八つ墓村

八つ墓村

これまでに何度も映画化、TVドラマ化されている横溝正史のミステリー小説『八つ墓村』のコミカライズ作品。昭和初期に発生した大量殺人事件をモチーフに、山間の寂しい村に伝わる血塗られた伝説と、次々に起こる謎の殺人事件、忌まわしき運命に翻弄される主人公の苦悩と葛藤を描く。

正式名称
八つ墓村
原作者
横溝 正史
作者
ジャンル
推理・ミステリー
レーベル
コミックノベルス(講談社)
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概要・あらすじ

鳥取と岡山の県境にある寂しい山村。そこには、戦国時代、毛利氏との争いに敗れた尼子一族の武者たちが落ちのび、金目に欲が眩んだ村人たちによって、無残にも8人が殺された、というおぞましい歴史が言い伝えられている。昭和23年(1948)に、その「八つ墓村」で32人が殺害される、という大量殺戮事件が発生した。家を飛び出した妻子を連れ戻したいがため、狂気に走った男による犯行で、妻子は村を脱出、男は山に隠れた。

その事件もまた、村人たちの間では「八つ墓村の呪い」として、記憶に刻まれるようになる。事件が発生して20年後、母親と共に八つ墓村を逃れた田治見辰弥は、事件とは無関係に神戸で穏やかな生活を送っていた。ある日、八つ墓村に住む親類の依頼を受けた弁護士から、出生の秘密にまつわる真実を知らされた辰弥は、生まれ故郷に足を踏み入れることを決意する。

運命に吸い寄せられるようにやってきた辰弥を待っていたのは、村人たちの疑念と不信、恐怖に慄く視線と、謎の連続怪事件であった。そこへ、この事件の真相を探るべく1人の私立探偵が現れる。彼の名は金田一耕助

これまで数多くの事件を解決に導いてきた名探偵であった。

登場人物・キャラクター

田治見 辰弥 (タジミ タツヤ)

八つ墓村で32人を殺害した田治見要蔵の息子。温厚篤実で律儀な20歳の好青年。事件発生と共に、母親に背負われて村を脱出。その後、母親は病死し、神戸で身よりもいない孤独の生活を送っていた。幼少の頃、父親から火鉢を体に押し付けられるなどの虐待を受け、背中には痛々しい傷跡が残る。東屋の跡取り候補として親族の要請を受け、八つ墓村を訪れる。 そこで連続して起きる怪死事件に巻き込まれる。呪われた運命と過酷な境遇と闘いながら、事件の真相解明に挑む。旧姓は寺田辰弥。

金田一 耕助 (キンダイチ コウスケ)

年齢不詳の私立探偵の男性。飄々とした風貌と、軽快で理路整然とした語り口調が持ち味で、不思議な魅力を持つ。警察の絶大な信頼のもと、八つ墓村で次々起こる怪事件の解決に挑む。一見して何を考えているのかわからないところもあるが、その鋭い状況分析と深い洞察力を目の当たりにした者は、誰もが、彼が尋常ではない探偵であることを知ることとなる。 核心に迫るような大事な推理をするとき、頭をポリポリと掻き毟(むし)る癖がある。

田治見 要蔵 (タジミ ヨウゾウ)

八つ墓村の名主・東屋の跡取りの男性。粗暴な性格で、妻や幼い子供に暴力を振るった挙句に逃げられた。妻子に逃げられたことに逆上し、猟銃で村人32人を殺害、山に逃亡して身を隠す。現在、生きているのか死んでいるのか定かではない。

田治見 鶴子 (タジミ ツルコ)

田治見要蔵の妻で、田治見辰弥の母親。年齢は30歳くらい。借金を抱えていた実家の事情で、要蔵の後妻となった。要蔵による度重なる家庭内暴力に耐えきれず、幼子を抱えて実家の床下に身を潜める。しかしここも安全ではないことを知り、密かに村を脱出し、行方をくらます。

諏訪 (スワ)

神戸の弁護士。八つ墓村出身の男性。八つ墓村の東屋からの依頼で、田治見辰弥の八つ墓村行きを世話する。眼鏡と蝶ネクタイ、でっぷり太った狸のような容貌が特徴。明るい人柄と軽妙な語り口調からは、八つ墓村出身者特有の、重苦しく陰湿的な雰囲気は感じられない。

森 美也子 (モリ ミヤコ)

八つ墓村出身の女性。田舎育ちとは思えない、洗練された美貌と落ち着きを持った26歳の美女。田治見辰弥が抱える苦悩と境遇に心から同情し、面倒を見る。村人から冷たい視線を浴びる辰弥側に立ち、彼を支えようとする。

吉造 (キチゾウ)

八つ墓村で商売を営む初老の商人の男性。井川家とは商売上のライバル関係にあった。田治見辰弥の帰郷を快く思っていない素振りを、何度か見せる。何を考えているのかわからない、不気味な雰囲気を持っている。

