刻刻

刻刻

時の静止した世界・止界を舞台に、止界への出入りが可能になる石を秘匿してきた佑河家の面々、世界の歪みを正すため止界術を用いるとの教義を持つ宗教団体・真純実愛会、彼らに金で雇われた犯罪者集団、止界の番人となる異形の怪物・神ノ離忍が入り乱れ、石を巡る凄惨な争奪戦を繰り広げる。堀尾省太の連載デビュー作。

正式名称
刻刻
ふりがな
こっこく
作者
ジャンル
その他SF・ファンタジー
 
サバイバル
 
ホラー
レーベル
モーニング KC(講談社)
巻数
既刊8巻
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概要・あらすじ

引きこもりの兄に、中年ニートの父親、シングルマザーの妹。妙な諦めムードの定着した佑河家に誘拐グループからの電話が入る。長女・佑河樹里の甥・佑河翼と兄・佑河翼を拉致したという。犯人が指定した身代金の受渡し時間には間に合いそうもなく、間に合わなければ、兄が殺される。犯人と刺し違える覚悟で家を飛び出そうとした長女・佑河樹里を押しとどめ、祖父・じいさんは秘匿してきた秘術・止界術を使う。

時の静止した世界・止界に飛び込み、二人を救出しようとする佑河家の3人、祖父じいさん、長女・佑河樹里、父・佑河貴文だったが、自分たちと同様に止界の中で動くことができる集団に襲撃される。時の静止した止界の中で、止界術を使えるようになるを巡る争奪戦が始まる。

登場人物・キャラクター

佑河 樹里 (ゆかわ じゅり)

28歳になる佑河家の長女。現在求職中。6歳の時、愛犬のアンドレに死期が迫った際に、祖父であるじいさんとともに止界に入ったことがあるが、全て夢の中の出来事だと認識していた。その時に用いた止界術が原因となり、間島翔子は家族を止界内で失っている。直情的な性格で、見境のない使い方をしそうだとの判断により、祖父であるじいさんから止界術を伝承されなかった。 止界内の人間に触れることで霊回忍を強制的に追い出し、止者とする特殊能力を有する。

じいさん

佑河貴文の父親で、佑河樹里の祖父。名前については作中で明示されない。佑河家の離れで隠居として暮らしている。祖父から止界術を伝承されて、止界内でのみ使用できる短射程の瞬間移動能力を持つ。性格上の問題から息子である佑河貴文、孫である佑河翼、佑河樹里に止界術を伝承せず、止界の存在も秘匿してきたが、ひ孫である佑河真の誘拐事件を受けて、封印してきた止界術を解禁、佑河貴文、佑河樹里とともに止界に入る。

佑河 貴文 (ゆかわ たかふみ)

佑河樹里の父親。自分にも他人にも甘い自堕落な性格により、止界術を伝承されなかった。誘拐された孫・佑河真を救出するため、じいさん、佑河樹里とともに止界に入る。止界術は危険だが、金になるという判断から、佑河家での影響力を強め、止界術を我が物にしたいと画策する。怪物・神ノ離忍を発現させるレベルの殺意を赤の他人に対して苦もなく抱けるなど、人間としてタガの外れた行動により、周囲を唖然とさせる。

佑河 翼 (ゆかわ つばさ)

31歳。佑河樹里の兄。引きこもりに近い生活を送っていたが、妹である佑河早苗の代わりに幼稚園の送り迎えに出かけたところ、甥の佑河真とともに拉致される。

佑河 真 (ゆかわ まこと)

佑河早苗の息子。こまどり幼稚園からの帰り道、迎えに来た叔父の佑河翼とともに誘拐実行犯たちによって拉致される。

佑河 早苗 (ゆかわ さなえ)

25歳。佑河樹里の妹。シングルマザーとして、息子の佑河真を育てる。佑河真の父親が誰かは、佑河家の面々には明かしていない。

神ノ離忍 (かぬりに)

『刻刻』に登場する怪物。止界に適応すべく変容した人間だが、人間としての意識は残存していない。止者に対する殺意を受けて出現、対象を排除する。その際、脳波に反応するのか、対象の頭部を狙って攻撃をかける。その稼働時間は有限で、物質化によりエネルギーを消費して、サイズを縮小させていく。真純実愛会の教義書「大円行記」に呼び名が記載されているが、じいさんは聞き間違いにより「管理人」と呼んでいた。

霊回忍 (たまわに)

『刻刻』に登場する怪物。石を使用することで呼び出すことができる、浮遊する白いクラゲ状の霊体。これと融合することで、止界内で自由に行動できるようになる。

佐河 順治 (さがわ じゅんじ)

真純実愛会の現教祖。佑河家の保有する本石を奪還するため、佑河真の誘拐を企てる。世界の歪みを補正するため止界術を用いるのではなく、自我を有したまま霊回忍と融合し、人類を超越した存在になることを欲している。真理の探求を第一の目的とし、長年連れ添った側近も平気で実験台に用いる冷酷さを持つ。

