概要・あらすじ
教師になって2年目の十日町武士は、どう見てもウサギにしか見えない体育教師のラビの存在を認められずにいたが、同僚の先生たちは「カワイイんだから」「差別はだめだ」と取りつく島もない。そんな市立玉姫中学にある日、理科の代理教師がやって来る。美人だという噂に、職員室はまるでお祭り騒ぎのようになる。そんな中、現れた桐生早苗は、美人で巨乳の持ち主で、まさしく魔性の女といった雰囲気。
彼女をめぐり、玉姫中学は大波乱が巻き起こりそうなムードに包まれる。
登場人物・キャラクター
十日町 武士
市立玉姫中学の国語教師の男性。年齢は24歳。先生や生徒たちから「トカチン」と呼ばれている。2年3組の担任を務めているが、何かと空回りしがちで、張り切れば張り切るほど自分の株を落としている。顔は悪くないのだが、単細胞過ぎるせいで、生徒や他の先生からはいつも軽く見られている。
桐生 早苗 (きりゅう さなえ)
市立玉姫中学の理科の代理教師の女性。年齢は27歳。美人で巨乳の持ち主で、謎めいた雰囲気を漂わせている。文字が入った特攻服のような白衣を愛用しており、校内では怖いものなしの女王様的存在。発掘調査が趣味で、調査の際には十日町武士を使用人のようにこき使っている。のちにさらなる発掘調査のため、「桐生調査隊(仮)」を結成する。
庭山 育子
市立玉姫中学の音楽教師の女性。年齢は25歳。ショートボブの髪型をした、さわやか系美女で、クールにさらっと黒い発言をする。貧乳だけが悩みの種。十日町武士をからかうのが好きで、山本キャサリン文子と仲が良い。学校のアイドル的存在であり、飯島、阿部、武藤の「玉中オヤジトリオ」からは「姫」と呼ばれている。
山本 キャサリン文子
市立玉姫中学の英語教師の女性。年齢は33歳。ロリータ系の服を愛用しており、皆から「ロリ本」と呼ばれている。いつも物事の核心をつく発言をする切れ者だが、真っすぐ過ぎる性格のため、よく喧嘩をしている。同僚の庭山育子と仲が良い。
ラビ
市立玉姫中学の体育教師で、30代の人物。巨大なうさぎにしか見えず、暴力的ではあるものの、その愛らしさから生徒に人気がある。基本的に言葉は発しないが、玉姫中学の運動部のレベルを底上げした実績を持つ優秀な教師。桐生早苗に一目惚れしたが、まったく相手にされていない。地震と怪談話が何よりも苦手。
松平 春彦
市立玉姫中学の校務員の男性。年齢は52歳。経歴や採用経緯が不明な謎の人物。玉姫中学では何故か誰よりも強い権力を持っているため、教師や生徒達から「ドン」と呼ばれている。校舎裏に小屋を建て、燻製室まで所有し、優雅に暮らしている。庭山育子のファン。
諸橋 平吉
市立玉姫中学の校長を務める男性。ハゲ頭で体格も小柄、さらに存在感が薄く、常におどおどしており、教頭の白石四郎にも頭が上がらない。嬉しい時は1人で校長室にこもり、椅子をグルグル回しながら喜びを噛みしめるという、人畜無害の人物。
白石 四郎
市立玉姫中学の教頭を務める男性。教頭たる者、「常に紳士であれ」との持論を持ち、ダンディを気取っている人物。「女性はホメて育てる」主義だが、桐生早苗のマイペースな態度に振り回され、我を忘れて取り乱すことが多い。
飯島
市立玉姫中学の社会教師の男性。年齢は35歳で、既婚者。キャバクラが好きなエロオヤジ。オヤジギャグとダジャレを駆使した授業は意外に生徒に評判が良く、十日町武士に授業のコツを教えている。のちに石黒努の母と知り合い、恋に落ちてしまう。「玉中オヤジトリオ」の一員。
阿部
市立玉姫中学の数学教師。独身の男性。鼻が丸く、丸メガネをかけており、単語ばかりを並べて発言する独特のしゃべり方をする。その不審さから電車の中で痴漢に間違われたことがあるが、その時には山本に助けられた。庭山育子が拾ってきた猫の可愛さに夢中になる、動物好きな一面も持つ。通称「ドンキ」で、「玉中オヤジトリオ」の一員。
武藤
市立玉姫中学の生活指導教師。独身の男性。実家が寺ということもあり、坊主頭にしている。たまに住職面をして、自身のスケベ心をありがたい言葉で正当化することがある。「玉中オヤジトリオ」の一員で、女性にアピールする際には、山を所有しているということを前面に出す。
山崎
市立玉姫中学に教育実習に来た男性。アルバイトの塾では人気No.1の講師を務めている実力者で、何事にもそつがない。そのため、十日町武士に嫉妬され、ライバル視されている。「桐生調査隊(仮)」の一員で、十日町が「桐生調査隊(仮)」に入れるように協力するなど、優しい一面もある。
