五等分の花嫁

五等分の花嫁

貧乏だが優秀な高校2年生の少年が主人公。好条件の家庭教師アルバイトの教え子が五つ子の同級生で、全員美少女という設定のラブコメディ。講談社「週刊少年マガジン」2017年8号に同名の読み切り作品が掲載。好評を得て同誌で週刊連載となり、2017年36・37合併号から2020年12号まで連載された。第43回「講談社漫画賞」少年部門受賞。2019年1月から第1期、2021年1月から第2期テレビアニメ化。2022年5月には劇場版アニメが公開された。

正式名称
五等分の花嫁
ふりがな
ごとうぶんのはなよめ
作者
ジャンル
ラブコメ
レーベル
講談社コミックス(講談社) / プレミアムKC(講談社) / KCデラックス(講談社) / 講談社プラチナコミックス(講談社)
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あらすじ

中野家訪問

高校生の上杉風太郎は成績のいい優等生ながら、家には借金があり、幼少期から貧しかった。ある日学食で、いつもどおり焼肉定食の焼肉抜きを注文してテーブルにつこうとすると、見慣れない女子生徒と出会う。互いに席をゆずろうとしないために相席となり、反りが合わずに最悪な印象を持ったまま、風太郎は彼女から勉強を教えてほしいと乞われるが、風太郎はこれをきっぱり断り、さらに放った一言が彼女の怒りを買ってしまう。そんな中、風太郎は妹の上杉らいはから相場の5倍という好条件アルバイトを紹介される。最近近くに引っ越してきた金持ちの家が、娘の家庭教師を探しており、さらにその娘が風太郎の高校に転入してくる生徒らしいのだ。そんな中、クラスには中野五月が転入してくるが、彼女は先日学食で最悪の出会いをした女子生徒だった。五月から無視を決め込まれる風太郎だったが、彼女が家庭教師のアルバイトで教え子となる生徒だと知り、生活のためにも彼女に無視されるわけにはいかないと考える。風太郎は五月の機嫌を取ろうと接触を試みるが、彼女はいつも四人の美少女と行動しており、なかなか近づくことができない。やっと彼女の住むマンションにたどり着いた風太郎が五月を説得していたところ、彼女と共に行動していた四人の少女がやって来る。なんと五月と四人の少女たちは友達ではなく、顔がそっくりな五つ子の姉妹だった。成績の悪い中野姉妹全員を無事卒業させるという依頼を引き受けた風太郎だったが、赤点常習犯のうえに極度の勉強嫌いな彼女たちは、事あるごとに風太郎から逃げてしまう。そこで風太郎は中野姉妹との距離を縮めて、信頼を勝ち取ることで勉強をスムーズに進められると考える。あれこれと奮闘していた風太郎は、そんな中、中野三玖から屋上に来るように呼び出される。

全員で五等分

上杉風太郎は、家の借金返済のために勉強嫌いの中野姉妹を卒業まで導くことになった落第寸前の成績であるにもかかわらず、彼女たちは勉強する意欲すら見せなかった。中野姉妹に頭を抱える風太郎は、まずは一人ひとりとの関係構築を優先しようと考え、夏祭りや知識バトルを通して中野姉妹たちと交流を深めていく。そして風太郎の地道な努力が少しずつ実を結び、当初から協力的だった四女の中野四葉をはじめ、三女の中野三玖、さらには長女の中野一花から信頼を勝ち取ることに成功する。中野姉妹との距離が近くなったことを喜ぶ風太郎だったが、その矢先に風呂上がりの中野二乃と出くわすハプニングによって、これまでの信頼が崩壊する危機に直面する。必死に無実を証明しようとする風太郎は、中野五月たちによって裁判にかけられてしまう。なんとか無実を証明することに成功し、その後、中野姉妹と共に行った花火大会でみんなの願いを叶えた風太郎は、中野姉妹の信頼を得たことを実感する。だがその矢先、初となる中間試験目前に風太郎の雇い主でもある中野マルオから、中野姉妹が赤点だったら家庭教師をクビにするという、冷酷な条件を告げられる。風太郎は、中間試験を突破するためにあらゆる努力と試行錯誤を重ねるが、二乃と五月の協力が得られずに行き詰まってしまう。そして中間試験終了後、点数自体は前回を上回っているものの赤点は避けられず、家庭教師を続ける条件を満たしていないことを悟った風太郎は、中野姉妹にアドバイスして去ろうとする。しかし、これまで非協力的だった二乃が、風太郎をかばうかのように予想外な行動に出る。

結びの伝説

中野姉妹の家庭教師を続けるための赤点回避の条件を満たせなかったが、中野二乃の機転でクビの回避に成功し、上杉風太郎はひとまずアルバイトを続けられることになった。次こそは成果を上げてみせると意気込む風太郎は、ますます家庭教師としての仕事に意欲を高めていく。そんな中、林間学校の時期がせまったために勉強はしばらく休むことになり、風太郎はひそかに林間学校のイベントに胸を躍らせていた。実はこの林間学校のメインであるキャンプファイヤーでは、フィナーレの瞬間に踊っていたペアが生涯を添い遂げる縁で結ばれるという伝説があった。周囲が浮き立つ中、中野一花に身代わりになってほしいと頼まれた中野三玖は、同級生の前田から一花とまちがえて告白される。一方の風太郎はトラブルが重なり、一度は林間学校欠席の危機に直面するが、中野姉妹の協力を得てクラスに合流することができた。肝試しの実行委員を任された風太郎は、中野四葉と共にお化け役を演じることになる。そんな中、中野五月と組んで肝試しに参加した二乃は、途中で五月に置いて行かれて途方に暮れていた。一人ぼっちになって不安に駆られる二乃の前に現れたのは、仮装のために金髪のカツラをかぶった風太郎だった。金髪の風太郎をかつて写真で見た少年だとカンちがいした二乃に対し、風太郎はとっさに「金太郎」と名乗ってしまう。二乃にカンちがいされて厄介な事態になる中、キャンプファイヤーの準備をしていた風太郎と一花は、手違いで倉庫に閉じ込められてしまう。そこで風太郎からキャンプファイヤーの伝説を聞いた一花は、林間学校の前に風太郎と約束を交わしていた三玖の気持ちに気づいてしまう。一方、一花が帰ってこないことを心配した三玖、五月、四葉の三人は、キャンプ場を捜し回っていた。

