奇想天外な事件×ほのぼのとした日常
ある日、ごく普通の小学生、佐橋はヒヨコを売っているテキ屋のおじさんに遭遇する。一番かわいくないヒヨコを50円で買った佐橋くんだったが、そのヒヨコはちょっと変わっていた。あろうことか鶏の唐揚げが大好きという肉食であり、1週間もすると長い首と長い尻尾をもつ大きな鳥に成長したのだ。テキ屋のおじさんは実は悪魔であり、ヒヨコの正体は火の鳥であった。困惑する佐橋くんだったが、火の鳥の子どもに「カラアゲ」という名をつけて飼うことにする。そして、火の鳥の一件をきっかけに、佐橋くんは当たり前のように不思議な出来事に遭遇することになった。本作は、奇想天外な事件をほのぼのとした雰囲気で描いた日常ファンタジーである。
佐橋くんが引き寄せる様々な怪異
ある日、教室に白い蛇が現れ、佐橋くんの足に絡みついた。クラスメイトの宮白ささらによれば、それは親戚の春彦だという。宮白は、蛇人間の父と樹人間の母を持つ少年だった。また、担任教師の白原歩の大学時代の同級生が現れ、白原先生が変身能力を持つアルピノのタヌキであることも判明する。その後も、カラアゲ(火の鳥)の卵を食べたイトコの栗木くぬぎに小さな羽根が生えたり、カラアゲの母である巨鳥のお腹と繋がる異空間に迷い込んだりと、佐橋くんは様々な怪異と遭遇する。そんな状況を見ていたテキ屋のおじさん(悪魔)は、佐橋くんには妙な引力があり、普通の人間ではないと感じ感じる。
佐橋くんの秘密
カラアゲの母(巨大な火の鳥)のお腹と繋がる異空間で手に入れた羅針盤は、北を指していなかった。佐橋くんと宮白は、羅針盤が指す「何か」を探す冒険に出る。二人が森を抜け原っぱに出たとき、すでに夜になっていて羅針盤がぐるぐる回りだす。そして、二人はある不思議な出来事を経験し、空を飛び宇宙にまで達する。宮白が小さな星のかけらに触れた途端、落下してしまうが、そこにカラアゲが現れ二人を助けてくれた。そんな出来事を経験した佐橋くんは、自分の出生の秘密を両親から聞くことになる。
登場人物・キャラクター
佐橋 英大 (さはし ひでひろ)
小学生の男の子。愛称は「ひーくん」。父は船舶料理士、母は船長で、1年に1か月しか家にいないため、ふだんは料理が特異なイトコの栗木くぬぎといっしょに暮らしている。勉強も運動もそこそこでき、クラス全員となんとなく仲良しで嫌われてもいない。そんなごく普通の少年であることを自負していたが、じつは大きな秘密を抱えていたことが判明する。
栗木 くぬぎ (くりき くぬぎ)
佐橋のイトコ。佐橋くんより9歳ほど年上の男性。愛称は「くーくん」。10歳の時に船乗りの父を亡くし、14歳の時に南極探検に行った母が行方不明になったため、佐橋くんの家の居候になる。近所の洋食屋でバイトをしながら、佐橋くんの面倒を見ている。趣味は食べることでゲテモノも平気。火の鳥の卵を食べたことで、背中に小さな羽根が生えた。







