プリンシパル

プリンシパル

札幌にある高校へ転校してきた住友糸真と、同じ学校でご近所さんの桜井和央、舘林弦。3人の間で展開される恋愛模様を描く。「クッキー」2010年11月号から2013年9月号にかけて連載された作品。

正式名称
プリンシパル
ふりがな
ぷりんしぱる
作者
ジャンル
恋愛
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あらすじ

第1巻

住友糸真は、母親の再婚や些細な友人関係の揉め事から居場所がなくなり、東京から札幌の高校に転校し、10年ほど会っていなかった父親といっしょに暮らす事になる。転校初日、となりの席の舘林弦から悪態をつかれるが、糸真は言い返す事で、クラスの仲間からはおもしろい奴と受け入れられる。そんな中、糸真の自宅には犬のスミレと、飼い主の桜井和央がやって来る。さらに和央の親友の弦も訪れ、楽しい時間が過ぎる。しかし、糸真は初めて友達になった国重晴歌から「和央と弦に近づいた女子は必ずいじめられてハブにされる」と聞いてしまう。糸真は、もう友達関係のトラブルに巻き込まれたくないと、二人から距離を置こうとするものの、いつの間にか二人に恋愛感情を抱き、離れられなくなってしまう。最初は糸真と和央と弦の三人を、表向きは温かく見守っていた晴歌だったが、着実に関係を深めていく糸真に対し、次第に苛立ちを覚えるようになる。

第2巻

住友糸真は、国重晴歌らクラスメイトの女子からクリスマス会に誘われたものの、寒空の下一人で散々待たされた挙句、キャンセルされてしまう。糸真は泣きたい気持ちのまま、桜井和央の家に行くと、住友泰弘桜井由香里がいっしょにいる場面に遭遇してしまう。そして次の日、糸真は和央に自分が晴歌らからハブにされているのではないかと訴え、涙する。慰めてくれた和央に応えるように糸真は晴歌に直接会い、縁を切ろうと本音を伝える。そして新しい年が訪れ、初詣の日、糸真は神社で偶然舘林弦に出会い、二人で参拝する事となる。そこで弦から、和央は舘林弓の事が好きだと聞き、糸真の心は乱れる。新学期が始まり、糸真は晴歌と和解。糸真は変化の多い1年になりそうだと思っているところ、泰弘が由香里にプロポーズをし、姉の糸真、弟の和央の義理の兄弟になってしまう。

第3巻

住友泰弘桜井由香里が再婚した事で、住友糸真桜井和央はいっしょに住む事になった。一方でこれまで和央と支え合って生きて来た舘林弦は、自分はもう和央にとって不要な存在なのだと感じ、和央はもちろん糸真とのかかわりも絶つ。そんな中、弦は学校で桜井親子の悪口を言っている男子生徒を目撃し、殴りかかろうとしたところ、誤って糸真の顔面に肘をぶつけてケガをさせてしまう。そのトラブルが原因で再び糸真、和央、弦の三人は行動を共にするようになる。しかし、糸真は和央の舘林弓への恋心を知れば知るほど認められず、ついに弓に対して悪態をついてしまう。そんな中、弦から弓が出演するチャリティーコンサートに誘われた糸真は、和央と国重晴歌にも声を掛け、四人で鑑賞に行く事となる。

第4巻

チャリティーコンサートのあと、桜井和央舘林弓のもとに行き、国重晴歌住友糸真の目の前で舘林弦に告白をする。居場所のない糸真は一人漫画喫茶に籠っていた。しかし自分を心配している住友泰弘や弟の和央、スミレの姿を見た糸真は、自分の戻る場所はここではないと自宅へと戻る。そして和央と弓は気持ちを伝え合い、弦と晴歌の交際もスタート。そんな中、糸真は動物園でデート中の弦と晴歌を目撃し、胸の痛みを覚える。さらに学校内でも弦と晴歌の交際の噂は広まっていた。また、晴歌はこれまで和央と弦に近づく女子に嫌がらせをしていたため、今度は自分が上履きを隠されるイジメを受ける。晴歌を支える弦の姿に糸真は苦悩し、さらに和央が女子生徒から告白され、好きな人がいるからと断っている場面を目の当たりにした事で、再び自分の居場所のなさを覚える。そんな中、弓は自分は和央に好意を抱いている、と弦の母親に伝えた事で、和央は舘林家に出入り禁止になってしまう。