七つのさよなら

上杉風太郎中野姉妹は林間学校を通して、さらに信頼関係を築いていた。慌ただしくも楽しい時間を過ごしたのもつかの間、カゼが悪化して入院することになった風太郎は、見舞いにやって来た中野姉妹にいじられる中、中野五月と病室で二人きりになる。そして、風太郎は五月から真剣に勉強し続ける理由を問われ、風太郎自身の過去を語り出す。それは5年前の修学旅行中、京都で出会った写真の少女との淡い思い出だった。その後無事に退院した風太郎は、今度こそ全員での赤点回避を目指し、家庭教師業に邁進する。だがそんな中、一人だけ勉強に乗り気でない中野二乃は、何かと中野三玖と衝突していた。さらに二乃の態度を見かねた五月が彼女と大ゲンカとなり、二人はケンカしたまま家出してしまう。期末試験まで残りわずかな状態で、とんでもないトラブルに巻き込まれた風太郎は、数々の問題を前に気落ちしていた。そんな中、写真の少女が成長した姿で、風太郎の前に現れる。「零奈」と名乗ったその少女は、落ち込む風太郎に励ましの言葉をかけて姿を消してしまう。なんとか気力を取り戻した風太郎は、ケンカ別れした二乃と五月の仲を取り持とうと画策していた。周囲の協力を得て、二乃が滞在中のホテルにたどり着いた風太郎は、ダメ元で説得を試みる中で二乃の部屋に入ることに成功する。そして思い出の少女との再会を二乃に打ち明けるが、二人きりだといつもよりすんなり二乃と話せることに気づいた風太郎は、家に帰るように再び説得を試みる。一方、陸上部の助っ人と勉強を両立させようとがんばっている中野四葉は、急きょ合宿が決まったことでますます勉強が疎かになってしまう。人の頼みを断り切れない性格の四葉は苦悩と葛藤に立たされ、風太郎は五月や三玖の協力を得て四葉のピンチを救おうと奮闘する。

最後の試験

トラブル続きだった期末試験がようやく終わり、自分の力不足を実感した上杉風太郎中野姉妹の家庭教師を退任することを決意。しかし、何不自由ない暮らしをしていた家を出てまで、教えを乞う中野姉妹の覚悟と強い思いを目の当たりにし、風太郎は彼女たちの家庭教師を継続することにする。年が明けて正月を迎え、上杉らいはと共に参拝に来ていた風太郎は、偶然にも中野姉妹と遭遇。次こそは中野姉妹全員の全教科赤点回避を目指している風太郎と、再び彼の教え子となった中野姉妹の一年が幕を開けるのだった。そんなある日、中野姉妹が引っ越したという新しい家に立ち寄った風太郎だったが、彼女たちはなぜかあの手この手で彼をもてなそうとする。いつもと明らかに違う様子を訝しむ風太郎は、その本心を探ろうとする。一方、あらためて風太郎への恋心を自覚した中野三玖中野一花は、彼への気持ちを次の試験の結果に懸けようと考えていた。また、姉妹との生活を維持するために一花が芸能の仕事を増やすが、体調にまで影響が出てしまい、中野五月たちはアルバイトを始めることを考え、一花を支えようとする。それぞれの生活や思いにさまざまな変化が訪れる中、前回の試験のあとに風太郎とひと悶着あった中野マルオは五月を呼び出し、現状確認を兼ねてレストランで食事をする。これからも風太郎のもとで勉強がしたいと願う五月に対し、未熟な娘五人だけでは完全に独り立ちすることなどできないと厳しい現実をつきつけるマルオは、次の試験で赤点回避ができなければ転校させると告げる。中野二乃と共にその会話を聞いていた風太郎は、一丸となってこの危機を乗り越えようと最後の試験に挑もうとするが、その思いとは裏腹になかなか思うように成績は伸びなかった。焦りを覚えた風太郎たちは、ある作戦を思いつく。

スクランブルエッグ

中野姉妹の転校が懸かっている2年生最後の試験は、彼女たちの懸命な努力と上杉風太郎の熱心な指導が実り、全員が全教科赤点回避に成功した。後日、試験突破のお祝いに風太郎のアルバイト先で祝賀会が開かれるが、そこにはなぜか中野二乃の姿だけがなかった。そこで風太郎は全員強制参加だと言いながら、店長から借りたバイクで二乃を迎えに行く。二人で店に向かう中で、以前から風太郎と決別しようと考えていた二乃だったが、思わず感情があふれ出して彼に告白してしまう。この日以来、風太郎は無反応を装うものの内心では混乱したままで、二乃の方もとまどいを隠せずにいた。やがて迎えた春休み、風太郎は頭を冷やすために二乃たちと距離を置こうと考えていたものの、たまたま当選した家族旅行で訪れた温泉宿で中野一家と遭遇してしまう。お互いにギクシャクする中で、宿内ではお爺ちゃんに加え、なぜか風太郎に家庭教師を辞めるようにうながす中野五月の偽者まで現れるという、謎のトラブルまで発生。風太郎はわずかな情報を基に偽五月の正体を探るべく行動に出るが、その中で本物の五月と温泉で話すことになる。波乱の温泉旅行のあと、中野一花の提案で彼女たちは家賃を五等分することを決定。そして、風太郎のアルバイト先に二乃と中野三玖が面接に訪れるが、二人のうち二乃だけが採用されるのだった。風太郎にも中野姉妹にもさまざまな変化が訪れた春休みが終わり、なんとか3年生に進級できた中野姉妹と風太郎は、新学期のクラス替えで六人全員が同じクラスになった。面倒事に巻き込まれるのを嫌った風太郎は中野姉妹と他人のように振る舞うが、個性的なクラスメートが現れ、早くもトラブルの予感が漂っていた。さらには風太郎の誕生日も近づき、恋に勉強に学校行事と忙しい高校生活最後の一年が幕を開けるのだった。