バクちゃん
隣町の川又中学の男性教師であった幽霊。死因は交通事故だった。学校を懐かしく思って市立玉姫中学にやって来るが、学校の屋上にいた堀田が自殺しようとしていると勘違いして助けようとし、周囲にその存在を認知されることとなった。その後、幽霊好きな桐生早苗に気に入られ、「バクちゃん」と命名されて、勧められるままに玉姫中学の地縛霊となる。 照れ屋で優しい性格をしている。
大川 みずき
市立玉姫中学の体育教師の女性。地味で控えめな性格で、ぽっちゃりした体型をしている。教頭の白石四郎に優しいねぎらいの言葉をかけられただけで、ポッと頬を赤らめるような、純情な乙女心の持ち主。その割に、飯島、阿部、武藤の「玉中オヤジトリオ」からすらも女性として相手にされない、気の毒な人物。
田中 修一
市立玉姫中学の2年3組の男子生徒。不登校で学校には月に3回ほどしか行っていないが、特に何かに悩んでいるわけではなく、成績も良い。祖父の田中茂助の整体院にやって来た美人教師・桐生早苗の存在を知ってからは毎日学校に行くようになり、「桐生調査隊(仮)」の一員となる。
田中 茂助
田中修一の祖父。診療所「秘密気功整体院」を開いている凄腕の整体師。秘密流気功拳の師範でもある。ツルピカの頭に長いひげをたくわえ、仙人のような風貌をしている。整体の施術では、誰もが恍惚感を感じてしまうほどの妙技を誇り、桐生早苗をも虜にするほど。
篠原 由香
市立玉姫中学の2年3組の女子生徒。「幸せってなんだろう」「人の命って何?」という抽象的なことを考えすぎ、生きる気力を失くしてしまった状態にある。桐生早苗にビーカーで作った味噌汁を勧められてから、桐生のファンになり、「桐生調査隊(仮)」の一員となる。
大林 良治
有名な教育評論家の男性。著書では「身なりや表情の印象を捨ててこそ、その人の本質が見える。」と説いている。しかし、市立玉姫中学に講演に来た際、自分の愛娘がラビに一目惚れしてしまい、自分の教育論と現実のギャップに悩まされることとなる。
早坂 吉乃
市立玉姫中学の3年1組の女子生徒。フェロモン全開の大人っぽい女性で、自分の魅力に自信を持っている。小悪魔的な性格の持ち主で、自分に興味がないと公言した十日町武士を落とすため、誰もいない会議室に彼を呼び出す。
西村 浩平
市立玉姫中学の2年3組の級長を務める男子生徒。生徒にホームルームをボイコットされた担任の十日町武士を心配し、担任が二度も変わる事態は避けたいと、十日町を励ます大人びた少年。「負け犬を引き止めることなんかない」と言う桐生早苗に激しく反論する、激情的な一面も持つ。
石黒 努
市立玉姫中学の3年1組の男子生徒。少し長めのヘアスタイルをした不良ぽい少年ながら、母親想いの優しい性格。石黒努の母にちょっかいをかけた飯島に文句を言おうとしていた。しかし、飯島が正直に石黒の母親への気持ちを打ち明けたため、下心はないと言い切る飯島を信じることにする。
石黒努の母
石黒努の母親。2年前に夫を亡くし、スーパーでレジ打ちのパートをしている。その姿を見た飯島に好意を持たれ、メールをやりとりする間柄になる。飯島より年上だが、細くてか弱く、おとなしい感じの女性。
篠原 由利江
篠原由香の母親。市立玉姫中学のPTA会長を務めている。庭山育子がホストクラブ通いをしていると聞きつけ、「女性教諭にどんな躾をしているのか」と市立玉姫中学に抗議しに訪れた。意地悪な性格で、庭山のことを衆目の前で徹底的に追い詰めようとする。
堀田
市立玉姫中学の男子生徒。屋上で幽霊のバクちゃんに自殺と勘違いされて助けられた。そこでバクちゃんの素性を知り、職員室に彼をしばらくおいてやってくれ、と頼む情に厚い性格。また、ことわざに詳しく、十日町武士がことわざにハマるきっかけを作った人物。
集団・組織
桐生調査隊(仮)
桐生早苗が発掘調査のために結成した調査隊。メンバーは桐生を慕う田中修一、篠原由香、山崎。これまで以上にハードな場所に調査に出かけるべく、生存(サバイバル)能力のない足手まといは必要ないと、入隊資格があるかどうかテストをすることになる。
場所
市立玉姫中学校 (しりつたまひめちゅうがっこう)
十日町武士が勤める中学校。通称「玉中」。個性溢れる教師たちがそろっており、どう見てもウサギにしか見えない体育教師のラビや、元教師の幽霊・バクちゃんなどが、何の問題もなく在籍している。校務員の松平春彦が、校舎裏に小屋を建てて住んでおり、校長の諸橋平吉よりも強い権力を持つ。