住めば都のコスモス荘

住めば都のコスモス荘

阿智太郎の同名小説のコミカライズ作品。平凡な専門学校生、桜咲鈴雄は、宇宙人のおもちゃ会社「オタンコナス」のモニターとなった。彼らが作ったパワードスーツで正義のヒーロー、ドッコイダーに変身し、宇宙犯罪人達と戦う鈴雄の活躍を描いたドタバタコメディ。「電撃Animation Magazine」2000年7月号から2001年5月号にかけてと、「月刊電撃コミックガオ!」2003年7月号から2004年4月号にかけて連載された作品。2003年にはTBS系列ほかでTVアニメ化もされている。

正式名称
住めば都のコスモス荘
ふりがな
すめばみやこのこすもすそう
原作者
阿智 太郎
作者
ジャンル
ギャグ・コメディ
関連商品
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あらすじ

ドッコイダー誕生(第1巻)

不景気により職を失った桜咲鈴雄は、新しいアルバイト先を探していた。そこに変身ベルトのモニターを探していた少女、タンポポが現れ、鈴雄を勧誘する。小学生にしか見えないタンポポの姿と、変身ベルトを作った会社「オタンコナス」がおもちゃ会社であるという説明から、鈴雄はおもちゃのモニターと勘違いするものの、背に腹は代えられないと、そのモニターを引き受ける事となる。しかし変身ベルトを身につけた瞬間、鈴雄は正義のヒーロー、ドッコイダーへと変身。同時に悪の科学者、Dr.マロンフラワーが出現した事もあり、鈴雄は否応なく宇宙犯罪人との戦いに巻き込まれていく事となる。

コスモス荘(第1巻)

宇宙犯罪人達は、銀河連邦警察がパワードスーツの採用テストのために用意した敵役であった。モニターとしての鈴雄の役割は、無罪放免を賭けて本気で襲い掛かって来る彼らを撃退し、ライバル会社よりも多くの宇宙犯罪人を捕らえる事。ただし、宇宙犯罪人はどこに潜伏しているかわからず、一時の油断もできない。それらの事実を伝えたタンポポは、桜咲鈴雄をフォローするため、地球人の姿となって「桜咲小鈴」を名乗り、鈴雄の妹として、彼と共に銀河連邦警察が用意した住処、コスモス荘へ向かう。 同時期、ドッコイダーに敗れたDr.マロンフラワーは、地球人の姿となって「栗之華栗三郎」を名乗り、助手のサポートロボのクリーカ0C5型を孫娘、栗之華栗華とし、こちらも銀河連邦警察が指定した潜伏先であるコスモス荘へと向かっていた。こうして鈴雄と栗三郎は対面を果たす事となるが、お互い相手の正体に勘づく事はいっさいなく、同じ屋根の下で、正義のヒーローと悪の宇宙犯罪人が、すれ違いながら暮らす日々が始まるのだった。

次々と増える住人(第1巻)

銀河連邦警察のパワードスーツ採用テストの審査委員長、モグモックルは、経費削減のため敵も味方もまとめてコスモス荘に放り込んだ。桜咲鈴雄をはじめとする住人達に、その事実を気づかれなかった事に気をよくしたモグモックルは、コスモス荘に次々に住人を送り込む。おもちゃ会社「オタンコナス」とはライバル関係にある「エメラルドカンパニー」社のモニター、野菊朝香を皮切りに、宇宙犯罪人の梅木瑠璃とその一家、岼根沙由里ピエールと住人はどんどん増え、コスモス荘の日常は賑やかになっていく。

解き放たれる犯罪人(第2巻)

ヒーローとしての自覚を芽生えさせ、ドッコイダーのモニターとしても正式に認められた桜咲鈴雄は、コスモス荘の面々と賑やかな日々を過ごしながら、絆を深めていた。そんな中、銀河連邦警察は新たにSA級宇宙犯罪人、スイートピーを送り込もうとする。スイートピーはスキを突いて数多くの宇宙犯罪人達を脱獄させ、混乱に乗じて自らも脱走し、地球を狙い始める。こうして鈴雄は、脱走した宇宙犯罪人達との新たな戦いに直面する事となる。