間島 翔子 (まじま しょうこ)

佐河順治の相談役と目される、佑河樹里と同年代の女性。真純実愛会に止界と本石を持つ佑河家の情報をもたらす。22年前、じいさんと佑河樹里が実行した止界術により、止界で家族を失っている。

柴田 (しばた)

真純実愛会のナンバー2として、佐河順治と行動をともにする。実行部隊リーダーの加藤とは知り合いである。暴力や殺人を躊躇しない性格で、止界術を用いた暗殺請負人になることで、金を稼ごうと目論んでいる。

宮尾 (みやお)

真純実愛会の会員。信仰心が厚く、教義通りに止界術を用いて世直しをしようと考えている。止界術を個人的に利用しようとする佐河順治に強い怒りを感じ、裏切り者として抹殺しようとする。

田辺 (たなべ)

真純実愛会の会員。神ノ離忍化した佐河順治に片腕を粉砕されたのち、実験台として使用される。

山井 (やまい)

真純実愛会の会員。神ノ離忍化した佐河順治を前に、話し合いによる解決を試みるが、自由意志の有無を確認するための実験台として佐河順治に扼殺される。

加藤 (かとう)

真純実愛会に金で雇われた誘拐実行部隊のリーダー格。冷静沈着な性格で、神ノ離忍の存在を伏せたまま、自分に依頼をしてきた真純実愛会に対して不信感を抱く。

(さこ)

真純実愛会に金で雇われた誘拐実行部隊の一員。実行部隊を集め、自らも計画に参加する。実際的な性格で、間島翔子の過去を知り、また真純実愛会の実情を目の当たりにした結果、危険すぎると判断、生きて止界を脱出するため、佑河家側と手を組む。

潮見 (しおみ)

真純実愛会に金で雇われた誘拐実行部隊の一員。佑河家監視のため盗聴カメラを設置した。異常な状況の下でも合理的な判断ができる冷静沈着な性格と、頭の回転の速さにより佐河順治の信頼が厚い。危険すぎる力として止界術は封印すべきだと考える。

飛野 (とびの)

真純実愛会に金で雇われた誘拐実行部隊の一員。阿南とコンビを組んで、じいさんの拉致を担当する。現在の生活から抜け出すため、金を求めて計画に参加しており、潮見の提案する止界術封印をありえないと考える。外見に似合わず慎重な性格で、危険な仕事は他人に押し付けようとする。

阿南 (あなん)

真純実愛会に金で雇われた誘拐実行部隊の一員。暴力行為や殺人を躊躇しない粗暴な性格で、飛野とコンビを組んでじいさんの拉致を担当する。

集団・組織

真純実愛会 (しんじゅんじつあいかい)

『刻刻』に登場する宗教団体。佐河順治を教祖とする。止界術を熟知した創始者によって書かれた「大円行記」を教義書とし、止界術を用いて世界の歪みを補正することをその教えとする。しかしながら、真純実愛会が本尊とする石は、佑河家の保有する本石の付属物となる属石であり、半径5メートルの止界を発生させるレベルに留まる。 間島翔子のもたらした情報により、佑河家の有する本石奪還のため、佑河真誘拐事件を計画する。

その他キーワード

止界 (しかい)

『刻刻』に登場する用語。時の流れから切り取られた一瞬を指し、止界術を用いることでその中に入ることができる。時が静止しているため、止界の中では水は流れず、火も起こせない。

止界術 (しかいじゅつ)

『刻刻』に登場する用語。止界の中で自在に活動できるようになる術。石上方の穴に血液や涙などの体液を注入することで発動する。その場に霊回忍を呼び出し、体内に取り込むことで、術を発動させた人間だけでなく、発動の際に石に触れていた人間全員が使用可能になる。

(いし)

『刻刻』に登場する物体。上方にある穴に血液や汗など、人間の体液を注ぎ込むことで、止界術が使用可能になる。佑河家の保有する本石が持つ力が最も強く、真純実愛会ほかが有する属石は本石の付属物レベルの力しか持たない。佑河家の本石は「努力 両国国技館」の文字が描かれ、置物として偽装されている。

止者 (ししゃ)

『刻刻』に登場する用語。止界の中で静止した人間を指す。また、佑河樹里の能力により、体内から霊体の霊回忍を追い出されることで、止界術を使った人間も止者化される。

書誌情報

刻刻 8巻 講談社〈モーニング KC〉

第1巻

(2009-08-21発行、 978-4063728224)

第2巻

(2009-08-21発行、 978-4063728231)

第3巻

(2010-08-23発行、 978-4063729245)

第4巻

(2011-04-22発行、 978-4063729993)

第5巻

(2012-03-23発行、 978-4063870923)

第6巻

(2013-03-22発行、 978-4063871975)

第7巻

(2013-11-22発行、 978-4063872491)

第8巻

(2014-10-23発行、 978-4063883541)

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