傀儡師リン

傀儡師リン

人形を動かし、操る力を持つ「傀儡師」の少女が、祖父の作った10体の人形を取り戻すため、ライバルの傀儡師たちと戦うドールバトルアクション。「ミステリーボニータ」2006年5月号から2011年8月号にかけて連載されていたが、作者の和田慎二の逝去により未完で終了し、遺作となった。

正式名称
傀儡師リン
ふりがな
くぐつしりん
作者
ジャンル
アクション
関連商品
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世界観

人形と、人形を操って戦う「傀儡師」が題材。世界各地に散らばった、特別な力を持つ10体の人形を集めるため、傀儡師同士のバトルが描かれる。登場する人形たちは、言葉を発することはできないが、それぞれに心を持ち、戦いと並行して、人形と、そのパートナーの絆が描かれていく。

あらすじ

ドイツの寄宿学校「ローゼンハイム校」に通う鹿嶋凜は、姉と祖父の死という、突然の訃報により日本に帰国する。2人を殺したのが、姉の婚約者の麻丘雅であると確信した凜は、雅が鹿嶋家の宝である、木でできた人形の素体「木偶」を盗むため、犯行に及んだことを知る。その「木偶」とは人間同然に動き、心を持つ特別な存在だった。「木偶」を取り戻すことを決意した凜は、雅をはじめとする「木偶」を狙う人間たちと戦うことになる。

登場人物

本作『傀儡師リン』に登場する人形たちには、それぞれにモデルがおり、モデルの逸話にちなんだ能力を持っている。モデルは木花開耶姫ガネーシャといった神話に登場する存在から、天草四郎時貞やマリリン・モンローのような実在の人物など、多岐にわたる。たとえば男性から非常に人気のあったマリリン・モンローをモデルにし、彼女の本名から名付けられた人形のノーマ・ジーンは、フェロモンで男性をめろめろにし、戦闘意欲を失わせる力を持っている。

関連作品

本作『傀儡師リン』の関連作品として和田慎二の別作品『怪盗アマリリス』『少女鮫』『スケバン刑事』がある。それらの3作と『傀儡師リン』は一部の登場人物が共通しており、緒方秀子の友人である悦子と燿子、黒幕の1人である八雲がそれに該当する。

作家情報

和田慎二は、主に少女誌で活躍した漫画家。2011年7月5日に亡くなった。1971年『パパ』が「別冊マーガレット」に掲載されてデビュー。他の作品に『スケバン刑事』『忍者飛翔』『超少女明日香』シリーズなどがある。出身地は広島県。

登場人物・キャラクター

鹿嶋 凜 (かしま りん)

人形を動かし操る「傀儡師」の家系、鹿嶋操流の娘。明るくて気が強く一本気で、男勝りな頼れる性格。腕っぷしが非常に強く、男性でも太刀打ちできないほど喧嘩が強い。そのため、人間相手であれば、人形を用いなくても戦うことができる。姉の鹿嶋詩織が鹿嶋操流を継ぐことになったのを機にドイツに留学。寄宿学校「ローゼンハイム校」に通っていたが、詩織と鹿嶋光悦の訃報を受けて日本へ戻ってきた。 以来光悦が制作した10体の人形の素体「木偶」を取り戻すため、鹿嶋操流の元弟子であった麻丘雅や、鹿嶋家に恨みを持つ御子柴吾郎などと戦うことになる。留学中に大学2年生までの単位を取得したため、高校に通う必要はなかったが、佐崎十萌がいじめに遭ったのをきっかけに、星見高校に通うことになる。

麻丘 雅 (あさおか みやび)

鹿嶋凜の宿敵で、バイオリニストの若い男性。前髪を一筋だけ前に垂らしてあとは上げて額を全開にし、撫で付け髪にしている。ある日、鹿嶋家を訪れて鹿嶋光悦に弟子入りしてからは、凜ら家族とも親しくなり、鹿島詩織と婚約を交わしていた。しかし凜のドイツ留学中に鹿嶋家に火を放ち、光悦と詩織を殺し、光悦の所持する3体の人形の素体「木偶」を盗んだ疑いがある。 存在する10体の「木偶」すべての回収をもくろんでおり、目的のためなら手段を選ばず、平気で殺人も行う残忍な性格。しかし、現在でも詩織を想い、凜のことも憎からず思っているため、時には凜たちと協力することもある。また人形に対しても寛容で、人形のパートナー選びなどは人形の意思に任せている。 所有する人形の中では、特に天草四郎時貞と親しい。

