あらすじ
第1巻
佐渡島の朱鷺ノ島高校に進学することになった汐田さやかは、入学式を間近に控えたある日、両津港に到着。そしてさやかは、はとこにして居候先のあかねに出迎えられる。彼女の車に乗り込んださやかはあかねに許可を取り、大好きなラジオ番組である、DJ村崎の「パープルピープル」に周波数を合わせる。ラジオの話で盛り上がる中、あかねは「さやかの引っ越し祝い」の名目で自分が飲む酒を買うため、一軒の酒屋で車を停める。そこでは、金髪で派手な一人のギャル、平野もろみが店番をしていた。あかねの仲介でそれぞれ自己紹介を済ませるや否や、さやかの耳に、先ほどまで車中で聞いていたDJ村崎の声が飛び込んでくる。その声を聞き、ふと「パープルピープル」の言葉を口にした瞬間、さやかはもろみにものすごい形相で詰め寄られて血の気をなくす。だが一方のもろみは、こんなマイナーな番組を知っている人が自分以外にいたなんてと、さやかの手を取って盛り上がり始める。(プロローグ。ほか、6エピソード収録)
登場人物・キャラクター
汐田 さやか (しおた さやか)
佐渡島の朱鷺ノ島高校1年2組に在籍する女子。平野もろみのクラスメート。黒髪ロングヘアでおっとりした性格をしており、相手の年齢や性別を問わず、敬語で話す癖がある。それは家族が相手であっても変わらず、無理に敬語を使わずに話そうとすると、必要以上にハイテンションで勢い任せの、訳のわからない口調になってしまう。一方で、まじめそうに見えて、実際はノリが軽く大ざっぱなところがある。中学までは本土で暮らしていたが、高校進学に伴い佐渡島へやってきて、はとこのあかねの家に居候しながら通学することになった。DJ村崎のラジオ番組「パープルピープル」が大好きで、よく番組にメールを出しているが未だに読まれたことはない。この番組がきっかけでもろみとなかよくなり、のちに二人でラジオ部を立ち上げる。好きな食べ物はフレンチトーストで、もろみが好きなブリカツ丼のことを知らない。特に経験はないにもかかわらず、なぜか卓越した食レポの才能を持つ。また、早朝からのラジオ体操を欠かさない。
平野 もろみ (ひらの もろみ)
佐渡島の朱鷺ノ島高校1年2組に在籍する女子。汐田さやかのクラスメート。金髪ロングヘアを頭の上で大きなお団子にして、耳には大きなピアス、さらにつけまつげにネイルと、ギャル然とした派手な外見をしている。さらに大人っぽく見えることもあり、初対面のさやかには20代とカン違いされた。だが、少々テンションが高く大ざっぱな点を除けばごくふつうの女子高校生。平野酒造の長女で、実家の手伝いのため、時に法被を着て店頭に立つこともある。なまりのキツい佐渡弁で話すが、平野もろみ自身は自覚しておらず、標準語をしゃべっているつもりでいる。DJ村崎のラジオ番組が大好きで、「パープルピープル」をはじめとした彼の番組をよく聞いている。この番組がきっかけで佐渡島にやってきたばかりのさやかとなかよくなり、彼女の佐渡島での最初の友達となった。のちに二人でラジオ部を立ち上げる。好きな食べ物はブリカツ丼で、さやかの好きなフレンチトーストのことを知らない。将来の夢は居酒屋を開くことで、その際には、さやかのはとこで陶芸家であるあかねの器を使いたいと考えている。
柳瀬 るな (やなせ るな)
