才蔵の知人・大久保蘭に引き取られ、蘭が経営する私立金玉学院に転校することに。常識外れな大喰らいで、一番の好物は学院隣のまんぷく堂のやきそば。 一緒に暮らすことになった蘭の孫娘、麻衣に一目ぼれする。マイペースで食い物のこと以外にはほとんど興味を示さないが、麻衣のためにはあらゆる努力を惜しまない。また、学院の影の番長・目白沈寝にはムチ攻撃とやきそばの「アメとムチ」でうまく操られる。超人的な身体能力を有しているのはもちろん、才蔵が長嶋茂雄や王貞治に野球指導をしていた関係で、両者とも仲良しで、野球も得意技である。
大久保 麻衣 (おおくぼ まい)
ショートカットの美少女。私立金玉学院長の大久保蘭の孫で同学院一年紅組。伊賀野カバ丸と同居することになる。物静かな二年の目白沈寝に思いを寄せ、上品な生徒会長・野々草かおるに憧れを抱く。前述の2人と対照的に粗暴でデリカシーのないカバ丸を毛嫌いしていたが、様々な事件を経て次第に心惹かれていく。
大久保 蘭 (おおくぼ らん)
私立金玉学院長。和服姿の上品な老女。17歳の時に田舎の静養地で知り合った伊賀野才蔵に淡い恋心を抱いた過去を持つ。才蔵からの手紙を受け取り、会いに行くが、才蔵はすでに死んでいた。才蔵の遺言通り、カバ丸を引き取って金玉学院に通わせる。まんぷく堂のスーばあさんとは乳きょうだいで、顔を合わせるたびに喧嘩するライバル。 バレエの先生である葦原ミキとスーばあさんの3人合わせて、町内では「あめ玉三人娘」と呼ばれていた。
野々草 かおる (ののぐさ かおる)
私立金玉学院の二年生。生徒会長で学院寮長でもある。ロングヘアで清楚な雰囲気を持つ。全校生徒の憧れの的だが、じつは超ナルシストでプライドが高く自己中心的な性格。影の番長・目白沈寝の腹心で沈寝に好意を寄せている。初対面時、伊賀野カバ丸に「のぐそかおる」と間違えられ、赤っ恥をかいて以来、カバ丸を敵対視するが、関東学生諸星連盟のために一緒に行動するようになってからは見直し、好意を持つようになる。
伊賀野 才蔵
伊賀野カバ丸の祖父で大久保蘭の初恋の相手。伊賀忍者の末裔。カバ丸や霧野疾風をスパルタ教育で育てた老人。「未熟者め!」が口癖で、少しの失敗でも杖で折檻するほど厳しいが、反面、寺の仏像に化けてカバ丸らの遊び相手になるなど、実は心優しい人格者。物語冒頭で死んだと思われていたが、実は存命で、カバ丸の第二の教育のために東京へと送った。 カバ丸の東京での生活を陰ながら見守る。
教頭 (きょうとう)
私立金玉学院の教頭。髭を生やした壮年の紳士。18年間、学院長・大久保蘭に仕えており、密かに想いを寄せる。転校生・伊賀野カバ丸の行動が理解できずに悩むが、最終的には曲解して良い方へと解釈し、自分の未熟さを反省する人の良い先生。
白川 (しらかわ)
私立金玉学院柔道部主将。丸刈りとたらこ唇、凶悪な面相の巨漢。学院長の前では猫を被っているが、じつは不良番長。一年を締め上げているとき、伊賀野カバ丸の弁当を台無しにしてしまい、カバ丸にコテンパンにやられる。以来、カバ丸には「デブ白川」などと呼ばれ、ひどい目にあわされることが多い。 影の番長・目白沈寝の子分。
目白 沈寝 (めじろ しずね)
私立金玉学院二年生。長髪の美男子でいつも静かに読書などをしているひ弱な男子。全校女子の憧れの的で、大久保麻衣も想いを寄せる。じつは学院を仕切る影の番長。また、関東一円の高校を傘下に入れようと、関東学生諸星連盟なる組織を作る。病弱だった幼少時に兄たちに仕込まれたムチが得意技。 ムチと一年分のやきそばで伊賀野カバ丸を操り、関東学生諸星連盟に逆らう私立王玉学園つぶしに利用する。
スーばあさん