佐崎 十萌 (ささき ともえ)

鹿嶋凜の親友で、星見高校に通う女子高生。クレオパトラのパートナーでもある。前髪を真ん中で分けて目の上で切り、顎の下まで伸ばした内巻きボブヘアをしている。眼鏡をかけている。一見目立たないが、実は胸が大きくスタイル抜群。穏やかで心優しく、愛情深い性格で、人形のことも人間同然に考えている。その人柄をミト=バジャールに評価され、クレオパトラを預けられた。 家事全般、特に手芸が得意で、人形たちに服を作ってプレゼントすることもある。

芹川 明人 (せりかわ あきと)

麻丘雅の側近を務める人形職人の若い男性。前髪を左から右に向かって斜めに流し、襟足まで伸ばした髪をしている。ある日、雅が持ち込んだ3体の人形の素体「木偶」をコアにして天草四郎時貞、土蜘蛛、木花開耶姫の人形を作った。以降も雅をサポートし、破損した人形を修復したり、別の人形に作り替えるといった作業を行っている。 「木偶」に魅せられており、人形師が明確なビジョンを持って制作すれば、「木偶」が素晴らしい生きた人形となることに、大きなやりがいを感じている。そのため雅が悪事を働いていると知りながらも、雅に協力している。しかし人形師として「木偶」の素晴らしい力と機能に夢中になるあまり、生きている人形である時貞たちのことをやや物扱いしているところがある。 ミト=バジャールとは敵同士でありながらも、深く尊敬しあっている。

アリス

マエストロが鹿嶋凜のために制作した人形。パートナーは凜。鹿嶋光悦が、凜の留学時、凜に密かに渡した「木偶」を素体に作られている。身長は60センチほどで、青いドレスを着ている。厚めの前髪を目の上で切りそろえ、毛量の多い金髪をツインテールにして、カチューシャでまとめた髪型をしている。モデルは明言されていないが、容姿は凜と非常によく似ている。 気位が高く、頑固で意地っ張りな性格。はじめは凜と反発することが多く、なかなかなじめずにいた。しかしお互いに歩み寄り、さまざまな事件を解決しつつ次第に絆を深めていく。武器はヨーヨー。

木花開耶姫 (このはなさくやひめ)

芹川明人が制作した3体の人形の1つ。麻丘雅が持ち込んだ人形の素体「木偶」をコアにしている。特定のパートナーはいない。モデルは日本神話に登場する木花開耶姫。身長は60センチほどで、前髪を上げて額を全開にし、腰まで伸ばしたロングヘアに天女のような服装をした、若い女性の姿をしている。髪型や服装は異なるが、容姿の雰囲気が鹿嶋詩織に非常によく似ている。 それは、明人が木花開耶姫の素体に抱いた優しく暖かい印象によるもの。そのため性格も詩織に似ており、中立的で心優しい。傷を癒す力を持っており、怪我を負った存在を見かけると、敵味方を問わず回復させる。

土蜘蛛 (つちぐも)

芹川明人が制作した3体の人形の1つ。麻丘雅が持ち込んだ人形の素体「木偶」をコアにしている。鹿嶋凜とアリスに敗北した際に破損し、清姫に作り替えられた。さらにその後児雷也となる。雅のもとで戦っているが、雅はパートナーというよりも主人に近い。モデルは日本に伝わる蜘蛛の妖怪の土蜘蛛。 身長は60センチほどで、着物を着用。前髪を眉上で短く切って真ん中で分け、胸まで伸ばしたふんわりとしたロングヘアの、年老いた男性の姿をしている。糸を吐いて攻撃したり、相手を拘束する力を持つ。