シスターズウォー

中野マルオが家庭教師を武田祐輔に任せたいと言い出したため、上杉風太郎はある条件のもとで彼と勝負をすることになった。それは今までどおり家庭教師を続けながら、次の全国模試で一桁の順位に入り、中野姉妹の赤点も回避するというハードルの高い内容だった。さまざまな障害にぶつかりながらも、なんとか全国模試で10位以内に入り、全員の赤点回避もクリアした風太郎は、マルオの了承も得て再び家庭教師として就任が決定。そんな中、周りへの気遣いからうまく振る舞えなかった中野一花は、風太郎を誰にも取られたくないという思いから恋の進展を図るべく、大胆な行動を始める。火花散る恋愛戦争が加熱する中での修学旅行の行き先は、風太郎にとって思い出の場所でもある京都だった。それぞれが抱える思いとさまざまな思惑の中で、修学旅行のグループ分けが始まるが、風太郎はなんだかなんだで親しくなっていた祐輔、前田と同じグループになり、中野姉妹とは別行動を取ることになった。そして迎えた当日、一花と中野二乃に加え、中野五月まで態度が豹変し、中野四葉は一人困惑していた。不穏な空気が漂う中で、一花、二乃、中野三玖、五月は風太郎と二人きりになるチャンスをうかがっていた。それぞれの思いがぶつかり、ギクシャクしながらも修学旅行最終日を迎え、コース別体験学習で風太郎と二人きりになれるかは、すべて運に任せることが決まる。風太郎を巡って姉妹関係がこじれかけていた中野姉妹だったが、最終的には楽しく修学旅行を締めくくることができた。そんな中、6年前に風太郎と出会った写真の少女の正体は四葉だったことが発覚。以前からそのことに気づき、ひそかに四葉に協力していた五月は、風太郎に真実を話して名乗り出なくていいのかと四葉に問いかけるが、四葉はこのままの関係でいいと告げる。風太郎と初めて出会った日のことを思い返す四葉は、まだ中野零奈が生きていた頃のこと、そして四葉自身が抱いていた姉妹への気持ちを思い出す。

日の出祭

中学生時代、姉妹たちに助けられて孤独を脱した過去を持つ中野四葉は、上杉風太郎への恋心を自覚しつつも、それを誰にも言い出せずにいた。そして四葉は、姉妹たちのために風太郎への思いを周囲に隠し続けることを決意する。一方、中野姉妹が現在のアパートを出て引っ越すことが決まり、中野一花は女優という夢を追うために学校の退学を決意。一花の退学に納得がいかない風太郎は、夢を追いつつも高校だけはみんなと共に卒業してほしいとの思いから、あの手この手で引き留めようとする。中野三玖と共に織田社長のもとに乗り込んだ風太郎は、織田社長と一花を説得して退学ではなく休学することが決まった。アパートを出た中野姉妹はもともと住んでいた高級マンションに戻ることとなり、激動の夏は終わって新学期を迎えた風太郎たちは、高校生活最後の学園祭「日の出祭」に向けて準備を進めていた。中野五月の成績の悪化を心配しつつも、学級長としてクラスをまとめる風太郎は四葉と共に忙しい日々を送っていた。模擬店の出店でトラブルはあったものの、たこ焼き店とパンケーキ店の両方を開くことになった風太郎たちのクラスは、順調に準備を進めながら学園祭当日を迎える。日の出祭には風太郎や中野姉妹の家族も訪れ、波乱の3日間は彼らの人生に大きな影響を与える、さまざまなイベントが待ち受けていた。当日も学級長としての仕事に追われる風太郎は屋台を回る時間もなかったが、なんとか時間を見つけて15時に教室に集まるよう、中野姉妹に一斉送信する。五人が教室にそろったのを確認した風太郎は、彼女たちにある思いを告げるのだった。

最後の祭り

学園祭「日の出祭」でパンケーキの屋台を担当していた中野三玖は、クラスメート同士がいがみ合っていることに不安を覚えていた。そんな中、男子の営むたこ焼き屋で火災が発生して模擬店は中止となってしまう。三玖は上杉風太郎に相談を持ちかけ、勇気を出してクラスメートを説得し、ケンカしていた男女を仲直りさせることに成功。一つの壁を乗り越えたことに安堵した三玖は、ある決意を胸に風太郎と屋上でのひとときを過ごす。一方、学級長の仕事に加え、無理をして各部活の助っ人を買って出ていた中野四葉は体調を崩して倒れてしまう。保健室で眠っていた四葉が目覚める頃には、助っ人を頼まれていた演劇部の公演は終了していた。演劇部の助っ人ができなかったことに罪悪感を抱いた四葉だったが、そんな彼女にいつも感謝していた同級生たちは力を合わせて、演劇部のフォローをしていた。四葉を思ってくれている友人がたくさんいることを告げて彼女を励ました風太郎は、病み上がりの彼女の代わりに残りの仕事を片付けることにする。すっかり疲れ果て、階段でうたた寝をしていた風太郎に近づいた四葉は、長年隠し続けていた彼への思いにけじめをつけようと、ある行動に出る。一方、母親の中野零奈のような教師になることを決意した中野五月は、学園祭中も勉強に力を入れていた。屋台の食べ物の誘惑に釣られながらも集中して勉強を進める五月の前には、見知らぬヒゲ男が現れる。ヒゲ男は零奈のかつての担任教師だったと名乗りながら、教師をしていた頃の零奈の過去の話を聞かせ、かつての彼女と同様に教師を目指す五月に対し、ある忠告をする。

五通りの朝

高校生活最後の学園祭「日の出祭」が行われている中、家族の絆と将来の夢がゆるぎかけていた中野五月は、姉妹と周囲の力を借りて自分の意志を貫くことができた。波乱の学園祭で、実父である無堂の執着をはねのけた五月たちは、ようやく幼少期からの枷から解放され、家族や友人との結束をますます深めていく。そして五月たちは、最後の高校生活と上杉風太郎への思いに、再び集中しようと決意を固めるのだった。日の出祭のすべてのプログラムが終了した最終日の夜、中野姉妹は風太郎の本当の気持ちを確かめてそれぞれの気持ちにけじめをつけようと、彼にあるメールを送る。それは、風太郎が選んだ相手が待っている教室に来ることで、これまでの告白の返事を示してほしいというものだった。それぞれの教室で風太郎を待つ中野姉妹の気持ちに応えるべく、風太郎は自らの高校生活を通して抱いていた思いと決意を胸に、好きな相手が待つ教室へ向かうのだった。