濃茶の尼 (コイチャノアマ)

八つ墓村の尼。本名は「妙連」だが、「濃茶の尼」という呼び名で通っている。夫と息子を20年前の凄惨な事件で失った。それ以来、八つ墓村の血塗られた伝説に必要以上に脅え、狂ったように流言を口走って、村人たちを惑わしている。田治見辰弥こそ、八つ墓村で起こる奇怪な殺人事件の犯人だと信じて疑わない。

梅幸 (バイコウ)

八つ墓村の尼。騒々しい濃茶の尼とは対照的に、泰然自若とした姿勢で、八つ墓村の村人たちを見守る。田治見辰弥の出生に関する重大な秘密を握っていると思われる。辰弥に事件の鍵を握る大切な情報を渡すため、密かに彼を呼び出す。

小竹 (コタケ)

田治見辰弥の大叔母。小梅とは一卵性双生児で、100歳近い長寿を誇る。田治見家の跡取り問題に心を痛めていたが、辰弥が戻ってきてくれたため安堵している。100歳近い年齢とは思えないほど、しっかりしている。

小梅 (コウメ)

田治見辰弥の大叔母。小竹とは一卵性双生児。性格も話し方も瓜二つで、親族ですら2人の区別はつかないほど。小竹同様、辰弥の帰郷を喜んでいる。100歳とは思えないほど、元気でかくしゃくとしている。

田治見 久弥 (タジミ ヒサヤ)

田治見辰弥の兄。田治見家の長男。肺病にかかり、寝たきりの生活を送っている。親類の医師・久野の処方薬や、小竹と小梅の看病もむなしく、余命いくばくもないものと思われる。自分も誰かに殺される運命だと、死に際の病床で密かに考えている。

田治見 春代 (タジミ ハルヨ)

田治見辰弥の姉。20代後半くらいの控えめで綺麗な女性。体が弱いという事情もあり、独身を保っている。いわれなき中傷にさらされる辰弥を陰で健気に支え、辰弥が村人から犯人扱いされたときも、毅然と反論するなど、気丈な一面も持つ。

里村 慎太郎 (サトムラ シンタロウ)

田治見要蔵の弟である修二の息子。年齢は30歳前後。辰弥と共に、田治見家後継者の資格を持つ。東京に出て事業を起こし、大実業家として成功するが、やがて多額の負債を抱え込み破産。今は八つ墓村で失意の生活を過ごしている。

里村 典子 (サトムラ ノリコ)

里見慎太郎の妹。清々しいながらも、どこか影を感じさせる少女。20年前の八つ墓村で、大量殺人事件のさなかに生まれた。早産が原因で母親を失うが、悲しい運命にもめげず、明るく前向きに生きている。20年ぶりに帰郷した、年の近い辰弥に、少なからず興味を抱く。

野村 壮吉 (ノムラ ソウキチ)

西屋の主人の男性。八つ墓村では東屋と並ぶ村の実力者で、田治見家とはライバルの関係にある。柔和で穏やかな風貌を持ち、名家らしくどっしりと構えている。目立たないが、村の勢力バランスを保つうえで重要な存在である。

久野 (ヒサノ)

久松のかかりつけの医師の男性。田治見家の親類。新居修平という医師が八つ墓村に来たため、仕事を奪われ焦燥の生活を送っている。新居への憎しみは深く、村の至るところで彼の影口を叩いている。

新居 修平 (アライ シュウヘイ)

井川丑松のかかりつけ医の男性。医者としての腕前も評判も久野より格段上で、名医の呼び声高い。そのため、久野から激しい憎悪の感情を抱かれている。村の風評に惑わされることなく、淡々と仕事をこなす。

磯川 常次郎 (イソカワ ツネジロウ)

八つ墓村の近隣N町の警部の男性。不審死事件が連続発生する八つ墓村に捜査本部を設置し、捜査にあたる。事件が田治見辰弥の帰郷以来連続して起きているため、辰弥の動向を特に注視している。金田一耕助とは旧知の関係にある。

英泉 (エイセン)

八つ墓村にある麻呂尾寺の僧侶。10年ほど前、麻呂尾寺の住職の長英を頼って八つ墓村に来たが、素性は明らかでない。懇意にしていた蓮光寺の住職であった洪禅が、不審死を遂げたことを受け、たまらず田治見辰弥の関与を疑い、彼を糾弾する。その取り乱しようは、何か重大な秘密を握っているようにも見られる。

井川 丑松 (イガワ ウシマツ)

八つ墓村の村民。田治見鶴子の父親で、寺田辰弥の祖父。田治見要蔵による大量殺人事件が村で発生したとき、鶴子と辰弥の身を案じて実家の床下に匿った。「鶴子を要蔵に返せ」という村民の要求をはねつけ、鶴子と辰弥を裏口からこっそり抜け出させ、村からの脱出を手助けした。

クレジット

原作

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