天草四郎時貞 (あまくさしろうときさだ)

芹川明人が制作した3体の人形の1つ。麻丘雅が持ち込んだ人形の素体「木偶」をコアにしている。雅のもとで戦っており、雅からは特に大切にされている。モデルは江戸時代初期に実在したキリシタン・天草四郎時貞。身長は60センチほど。前髪を真ん中で分けて眉上で切り揃え、胸まで伸ばしたロングヘアをポニーテールにし、和服に襞襟をつけた若い男性の姿をしている。 黒衣(くろこ)たちを率いて戦わせるという力を持ち、本人も刀を用いて戦う。アリスとはライバルのような関係で、一対一で戦うこともあるが、逆にアリスに協力することもある。アンドロメダとは、出会いの経緯から非常に仲が良い。

クレオパトラ

ロードシア王国の宝物殿で眠っていた人形。鹿嶋光悦が流出させた6体の人形の素体「木偶」のうち、ミト=バジャールが人形として完成させたもの。パートナーは佐崎十萌で、モデルは古代エジプトのファラオであるクレオパトラ。身長は60センチほどで、前髪を眉上で切りそろえ、両サイドの髪は耳の下で切りそろえ、後ろの髪は腰まで伸ばして一本の三つ編みにしてまとめている。 古代エジプト人の服装をした、若い女性の姿をしている。人形兵の軍勢を率いたり、幻術を用いて幻覚を見せ、人間を苦しめることもできる。高いカリスマ性を持つが、尊大な性格で、パートナーとなった十萌にもツンとした態度をとる。しかし、実際は非常に大切に想っている。モデルとなったクレオパトラと同じく、左胸に「毒蛇の咬み跡」があり、そこが弱点。 十萌は人形を操る力を持たないため、十萌だけではクレオパトラを戦わせられない。そのため、凜を介して十萌の想いをクレオパトラに伝えて使役する。

ミト=バジャール (みとばじゃーる)

ロードシア王国で人形師を務める年老いた男性。前髪を上げて額を全開にし、髪を頭巾でまとめ、胸に届くほど長いあごひげに和服を着用。「水戸黄門」に登場する水戸黄門のような服装、髪型をしている。明るく親しみやすい性格だが、すぐに女性にすけべなことをするため、鹿嶋凜には「変態」と称されている。ある日、自身が制作したクレオパトラがロードシア王国の宝物殿から盗まれたのを知り、探すため日本にやって来た。 その過程でクレオパトラを芹川明人から取り戻し、連れてくる形で鹿嶋家を訪れ、凜たちと出会った。人形師としての腕は確かで、「人間国宝」と呼ばれるほど。しかし、本人は特別扱いされるのが苦手なため、凜たちにはそれを明かしていない。やがて人形師として凜をサポートするため、鹿嶋家に居候することになる。 「木偶」は鹿嶋光悦から直接受け取ったもので、その時に日本を訪れて以来日本ファン。

月夜木 亜美 (つくよぎ あみ)

アイドルとして活動する少女。ノーマ・ジーンのパートナーでもある。前髪を真ん中で分けて内巻きにし、腰まで伸ばしたロングヘアをしている。着ぐるみを着てパフォーマンスするため、「着ぐるみアイドル」として知られている。おっとりとしたマイペースな性格で、人里離れた田舎育ちのため、やや世間知らず。祖父である人形師の月夜木兼心と北海道で暮らしていた。 兼心の死後、故郷を離れて都会に出たところを、芸能事務所にスカウトされて芸能人となった。

ノーマ・ジーン (のーまじーん)