まんぷく堂を経営する一家のおばあさん。般若のような面相をしていて、初対面で伊賀野カバ丸が祖父・才蔵と見間違えた。大久保蘭とは乳きょうだいで、蘭の二歳年下。蘭とは顔が合えば喧嘩する宿命のライバル。やきそばが縁でカバ丸とは大の仲良しになる。バレエの先生である葦原ミキと蘭の3人合わせて、町内では「あめ玉三人娘」と呼ばれていた。
霧野 疾風 (きりの はやて)
5歳の頃、自殺した母親に置いてけぼりをくらい、山中で山犬に襲われていたところを伊賀野才蔵に助けられた。以来カバ丸とともに忍者修行に明け暮れ、カバ丸の兄のような存在だったが、ある日、山から逃げ出す。カバ丸と二手に分かれて脱出したが疾風だけが逃げ延びたため、カバ丸からは自分を囮にしたと思われ恨みを買っている。 脱走後、高熱で倒れていたところを豪遊宴に助けられた縁で、豪遊ゆかりの私立王玉学園に協力。私立金玉学院とカバ丸の敵として暗躍する。
目白兄弟 (めじろ かなめ・ めじろ ふたば)
目白沈寝の兄弟。要が長男で二葉が次男。2人ともスキンヘッドの美男子。兄の要は料理の腕がプロ級で、伊賀野カバ丸からは「料理のあんちゃん」と呼ばれる。2人とも初対面からカバ丸と気が合い、仲が良い。
前島 秀 (まえじま ひで)
私立王玉学園生徒会長。日本有数の大企業・前島コンツェルンの子息。打倒金玉学院の野望に燃える男。大久保麻衣のことが好きで、彼女の写真を隠し持っている。また、麻衣宛てのラブレターを、王玉学園に忍び込んだカバ丸に盗まれ、それを手違いで手に入れたスーばあさんとデートするハメになる。
豪遊 宴 (ごうゆう えん)
私立王玉学園OBで、在学中は学園を取り仕切っていた人物。父は日本有数の大企業・GYコンチェルン会長。お姉言葉を使う。伊賀野才蔵のもとを逃げ出した霧野疾風が高熱に侵されていたところを保護した命の恩人。自分の父と前島コンツェルンの関係から、前島秀に協力しており、疾風に王玉学園の手助けをさせる。 疾風が頭が上がらない唯一の人物。
遠野 塁 (とおの るい)
私立金玉学院二年生で野球部主将。高校野球界でも稀にみるスラッガーだが、気分の浮き沈みが激しい極端な性格で、巨人軍の長島茂雄監督解任と王貞治引退のショックでしばらく休学していた。大久保蘭らにうまくおだてられ、関東スプリング高校野球大会を機に野球部に復帰する。 興奮すると鼻血を噴き出す。
ミハイル・ダンテ
関東スプリング高校野球大会に勝つため、私立王玉学園がアメリカから招へいした金髪ロングヘアの美男子。大リーグに注目されている超高校級のピッチャーで150km以上の球を投げる。伊賀野カバ丸の忍法投げに対抗するため、プライドを捨て、霧野疾風のコーチを受ける。
柳 武蔵 (やなぎ たけぞう)
私立金玉学院剣道部。抜群の運動神経を持つ剣士。白川に脅されて関東スプリング高校野球大会に参加。ポジションはセンター。剣道打法で鋭い打球を放つ。
高田 繁兵衛太 (たかだ はんぺいた)
私立金玉学院陸上部。日本新記録を狙える黄金の足を持つ男。目白沈寝に誘われて関東スプリング高校野球大会に参加。ポジションはショート。
王 貞治 (おう さだはる)
読売巨人軍助監督。現役時代、長嶋茂雄とともに伊賀野才蔵を師と仰ぎ教えを乞うていた。多摩川グラウンドでカバ丸と旧交を温める。カバ丸からは、「さだあんちゃん」と呼ばれている。同名の実在人物がモデル。
長島 茂雄 (ながしま しげお)
元読売巨人軍監督。現役時代、王貞治とともに伊賀野才蔵を師と仰ぎ教えを乞うていた。偶然再会したカバ丸に、深夜の公園で野球のルールを教える他、変装して関東スプリング高校野球大会で金玉学院の試合を見守る。カバ丸からは、「シゲあんちゃん」と呼ばれている。同名の実在人物がモデル。
葦原 ミキ (あしはら みき)
