あらすじ
市川京太郎はクラスに馴染(なじ)もうとする気がまったくない、一人で本ばかり読んでいる陰キャだった。そんな京太郎は、華やかな美人で陽キャの山田杏奈に対して殺したいという屈折した思いを描いており、自己嫌悪を繰り返していた。そんな中、京太郎は杏奈が一人、図書館で過ごしている姿を目撃する。京太郎は図書館で弁当や学校内では禁じられている菓子類を食べるなど、自由気ままに過ごしている杏奈から目が離せなくなる。そんなある日、杏奈は社会の授業で研究発表するための模造紙への書き込みを始めるが、紙を切るためのカッターがなく、困っていた。偶然カッターを持っていた京太郎は杏奈に貸し出し、初めて二人は言葉を交わす。そして、杏奈が模造紙にまとめていた研究発表をする日が訪れる。しかし、杏奈が懸命に作成した模造紙にまとめていた文章は、字が読みにくいのに加えてお菓子で汚れているという理由で、関根萌子がすべて書き換えていた。京太郎は、その場では萌子に感謝しつつも、口惜しさと悲しさから涙をこらえている杏奈に気づく。(karte.1「僕は奪われた」、karte.2「僕は憤怒した」、karte.3「僕はお膳立てした」)
京太郎は杏奈との距離が近づいていくにつれ、彼女のことを好きなのだと自覚していた。そんな中、体育の時間に金生谷倫が投げたボールが杏奈の鼻に当たり、大ケガを負ってしまう。その日の帰り道、京太郎が自転車で帰宅していると、近くのコンビニから出て来る杏奈と偶然遭遇し、駅まで自転車の後ろに乗せてくれないかと頼まれる。杏奈は京太郎に自らが食べているアイスクリームを半分差し出し、ケガによってバスケットボール部を辞めること、京太郎のいる情報処理部に転部しようと考えていることなど、自らの近況について語り出す。(karte.16「僕は心の病」)
ある日、クリスマスを前にして恋人のいない萌子は焦りを感じ、とりあえず出会いのチャンスを増やすために、クラス全体のLINEグループを作ることを思い立つ。そこで杏奈にも協力を依頼して、まずは男子とLINEでつながりを持つことにする。そして萌子は、近くにいた京太郎に声をかけ、LINEの連絡先を交換する。LINEのプロフィール画像をアニメキャラクターのアイコンにしている京太郎だったが、萌子はそれに引くどころか、自分も知っていると好意的な姿勢を見せる。こうした二人のやり取りを目撃した杏奈は、不愉快そうな表情を浮かべる。(karte.16「僕はLINEをやっている」)
杏奈の漫画本を借りるため、京太郎は休日に会うことになった。杏奈から指定された場所は渋谷で、しかも当日はクリスマスイブということもあり周りは恋人ばかりで、京太郎は大いに動揺する。これは漫画本の貸し借りの約束であり、デートではないから期待するなと自らの思いを否定する京太郎をよそに、杏奈は人気のパンケーキ店に行ったり、彼に洋服を選んでもらったりと、自由気ままに振る舞う。そして楽しい一日が終わり、電車で帰宅しようとしたが、運悪くラッシュに巻き込まれてしまう。京太郎と杏奈は、はぐれないように自然と手をつなぎ、電車から降りたあともそのまま歩いて二人で帰宅することとなる。(karte.45「僕は待ち合わせをした」、karte.46「僕は連行された」、karte.47「僕は可愛いが言えない」、karte.48「僕らはゆっくり歩いた」)
京太郎は冬休み中に骨折し、そのまま新学期を迎える。利き手を骨折しているために文字を書くことができず、京太郎は担任教師から誰か親しい人のノートをコピーするように言われる。京太郎の頭の中には真っ先に杏奈が思い浮かぶが、クラスの人気者の彼女には頼みずらく、話しやすい原にお願いしようかと考える。しかし、杏奈を避けているとカンちがいされるのではないかという不安もあり、京太郎はどうすればいいのか大いに悩むことになる。(karte.58「僕は頼りたい」)
テレビアニメ
2023年テレビアニメ化。4月1日から6月17日までテレビ朝日系列にて放送。制作はシンエイ動画。主人公の市川京太郎を堀江瞬、ヒロインの山田杏奈を羊宮妃那が演じる。第1期の放送終了と共に、第2期の放送が発表。第2期は2024年1月6日から放送された。
登場人物・キャラクター
市川 京太郎 (いちかわ きょうたろう)
男子中学生で、2年3組に在籍している。学校に友達もおらず、教室で「殺人大百科」という本を読んでいるような陰キャ。前髪で右目が隠れている。中二病で、ダークファンタジー小説の構想を持っており、教室でノートにその小説のヒロインのキャラクターデザインを描いていたりする。クラスメートの美少女、山田杏奈を殺す妄想を抱いていたが、ふとしたきっかけから言葉を交わす関係になって以来、彼女に好意を抱く。