鹿嶋光悦が流出させた6体の人形の素体「木偶」のうちの1体。流出後、木彫の人形師、月夜木兼心が完成させ、月夜木亜美とともに暮らしていた。パートナーは亜美。モデルは実在したアメリカ人女優、マリリン・モンローで、マリリンの本名である「ノーマ・ジーン」からその名が付けられた。前髪を左寄りの位置で分けて額を全開にし、耳の下まで伸ばしたふんわりとしたボブヘアをし、いつも微笑んでいるような表情を浮かべている。 身長は60センチほどで、胸が大きくスタイルの良いセクシーな、若い女性の姿をしている。しかし基本的には正体を隠し、着ぐるみを着て生活している。自分の身体から意図的にフェロモンを出す力を持つ。そのフェロモンを浴びると、男性と男性型の人形は、ノーマ・ジーンにめろめろになってしまう。 その力により、パートナーである亜美の周囲の男性は、みな彼女に優しくなるという状態も引き起こしていた。亜美とは非常に仲が良く、いつも一緒だが、亜美にすら自分の力を隠している。兼心からは「友達作りが苦手な亜美に、同性の友人を作ってほしい」と頼まれており、信頼できそうな女性を探していた。 ある日テレビ出演のためテレビ局に来ていた鹿嶋凜を、亜美の友人候補であると感じ、正体を隠して鹿嶋家にやって来る。

清姫 (きよひめ)

芹川明人が制作した3体の人形の1つ。麻丘雅が持ち込んだ人形の素体「木偶」をコアにしている。モデルは、日本に伝わる「安珍・清姫伝説」に登場するキャラクターの清姫。清姫として生まれる前は土蜘蛛で、のちにさらに作り替えられて児雷也となる。身長は60センチほどで、着物を着て垂れ髪にした若い女性の姿をしている。 土蜘蛛の敗北により、明人から「仕掛け(ガブ)」を施されており、女性の形から変形する力を持っている。その他にも火を吹いたり、蛇に変化することができる。

ビリー・ザ・キッド (びりーざきっど)

鹿嶋光悦が流出させた6体の人形の素体「木偶」のうちの1体。流出後、アメリカ人人形師、ジャン=エコーが人形として完成させた。ジャンの死後、麻丘雅が回収して雅の人形となる。その後「ビリー・ザ・キッドだけを大切にする」「時々自由に出かけて、これまで通り雅たちに協力しても良い」という条件で、雅のもとを離れ、高輪美智子のもとで暮らすことになる。 モデルはアメリカに実在したアウトローのビリー・ザ・キッド。身長は60センチほどで、ボーダーのTシャツとオーバーオールを着た少年の姿をしている。髪型は、前髪を左から右に向かって流した、ふんわりしたショートカット。鼻のそばかすと、常に舌を出しているのが特徴。武器は銃。気まぐれでマイペースな性格。 戦闘中もむらがあり、雅の指示に従わないことがある。しかし、天草四郎時貞と手合わせしてからは時貞を信頼し、時貞の主である雅も、仲間と認めるようになる。美智子とは母と息子のような関係。

高輪 美智子 (たかなわ みちこ)

裕福な家の女主人で、ビリー・ザ・キッドのパートナー。前髪を左から右に向かって流し、ロングヘアを後ろでシニヨンにしてまとめている。未亡人で、夫と息子の雄介を喪って以来、人形趣味に傾倒し、雄介と近い年代の少年人形ばかりを集めていた。ある日ビリーの存在を知り、麻丘雅から無理やり奪おうとする。その際、ビリーから「高輪家にある人形をすべて破棄し、自分のことだけを大切にするなら高輪美智子のものになってもよい」と提案される。 その条件をのんだうえで雅と話し合い、雅の承諾を受けて、正式にビリーのパートナーとなった。ビリーを息子同然に想っており、ビリーの敵を倒すため、自身も戦いに参加したり、雅に資金援助することもある。

アンドロメダ

鹿嶋光悦が流出させた6体の人形の素体「木偶」のうちの1体。流出後、アメリカ人人形師ジョージ・マイルズが人形として完成させた。モデルはギリシャ神話に登場するお姫様のアンドロメダ。身長は60センチほどで、ドレスを着た若い女性の姿をしている。髪型は前髪を目の上で切りそろえて内巻きにし、胸まで伸ばした巻き髪ロングヘアに王冠をかぶっている。 ある日、空から降って来たのを、偶然居合わせた天草四郎時貞が保護。目を覚まさないまま麻丘雅と芹川明人のもとへやって来る。ジョージのもとでは、自分で移動して爆弾を仕掛けて破壊活動を行う「爆弾人形」として用いられている。さらに外装の内側にはジョージの血を塗られているため、ジョージのもとから逃げられない呪いをかけられている。 時貞とは、保護されて以来非常に親しく、恋人のような関係。

