佐原先生と土岐くん

佐原先生と土岐くん

不良男子高校生の土岐奏は、担任の体育教師、佐原一狼に思いを寄せていた。「好きなものは好き」という思いの何が悪いのかと、まっすぐに突き進むピュアなヤンキーと、爽やかながらどこか陰のある体育教師。同性同士の青く純粋な思いを描くラブコメディ。「ジーンピクシブ」で2019年5月から配信の作品。

正式名称
佐原先生と土岐くん
ふりがな
さはらせんせいとときくん
作者
ジャンル
BL
 
青春
レーベル
ジーンピクシブシリーズ(KADOKAWA)
巻数
全6巻完結
関連商品
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あらすじ

周囲から遠巻きにされる不良男子高校生の土岐奏は、自分を色眼鏡で見ることなく、初めてまともに向き合ってくれた人として、クラス担任の佐原一狼のことを慕うようになっていた。以来、学校にも遅刻せずに通うようになり、一狼のことを熱心に観察するにつけ、彼のいいところをどんどん見つけていく土岐は、気づけば同性ながら一狼に恋心を抱くようになっていた。そんな土岐に対し一狼は、ケンカだけはするなと口を酸っぱくして諭していた。土岐もその言葉を素直に受け入れ、ケンカをせずにいい子になろうと心掛けていたが、ある日、学校で因縁を付けられた土岐はあっさりとケンカを買ってしまう。かかってきた三人組を叩きのめしたあと、ふと我に返った土岐は、気絶している生徒たちを片付けて証拠隠滅を図ろうとするが、折悪しくそこに一狼が姿を現す。土岐はその場から逃げ出すが、好きな人に後を追われるという状況を密かに楽しみ始めていた。(第1話「喧嘩すんなよ!」)

テスト勉強を手伝ってもらったお礼に、土岐はクラスメイトの利瀬竜尚の買い物に付き合うことになった。買い物を通して二人は交友を深めていくが、そんな中、利瀬のアルバイト先から連絡が入る。電波のいい場所を探しに行った利瀬を土岐が待っていると、そこに一人の男が現れ、土岐に一狼のことを教えてやると告げる。喫茶店に場所を移し、「健」と名乗ったその男は自分と一狼との関係について、「裸の付き合い」「いっしょに暮らしてた」「切っても切れない関係」などと意味深な言葉を並べ立てて土岐を挑発しながら、土岐に一狼の抱える暗い過去を知りたくないかと尋ねる。だが土岐は、一狼の過去に興味はなく、彼のことはこれから自分自身で知っていくと健に返すのだった。その場には重い空気が流れるが、そんな二人の前に、なぜかいきなり一狼が姿を現す。(第8話「どういう関係?」)

登場人物・キャラクター

土岐 奏 (とき かなで)

佐原一狼が教師を務める高校の2-Cに在籍する男子。銀髪のベリーショートヘアを逆立て、両耳に三つずつピアスを付けている。入学当初から問題児として知られ、まともに学校に来るようになったのは5月から。売られたケンカは買う主義で、何かと暴力沙汰を起こしては傷だらけになっており、教師はもちろん、生徒たちからも鼻つまみ者となっている。ただし、自分から進んでケンカを吹っ掛けることはなく、暴力沙汰も基本的には先に相手に手を出されて応戦したことが原因である。学校では唯一、佐原にはそのことを理解されているが、毎回ケンカに応じず自制するよう諭されている。自分のことを色眼鏡で見ることなく、気さくに接して自分のケガの心配までしてくれる佐原のことを慕っており、同時に佐原のことを内心「美人」と評し、同性ながら恋心を抱いている。ちなみに、学校に来るようになったのも佐原に会いたい一心によるものである。そのため、同性ながら上半身裸でいるところを佐原に見られると真っ赤になるなど、妙な羞恥心を見せることもある。また、そのような様子は周囲には丸くなったととらえられ、それまで土岐のことを怖がっていたクラスメイトたちとも、ふつうに友人付き合いができるようになっていく。ただし、これらは好きな人ができたことが原因だと思われており、何かと誰が好きなのか尋ねられては困惑している。誕生日は10月9日、身長175センチで、体重62キロ。血液型はA型(AA)。好きなものは佐原、苦手なものは青汁。面食いで、好きなタイプは美人顔。最近は、佐原の寝癖を触りたくてたまらなくなっている。

土岐奏が通う高校で体育教師を務める男性。年齢は24歳。もともとは土岐が在籍する2-Cの副担任だったが、担任が産休に入ったため、繰り上りで担任を務めることになった。加えて、水泳部の顧問も務めている。茶髪... 関連ページ:佐原 一狼

藤堂 慎二

土岐奏と同じ高校の3-Dに在籍する男子。藤堂拓也の兄で、バスケットボール部に所属している。非常に身長が高く、黒髪ショートヘアで眼鏡をかけ、優しそうな顔立ち同様、穏やかな性格をしている。部では将来を有望視される押しも押されぬエースで、そのルックスと相まって女子生徒人気が非常に高い。祖母がドイツ人ということもあって英語とドイツ語が得意だが、それ以外の教科は壊滅的で、たびたび佐原一狼の補習の世話になっている。このことから、一狼を「いっちゃん」と呼ぶなど親しく、その様子に反感を抱いた土岐が、佐原への思いを明かして藤堂慎二に対して凄むという事態を招いた。だが慎二自身は特に動じず、むしろこれをきっかけに土岐のまっすぐな純粋さを知って、彼の思いを応援するようになる。同時にこの経緯から土岐には「いい奴」と評され、親しくなる。ちなみに土岐の一狼への思いはもちろん、一狼がゲイであることも察している。実は拓也とは血がつながっていないどころか、もともとはただの幼なじみで、拓也が7歳の頃に彼の両親が亡くなったことで、藤堂家に引き取ったという経緯がある。なお、慎二もゲイであり、拓也に思いを寄せている。そのため、友人に拓也を弟だと思ったことはないと言ったことがあるが、その言葉を拓也に誤解され、それ以来ぎくしゃくした関係になってしまった。慎二自身も勇気を出せず、拓也に自分の本当の思いを伝えて誤解を解くことができていない。なお、慎二自身は女性と付き合ったことも何度かあるが、このような経緯から毎回弟と自分とどちらが大事なのかと問い詰められ、長続きせずに破局を迎えている。誕生日は12月14日、身長189センチで、体重72キロ。血液型はO型。好きなものはたまごパン、苦手なものは恋愛話。

