千花ちゃんちはふつう

千花ちゃんちはふつう

1980年代後半に発表され、時代の雰囲気が色濃く反映されたドラマチックストーリー。高級ディスコ、BMW、鎌倉の岸壁沿いに建つ洋館、アールデコ様式の調度品、逗子マリーナといった、バブル時代を象徴するようなアイコンが並ぶ。しかし、単純なラブストーリーではなく、主人公と登場人物の関係性などの解釈は、読者にゆだねられる部分が大きい。『別冊マーガレット』誌上で、昭和62年6月号から63年1月号まで連載された。

正式名称
千花ちゃんちはふつう
ふりがな
ちはなちゃんちはふつう
作者
ジャンル
家族
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概要・あらすじ

シングルマザーだった母親の結婚により、碓井知花は鎌倉の海に面した洋館に超す。そこには兄となる碓井カイがいた。容姿端麗で成績も優秀だが、冷淡で、何を考えているのかわからないカイを、周囲の人間はみんな遠巻きにしていた。しかし、知花だけはカイの人間性を信じて追いかける。やがて、ディスコのバイトで大金を貯めているカイの目的は、ある女体像を落札するためで、その女体像はなくなったカイの母親の形見だと知り、知花は協力を申し出る。

登場人物・キャラクター

碓井 知花 (うすい ちはな)

高校2年生。短い巻き毛の可愛い女の子。女子校育ちのため男性が苦手で、まともに話もできない。シングルマザーだった母親の結婚により、碓井家に入る。ぎくしゃくしている家の雰囲気をなごませようと、ひとりで気を遣っている。兄になった碓井カイを慕い、突き放されても信じて追いかけ続ける。

碓井 カイ (うすい かい)

碓井知花の義兄。父の再婚により、知花の兄になる。高校3年生。容姿端麗だが、不気味で怖い存在として知られている。あまり学校には行かず、ディスコ『ガンダーラ』で黒服のアルバイトをしているが、学年トップの成績なので黙認されている。身内からは、実の母親を精神的に追い詰めて、自殺に追い込んだ犯人だと思われている。

鹿野 是高 (かの これたか)

元華族の家柄の20歳の青年。ディスコ『ガンダーラ』のフロア・マネージャー。父親に勘当されて、碓井家に転がり込む。何度も勘当されている放蕩息子だが、性格は優しいところがある。碓井知花のことを気に入っている。

金田 シマ (かねだ しま)

碓井家の住み込みのお手伝いさん。家の中のもめ事からは一歩引いて、ドライに全体を俯瞰しているが、碓井知花には良きアドバイザーになっている。夜、主人の酒をこっそり盗み飲むのが趣味。

ママ

碓井知花の母親。未婚のまま知花を生み、ホステスをして育て上げた。碓井教授に見そめられ、後妻に入る。明るく社交的な美人だが、思慮に欠けるところがある。

碓井教授

碓井カイの父親。地学を専門として、テレビやラジオにもときどき出演するロマンスグレーの大学教授。前妻とは不仲で、妻の財産に頼って研究に没頭する仕事人間だった。前妻が自殺した後、知花の母親を見そめて再婚。不器用だが、知花には良き父として接しようと一所懸命に頑張っている。

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