概要・あらすじ
鎌倉時代。若くして執権となった北条時頼は、反執権派の北条光時、三浦泰村らとの権力争いの渦中にいた。ある日、宋との貿易を一手に引き受ける商人、謝国名の息子・謝太郎に出会い、彼によって蒙古の脅威を知る。宝治合戦で三浦一族を滅ぼした北条時頼は、地獄のような敵の有様を聞き、二度と鎧を着ない国づくりを決意した。
その治世によって平穏が訪れるが、病に伏した北条時頼は執権を辞して出家。嫡男の北条時宗を連れて旅に出る。一方、蒙古では、フビライがハーン(皇帝)となり、宋に攻め込もうとしていた。宋の国力の源泉を交易と考えたフビライは、有力な取引先・日本に狙いを定めた。
北条時宗は、蒙古の脅威が迫る中、執権の座に就く。
登場人物・キャラクター
北条 時頼 (ほうじょう ときより)
『北条時宗』の主人公の1人。実在の武将・北条時頼がモデル。18歳にして鎌倉幕府第5代執権に就任する。若くして胆力と人格に優れ、御家人達の心を摑む。北条光時、次いで三浦泰村らの謀反を退ける。三浦氏との宝治合戦でこの世の地獄を目にしてから、二度と争いの起こらない世にする事を決意。また謝太郎から世界の情勢を聞き、蒙古の脅威を知る。 病に伏した後、妻・涼子の義兄・北条長時に執権職を譲り、出家して道崇と名乗る。その後北条時宗を連れて全国を行脚し、津軽の安藤五郎、肥前松浦党の棟梁・佐志房らと義兄弟の契りを結んで海防を強化するなど、蒙古襲来に備え治世に尽くす。
北条 時宗 (ほうじょう ときむね)
『北条時宗』の主人公の1人。実在の武将・北条時宗がモデル。鎌倉幕府第5代執権・北条時頼と涼子の間に生まれる。幼名・正寿丸。北条家の跡継ぎとして育てられる。しかし、地位の重さ、兄・北条時輔との確執、母・涼子の出自から「仇の子」と呼ばれることなど、様々な悩みを抱える。出家した父・北条時頼と共に諸国を旅して、その理念を学ぶ。 第7代執権北条政村を補佐する連署に就任して為政者としての成長を重ね、蒙古の脅威が近付く中第8代執権となる。
北条 光時 (ほうじょう みつとき)
実在の武将・北条光時がモデル。鎌倉幕府第5代執権・北条時頼の従兄。反執権派の頭目。弟の北条時幸と共に、大殿(前将軍九条頼経)を将軍に復職させ、実権を握ろうと企んでいる。
三浦 泰村 (みうら やすむら)
実在の武将・三浦泰村がモデル。反北条家の頭目。大殿(前将軍九条頼経)を懐柔する。一時北条光時らに肩入れしていたが、後に見限る。北条家との対立が深まり、宝治合戦を引き起こす。
安達 泰盛 (あだち やすもり)
実在の武将・安達泰盛がモデル。鎌倉幕府第5代執権・北条時頼の弟分を自認し、彼を「兄者」または「時頼兄」と呼び、北条実時と共に長く側近として仕える。妻は北条重時の娘。
謝 太郎 (しゃ たろう)
宋との貿易を一手に引き受ける商人、謝国名の息子。母は日本人。三浦泰村に仕え、自らも宋との貿易を行っていた。鎌倉幕府第5代執権・北条時頼と三浦泰村の戦いが近付くと、北条時頼の力と人格を見極めて三浦泰村とは袂を分かつ。以後、北条時頼、北条時宗の2代にわたって右腕として活躍する。
涼子 (あきらこ)
鎌倉幕府第5代執権・北条時頼の正室となり、後に北条時宗を産む。伯父は三浦泰村。父の毛利末光は宝治合戦で三浦側につき、北条家と戦って没したため、自らを「逆賊の娘」、北条時宗を「仇の子」と称して、荒んだ心を抱えている。
北条 重時 (ほうじょう しげとき)
実在の武将・北条重時がモデル。北条時頼の祖父である鎌倉幕府第3代執権・北条泰時の弟。北条時頼が執権を務めている時代の、北条家の最長老。涼子を毛利末光から引き取り、養女として北条時頼に嫁がせる。のちに連署(執権を補佐する役職)に就任する。その後念仏宗に帰依して出家。 念仏宗を攻撃する日蓮を激しく憎む。
北条 政村 (ほうじょう まさむら)
実在の武将・北条政村がモデル。北条時頼の祖父である鎌倉幕府第3代執権・北条泰時の弟。北条時頼の側室・讃岐の後見人で、正室・涼子の義父・北条重時と折り合いは良くない。後に第7代執権となり、北条時宗を補佐役の連署に登用して為政者として鍛える。
フビライ
実在の歴史上の人物フビライがモデル。モンゴルの英雄チンギス・ハーンの孫。敵に対しては容赦ない殺戮を繰り返す蒙古にあって、思慮深く穏やかな人物。兄モンケがハーン(皇帝)の地位に就くと、彼の命令に従い漠南漢地大総督(中国方面の責任者)となる。力でハーンとなった兄モンケに恐れを抱き、服従を誓っていた。 漢人の戦法を吸収して大理国、宋、高麗を征服する。その後兄の跡を継いでハーン(皇帝)となり、フビライ・ハーンと称する。宋の国力の源泉を交易と考え、有力な取引先の日本に狙いを定める。
モンケ
実在の歴史上の人物モンケがモデル。モンゴルの英雄チンギス・ハーンの孫。第4代ハーン(皇帝)の地位に付き、モンケ・ハーンと称される。力で地位を奪ったが、身内にその座を奪われる事を恐れ、弟フビライ達を遠方に配置する。フビライが大理国を征服すると、彼に不信を抱き失脚を画策するが、戻ったフビライに懐柔される。
北条 時輔 (ほうじょう ときすけ)
実在の武将・北条時輔がモデル。北条時頼と側室・讃岐の子。幼名・宝寿丸。北条時宗の腹違いの兄。幼い頃は家督を継ぐ弟の北条時宗に反発するが、己の役どころを悟り、補佐に徹する決心をする。その後、六波羅探題の務めを任ぜられ、逆賊を装って公家の懐に入り込む。
北条 実時 (ほうじょう さねとき)
実在の武将・北条実村がモデル。北条政村の娘婿。安達泰盛と共に鎌倉幕府第5代執権・北条時頼に側近として仕える。知恵者として知られ、その後も北条長時、北条政村、北条時宗と歴代の執権にも補佐役として重用される。
日蓮 (にちれん)
実在の僧・日蓮がモデル。日蓮宗を創始し、念仏宗など他宗を激しく攻撃。立正安国論を著し、その洞察力は鎌倉幕府第5代執権・北条時頼を感服させる。しかし念仏宗を信仰する北条重時の反感を買い、討手を差し向けられる。安達泰盛、謝太郎に密かに救われ伊豆に流されるが、その後再び鎌倉で布教。 北条時宗は直接彼の説法を耳にする。
クレジット
- 原作
- 脚本
-
道又 力