メディアミックス

TVアニメ

2019年1月から3月にかけて、本作『五等分の花嫁』のTVアニメ版『五等分の花嫁』がTBSほかで放送された。監督は桑原智、キャラクターデザインは中村路之将、雅楽雅が務めている。キャストは、上杉風太郎を松岡禎丞、中野一花を花澤香菜、中野二乃を竹達彩奈、中野三玖を伊藤美来、中野四葉を佐倉綾音、中野五月を水瀬いのりが演じている。また続編として、2021年1月から3月にかけて『五等分の花嫁∬』がTBSほかで放送された。

劇場版アニメ

本作『五等分の花嫁』の劇場版アニメ『映画 五等分の花嫁』が、2022年5月20日に公開。劇場版はTVアニメ『五等分の花嫁∬』の続編となっている。こちらはキャストは同じだが、監督をかおり、キャラクターデザインを勝又聖人が務めている。

登場人物・キャラクター

上杉 風太郎 (うえすぎ ふうたろう)

旭高校に通う男子。長めの前髪と三白眼、植物の芽のような二股のアホ毛が特徴。成績優秀で日々の勉強も怠らない。愛称は「フータロー」「フーくん」。生まじめな性格で、恋愛をはじめとする勉強以外の物事や娯楽は否定的にとらえている。母親は幼少期に亡くなっており、妹の上杉らいはと父親の上杉勇也との三人暮らし。いつも学食で「焼肉定食焼肉抜き」を頼むほどの極貧状態。このため周りからは白い目で見られがちだが、人の目をまったく気にしない、我が道を行くタイプ。学年首席の成績をおさめ、かなりの勤勉家であるものの、独りよがりなところがあり、社交性や協調性に欠けている。周囲に対して高圧的な態度を取って反感を買うこともあり、クラスメートの中野五月からの第一印象は最悪だった。家が借金に追われる生活をする中で、らいはから家庭教師のアルバイトの話を聞く。しかし、その相手が学食で出会った五月を含む中野姉妹である事実が判明し、勉強嫌いで落第寸前の彼女たちを卒業まで導くために四苦八苦することになる。当初は中野姉妹から信頼されていなかったが、彼女たちと向き合っていくうちに交流を深めるとともに、互いに成長を遂げる。冷淡で社交性がないように見えるが本来は思いやりのある性格で、中野姉妹のために努力を重ねて信頼を得るようになる。また洞察力にも優れ、彼女たちの悩みにも即座に気づいて解決に導いている。一方で身体能力は低く、中野三玖と同レベルの運動音痴。さまざまな出来事を経て、中野姉妹からは信頼と好意を向けられるようになるが、あくまで家庭教師と生徒の関係を貫こうとしているため、彼女たちの好意にはとまどい気味。小学生の頃は金髪のやんちゃな不良少年で、ふつうに友人とも交流していた。小学校の修学旅行中に出会った写真の少女のことが今でも気になっており、彼女と撮った写真を手帳に挟んでいる。家計を支えるためにさまざまなアルバイトをこなし、家庭教師の立場があやうくなったのを機にケーキ屋でアルバイトを始める。3年生への進級時は中野マルオの計らいで中野姉妹全員と同じクラスになり、学級長を務めた。誕生日は4月15日。

中野 一花 (なかの いちか)

旭高校に転校してきた女子で、中野姉妹の長女。アシンメトリー調のショートヘアで、右耳にピアスをしている。面倒見のいいお姉さん気質だが、家では面倒くさがりな一面があり、片付け下手で部屋が汚い。いつも笑顔を浮かべて愛想がよく、上杉風太郎に対しても最初から好意的に接している。からかい上手で小悪魔的なところがあり、つねに風太郎を翻弄している。イメージカラーは黄色で、得意科目は数学。長女として日頃から妹たちのことを気にかけ、風太郎にもお姉さんぶってさまざまな助言を与えている。しかし妹たちに遠慮するあまり、自分の気持ちを押し殺してしまいがち。気配り上手ながら私生活はだらしないタイプで、寝ているあいだに下着以外を脱いでしまうほど寝相も悪い。実は駆け出しの女優であり、人気女優になる夢を抱きながら学生生活の傍ら、家族にも秘密にして活動を続けている。そんな中、女優の夢を知ったうえで応援してくれる風太郎に好意を寄せるようになる。中野三玖が風太郎に思いを寄せていると知ってからは、彼女の行動に焦燥感を覚えながら、さまざまな葛藤に苛まれることになる。風太郎と自分たちの関係に居心地のよさを感じているが、彼への恋心とのジレンマを感じて本音は押し殺している。しかし、中野四葉の励ましを受けて自分の恋心に素直になると同時に、中野二乃が風太郎に告白したことで焦りを感じるようになる。3年生に進級して風太郎と同じクラスになってからは、積極的にアプローチを繰り返し、時には妹たちを驚愕させるような大胆な行動に出ることもある。アパートに引っ越してからは仕事を増やして家計を支えていたが、のちに妹たちの提案で家賃を五等分することになった。修学旅行が終わり、アパートからの退去が決まったのを機に、女優業に専念するために休学する。妹たちに変装するのは三玖の次に上手で、いざというときのために変装道具を持ち歩いている。

中野 二乃 (なかの にの)

