渕となりぬ

猿楽が能という名称となり、人々の娯楽として親しまれるようになった室町時代末期。いくつもの座が作られ、人気役者が芸や技を競い、数々の演目が産まれれていく。そんな中、能楽の天才と呼ばれながらも、後世に名を残すことのなかった能楽師たちの生き様を、数々の伝統的な能の演目とともに描きだす幻想奇譚。作者木原敏江の代表作である夢の碑シリーズの一作品。

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正式名称
渕となりぬ
作者
ジャンル
室町時代
 
レーベル
小学館文庫(小学館)

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渕となりぬ(漫画)の総合スレッド
2016.01.25 12:34

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概要

室町時代末期、三枝座の大夫の次男三枝羽角は、白楊座との立合能を経験し、伝統だけではなく創作能の実現に心思いを馳せる。父の後妻の連れ子乙輪の舞に天賦の才を感じ、伝統能に優れた白楊座に預けるが、乙輪を失い初めて本当の恋を知る。大衆人気を得て天下を取ろうとする三枝羽角は、天覧能で鐘巻に演出を加えた道成寺を成功させ、乙輪を取り戻そうとするが、二人をとりまく様々な思いが交錯し、遂に悲劇が訪れる。

登場人物・キャラクター

主人公
『渕となりぬ』の主人公の1人。三枝座の大夫三枝豊前の次男。「夏栄(かえい)」と名付けられるはずだったが、母の妊娠中に浮気をした三枝豊前が羽の生えた角のある蛇に襲われる夢を見て、「羽角」と名付けられた。...
主人公
『渕となりぬ』の中人口の1人。三枝豊前の後妻垂水の連れ子で、三枝羽角の弟。能の名手犬王の血を引く。母子で病に倒れた折、三枝羽角が体をはって手に入れた薬によって命を救われ、心の底から惚れ込む。白楊座に移...
三枝羽角の母方の縁者で、ひたすら三枝羽角を愛し、「羽角が誰を好きでも幸せならそれでいい」と言い切るまっすぐな娘。すずなの望みは、一族の蛇の守り神が、不思議な力で助けてくれる。その力で幾たびも羽角を危機...
三枝座の笛方。父は、豪傑として知られた元大内家の重臣。元の名を遊佐武朗といい、その縁をたどり大内慰世の後援を取り付ける。座員の中でも三枝羽角の才能を見抜き、全幅の信頼をおく。それ故に三枝羽角の苦悩を取...
周防の大内家当主。河原で偶然出会った三枝羽角を「我が天人」と呼び寵愛する。野心家、田舎者、と言われるのを快く思わず、旧知の遊佐に「雅の道にも長けていることを表すため能一座の後援をしてはどうか」と紹介さ...
大内慰世の妹。政略結婚で三度嫁ぐが、三度とも相手が敵となり兄大内慰世に討たれ、毎回連れ戻されている簿幸の娘。三枝羽角に淡い恋をいただきつつ、細川元房のもとへと政略結婚させられる。
乙輪の幼なじみ。京の豪商の娘。京の町で再会し、乙輪の能舞台に通う。三枝羽角を恋敵と憎むほど、純粋に乙輪を恋する娘。
白楊座大夫。手猿楽から始め、母の実家の堺の豪商からの潤沢な資金を得て、腕自慢が集まり白楊座を作った。三枝羽角の才を認め、同じ土俵で競いたいと願うが、奇をてらう演出を「見せ物」と詰り、思いがすれ違う。志...
三枝座の大夫で、春栄、三枝羽角、秋栄、冬栄の父。派手さは無いが、名手とうたわれる能楽師。三枝羽角の才能を認め、落ちぶれていた一座をもりたてるため、三枝羽角に賭ける。
三枝豊前の妻で、春栄、三枝羽角、秋栄、冬栄の母。すずなと同じ一族で、すずなからは「於虹さまも少し力があった」と言われている。幼い頃に三枝羽角は母の背後に白い大蛇の姿を見たことがあり、そのためすずなの姿...
三枝豊前の後妻で、乙輪の母。控えめな美人。初めての旅の途中で病にかかり、あえなく他界する。乙輪の能楽の才を知りながら、新しい家族とうまくやっていくため隠すようにと諭していた。
三枝豊前の長男。三枝座の若大夫。芸は達者だが、父ににて穏やかで派手さに欠ける。三枝羽角と乙輪の才を買っており、自身も座を背負う者としての気構えがある。
春栄の嫁。三枝座の女将として、座員をまとめ取り仕切るしっかり者。三枝羽角と乙輪の才を買ってはいるが、三枝座を背負うのは春栄であるという理由で彼に嫁いだ。三枝羽角贔屓の遊佐を味方につけようと画策する。
観世座の若大夫。能楽の創始者観阿弥・世阿弥を始祖に持つ、由緒正しき幕府おかかえの観世座の座頭にして優れた能楽師。三枝羽角の才を認め、畏れても居る。実在の世阿弥の孫・音阿弥の六男・五世大夫を継いだ三郎之...
観世座の副大夫。興福寺より名誉的に与えられれる権守の称号を持つ。時流に合わせる三枝羽角と、理想を求める白楊大夫の目指すものの違いを理解し、「能楽が忘れ去られなければどちらでもよい」と語る。実在の世阿弥...
幕府重臣、細川家の縁者。毛利氏との戦に際し、長年敵対していた大内慰世と手を組みともに戦う。細川家主催の勧進能の代役を探していた際、三枝羽角を紹介された。釣船と政略結婚をする。
乙輪の父方の血筋とされる。近江猿楽日吉座の大夫で、観世座の観阿弥・世阿弥と人気を二分した猿楽能の名手。一時足利義満の不興を被ったが、後に許されて以降は寵愛をうけ、足利義満の法名「道義」の一字をもらい、...

場所

『渕となりぬ』に登場する、能楽座の一つ。座頭三枝豊前が大夫を務める丹波出身の一座。河内の国安楽寺での勧進能に白楊座が割り込み、立合能を行話題となる。次男の三枝羽角の創作能と奇抜な演出により、大衆人気を...
『渕となりぬ』に登場する、能楽座の一つ。白楊大夫と呼ばれるカリスマ的座頭の元に、腕自慢が集まり作られた堺出身の一座。河内の国安楽寺での勧進能に割り込み、三枝座と立合能を行い話題となる。
『渕となりぬ』に登場する、能楽座の一つ。能楽の創始者観阿弥・世阿弥を始祖に持つ、由緒正しき幕府おかかえの能楽一座。高尚で優雅な能が求められていたが、観衆が大衆へと変わり戦乱が続けば能楽が廃れると危機感...

その他キーワード

『渕となりぬ』に登場する、能楽の演目のひとつ。観世信光作鐘巻を三枝座三枝羽角が独自の創作を加え、天覧能で披露し大成功を収めた傑作。能のなかでも大曲のひとつ道成寺は、作者不詳とされている。