概要・あらすじ
夏目漱石、本名夏目金之助は『吾輩は猫である』などで知られる文豪である。当時としては稀有な国産英文学者であり英語教師であった彼は、30代半ばにして小説を書き始め、作家としての人生を送る。そんな彼の半生を綴った資料の中には、文豪としての夏目漱石ではなく、先生と呼ばれ親しまれた夏目金之助の生き生きとした姿が見られる。
本書は、そんな夏目金之助の数々のユニークなエピソードを紹介している。
登場人物・キャラクター
夏目 漱石 (なつめ そうせき)
小説『吾輩は猫である』などで知られる日本を代表する小説家。英語教師であった経験を活かし、一躍有名作家の座まで登りつめた。そんな漱石だが、極度の甘党だったり、実は犬派であったり、生粋の江戸っ子であったなど、ユーモラスなエピソードに事欠かない。同名の実在人物をモデルにしている。
寺田 寅彦 (てらだ とらひこ)
漱石が熊本の第五高等学校へ勤務していた時の生徒。俳句に興味を持ったことで漱石の門下生となった。小説『吾輩は猫である』の寒月くんや、『三四郎』の野々宮さんのモデルになっているとも言われている。同名の実在人物をモデルにしている。
松根 豊治郎 (まつね とよじろう)
漱石が愛媛の松山中学校へ勤務していた頃の教え子。明治時代の俳人で、俳号は東洋城。漱石が英国から帰国後に弟子入りした。同名の実在人物がモデル。
小宮 豊隆 (こみや とよたか)
漱石の友人の従兄弟。漱石に最も愛された男とも呼ばれている。学生時代は内気で引っ込み思案な性格だったが、成長すると強気で、出で立ちも派手になっていた。同名の実在人物がモデル。
正岡 子規 (まさおか しき)
明治を代表する俳人、歌人。本名は正岡常規という。漱石とは東京大学予備門時代からの友人であり、正岡子規が亡くなるまで、その親交が途切れることはなかった。同名の実在人物がモデル。
中村 是公 (なかむら よしこと)
2代目南満州鉄道総裁。漱石とは2畳の寄宿舎で共に暮らした仲。お互いにどんな仕事をしているのか知らなかったが、学生時代に戻って話し合える関係であった。同名の実在人物がモデル。
森田 草平 (もりた そうへい)
小説家。平塚明子と心中を試みるも未遂で終わる。その後も師匠である漱石に迷惑をかけるが、なぜか漱石は面倒を見続けた。同名の実在人物がモデル。
鈴木 三重吉 (すずき みえきち)
漱石の弟子である小説家、児童文学者。元々は子供嫌いであったが、自分の長女が誕生した事で考えが一転。子供の為の話を作ろうと、現代にも読み継がれる、児童文芸誌「赤い鳥」を生み出した。同名の実在人物がモデル。
野上 豊一郎 (のがみ とよいちろう)
英文学者であり、能の研究家。法政大学総長も務めている。妻は、小説『利休と秀吉』などで有名な野上弥生子。漱石の指導を受けて小説家となり、99歳まで現役の作家として活躍し続けた。同名の実在人物がモデル。
芥川 龍之介 (あくたがわ りゅうのすけ)
小説家。漱石晩年の門下生であり、第4次新思潮組。『羅生門』『蜘蛛の糸』の作者として有名。非常に負けず嫌いな性格で、同門の門下生にも冷たく接する一面もあった。同名の実在人物がモデル。