あらすじ
VRゲーム「ヒストリカルファンタジー」をプレイしていた直樹は、一人の女性アバター、Honami0128に手を振られる。無言で手を振って近づいて来るHonami0128に不気味さを感じ、直樹は即座に逃げ出すもののすぐに追いつかれてしまう。うまく会話できないことから、Honami0128が初心者であることを知った直樹は、操作を教えつつVRの世界を案内する。直樹とHonami0128は、毎日交流していくうちにお互いに惹かれ合い、いつしか恋人のような関係となる。直樹はVRでの時間を何よりも楽しみにしていたが、Honami0128から現実世界では治る見込みのない病に冒されていること、手術で入院するためにVRを辞めることを告げられる。Honami0128がログインしなくなって1か月、Honami0128が忘れられない直樹はHonami0128のIDから個人情報を不正に入手して、現実世界でHonami0128に会いに行くことを決意する。無事にHonami0128を操作していたホナミと出会えた直樹は、手術が成功して退院したホナミに自宅に誘われるのだった。
登場人物・キャラクター
直樹 (なおき)
VRゲーム「ヒストリカルファンタジー」をプレイしているロストジェネレーション世代の独身男性。年齢は40歳。アバターの名称は「NAOKI」で、10代半ばの女子学生の外見をしている。他人とコミュニケーションを取るのが苦手な暗い性格で、VRでも一人で行動している。半年後の閉鎖が決まった過疎サーバーで、初心者のホナミが操作する女性アバターのHonami0128と出会い、操作を教えたりさまざまな場所を案内していくうちにホナミの人柄に惹かれていく。ホナミが病気でVRを辞めたあともホナミのことが忘れられずに現実世界で会いに行き、ホナミが同性であるとわかるとVRでは恋人、現実では友人と割り切って接するようになる。
ホナミ
VRゲーム「ヒストリカルファンタジー」をプレイしている壮年の男性。アバターの名称は「Honami0128」で、プロポーション抜群で、肌を露出したセクシーな大人の女性の外見をしている。なりたかった自分になれるVRの世界に興味を持ち、孫の葵に教わってVRにログインした。VRで偶然見かけた直樹のアバターであるNAOKIに心を奪われ、交流していくうちに惹かれていく。NAOKIとの毎日はかけがえのないものと思っていたが、ホナミ自身は治る見込みのない病に冒されているため、手術するための入院を機にVRを辞めてNAOKIに別れを告げる。手術は無事成功し、電気式人工喉頭を使えば会話もできるまで回復し、自宅で療養していた。その後、直樹が訪ねて来たことで交流が再開され、VRでは恋人、現実では友人という形で接することになる。
葵 (あおい)
VRゲーム「ヒストリカルファンタジー」をプレイしている中学生の少年。ホナミの孫で、ホナミにパソコンやスマートフォンの使い方、VRのことを教えた。内向的な性格で、頼まれると断ることができない。連休中にホナミの家に遊びに行き、直樹と知り合う。直樹のことを最初は怪しんでいたが、直樹がヒストリカルファンタジーをプレイしていることを知ってなかよくなる。