利瀬 竜尚

土岐奏と同じ高校の2-Cに在籍する男子。土岐の前の席に座っている。黒髪ショートヘアでタレ目のイケメンで、関西弁をしゃべる。家の事情によりアルバイトで生計を立て、身の回りのことすべてを自分でこなしている苦学生。しっかり者で大人びているうえ、社交的で明るい性格から男女問わず人気が高い。ある雨の日、傘を忘れてきた土岐に折りたたみ傘を貸したことをきっかけに、佐原一狼のアドバイスを受けた土岐から友達になって欲しいと告げられ、以後、彼と親しく付き合うようになる。引っ越して来てまだ間がないため地元の地理などには疎いものの、土岐とは違ってふつうに別の友人もできており、土岐に友達になって欲しいと告げられた際には、最近は周囲の土岐に対する目が好意的に変わってきていることを教えた。また、一狼の弟の佐原健と出会った際には、彼や一狼の言動からその性的嗜好を悟り、土岐と一狼の関係も察知。この時、健の苦悩を打ち明けられるが、その事実を知ってもまったく動じず、いつか健にもいい人が現れると明るく慰めるなど、年齢のわりに器が大きく余裕がある。これ以降、健とは親しく連絡を取るようになった。また、何かと気が利き、土岐の一狼への思いをフォローすることも多いため、のちに土岐に「アニキ」と呼ばれ、心から慕われるようになる。誕生日は2月4日、身長173センチで、体重64キロ。血液型はO型。好きなものはたこ焼き、苦手なものは友達を傷つける人で、土岐と一狼がケンカした際には、教師である一狼をにらみつけて怒りをあらわにしたほど。好きなタイプは清楚系。ちなみに実は利瀬竜尚自身もゲイで、同じ高校の1年先輩にしてアルバイト仲間でもある黒井霞月と付き合っている。

佐原 健 (さはら けん)

大学2年生の男子。佐原一狼の弟で、非常に身長が高く、黒髪ショートヘアで眼鏡をかけている。一狼が最近誰かといい雰囲気になっているという噂を聞きつけ、その相手を観察しようと、利瀬竜尚と買い物に来ていた土岐奏の前に姿を現す。その後、土岐を一人呼び出し、一狼と自分の関係を匂わせて彼の動揺を誘った。これは土岐と一狼の仲にくさびを打ち込んで嫌がらせをしようという目的によるものだったが、土岐の一狼への信頼と、その場に一狼が現れたことにより計画は失敗。ただし、佐原健自身も本気で二人の仲を裂こうとしていたわけではなく、目論見が暴かれた際には土岐と利瀬に素直に謝罪した。実は健も一狼と同じくゲイで、これまで自分が好きになった人は例外なく一狼に惹かれていたことから、一狼に劣等感を抱いている。謝罪と同時にそのことを利瀬に打ち明けた際には彼に優しく慰められ、これ以降、利瀬と親しく連絡を取るようになった。ちなみにツンデレ気質なところがあり、一狼に対してはそっけなく振る舞いつつも、内心では慕っている。誕生日は5月5日、身長184センチで、体重68キロ。血液型はA型(AO)。好きなものは愛のある言葉、苦手なものは兄。好きなタイプは自分より大きい人。

藤堂 拓也 (とうどう たくや)

土岐奏と同じ高校の2-Dに在籍する男子。藤堂慎二の弟で、淡い色の髪をショートヘアにし、かわいらしい顔立ちをしている。おとなしい性格で生まれつき体が弱く、一人で写真を撮るのが趣味。バスケットボール部のエースで将来を嘱望される慎二と比較され、周囲からは「残念な弟」扱いをされている。ただし写真の腕はかなりのもので、拓也の取った写真を初めて見た土岐も感嘆の声を漏らしたほど。実は慎二とは血がつながっていないどころか、もともとはただの幼なじみ。藤堂拓也が7歳の頃に両親が亡くなったことで、藤堂家に引き取られたという経緯があり、以前の姓は「藤村」だった。両親が亡くなったのが、自分の誕生日プレゼントを買いに行った帰りだったということもあり、以来、すべてが自分のせいだと何事も悲観的にとらえるようになってしまった。また、慎二が友人に語った、拓也のことを弟だと思ったことはないという言葉にショックを受け、それ以来慎二とはぎくしゃくした関係となり、距離を取るようになった。ちなみに慎二のこの言葉は悪意あるものではなく、逆に恋愛感情も含んだ好意からのものだったが、拓也自身は慎二の真意には気づいていない。

書誌情報

佐原先生と土岐くん 全6巻 KADOKAWA〈ジーンピクシブシリーズ〉

第1巻

(2019-12-26発行、 978-4040642239)

第2巻

(2020-08-27発行、 978-4040648613)

第3巻

(2021-03-27発行、 978-4046802781)

第4巻

(2021-11-27発行、 978-4046808035)

第5巻

(2022-06-27発行、 978-4046814517)

第6巻

(2023-02-27発行、 978-4046821539)

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