島耕作が異世界に転生
原作『課長島耕作』は講談社「モーニング」で、1983年6号から1992年7号にかけて連載された弘兼憲史の人気作品。その後も続編にあたる『部長島耕作』『取締役島耕作』『常務島耕作』『専務島耕作』『社長島耕作』『会長島耕作』『相談役島耕作』『社外取締役島耕作』や、過去編にあたる『ヤング島耕作』『係長島耕作』『学生島耕作〜就活編〜』が連載され、テレビアニメやテレビドラマ、ゲーム、実写映画といったメディアミックスが展開された。本作『騎士団長 島耕作』は、島耕作が騎士団員「コーサク・シマ」として異世界に転生し、転生前のサラリーマン時代の知見を生かして困難を乗り越えていく、王道ファンタジーとなっている。
サラリーマン時代の関係者たちと共闘
本作は、前世で島耕作がかかわった人々が生まれ変わった姿で登場する。例えば、コーサク・シマと同じ騎士団に所属するカシムは、サラリーマン時代の島の同僚だった樫村健三が転生した存在で、ファーストターフ王国と対立する「ソラー帝国」に所属していながら、転生したコーサクの生きざまを見届けるために、身分を隠してファーストターフ王国の騎士団に潜入したという経緯を持つ。また、コーサクが城下町で出会ったスライムは、元恋人の大町久美子をはじめ、かつて島と恋愛関係になった女性の意識の集合体で、コーサクが島であることを知っている。やがてコーサクは部長以降の記憶を取り戻し、その知識と経験を生かしてファーストターフ王国にせまる危機に抵抗する要となる。
ファーストターフ王国に降りかかる危機
コーサク・シマは、サラリーマン時代の記憶を取り戻していくうちに、ファーストターフ王国を守護する女神から、転生した理由を聞かされる。それによるとファーストターフ王国は、超常的な力と悪意を持つ存在に狙われており、対策を施さなければ遠からず滅亡するという。だが、社長へと上り詰めた島耕作の知識と経験をもってすれば滅びゆく運命に抗える可能性が浮上し、コーサクとして転生させたのである。やがて、脅威となる存在への対抗策として伝説の剣「シャチョウカリバー」が必要であることが明らかになり、その使い手としてコーサクに白羽の矢が立つ。
登場人物・キャラクター
コーサク・シマ
ファーストターフ王国の騎士団員を務めている男性。ある日、御前試合の最中に頭を打ったことで記憶を失うが、自らがかつて「島耕作」という名のサラリーマンであったことを思い出す。さらに、ファーストターフ王国の王級や騎士団の関係者が、島の学生時代や会社員時代の知り合いと容姿や人格が似ていることに気づき、任務を通じて王国の情勢を探り始める。剣の腕はまずまずながら、転生者が持っているはずの「スキル」と呼ばれる能力を授かっていない。しかし、コミュニケーション能力の高さや前向きな性格、女運のよさは転生前と変わらず、持ち前の行動力を生かして頭角を現し、やがて騎士団の中で注目を集めるようになる。転生した当初は、課長時代までの記憶しか思い出せなかったが、サラリーマン時代の部下で恋人の大町久美子の姿に変身できるスライムの助言により、「島耕作レベル」と呼ばれるパラメータを上昇させることで、部長時代以降の記憶を思い出せることが明らかになる。
カシム
ファーストターフ王国の騎士団員を務めている男性。コーサク・シマの同僚で、かつて島耕作の親友だった「樫村健三」にそっくりの容姿と性格の持ち主。当初は、ほかのファーストターフ王国の住民と同じく、島の知り合いと同じ姿をした別人と思われていた。だが、実際はフィリピンで銃弾に倒れた樫村が、ソラー帝国の神の手によって転生させられた姿だった。転生する際に「軽火器」と呼ばれるスキルを授かっており、いつでも好きなときに銃器を発現させ、自在にあやつることができる。コーサクが島の転生体であることを当初から認識しており、素性を隠してファーストターフ王国の騎士団に潜入したのも、現世で死別したコーサクの成長を見届けるためだった。コーサクが記憶を取り戻すと、彼に自らも転生体であることを明かし、あらためて共闘する。
クレジット
- 原案
- シナリオ
-
別府 マコト
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島耕作シリーズ (しまこうさくしりーず)
大手電機メーカー初芝電器産業に務める島耕作が課長から社長へと昇進して活躍する約30年間を描いた弘兼憲史の代表的シリーズ作品。初期はサラリーマンの悲哀、オフィスラブを中心にした物語だったが、出世するにつ... 関連ページ:島耕作シリーズ
書誌情報
騎士団長 島耕作 全3巻 一迅社〈ZERO-SUMコミックス〉
第1巻
(2019-09-25発行、 978-4758034616)
第2巻
(2020-07-27発行、 978-4758035293)
第3巻
(2021-03-25発行、 978-4758035941)