第5巻

放課後、舘林弦は自宅に遊びに来るよう、住友糸真桜井和央国重晴歌を誘う。誰にも打ち明けていないものの、舘林家に出入り禁止になっている和央はその誘いを断り、糸真も晴歌に遠慮して断る。そしてその夜、晴歌は弦の家であった事をメールで糸真に報告。糸真は自分の居場所のなさ、そして好きになったはずの和央と弦が離れていってしまう不安と寂しさを、すべて和央にぶつけるのだった。一方、舘林弓は自立するため、一人暮らしを決意。あくまでそれは自分のためであり、和央には来ないでほしいと伝えたものの、和央は糸真も連れて新居に遊びに行く。そこで和央と弓の仲のよさを目の当たりにした糸真は、いつまでも優しい和央に甘えてばかりではいけないと悟る。糸真は和央と弦への思いをリセットするため、晴歌に男性を紹介してほしいと頼み込む。さっそく糸真は晴歌から紹介された金沢雄大と会う事にする。雄大は感じのいい人柄だった事から、糸真はまるで現実逃避をするかのように交際をスタートさせてしまう。

第6巻

夏休み、住友泰弘桜井由香里はキャンプの計画を立てる。そこで住友糸真桜井和央の友達の舘林弦国重晴歌、そして舘林弓、糸真と付き合っている金沢雄大もいっしょに行く事になる。その夜、糸真は初めて金沢とキスをするが、何のときめきもなく終わってしまう。一方、弦は晴歌にデートをキャンセルした日、糸真と金沢が初めて会っている場面を和央と共にこっそり監視していた事を打ち明ける。晴歌は弦にとって自分はそれくらいの存在である事、そして弦の興味が少なからず糸真にある事を悟り、自分から別れを告げる。そしてキャンプ終了後、金沢は自分の家に来ないかと糸真を誘う。部屋に二人きりになった金沢は糸真にキスをしようとするが、糸真はどうしてもそんな気持ちになれずに拒絶。金沢は弦が好きなのではないかと指摘し、糸真は何も言えずに逃げ出してしまう。同時に糸真は、弦が誰かのものになる事が寂しかった自分の存在に気づく。そして糸真は金沢を呼び出し、弦が好きな事を認めて別れを告げる。

第7巻

住友糸真舘林弦への恋心を認めつつも、元恋人で友達の国重晴歌の手前、何もできずにいた。しかし晴歌は糸真に好きな人がいるから別れたと金沢雄大から聞いており、糸真に誰が好きなのかと問う。そして糸真はついに晴歌に弦が好きだと打ち明け、晴歌はなぜ黙っていたのかと激怒し、二人は喧嘩する。一方、桜井和央舘林弓と順調に交際をしていた。しかし、以前和央に告白をした女子生徒により、二人がスミレの散歩をしている際にベンチでキスをしている場面が盗撮され、学校中にばらまかれる事件が発生。弦の機転によって騒ぎは治まり、弦の母親もついに二人の交際を静観する事にした。そんな中、弦は糸真に対してなぜ晴歌が喧嘩をしているのかと聞き、糸真は勢いに任せて自分は弦が好きだと告白するものの、弦は付き合えないときっぱり断る。そして糸真らは高校2年生に進級。それぞれクラスが離れてしまった事もあり、兄弟である糸真と和央以外は、会話をする機会もなくなるのだった。

登場人物・キャラクター

住友 糸真 (すみとも しま)

札幌に住む実父の住友泰弘に引き取られた高校1年生の少女。以前は東京に住んでいたが、糸真の母親の4度目の再婚相手との生活になじめず、友人とも些細なことでケンカになり無視されるようになったため、父親のもとへとやってきた。実父に会うのは10年ぶりだが割と上手くやれている。新たな地での生活に不安を感じていたが、国重晴歌、桜井和央、舘林弦らと出会い、徐々に和央、弦の2人に惹かれていく。 2人に対しての抜け駆けは許さないという、校内の女子の間にある暗黙の了解のなか、両者に惹かれている自分の想いと、新しくできた友人たちとの関係を壊したくないという2つの気持ちが葛藤している。

桜井 和央 (さくらい わお)

住友糸真のご近所さんで、同じ学校の生徒。母親の桜井由香里と2人暮らしで、スミレという犬を飼っている。ふんわりとした雰囲気の少年で、女子から人気がある。小さい頃から体が弱く、学校も休みがち。舘林弦とは昔からの知り合いで、何かと彼に世話を焼かれている。スミレがよく住友泰弘のもとへ遊びに行っており、引き取りに来た際に糸真と出会う。 糸真には新たな友人との関係を壊したくないと避けられていたが、積極的に話しかけ仲良くなっていく。家は裕福ではないが、誰かから助けてもらうのを嫌っている。普段はおとなしいが、時にははっきりと自分の意思を貫くという面も持ち合わせている。

舘林 弦 (たてばやし げん)

住友糸真のご近所さんで同級生。桜井和央とは昔からの友達で、初めて出会った時には和央のことを女だと思っていた。女子とはあまり話したがらず、糸真に対してもぶっきらぼうな態度をとる。そんな性格だが、女子からは人気がある。裕福な家庭に育ち、ピアノなどを習ってきた。糸真に出会った当初は、自分と和央の間に入ってくる面倒な奴と思っていたが、和央が糸真にかまうため、成り行きで3人で話すようになる。 常に自分のことよりも和央のことを第一に考えているが、それにはある理由が隠されている。