旭高校に転校してきた女子で、中野姉妹の次女。太もも辺りまで伸ばしたロングヘアをツーサイドアップにして、結び目に黒いリボンをつけている。気が強く、少々毒舌でヒステリックな性格をしている。姉妹のあいだに異分子が入るのを嫌い、家庭教師となった上杉風太郎にも当初はきつく当たっていた。姉妹の中では唯一料理が得意で、食事作りを担当している。イメージカラーは黒で、得意科目は英語。風太郎を敵視して荒っぽい言動が目立つが、この行動はすべて姉妹を守るためであり、勝ち気だが非常に繊細で姉妹思いなところがある。おしゃれやネイルアートも好きで女子力が高く、社交的で友人も多い。何かと風太郎を追い出すチャンスをうかがっていたが、さまざまな出来事を経て態度を軟化させ、彼を家庭教師として徐々に受け入れるようになる。ワイルドでアウトローな雰囲気を漂わせた男性が好みで、風太郎が持ち歩いている金髪だった少年時代の写真を彼とは別人だと思い込み、好みの顔と公言している。さらには林間学校の肝試しで、金髪のカツラをかぶっていた風太郎を彼の従兄弟の金太郎とカンちがいして告白した。これ以来、金太郎の正体を知らないまま片思いしていたが、のちに正体に気づいて動揺するものの自らの気持ちを整理し、彼への思いに別れを告げた。また金太郎への思いと、幼少期から続いていた姉妹への執着にケジメをつけるべく、長く伸ばしていた髪を切ってセミロングヘアにした。これらをきっかけにこれまで嫌っていた風太郎を意識するようになり、試験終了後に迎えに来た風太郎に、思わず告白してしまう。告白したあとはしばらくとまどっていたものの、ふっ切れたかのように積極的にアプローチを繰り返すようになる。風太郎にただの生徒ではなく異性と認識させようと試行錯誤し、その一途な行動力で中野一花を焦らせている。3年生への進級を機に家賃を姉妹で五等分することになってからは、風太郎といっしょにいる時間を増やそうと、彼のアルバイト先であるケーキ屋でアルバイトを始める。一花と同様に姉妹たちに遠慮はしないが、正々堂々とした方法で風太郎を振り向かせたいと考えている。当初は風太郎のことを呼び捨てにしていたが、告白してからは彼を「フーくん」の愛称で呼んでいる。

中野 三玖 (なかの みく)

旭高校に転校してきた女子で、中野姉妹の三女。右目が隠れる長い前髪を斜めに分けたロングヘアで、首にヘッドフォンを掛けている。口数が少なくクールに見えるが、一度信頼した人物には素直に接する。イメージカラーは青で、得意科目は社会。歴史ゲームがきっかけで武将マニアとなった歴女で、武将の名前はもちろん各武将のエピソードにも詳しい。しかしその趣味は、クラスメートはもちろん姉妹にも隠している。上杉風太郎が家庭教師となったばかりの頃に、彼を屋上に呼び出して歴女であることを打ち明けたのをきっかけに、風太郎に心を開くようになった。中野姉妹の中では最初に風太郎と打ち解け、励ましてもらったことで好意を抱くようになる。風太郎への思いに気づいてからは積極的にアプローチしようとしているが、恋愛経験が少なく奥手なため、風太郎に気づかれることはなくあまり進展もしていない。運動音痴で体力もないが、姉妹への変装を最も得意としている。一方、成績は姉妹の中ではいい方で、風太郎の指導で順調に成績を伸ばしていく。当初は感情表現が乏しく無表情でドライな一面が目立っていたが、風太郎との交流を通じて口数も増え、表情豊かになっていく。自分に自信が持てずネガティブになりがちだが、風太郎への思いは一途で、彼を振り向かせるために努力を重ねている。料理が下手で味音痴な風太郎にトラウマを与えたほどだが、彼の理想の料理がうまい女性を目指し、中野二乃から料理を教わって修業を重ねている。3年生に進級後は、姉妹がアルバイトを始めたのをきっかけに風太郎と同じケーキ屋の面接を受けるが、同時に面接を受けた二乃との勝負に敗れて不採用となった。その後、ケーキ屋の向かいにあるパン屋でアルバイトを始めて料理を覚えていき、学園祭ではパンケーキをおいしく焼けるほどに腕を上げた。

中野 四葉 (なかの よつば)

旭高校に転校してきた女子で、中野姉妹の四女。ボブヘアで、兎耳のようなリボンカチューシャをつけている。明るく人懐っこい性格で、頼まれると忙しくても嫌と言えない、お人よしなところがある。イメージカラーは緑で、得意科目は国語。身内以外には丁寧語で話す。上杉風太郎に勉強を教えてもらうことを素直に喜び、反発する様子もなく最初から好意的に接している。前向きで人の役に立つことが好きで、自分から部活動の助っ人も買って出ている。無邪気に見えるが本心を隠そうとするところがあり、過去の経験から自分に自信が持てずにいる。姉妹の中では最も成績が悪く、風太郎からはやる気は十分なものの一番の問題児と評されるが、身体能力は姉妹の中で一番高い。趣味趣向が子供っぽく、未だに小学生の頃の下着を着用している。風太郎と時間を共に過ごすうちに彼の存在が大きくなっていき、勉強が苦手ながら風太郎に教わりたいと思うようになる。しかし部活の助っ人を頼まれることが多く、試験勉強の妨げとなって支障が出るときもあった。見かねた風太郎たちの助言により、部活の助っ人と勉強の両立を果たす。以前通っていた黒薔薇女子高校在籍時に、落第を左右する追試で姉妹の中で一人だけ落ちてしまい、本来なら中野四葉だけが転校するはずが、心配した姉妹がいっしょ転校することとなった。この経緯もあり、姉妹に罪悪感を抱き続けて遠慮しがちだったが、風太郎に励まされてからは自信を持てるようになり、成長していく。3年生に進級後は、体力を生かして清掃のアルバイトを始める。ウソやごまかしは得意ではないため、姉妹に変装するのは一番苦手で、風太郎にもすぐバレてしまう。

中野 五月 (なかの いつき)