山田 杏奈 (やまだ あんな)
女子中学生で、2年3組に在籍している。背が高くてスタイル抜群の美少女で、雑誌のモデルもしている。天然気味な明るい性格で、クラスの友達とも仲がいい。お菓子を食べるのが大好きで、学校への持ち込みを禁止されているにもかかわらず、図書室で隠れてしょっちゅう食べている。ふとしたきっかけから市川京太郎と話すようになり、徐々に親しくなっていく。
関根 萌子 (せきね もえこ)
女子中学生で、2年3組に在籍している。山田杏奈、小林ちひろ、吉田芹那と四人でつるんでいることが多い。自分のことを「萌」と呼び、市川京太郎からは心の中で「糞ビッチ」と呼ばれている。
小林 ちひろ (こばやし ちひろ)
女子中学生で、2年3組に在籍している。山田杏奈、関根萌子、吉田芹那と四人でつるんでいることが多い。おかっぱ頭の背の小さな女の子。世話焼きで、学校ではよく山田の面倒を見ている。山田とは特に仲がよく、山田のことを冗談で「クソデカアホ女」と呼べるほど親しい。山田からは「ちぃ」、関根からは「ばやしこ」と呼ばれる。
吉田 芹那 (よしだ せりな)
女子中学生で、2年3組に在籍している。山田杏奈、関根萌子、小林ちひろと四人でつるんでいることが多い。ややヤンキー気質で、怒ると少々怖いところがある。山田からは「にゃあ」と呼ばれているが、これは「芹那」→「せりにゃ」→「にゃあ」と派生した名称。
原 (はら)
女子中学生で、2年3組に在籍している。おとなしい性格で少し太った体型をしている。太っていることを気にしてダイエットに取り組んでいる。クラスメートの男子の神崎から好意を寄せられており、まんざらでもない様子。
足立 (あだち)
男子中学生で、2年3組に在籍している。茶髪のやんちゃタイプ。神崎、太田と仲がいい。山田杏奈のことが好きで、よく山田たちの女子グループにちょっかいを出している。
神崎 (かんざき)
男子中学生で、2年3組に在籍している。足立、太田と仲がいい。坊主頭で一見まじめそうな見た目だが、三人の中では一番スケベ。少し太めの原が好みだと言ったことから、足立と太田からはスケベ呼ばわりされ、市川京太郎からは心の中で「ブス専くん」と呼ばれている。
太田 (おおた)
男子中学生で、2年3組に在籍している。足立、神崎と仲がいい。太った体型で、ふざけて足立から乳を揉まれることもある。
金生谷 倫 (かねおや りん)
女子中学生で、2年3組に在籍している。ショートカットの髪型で、クラスメートの吉田芹那とは小学校時代からのなかよし。しかし、現在は山田杏奈と仲がいい芹那のことを、山田の取りまきのように感じており、快く思っていない。
南条 (なんじょう)
市川京太郎と同じ中学校に在籍する3年生の男子。金髪のチャラい見た目で、通学中に山田杏奈をナンパする。そのため、京太郎からは心の中で「ナンパ先輩」を意味する「ナンパイ」と呼ばれ、嫌われている。ナンパを妨害しようと京太郎が走らせて川に落ちた自転車を、そうとは知らずに率先して引き上げようとするなど、悪い人間ではない。山田に断られても懲りずにその後も口説こうとしている。
書誌情報
僕の心のヤバイやつ 11巻 秋田書店〈少年チャンピオン・コミックス〉
第1巻
(2018-12-07発行、 978-4253226158)
第2巻
(2019-09-06発行、 978-4253226165)
第3巻
(2020-06-08発行、 978-4253226172)
第4巻
(2021-02-08発行、 978-4253226196)
第5巻
(2021-07-08発行、 978-4253226677)
第6巻
(2022-01-07発行、 978-4253226691)
第7巻
(2022-08-08発行、 978-4253226844)
第8巻
(2023-03-08発行、 978-4253226851)
第9巻
(2023-11-08発行、 978-4253229692)
第10巻
(2024-04-08発行、 978-4253284769)
第11巻
(2024-11-08発行、 978-4253284776)
僕の心のヤバイやつ 【特装版】 10巻 秋田書店〈少年チャンピオン・コミックス〉
第7巻
(2022-08-08発行、 978-4253226707)
第8巻
(2023-03-08発行、 978-4253229678)
第9巻
(2023-11-08発行、 978-4253229685)
第10巻
(2024-04-08発行、 978-4253229708)