コスモス荘、最後の日(第3巻)

コスモス荘の面々が、脱獄した宇宙犯罪人達と戦いを繰り広げていたある日、ついにSA級宇宙犯罪人、スイートピーがコスモス荘に襲い掛かる。そんな中、みんなを助けるためドッコイダーに変身し、その正体を明かしてしまった桜咲鈴雄は失格を言い渡され、モニターテストは終了。鈴雄は強制的に記憶を消されて元の生活に戻され、コスモス荘に住んでいた宇宙犯罪人達は刑務所へと送還されてしまう。こうしてコスモス荘の住人達がバラバラになってしまう中、一人残された野菊朝香は、地球征服に向けて本格的に活動を開始したスイートピーとの戦いに単身で挑むのだった。

復活のドッコイダー(第3巻)

スイートピーの圧倒的な力の前に、銀河連邦警察野菊朝香は手も足も出ない。それでも諦めずに戦う朝香の姿に、桜咲鈴雄は失った記憶を取り戻し、ついにドッコイダーとして復活する。モグモックルの機転によって、散り散りになった栗之華栗三郎らコスモス荘の面々も応援に駆けつけ、スイートピーとの戦いは最終局面に突入する。

登場人物・キャラクター

桜咲 鈴雄 (さくらざき すずお)

専門学校に通う青年。年齢は20歳。コスモス荘の5号室で暮らしている。覇気のないぼんやりとした性格で、特技は勘違い。周囲からの評価は「頼りない」で一致している。桜咲小鈴の言葉を勘違いして、変身ベルトのモニターを引き受けた結果、正義のヒーロー、ドッコイダーとして戦う羽目になってしまった。臆病なため当初はまともに戦闘できずにいたが、熱血α波発生装置から流れるノリのいいBGMを聞く事によってそれを克服。 以降は変身すると口調が一変し、高いところから飛び降りるなど、何かとヒーローっぽい言動を取りたがるようになった。ただし、パワードスーツのバランスが悪い事もあって、飛び降りた際には頭から着地するなど、今一つヒーローになりきれないところがある。 梅木瑠璃からは「コーチ」と呼ばれて慕われている。

桜咲 小鈴 (さくらざき こすず)

おもちゃ会社「オタンコナス」の社員。ドッコイダーとしての桜咲鈴雄のサポート役を務める女性。小学生にしか見えない幼い外見をしているが、年齢は25歳。宇宙人としての本名は「タンポポ・トコドッコ・ポポール」。地球では宇宙人としての素性を隠すため、鈴雄の妹、桜咲小鈴として振る舞っている。鈴雄とはコスモス荘の5号室で同居している。

野菊 朝香 (のぎく あさか)

軍事企業「エメラルドカンパニー」製のパワードスーツ・ネルロイドXのモニターを務める女性。宇宙犯罪人との戦いでは、正体を悟られないために「ネルロイドガール」を名乗っている。コスモス荘の4号室で暮らしており、桜咲鈴雄と同じ専門学校に通っている。髪の毛を派手な紫色に染めており、このせいで鈴雄に宇宙人だと勘違いされる事となった。 酒好きで、一人称が「オレ」。腕っ節も強いなど男勝りな部分が目立つが、鈴雄を意識して意地を張ったりと、純情で乙女チックな部分も持つ。

ハナ一 (はなはじめ)

軍事企業「エメラルドカンパニー」の社員。「ネルロイドガール」こと野菊朝香のサポート役を務めている。コスモス荘に住む宇宙人の中では唯一、人型ではなく兎の姿をしている。普段は正体がバレないように、コスモス荘の4号室で朝香のペットのふりをしながら暮らしているが、朝香と二人きりの時は関西弁でしゃべる。

栗之華 栗三郎] (くりのはな くりざぶろう)