旭高校に転校してきた女子で、中野姉妹の五女で末っ子。上杉風太郎とはクラスメート。癖のあるロングヘアに頭頂部のアホ毛が特徴で、両サイドに星形のヘアアクセサリーをつけている。まじめな性格でやる気もあるが、要領が悪く勉強も空回りがち。イメージカラーは赤で、得意科目は理科。誰に対しても丁寧語で話す。転校初日に風太郎と学食で遭遇して席の取り合いになったり、彼の嫌みな態度に怒りを覚えたりするなど、第一印象はお互いに悪かった。食べることが大好きで、いつもおかわりする食いしん坊ながら、体格は姉妹と変わらない。怖がりな一面もあり、お化けやホラー映画は苦手。姉妹の中で母親の中野零奈を最も慕っており、毎月の14日の月命日には欠かさず墓参りをしている。トラブルや悩み事があるたびに風太郎の家に押しかけているため、上杉家との交流は最も盛んで、上杉らいはを非常にかわいがっている。風太郎をはじめとする異性への警戒心は強く、少々潔癖ながら、天然気味なところがある。風太郎に出会った当初、勇気を出して勉強を教えてほしいと頼むものの断られ、デリカシーのない言葉を言われたことで、彼が家庭教師となったあともしばらく不仲が続いていた。しかし風太郎の熱心な指導や、彼が姉妹と交流する姿を見て気を許すようになり、ケンカも少なくなっていく。幼少期に零奈が亡くなった際に、みんなの母親代わりになることを決意しており、いつも敬語なのは零奈の口調をまねたためである。のちに、零奈のような教師になる夢を抱き、3年生に進級後は下田の協力を受け、塾講師手伝いのアルバイトを始める。実はスイーツ業界で知る人ぞ知るレビュワー「M・A・Y」としてもひそかに活躍していたが、風太郎のアルバイト先に来たのをきっかけに周知されるようになった。中野四葉ほどではないが、ウソやごまかしは苦手で、姉妹に変装するのも得意ではない。

上杉 らいは (うえすぎ らいは)

上杉風太郎の妹。小学生で、黒のロングヘアで頭頂部の一部を縛り、リボンを付けている。オーバーオールを着ていることが多い。風太郎とは異なり、社交的で明るい性格をしている。天真爛漫に見えるが、早くに母親を亡くしたため家の家事を担当しており、料理や散髪もこなすほどのしっかり者。家族思いながら、時おり風太郎に毒を吐くことがある。健気で愛らしい妹キャラでもあり、風太郎から溺愛されている。また、中野姉妹からもかわいがられており、特に中野四葉と中野五月とは仲がいい。色恋沙汰に鈍感な風太郎が、いまいち女心がつかめず中野姉妹のことで悩んでいる姿を見て、的確な助言を与えることもある。得意料理はカレーライス。

上杉 勇也 (うえすぎ いさなり)

上杉風太郎と上杉らいはの父親。金髪の短髪で、頭にサングラスをかけている。容姿は金太郎によく似ている。明るい性格で、ワイルドな雰囲気を漂わせている。妻に先立たれてからは、借金に追われながら男手一つで風太郎たちを育て上げてきた苦労人。実は中野姉妹の継父、中野マルオとは学生時代の同級生でもあり、らいはを通して風太郎に家庭教師のアルバイトを紹介した張本人でもある。

竹林 (たけばやし)

上杉風太郎の小学生時代の同級生だった女子。優等生の美少女で、学級委員を務めており、男女問わずに慕われていた。当時は風太郎と友人で、修学旅行も途中までいっしょに行動していた。のちに旭高校の学園祭を訪れ、風太郎と再会する。この際に風太郎の幼ななじみを名乗り、彼との関係を中野姉妹から怪しまれ、特に中野二乃からは敵意を抱かれていた。風太郎のことを心配していたが、友人となかよくしている彼の様子を見て安心する。

写真の少女 (しゃしんのしょうじょ)

上杉風太郎が小学生時代の修学旅行中に出会った少女。ふくらはぎまであるロングヘアで、ワンピースを身につけている。幼少期の中野姉妹のうちの誰かで、京都駅の近くで友人とはぐれた風太郎に遭遇し、しばらくいっしょに行動するうちになかよくなった。風太郎が勉強に打ち込むきっかけと理由を作った思い出の少女で、当時のツーショット写真は彼の生徒手帳に挟まれ大切にされている。京都で会ってからは一度も会うことはなかったが、風太郎が中野姉妹の家庭教師となったあと、自信喪失していた彼の前に帽子をかぶった姿で現れる。この際に「零奈」と名乗り、風太郎に励ましの言葉をかけたが、詳しいことは語らぬままに別れを告げて姿を消した。

中野 マルオ (なかの まるお)

中野姉妹の継父。大病院を営む医者で、有名な資産家でもある。クールな性格で、いつもポーカーフェイスの現実主義者だが、娘たちのこととなると感情的になることもある。数年前に中野零奈と再婚し、彼女の死後は中野姉妹を全員引き取った。病気で入院した零奈の主治医であり、自分よりも娘たちのことを心配する零奈のことを励まし続けていた。上杉勇也とは学生時代からの付き合いで、優秀な生徒として有名だった。娘たちの学業不振を気にかけ、上杉風太郎に家庭教師を依頼した。娘たちのことを大切に思っているが、多忙を理由にあまり顔を合わせようとしないため、風太郎から父親らしいことをしていないと指摘されたことがある。事あるごとに風太郎の能力や根気を試すような厳しい試練を与えていたが、いくつもの試練を乗り越えた風太郎を認め、改めて娘たちの家庭教師を任せるようになった。態度や行動には出さないが、風太郎と娘たちの関係を気にかけ、遠回しな親バカ発言をすることもある。

中野 零奈 (なかの れな)

中野姉妹の実母。中野姉妹が小学生の頃に病気で亡くなった。命日は8月14日。誰に対しても敬語口調で話す。生前は高校教師を務めており、女子生徒にあこがれを抱かれるほどの美人ながら生徒に媚(こ)びることなく、不良生徒に鉄拳制裁を与えるほどだった。生徒によるファンクラブが結成されるほどの人気教師で、下田をはじめとする多くの教え子から、死後も慕われ続けている。私生活においては五つ子として生まれた娘たちをシングルマザーとして育て、中野マルオと再婚するまでは六人暮らしの中で極貧生活を強いられていた。それでも弱音を吐くことなく、娘たちには五人でなかよくいっしょにいて欲しいと願っていた。得意料理はパンケーキ。

前田 (まえだ)