佐渡島の朱鷺ノ島高校1年3組に在籍する女子。パソコン部に所属している。黒髪のショートヘアで眼鏡をかけ、クールな性格をしている。パソコンルームで一人作業をしていたところ、汐田さやかのミスでパソコンルームのみに流れていた、ラジオ部の「もろみとさやかのトキコーラジオ」の収録音声を聞くこととなった。当初は文句を言おうと思っていたものの、会話の途中でさやかのお腹が鳴った音を気に入り、「やるせない」のラジオネームで「またお腹の音を聞かせてほしい」という言葉も加えて番組の感想を送る。以降も何かとラジオ部の活動風景に直面するが、番組の素人感丸出しの編集などに居ても立ってもいられずに自ら協力を申し出て、結果的にもろみとさやかのトキコーラジオは飛躍的なクオリティアップを果たすこととなった。その後もさやかたちに協力し、ラジオ番組制作に誰よりも精力的に意欲を燃やす。ただし、所属はあくまでパソコン部のままで、兼部扱いでもラジオ部には入部しようとしない。趣味は生活音収集。特に人のお腹の鳴る音が大好きで、「お腹の鳴る音研究」をしているほど。
あかね
佐渡島で陶芸家として活躍している女性。年齢は26歳。ウェービーなロングヘアをアップにして眼鏡をかけた、落ち着いた雰囲気を漂わせた美女。汐田さやかのはとこで、佐渡島の朱鷺ノ島高校に通うことになったさやかを、自分の家に居候させている。非常に酒好きで、平野酒造の平野もろみとも顔なじみ。
石田 (いしだ)
佐渡島の朱鷺ノ島高校で教師を務める若い男性。汐田さやか、平野もろみらの在籍する1年2組の担任も務めている。担当教科は国語。入学式当日、クラスでの初顔合わせ時の自己紹介を五・七・五でするよううながすなど俳句が大好きで、こっそり俳句部を立ち上げるため、新入生向けの部活案内に手書きで勝手に俳句部を書き加えたりと工作していた。教頭にバレて叱られたことによりその企みは潰えたかに思えたが、ラジオ部を発足しようと考えたさやかともろみが、俳句のコーナーも作ると言ったことを真に受け、彼女たちを強力に後押し。さやかたちがラジオ部の部室として使おうとしていた北校舎にある旧放送室の管理担当者が、たまたま石田だったこともあり、晴れて活動を認められたラジオ部の顧問となった。高校時代のことについて何事か、もろみに弱みを握られている様子がある。
平野 こうじ (ひらの こうじ)
平野もろみの兄。金髪をウェービーなセミロングヘアにした、少々チャラい印象の男性。佐渡島の平野酒造の長男で、4代目として平野酒造を継ぐため、家業に勤しんでいる。だが実は、大学に進学したものの途中で退学し、ふらふらしていくあてもないため島に戻って来たという経緯があり、もろみには「ロクでなし」とキツく評されている。たまたま家を訪れた汐田さやかに一目惚れし、さやかの前では真っ赤になってテンションの浮き沈みが極端に激しくなったり、彼女の言うことはなんでも叶えようとしたりと、外見に似合わず純情なところがある。
ラジオ部 (らじおぶ)
朱鷺ノ島高校の部活動の一つ。ラジオ好きな汐田さやか、平野もろみの思い付きから発足し、成り行きでさやかが部長となった。北校舎の今は使われていない旧放送室を部室としており、顧問はさやかたちのクラス担任の石田が務めている。さやかともろみがパーソナリティを務めるラジオ番組の制作を目的としているが、明確な活動内容は定められておらず、日々、ラジオ番組を作るため、行き当たりばったりにいろいろなことを試している。将来的には、部活の試合や生徒がケンカしているところの実況中継、佐渡のおもしろスポットのリポートなどをできるようになるのが目標。ただし現状では機材の扱いに不慣れなこともあり、誤って校内中に収録中の会話をダダ漏れさせてしまったりとミスが多く、さまざまな方面に迷惑をかけている。ちなみに、制作しているラジオ番組の名称は「もろみとさやかのトキコーラジオ」。当初は素人感丸出しの聞くに堪えないものだったが、たまたまその放送を聞いたパソコン部の柳瀬るなが編集作業を手伝うようになってからは、見違えるようにクオリティが向上する。
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