眼鏡をかけた長髪の老人。桜咲鈴雄の通う専門学校の講師を務めている。コスモス荘の1号室で、孫娘、栗之華栗華といっしょに暮らしている。その正体は、宇宙犯罪人、Dr.マロンフラワー。銀河連邦警察のパワードスーツ採用テストの敵役に選ばれた宇宙犯罪人の中でも頭一つ抜けた能力を持ち、自らが発明した多彩なメカでドッコイダー、ネルロイドガールの二人に挑む。 無類のゲーム好きで、ヒマさえあればゲームをやっている。ちなみに栗華は、実際には孫ではなくサポートメカに過ぎないが、血のつながりなど関係なく、本当の孫のように大切に思っている。

栗之華 栗華 (くりのはな くりか)

眼鏡をかけた優しそうな外見をした女性。コスモス荘の1号室で祖父の栗之華栗三郎といっしょに暮らしている。その正体は、宇宙犯罪人、Dr.マロンフラワーのサポートメカである「クリーカ0C5型」で、本来の姿は卵型の機械である。栗三郎の愛情を受けており、機械でありながら人間の感情を理解し始めている。

梅木 瑠璃 (うめき るり)

粘土細工を武器にして戦うエルロード一族の少女。銀河連邦警察のパワードスーツ採用テストの敵役に選ばれた宇宙犯罪人の一人。本名は「エーデルワイス」だが、地球では「梅木瑠璃」と名乗り、梅木次郎の家族の一員として、コスモス荘の3号室で暮らしている。エルロード一族は、使用する粘土細工が精巧であればあるほど力を増すが、不器用な瑠璃はその力をほとんど発揮できない。 そのため、潜在能力だけは宇宙犯罪人の中でも屈指とされながら、その力を振るう機会はほとんどない。エルロード一族がかつて呪われた力を持つ者として迫害されていた事もあり、自分の血を恐れずに優しく接してくれた桜咲鈴雄を、「コーチ」と呼んで慕っている。

梅木 次郎 (うめき じろう)

梅木瑠璃こと「エーデルワイス」が、地球で活動するにあたって潜り込んだ梅木家の長男。銀河連邦警察の記憶操作により、瑠璃の事を姉だと認識している。乳幼児ながら、瑠璃とは違って粘土細工に関しては一級品の才能を持つ。瑠璃は弟の作品を武器にするのをよしとせず、使わずにいた。しかし、スイートピーとの決戦では、梅木次郎が瑠璃に届けた作品が、状況を変える大きな力となった。

岼根 沙由里 (ゆりね さゆり)

抜群のスタイルを持つ色気のある美女。銀河連邦警察のパワードスーツ採用テストの敵役に選ばれた宇宙犯罪人の一人。コスモス荘の2号室で暮らしている。宇宙人としての本名は「ヒヤシンス」で、戦闘服はSMの女王様のような、露出が多いものとなっている。ただし、岼根沙由里本人の戦闘力は皆無であり、下僕のピエールを動物に変身させて戦うスタイルを取る。 なお、ピエールがどんな動物に変身するかは完全にランダムなため、場合によっては何の役にも立たない雑魚になる事もある。そのスタイルに見合わない大食漢で、収入のほとんどが食費で消えている。地球に来て空腹で倒れていたところを桜咲鈴雄に助けられて以降、彼の事を気に入っている。動物全般に対して無償の愛を注いでおり、動物に不埒な事を行うものには怒りを隠さない。

ピエール

岼根沙由里の下僕の宇宙人。金髪男性で、沙由里と共にコスモス荘の2号室で暮らしている。かつて沙由里が経営していた動物園にいた動物の遺伝子を、その身に宿しており、興奮が最高潮にまで高まると、動物に変身する事ができる。ただし、どんな動物に変身するかは完全に運任せで、陸上で魚に変身して自滅しかける事もある。また極端な方向音痴で、一人で行動する場合は、高確率で目的地にたどり着く事ができない。

スイートピー

SA級宇宙犯罪人。牢獄惑星アバシリーの最下層特殊独房に囚われていた。性別不詳の幼児の姿をしているが、実年齢は40歳。銀河連邦警察のパワードスーツ採用テストに興味を示し、彼らが自分を仮釈放しようとしたのを利用して、大量の宇宙犯罪人を脱獄させ、自らも地球制圧に向けて動き出した。どこか抜けたところの多いコスモス荘の面々とは異なり、コスモス荘の住人達の正体を一目で見抜いた。 植物をあやつる能力を持ち、戦闘では自らが改造したサツマイモを巨人のようにあやつって戦う。その戦闘力は「ネルロイドガール」となった野菊朝香を一蹴するほどに高い。