ジョージ・マイルズ (じょーじまいるず)

人形師を務めるアメリカ人の中年男性。現在は「G・ガリクソン」と名乗り、アメリカで秘密工作員として活動している。前髪を眉上で短く切って右から左に向かって斜めに分け、肩につくほどまで伸ばした髪を外にはねさせている。眼鏡をかけ、顎が2つに割れている。軍人の家系に生まれるが、視野にわずかに問題があるという理由で入隊できず、強い不満を抱いていた。 そんな折、人形の素体となる「木偶」を手に入れ、爆弾を設置して動く「爆弾人形」として「木偶」を用い、軍に貢献することを思いつく。そのため、アンドロメダを道具としか思っておらず、危険な任務を遂行させる。

御子柴 吾郎 (みこしば ごろう)

資産家の年老いた男性。マルチ商法やフィクサーをして富を築いた。顔の左側に大けがを負っており、その部分だけを隠す仮面をかぶったスキンヘッドをしている。足が不自由。鹿嶋光悦をはじめとする鹿嶋家と、鹿嶋操流そのものに強い恨みを抱いている。鹿嶋家に火を放ち、鹿嶋家に3体あった人形の素体である「木偶」を奪おうとした真犯人。 一代で巨万の富を築き上げた素晴らしい商才を持つが、御子柴吾郎自身はそれに価値を感じておらず、鹿嶋家への復讐心のみで生きている。そのため10体の「木偶」をすべて集めることが、鹿嶋家への何よりの復讐になると考え、「木偶」を回収している。

吾妻 ミホ (あづま みほ)

御子柴吾郎に仕える、人形師の若い女性。前髪を左から右に向かって流し、胸の下まで伸ばしたロングヘアを、肩の高さで結んで1つにまとめている。眼鏡をかけている。本来は、ある人形コンクールの出来レースで優勝し、華々しくデビューする予定だった。しかし、気まぐれでエントリーした芹川明人に優勝を奪われてしまい、以来明人に強い恨みを抱いている。 そのため、明人よりも自分の方が優れていると証明するため、御子柴吾郎に取り入り、吾郎専属の人形師となった。吾郎のことは、資金援助してくれる存在としか思っていない。

ジャンゴ・J (じゃんごじぇい)

御子柴吾郎に仕える、死体や人形を動かす力を持つネクロマンサーの男性。前髪を真ん中で分けて額を見せ、胸まで伸ばしたストレートロングヘアをしている。眼鏡をかけている。ネクロマンサーは故郷では神聖な職業で、自身の仕事に誇りを持っていた。しかし疫病で村人たちが死に絶え、ただ1人生き残って故郷を出た後は、自分の仕事が誰にも認められず、苦しい日々を送っていた。 そこを吾郎に発見され、人形を動かす技術を買われて雇われ、日本にやって来た。そのため吾郎に強い恩を感じており、吾郎の悲願を果たすために行動している。

カァラ・カーン (かぁらかーん)

インドの舞踊団に所属するインド人の幼い少女。ガネーシャのパートナーでもある。前髪を真ん中で分けて額を全開にし、肩まで伸ばしたセミロングウェーブヘアをしている。額にビンディをつけている。真面目で落ち着いた性格。ガネーシャを制作した人形師の父親と舞踊団で働いていたが、父親の死をきっかけに、団長にガネーシャを奪われてしまう。 そのため、ガネーシャの素体となった「木偶」を父親に与えた鹿嶋光悦に謝罪するべく、日本にやって来た。

ガネーシャ

鹿嶋光悦が流出させた6体の人形の素体「木偶」のうちの1体。流出後、カァラ・カーンの父親が人形として完成させた。パートナーはカァラ。モデルはヒンドゥー教の神様であるガネーシャ。身長は60センチほどで、額にビンディをつけた、2足歩行の象の姿をしている。他の人形に比べ大きめで、重そうに見えるが、実際は重量に大きな差はない。 人形を操ったり、巨大化して戦う力を持つ。カァラとは非常に仲が良い。