国重 晴歌 (くにしげ はるか)

住友糸真、桜井和央、舘林弦のクラスメイトの少女。明るい性格で、転校してきた糸真と友達になる。物怖じしない性格で、ぶっきらぼうな弦にも積極的に話しかけている。和央、弦が学校のアイドルだということを糸真に教えた。そして、以前抜け駆けしようと近づいた女子が、その後ハブられてしまったというエピソードを伝える。 徐々に和央、弦と仲良くなっていく糸真を応援している素振りを見せるが、裏では快く思っていない。

舘林 弓 (たてばやし ゆみ)

住友糸真が通う高校の教師。担当科目は音楽。舘林弦の姉でもある。小さい頃から桜井和央のことを知っており、病弱で熱を出した和央のことを桜井由香里に代わり看病したり、ピアノを教えたりしていた。そのこともあり、和央からは学校でも親しげに「弓ちゃん」と呼ばれている。一度結婚をするも、相手の浮気によってすぐに離婚し、飼っていたスミレを連れて実家に戻ってきた。 だが弦の母親が動物嫌いなため、スミレを和央の家に預けることになる。現在も母親からは見合いを勧められているが、本人は乗り気ではない。

住友 泰弘

住友糸真の実父。東京での生活が上手くいかない糸真を引き取る。物書きの仕事をしているようだが、具体的に何の仕事をしているかは糸真にもわかっていない。現在は借家に住んでいる。糸真は10年ぶりに会う娘だが、昔と変わらず愛情を注いでいる。いつの頃からかスミレが遊びに来るようになり、いつもおやつを準備したりして世話をしている。 その縁で桜井和央とも顔なじみである。好物は大根の漬物のいぶりがっこ。

桜井 由香里 (さくらい ゆかり)

桜井和央の母親。普段はスーパーで働いている。以前は結婚していたが、夫の仕事が上手くいかなくなり、それが原因で離婚。現在は和央、スミレと暮らしている。和央を育てるために昼夜を問わず働いており、その間和央の面倒を見てくれていた舘林弓、舘林弦に感謝をしている。住友糸真が和央から聞いて訪れたスーパーで、桜井由香里と出会い、以来少しずつ親密になっていく。

糸真の母親 (しまのははおや)

住友糸真の母親。4度目の結婚をしている。普段から明るく強引な性格で、突然札幌に住む糸真に会いにやって来たりする。住友泰弘と別れた理由は謎だが、お互い恨んではいない様子。自分のせいで糸真に辛い思いをさせてしまったことに責任を感じ、反省をしているが、次の日になれば忘れてしまう。これにより糸真を振り回すことも多いが、糸真からはそこまで憎まれてはない。 いずれは糸真に東京に帰って来て欲しいということを告げ、札幌を後にする。

弦の母親 (げんのははおや)

舘林弦、舘林弓の母親。弓に再婚して欲しく、弓の気持ちを考えずに見合いの写真を送り付けている。また動物が嫌いで、スミレを連れて帰ってきた弓に対し、絶対に飼わないと断言した。その強情な性格もあってか、弦ともあまり仲良くはない。

スミレ

桜井和央の家で飼っている犬。性別はメスで犬種は不明。元々は舘林弓が飼っていたが、 弦の母親の反対により和央の家に預けられる。普段から首輪をゆるく着けているため、すぐに小屋を離れ住友糸真の家に遊びに行ってしまう。当初、和央や舘林弦と距離を置こうと避けていた糸真の前に現れ、結果的に糸真と2人の距離を縮める役割を果たした。 作中では、スミレの視点から物語が描かれる場面もある。

金沢 雄大 (かなざわ ゆうだい)

高校1年生の男子。国重晴歌と同じ中学校出身だが、晴歌とは別の高校に進学した。中学時代から晴歌と仲は非常にいいが、付き合っているわけではない。見た目もよく、女子からは人気がある。住友糸真が晴歌に誰か男性を紹介してほしいと頼んだ事がきっかけで、糸真と知り合う。すぐに糸真の事を気に入って交際をスタートさせるが、キスをしても反応が薄く、その先は拒絶される事で、糸真の気持ちが自分に向いていない事に気づく。一見ひょうひょうとした適当な性格に見えるが、糸真が舘林弦に惹かれている事にいち早く気づくなど、場の雰囲気を汲みとる事ができるタイプ。普段は穏やかだが、糸真が弦に告白しないと言うと激怒したり、しつこく糸真にメールを送り続けたりと感情的になる一面も持っている。晴歌をはじめとした人達からは「金やん」と呼ばれている。

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