概要・あらすじ
祖父のブライアン・アメリアと共に小笠原諸島で空輸便の仕事をしている御蔵みくら(ミクラ)は、仕事を終え、海でひと泳ぎして帰ろうと思っていた矢先に祖父の死を伝えられる。そんなある日、消沈していたミクラは祖父の部屋で、彼からミクラへ宛てられた幻のエレキテ島についての考察が30年分も纏められたノートと、エレキテ島行きの小包を見つける。
考察ノートを貪り読んだミクラは、祖父の遺志を継いでエレキテ島へ行くための準備を進め、航海の旅へと出発するのであった。
登場人物・キャラクター
御蔵 みくら (みくら みくら)
小笠原諸島の離島で空輸便の仕事を営む若い女性。長い髪を2つに分けて三つ編みのおさげにしている。かつては家族と共に大島で暮らしていたが、あまり馬が合わず、祖父のブライアン・アメリアの空輸便の仕事を手伝うという名目で、小笠原諸島の離島で祖父と2人暮らしをしていた。今は祖父の遺した家で黒猫のエンデバーと共に暮らしている。 ローマ字で自身の名前が大きく描かれた小型飛行機を所有しており、仕事終わりに海水浴をするのが何よりの楽しみ。祖父の遺品からエレキテ島へ行く手がかりを掴み、航海の旅へ出る。
ブライアン・アメリア (ぶらいあんあめりあ)
御蔵みくら(ミクラ)の祖父で、小笠原諸島の離島で空輸便の仕事を営んでいた。顎鬚を生やして、ギョロッとした大きな目を持ち、常にパイプを口にくわえている。長年幻の島であるエレキテ島について研究をしながら空輸便の仕事をしていたが、志半ばで亡くなってしまう。死の直前、孫娘のミクラに宛てて今まで研究をしてきたエレキテ島についての考察が書かれたノートと、「アメリア」という自身と同じ苗字の女性に宛てたエレキテ島行きの小包を遺す。
流郷 (りゅうごう)
かつて、中学生だった御蔵みくら(ミクラ)に英会話の特訓をしていた男性。地球物理学が専門であり、大学修士時代に同じ専攻分野で研究をしていた父親と仲たがいして大学を退学し、その後伊豆諸島にある御蔵島に英語の中学教師として赴任した。当時はよく学校の校庭に天体図を描いたり、プレートテクトニクスパズルや地殻トーテムポールといった不思議な発明品を作ったりしていた。 ミクラの祖父であるブライアン・アメリアと共に幻の島エレキテ島について研究をしていたが、台風で遭難して亡くなっている。
校長先生 (こうちょうせんせい)
かつて御蔵みくら(ミクラ)が通っていた伊豆諸島にある御蔵島の小中学校の校長。鼻の下に髭を生やして丸眼鏡を掛けた中年の男性。ミクラの小中学生時代に校長を務めており、現在も同じ学校で校長をしている。当時のミクラがお転婆娘だったため、彼女のフォローによく振り回されていた。
哲 (てつ)
小笠原諸島の離島で引網漁を営んでいる漁師の中年男性。短髪で口髭と耳から顎までを覆うくらいの豊かな顎鬚を生やしている。煙草が好き。御蔵みくら(ミクラ)とは顔なじみで、ミクラの小型飛行機を船舶で牽引するなど、協力して仕事にあたることもある。ミクラが墜落して遭難した際には救助に向かった。
清十郎 (せいじゅうろう)
小笠原諸島の離島でツツミ急便という運送会社を営む男性。ミクラ空輸便とは仕事でのパートナーシップを結んでおり、御蔵みくらに特急便の手配を頼むことがある。
源じい (げんじい)
小笠原諸島の離島で生まれ育ち、その後は御蔵島に移って生活している高齢の男性。ステテコ姿で、よく煙草をふかしている。近所に住んでいた御蔵みくら(ミクラ)に、幼少の頃、真夜中にエレキテ島を見たという体験談を聞かせていた。時々ミクラを相手に将棋を指している。
紀子 (のりこ)
神奈川県の横須賀で働く女性。肩ぐらいの髪を2つに分けておさげにし、普段は職場のロゴの入ったツナギを着ている。御蔵みくら(ミクラ)の中学校時代の同級生であり、今も親交のある友人。何かとミクラのことを気にかけており、横須賀にある居酒屋で久しぶりに再会を果たした。
所長先生 (しょちょうせんせい)
小笠原諸島の離島に住んでいる中年の男性。鼻の下と顎の髭を長く伸ばしている。短髪で、ポロシャツにハーフパンツを履いている。よくミクラ空輸便に空輸便の荷物を頼んでいる常連客。「三十郎」という名前のイルカを飼っており、御蔵みくらが海水浴をする際に戯れて可愛がってもらっている。
エンデバー
御蔵みくら(ミクラ)が飼っている黒猫で、主食はマグロの缶詰。ミクラに非常に懐いており、家では常に彼女の後を追いかけている。普段は祖父のブライアン・アメリアの家で留守番をしているが、時折ミクラが仕事場に連れて行ってくれることもあり、エレキテ島を探す航海に出る際にも同行する。
集団・組織
ミクラ空輸便 (みくらくうゆびん)
小笠原諸島の離島にある空輸便の会社。ブライアン・アメリアが創業し、のちに孫娘である御蔵みくらが後を継ぐ。主に大島から小笠原の範囲内でのエアメール、小包等の荷物を小型飛行機で運搬している。一週間便という定期的に同じ荷物を運搬する業務も行っており、その場合は1グラム1円で運搬していて、同じ送り先への荷物があった場合は、大きさにもよるが基本的にはサービスで一緒に届けている。 特急便は受付時間と届け先次第だが、当日から翌日までには運搬できる。
場所
エレキテ島 (えれきてとう)
ブライアン・アメリアと流郷が長年研究してきた幻の島。船のレーダーに反応しても、近づくとレーダーから消えてしまったり、ボートを出して接近した者は誰一人帰ってこないと言われていることから、昔から漁師などには「蜃気楼島」として知られている。ただし、実際に目にした者が誰一人いないことから、大半の島民はその存在を信じていない。 ブライアン・アメリアの遺したエレキテ島の考察ノートには、彼らがエレキテ島の存在を実証するために何度も航海の旅に出ていることが記録されているが、発見までに至っていない。
その他キーワード
エレキテ島の考察ノート (えれきてとうのこうさつのーと)
ブライアン・アメリアが孫娘の御蔵みくらに宛てて残した遺品の中にあった、30年分ものエレキテ島についての研究や日誌がノートにまとめられた膨大な資料である。エレキテ島の目撃情報や、場所についての考察、膨大なデータが事細かく書き記されている。実際にエレキテ島を探しに旅立った際の航海日誌には、祖父のブライアン・アメリアが亡くなった後のこれから起こる未来の情報についてまでもが予知され、書き記されている。