中野一花のクラスメイトの男子。人相と目付きが悪く、逆立った茶髪の不良っぽい少年。同じクラスの一花が気になっており、林間学校のキャンプファイヤーの伝説に乗じて誘おうとするが、一花が中野三玖に変装を頼んだことを知らずに告白する。この際に三玖のフォローに入った風太郎に因縁をつけるが、次第に親交を深めていって行動を共にするようになる。3年生に進級後は、上杉風太郎や中野姉妹と同じクラスになり、彼や武田祐輔と友人関係を築き、修学旅行や学園祭でも三人で行動していた。

江端 (えばた)

中野マルオの秘書を務める白髪の壮年男性。中野姉妹がマルオに引き取られる以前から現職に就いているが、昔は教師をしていた。中野姉妹をはじめ、上杉風太郎にも好意的に接している。のちに実力不足を痛感した風太郎が自主的に家庭教師を辞めた際、マルオの指示で中野姉妹の新たな家庭教師となる。しかし、風太郎に教わり続けたいと願う彼女たちの頼みを聞き入れ、風太郎に引き続き家庭教師を続けてもらうための手助けを行った。

武田 祐輔 (たけだ ゆうすけ)

上杉風太郎の同級生の男子。父親は旭高校の理事長で、母親は医者を務めており、中野マルオとは懇意の間柄。爽やかなイケメンで女子からの人気が高い。幼少期から両親の教育に縛られ、将来は母親と同じく医者になるよう言われているが、本音では宇宙飛行士を目指しており、そのための努力もしている。学力を鼻にかけることもあるが、不正行為を嫌い勝負事はあくまで正々堂々を貫いている。高校の成績は長らく2位で、いつも学年トップの上杉風太郎を一方的にライバル視していたが、他人との交流を持とうとしない風太郎からは認識すらされていなかった。3年生に進級後は、風太郎や中野姉妹と同じクラスになる。風太郎が家庭教師で忙しくなって成績を落としたと知り、彼と対等に競うべく、親同士の密約をもとに家庭教師交代を賭けて全国模試の順位を争うことになる。風太郎は当日に腹を壊したこともあり、健闘したものの結果的には敗北したが、武田祐輔は風太郎を永遠のライバルとして認めて尊敬の念を抱くようになった。その後は風太郎と自然に交流を持つようになり、彼や前田と三人で行動することが多くなった。

お爺ちゃん (おじいちゃん)

中野姉妹の祖父で、中野零奈の父親。老舗旅館「熊虎」を営んでいる。余命幾ばくもない白髪のか弱い老人で、耳が遠いことから話しかけられても返答がないことが多い。五つ子である孫たちを零奈の忘れ形見として昔からかわいがっており、五人が変装していても誰なのかを見極められる、数少ない人物。旅行でやって来た上杉風太郎と知り合い、中野姉妹の変装を見分けるコツを質問されたが、特にコツなどはなく彼女たちへの愛情のみで見分けていると答えた。

江場 (えば)

旭高校に通う女子。陸上部の部長を務めている。黒髪のポニーテールで、浅黒い肌を持つ。部活への熱意と思い込みの激しさから、周囲への配慮がまったくできないほどに部活に打ち込み、時には部員にも高圧的な態度を取る。助っ人として仮入部した中野四葉の才能に目をつけ、彼女を無理やりに入部させようとした。試験勉強を無視して合宿の強行を目論むなど、人の頼みを断れない四葉の性格を利用した行為を見かねた上杉風太郎たちが心配する中、四葉に変装した中野二乃が強引な勧誘をはっきりと断った。その後、姉妹や風太郎に迷惑をかけたことを反省し、四葉と改めて話し合って大会まで協力してもらう代わりに、強引な勧誘はいっさいしなくなった。その後は四葉のファンと化し、学園祭でも彼女の追っかけをしていた。

下田 (しもだ)

中野零奈の元教え子で、塾講師を務める女性。黒のショートヘアで、眼鏡をかけている。学生時代は髪を染めたヤンキーで、今でも荒っぽい口調で話す。ヤンキーだった頃に零奈の指導で更生し、彼女にあこがれて教育者の道に進んだ過去を持つ。恩師である零奈の月命日の墓参りに訪れた際に、高校2年生になった中野五月と出会い、彼女に請われて零奈の教師時代を語った。楽天家に見えるが、教育者になることの厳しさと現実を見据えており、零奈へのあこがれで教師を目指すようになった五月に、進路をよく考えるよう諭している。その後は五月の夢をサポートするために、塾講師手伝いのアルバイトを紹介した。

織田社長 (おだしゃちょう)

中野一花が所属する芸能プロダクションの代表者を務める中年男性。バツイチのシングルファーザーで、まだ幼い一人娘の織田菊と二人暮らし。一花の女優の才能を活かすために、一見向いてなさそうな仕事や小さな仕事でも、彼女の実力を信じて取っている。一花を通して上杉風太郎とも知り合い、彼に対しても興味を持っている。

織田 菊 (おだ きく)

織田社長の一人娘。幼稚園に通っている。ジト目の三つ編みの髪型で、まだ幼いが妙にシビアで大人びた言動が多い。横柄な態度で上から目線の発言が多いが、本音では寂しい気持ちを抱えている。中野一花に預けられ、中野家で一時的に面倒を見ることになった時に、上杉風太郎とも知り合う。母親の浮気で両親が離婚し、父親が苦労してきたのを見てきたため、ままごと遊びでは母親はいらないと言い張っていた。しかし本音では自分に母親がいないことを寂しく思っており、それらを見抜いた風太郎から、子供らしく素直になるよう諭された。

店長 (てんちょう)

上杉風太郎のアルバイト先であるケーキ屋「REVIVAL」の店長を務める男性。人相は悪いが人当たりがよく、穏やかな性格で面倒見もいい。店を繁盛させるために試行錯誤を繰り返し、風太郎からもそのハングリー精神を高く評価されている。ライバル店である向かいのパン屋を敵視している。客として訪れた中野姉妹に対しても好意的に接し、風太郎との仲をひそかに応援しながら見守っている。のちにアルバイトの面接に来た中野二乃と中野三玖のどちらかを採用することになり、採用試験と選考を風太郎に丸投げした。採用となった二乃を新人アルバイトとして温かく迎えるが、のちに骨折で入院して治るまでしばらく店を休業した。