赤坂 舞 (あかさか まい)

月兼木亜美の後輩アイドルで、児雷也のパートナーを務める少女。前髪を目の上で切って内巻きにし、肩上で切り揃えたウェーブヘアをしている。無邪気で素直な、感情豊かな性格。もともと人形に関心があり、ノーマ・ジーンを所有する亜美から、芹川明人の人形店を紹介されて来店する。その際、店頭で眠っていた児雷也を気に入ってしまい、勝手に持ち出してしまう。 その後、反省して明人に返そうとする。ところが、児雷也の方も舞を気に入ったので、麻丘雅の了承を得て、正式に児雷也のパートナーとなった。児雷也を非常に大切に想っており、児雷也が「木偶」という特別な人形であることを抜きにしても、最高の存在だと思っている。

児雷也 (じらいや)

芹川明人が制作した3体の人形の1つ。麻丘雅が持ち込んだ人形の素体「木偶」をコアにしている。パートナーは赤坂舞。児雷也として生まれる前は清姫で、さらにその前は土蜘蛛だった。モデルは江戸時代に生まれた架空のキャラクターの児雷也。身長は60センチほどで、忍者装束を着て、覆面で顔を隠した少年の姿をしている。 手裏剣や刀を用いるほか、清姫であった頃に作られた「仕掛け(ガブ)」を流用し、自分の身体よりはるかに大きなガマガエルを使役して戦うことができる。

麻丘 雛 (あさおか ひな)

麻丘雅の中で眠っていた、もう1つの人格。雅の双子の妹で、本来は生まれることができず、母親の胎内で亡くなった故人。雅が海に落ちて意識不明となって以来、雅と入れ替わる形で目を覚ました。容姿は雅そのものだが、なぜか身体は女性のものに変わり、髪も伸びて胸までのロングヘアとなった。男性のような口調で話す。鹿嶋凜と接するうちに、人形たちに優しくなりつつあった雅とは違い、人形の秘めた力を目覚めさせるためなら、荒っぽい方法もいとわない。 雅とは違ってバイオリンの演奏はできず、朝は苦手。

デイジー・ミラー (でいじーみらー)

鹿嶋凜の友人で、アメリカ人の少女。ドイツにある寄宿学校「ローゼンハイム校」に通っている。凜とは寮の部屋が同室でもあった。前髪を真ん中で分けて目の上で切り、腰まで伸ばしたロングヘアを、後ろで1本の三つ編みにしている。眼鏡をかけている。クールな雰囲気だが親切でよく気が付き、凜の脱走も手助けするなど親しい。

マージ・ホーネット (まーじほーねっと)

ドイツにある寄宿学校「ローゼンハイム校」工学科に所属する女子。前髪を目の上で切って内巻きにし、ふんわりとした髪の毛を胸まで伸ばして、ヘアバンドでまとめている。一見おっとり、のんびりとした雰囲気だが、実は製菓のプロフェッショナル。材料に乏しい状態からでも、一級品のお菓子を作ることができる。自分の技術に誇りを持っており、製菓のことになると、別人のように厳しくなり、他を寄せ付けなくなる。

カイト・エバンス (かいとえばんす)

鹿嶋凜の友人で、イギリス人の女子。ドイツにある寄宿学校「ローゼンハイム校」工学科に所属している。前髪を右寄りの位置で分けて目の上で切り、顎の高さで切りそろえたボブヘアをしている。クールな容姿や乱暴な口調のため誤解されやすいが、実際はかわいいものが好き。

ファントム・フローレンス (ふぁんとむふろーれんす)

ドイツにある寄宿学校「ローゼンハイム校」に通うフランス人の女子。生徒の1人だが、舎監長も務めている。前髪を右寄りの位置で分けて額を全開にし、ロングウェーブヘアを胸まで伸ばしている。三白眼。陰気で幽霊のような雰囲気で、学校から脱走しようとするものに容赦がない。すでに一度脱走に成功し、マエストロに会うため再び戻って来た鹿嶋凜に目をつけ、厳しく見張っている。