モグモックル

モグラ型の宇宙人。銀河連邦警察のパワードスーツ採用テストの審査委員長を務める。敵役となる宇宙犯罪人の選定も担当しているが、強すぎず弱すぎずというバランス取りに苦慮していた。ノリと勢いで行動する部分が目立ち、経費削減のためテストにかかわる全員をコスモス荘に押し込めたのも、モグモックルの独断である。しかし、その心には確かな正義感を持ち、スイートピーとの戦いでは、自身の責任問題に発展するのも覚悟のうえで、コスモス荘の面々が再集結できるように機転を巡らせた。

オギハラ

モグモックルの秘書を務める宇宙人の女性。理知的で敏腕な人物だが、上司であるモグモックルの行動に振り回され、ツッコミ役に回る事が多い。しかしモグモックルの心情は理解しており、スイートピーとの戦いでは彼と共に奔走し、コスモス荘の面々に後事を託した。

集団・組織

銀河連邦警察 (ぎんがれんぽうけいさつ)

宇宙の平和を守る治安組織。昨今、犯罪が多様化・凶悪化の一途をたどっているため、宇宙犯罪人に対抗するためのパワードスーツの導入を決定した。そのために数ある会社の中からおもちゃ会社「オタンコナス」と軍事企業「エメラルドカンパニー」の2社を選び、パワードスーツの採用テストを企画。その会場に地球が選ばれる事となった。

場所

コスモス荘 (こすもすそう)

銀河連邦警察がパワードスーツ採用テストのために用意したアパート。敵味方問わず関係者はここに集められ、それぞれ素性を知らされないまま、いっしょに生活している。新築で駅から徒歩8分、各部屋は1DKでバストイレ別。さらに冷暖房も完備されており、入居者の住居費は銀河連邦警察が支払っている。のちにモグモックルですら知らない内に栗之華栗三郎によって改造され、スイートピーとの戦いでは「巨大ロボ・コスモス荘」となって戦った。

その他キーワード

ドッコイダー

おもちゃ会社「オタンコナス」製の超特殊汎用パワードスーツ。また、そのスーツを身につけて変身したヒーロー自身の事も指す。モニターは桜咲鈴雄が務めている。おもちゃ会社が作っただけあって、そのデザインはさまざまなヒーローの意匠が取り入れられ、ブルーを基調とした全身スーツに、赤いマントのついたものとなっている。身につけると身体能力が大幅に上がるが、ヘルメットが重くバランスが悪いため、ジャンプをすると頭から落下してしまうなど欠陥も多い。 しかし、これが鈴雄の運動神経の悪さと相まって、かえって予想のできない動きとなり、敵の意表を突く事もある。108の必殺技を持つが、技名が料理用の技術であるため使途が不明なものが多く、さらに技名がいちいち長いうえ音声入力する必要があるので、実戦で使用しづらいという欠点がある。 ただし、一見間抜けな技でも、使い方によっては絶大な効果が得られる場合もあり、鈴雄は巧みに応用して戦闘力を大幅に上げる事に成功している。

熱血α波発生装置 (ねっけつあるふぁははっせいそうち)

パワードスーツ、ドッコイダーに搭載されている装置。本来は、BGMに合わせて耳に聞こえない超音波「熱血α波」を流す事で、気の弱い者を正義のヒーローに生まれ変わらせる効果を持つものだった。だが、「オタンコナス」の開発者がうっかり超音波装置を付け忘れたため、現在はただBGMを流すだけの装置に過ぎない。桜咲鈴雄はその事実を知らずにこの装置に頼り、プラシーボ効果で戦う意識に目覚めた。 ちなみに桜咲小鈴は早い段階でこの事実に気づいたが、鈴雄を気の毒に思って黙っていた。のちにこの熱血α波発生装置の存在が、パワードスーツ採用テストの選考委員会に疑問視され、鈴雄は装置を使わずに戦うよう強要されてしまう。

クレジット

原作

阿智 太郎

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