無堂 (むどう)

中野姉妹の実父で、中野零奈の元夫。白ヒゲを蓄えた壮年の男性で、零奈と同じく昔は教師を務めていた。零奈のお腹の中に五つ子がいるとわかった途端に蒸発し、消息不明となったが、講師として全国を渡りながら家族を心配していた。学園祭で中野五月と出会い、彼女が零奈と同じく教師を目指していることを知って、あきらめるように説得すると同時に、自ら実父を名乗って今まで家族を放置していたことを謝罪する。中野マルオから娘たちを取り戻そうと交渉を試みるが、中野三玖が五月に変装しているのを見破ることができず、娘たちへの愛情がないことを指摘される。さらに、五月とマルオから父親としての責任から逃避していた無責任さを強く非難され、逃げるように去って行った。

金太郎 (きんたろう)

上杉風太郎が金髪のカツラをかぶった時の姿。「金太郎」という名前は、正体を隠すために風太郎がとっさに名乗ったもの。林間学校の肝試しで仮装していた風太郎が、金髪のカツラをかぶった青年の姿で中野二乃の前に現れたため、彼女が以前写真で見た金髪不良少年(幼少期の風太郎)の成長した姿だと勘違いし、その正体が風太郎だと知らぬまま惚れられてしまう。表向きは風太郎の従兄弟ということになっている。のちに二乃から告白されたりいっしょにお菓子作りをしたりするが、不審に思った二乃によって正体がバレてしまう。

集団・組織

中野姉妹 (なかのしまい)

上杉風太郎が家庭教師を務めることになった一卵性の五姉妹。誕生日は5月5日だが、五女の中野五月だけは日を跨(また)いで生まれたため、彼女の正式な誕生日は5月6日。お嬢様学校として知られる黒薔薇女子高校に通っていたが、学業不振により落第しかけたため、中野マルオによって旭高校に転校することとなった。マルオと共に高級タワーマンションの最上階に住んでいるが、多忙な彼はほとんど家に帰って来ないため、ほとんど姉妹だけで暮らしている。当初は風太郎をあまり快く思っておらず、最初に彼が出した小テストは五人全員の合計が100点という惨憺(さんたん)たる結果だった。落第寸前の成績にもかかわらず、勉強から逃げ出すことも多かったが、風太郎との交流を深めるうちに心を開いていくと共に、好意を寄せるようになる。2年生の試験終了後に風太郎が家庭教師を自主的に辞めた時には、五人いっしょにマンションを出て小さなアパートに引っ越し、生活費を稼ぐために中野一花以外はアルバイトを始めた。3年生に進級後は、五人全員が風太郎と同じクラスになった。もともと、父親の無堂が蒸発し、中野零奈が一人で育てていたため、生活は苦しく幼少期は極貧生活を強いられていた。また幼少期は髪型や服装も似ており、外見・内面共に見分けがつかなかったほど。零奈との死別を機にそれぞれの個性が強まっていき、成長と共に髪型や服装の好み、性格や特技も変化した。身体能力は中野四葉以外は苦手か平均的レベルで、料理は中野二乃以外は壊滅的。なお、成長後も変装すると他人からは見分けがつかず、時おり姉妹の姿に変装して難を逃れたり、他人をごまかしたりすることがある。

書誌情報

五等分の花嫁 14巻 講談社〈講談社コミックス〉

第1巻

(2017-10-17発行、 978-4065102497)

第2巻

(2017-12-15発行、 978-4065108147)

第3巻

(2018-03-16発行、 978-4065110751)

第4巻

(2018-05-17発行、 978-4065114162)

第5巻

(2018-07-17発行、 978-4065119884)

第6巻

(2018-09-14発行、 978-4065126073)

第7巻

(2018-12-17発行、 978-4065132500)

第8巻

(2019-02-15発行、 978-4065141250)

第9巻

(2019-04-17発行、 978-4065148792)

第10巻

(2019-06-17発行、 978-4065153086)

第11巻

(2019-09-17発行、 978-4065163351)

第12巻

(2019-11-15発行、 978-4065173121)

第13巻

(2020-01-17発行、 978-4065184523)

第14巻

(2020-04-17発行、 978-4065186879)

五等分の花嫁 特装版 14巻 講談社〈プレミアムKC〉

第14巻

(2020-04-17発行、 978-4065197226)

五等分の花嫁 フルカラー版 14巻 講談社〈KCデラックス〉

第1巻

(2020-04-17発行、 978-4065195154)

第2巻

(2020-05-15発行、 978-4065195161)

第3巻

(2020-06-17発行、 978-4065204443)

第4巻

(2020-07-17発行、 978-4065206171)

第5巻

(2020-08-17発行、 978-4065210055)

第6巻

(2020-09-17発行、 978-4065211465)

第7巻

(2020-10-16発行、 978-4065211489)

第8巻

(2020-11-17発行、 978-4065211496)

第9巻

(2020-12-17発行、 978-4065211502)

第10巻

(2021-01-15発行、 978-4065211519)

第11巻

(2021-02-17発行、 978-4065211533)

第12巻

(2021-03-17発行、 978-4065211540)

第13巻

(2021-04-16発行、 978-4065211526)

第14巻

(2021-05-17発行、 978-4065211557)

五等分の花嫁 一花の夢 講談社〈講談社プラチナコミックス〉

(2024-03-15発行、 978-4065348574)

五等分の花嫁 二乃の気持ち 講談社〈講談社プラチナコミックス〉

(2024-04-24発行、 978-4065351338)

五等分の花嫁 三玖の本気 講談社〈講談社プラチナコミックス〉

(2024-05-15発行、 978-4065351345)

五等分の花嫁 四葉の秘密 講談社〈講談社プラチナコミックス〉

(2024-06-12発行、 978-4065351321)

五等分の花嫁 五月の願い 講談社〈講談社プラチナコミックス〉

(2024-07-10発行、 978-4065351352)

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