バレエスクール「ミキバレエアカデミィ」を経営する。大久保蘭、スーばあさんの幼馴染で3人合わせて、「あめ玉三人娘」と呼ばれていた。競合の「藤村バレエスクール」に生徒を奪われ、借金に苦しむ。18歳の頃、16歳の西岡という男性と恋愛し、アメリカへ駆け落ちしようとするも時間に間に合わず、別れ別れになる。
水鳥 美羽 (みずとり みう)
「藤村バレエスクール」のプリマ。バレエ学校の生徒の憧れの的。その正体は伊賀野カバ丸の幼馴染、忍者・風魔羽九郎。忍術修行が嫌で家出し、東京に出てきた。女性に変身する「忍法くの一」が得意技で、フレディ藤村の依頼を受け、「ミキバレエアカデミィ」を倒すためにバレリーナに変身する。胡蝶という名の姉がいる。
フレディ藤村 (ふれでぃふじむら)
「藤村バレエスクール」のオーナー。バレエ界に彗星のごとく現れた人物。かつては西岡という姓で、葦原ミキと恋愛関係にあり、一緒にアメリカへ駆け落ちしようとする。ミキが港に現れなかったため約束を破られたと思い込み、ミキのバレエスクールを潰そうとする。
ハリール・アヴァ・ナルドウ
アラブのラブアルデ国王の第一王子。弟・アティーファとの王位継承者争いで命を狙われ、目白沈寝の父の伝手で来日。私立金玉学院の留学生となり、伊賀野カバ丸と同じクラスに編入。カバ丸に憧れ、弟子となり忍者修行に励む。
米川 スジ男 (よねかわ すじお)
「黒豹のジョー」と呼ばれる殺し屋。アティーファの母(ラブアルデ国第三国王夫人)に雇われ、ハリールの命を狙うが、ことごとく伊賀野カバ丸に邪魔され自滅する。
アンソニー・ナオト・グラッドフォース
伊賀野カバ丸と瓜二つの青年。元は日本人・伊影直人だが、両親を亡くしてイギリスの伯爵家の養子となった。爵位を継ぐはずだったグラッドフォース家の遠縁の恨みを買い、命を狙われる。イギリス留学に来たカバ丸と偶然出会って入れ替わり行方不明となる。
集団・組織
関東学生諸星連盟 (かんとうがくせいもろぼしれんめい)
『伊賀野カバ丸』に登場する組織。私立金玉学院の目白沈寝が設立した連盟。関東一円の高校を傘下に従え、やがて日本全国の高校のトップに立とうという沈寝の野望の結晶。私立王玉学園を傘下に収めようとするが、私立王玉学園は打倒金玉学院を標榜、王玉連合会を発足し、諸星連盟に対抗する。
場所
私立金玉学院 (しりつきんぎょくがくいん)
東京にある規律と気品を重んじる名門校。学院長・大久保蘭の曽祖父が創立した。名前の由来は「金科玉条」から。生徒会長は野々草かおる、番長は白川だが、実際は影の番長・目白沈寝が権力を一手に握る。
私立王玉学園 (しりつおうぎょくがくえん)
『伊賀野カバ丸』に登場する横浜の学校。創立5年と歴史は浅いが、有力政治家の息子も通う名門校。私立金玉学院が主催する関東学生諸星連盟に対抗し、王玉連合会を発足する。
まんぷく堂 (まんぷくどう)
私立金玉学園の隣にある食堂。大久保家に仕えていた人たちが学院創立と同時に隣に出店した。大久保蘭の乳きょうだいであるスーばあさんの家族が経営する。ここのやきそばは、伊賀野カバ丸の一番の好物。
イベント・出来事
関東スプリング高校野球大会
『伊賀野カバ丸』に登場する野球大会。豪遊宴の父と阿報知新聞のタイアップで主催された高校野球大会。私立金玉学院と私立王玉学園が雌雄を決する場として選ばれた。優勝トロフィーに密輸ダイヤが隠されており、王玉学園の優勝とともに豪遊の父がそれを入手する計画だった。
続編
伊賀野こカバ丸 (いがのこかばまる)
亜月裕の代表作である『伊賀野カバ丸』の続編。前作の主人公である伊賀野カバ丸の息子のこカバ丸の活躍を描く。父親譲りの食い気と超人的な技を持つ小学1年生こカバ丸が、東京の名門校を舞台にさまざまな珍騒動を巻... 関連ページ:伊賀野こカバ丸