マエストロ

鹿嶋凜の師で、ドイツにある寄宿学校「ローゼンハイム校」で講師を務める若い男性。鹿嶋光悦が凜に密かに持たせた「木偶」から、アリスを作り出した人形師でもある。前髪を真ん中で分け、ゆるくウェーブがかったロングヘアをポニーテールにしている。穏やかな性格で、人形師として天才的な腕を持つ。非常に繊細で、1日に5人以上の見知らぬ人間と遭遇すると、心が折れて意識を失ってしまう。 そのため社会生活を送ることができず変人扱いされ、長年「ローゼンハイム校」の外に出ずに暮らしていた。しかし破損したアリスを助けるため、凜が「ローゼンハイム校」に戻ったのをきっかけに、凜とともに日本へ行き、人形師としてサポートすることになる。日本に来てからも、基本的には鹿嶋家に引きこもっている。 しかし、好奇心が強く、人形に関することだと積極的に外へ飛び出し、やはり見知らぬ人間の存在に耐え切れなくなって、頻繁に気を失っている。

緒方 秀子 (おがた ひでこ)

横浜市から鹿嶋凜たちの通う星見高校に転校して来た女子。前髪を上げて額を全開にし、肩につくほどまで伸ばしたセミロングヘアを、ポニーテールにしてまとめている。「ひでこ」という名前と、額が広いことをかけて「デコ」と呼ばれている。また、なぜかクレージー・ピエロの本来の持ち主であるクラウディアの面影がある。容姿は小柄で実年齢より幼く見えるが、やんちゃで腕っぷしが強く、「横浜の北京原人」と呼ばれるほどの暴れん坊。 しかし、ある日、家族で乗っていた車が交通事故に遭って、両親が死亡。緒方秀子自身も大けがを負い、長期入院していた。退院後は母親の姉のもとに身を寄せることになり、星見高校に転校し、凜たちと出会う。元気を取り戻した後も夢遊病状態に陥ることがあり、悩んでいる。

クレージー・ピエロ (くれーじーぴえろ)

鹿嶋光悦が流出させた6体の人形の素体「木偶」のうちの1体。流出後、フランスのビスクドール作家、ディノ・カッシーニが完成させた人形。身長は60センチほどで、帽子をかぶり、仮面をつけてマントを羽織った服装の下に、ピエロの姿をしている。容姿や体格からでは、男性型の人形か女性型の人形であるか判別ができない。どのような性別や年齢を想定して作られているかも不明。 元はディノが姪のクラウディアのために制作した少女人形で、本来の名前は「ビアンカ」。しかしクラウディアの死後、動く人形という特異性に目をつけられた。そして土蜘蛛のように何度も作り替えられ、違う身体と名前を与えられて、利用され続ける過酷な日々を送っていた。最終的にはイタリアのマフィアに殺人人形として働かされた挙句、破壊されそうになり、その場にいた人間を全員殺して脱走した。 そのため平気で殺人を行う。人形同士の戦いでも、人形よりもパートナーを狙う卑怯で残忍な手口を用いる。しかし、なぜか緒方秀子にだけは強い関心を持ち、好意的に接する。

鹿嶋 光悦 (かしま こうえつ)

鹿嶋凜と鹿嶋詩織の祖父で故人。12代目鹿嶋流傀儡師で、浄瑠璃人形を1人で操る「独遣い(ひとりづかい)」の流派「鹿嶋操流」の継承者でもある。10年前、手元にあった10体の人形の素体「木偶」を突如世界中に流出させ、鹿嶋家には4体だけを残していた。

鹿嶋 詩織 (かしま しおり)

鹿嶋凜の姉で故人。浄瑠璃人形を1人で操る「独遣い(ひとりづかい)」の流派「鹿嶋操流」の後継者でもある。前髪を右寄りの位置で分けて目の上で切り、胸まで伸ばしたロングヘアを、後ろで1本の三つ編みにしてまとめている。穏やかで中立的な性格で、誰に対しても親切な心優しい性格。

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