古見さんは、コミュ症です。

古見さんは、コミュ症です。

容姿端麗で成績優秀、スポーツ万能で知られる女子高校生の古見硝子は、実は人付き合いが極端に苦手な「コミュ症」だった。そんな彼女の友達作りに協力することになった男子高校生の只野仁人が彼女のために奮闘する中で自らも成長を遂げ、友人を増やしていく姿を描いた学園コメディ。小学館「週刊少年サンデー」2016年第25号から連載の作品。第67回「小学館漫画賞」少年向け部門受賞。2021年9月に実写ドラマ化、2021年10月にテレビアニメ化。

正式名称
古見さんは、コミュ症です。
ふりがな
こみさんは こみゅしょうです
作者
ジャンル
ギャグ・コメディ
 
友情
レーベル
少年サンデーコミックス(小学館)
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あらすじ

普通の人です。

高校1年生の只野仁人は、中学時代の失敗から、高校ではできるだけ目立たないようにして過ごそうと考えていた。しかし私立伊旦高校に入学直後、仁人は学園のマドンナ的な存在である古見硝子の秘密を知ってしまう。容姿端麗で成績優秀、スポーツ万能の硝子は、実は人と話すことが極端に苦手な「コミュ症」だったのである。そんな硝子の、友人を100人作りたいという願いを知った仁人は、その日から硝子の一人目の友人として協力を申し出る。しかし仁人は、決してコミュニケーション能力が高いわけではなく、声を発するのも困難な硝子の二人だけではうまくいくはずもなく、仁人はクラスメートの長名なじみの力を借りることにする。なじみは「私立伊旦高校の生徒は全員自分の幼なじみである」と自負するほど顔が広く、コミュニケーション能力が非常に高い人物だった。そんななじみのアドバイスで、まずは比較的硝子と性質の近い上理卑美子に声をかけた硝子は、みごと彼女と親しくなる。だが卑美子は、自分では硝子と釣り合わないと考えているらしく、その日からなぜか硝子の犬、つまり下僕を名乗るようになってしまう。

恋(れん)です。

長名なじみ上理卑美子と友人になったことで、古見硝子の友人100人計画は、残り97人となった。そんなある日、なじみはクラスメートの山井恋から、硝子を紹介して欲しいと頼まれる。恋は明るく華やかでクラスの中心人物ながら、実は極端なストーカー気質で、現在は硝子に強い恋愛感情を抱いていたのだ。そんな恋は、最近硝子と急接近した只野仁人、なじみ、卑美子のことが気に入らず、特に仁人に対しては強い敵意を抱いていた。そこで恋は、なじみに硝子との仲を取り持ってもらいつつ、仁人を懲らしめるため自室に監禁する。恋は仁人をクローゼットに閉じ込めたまま硝子となじみを招いて、楽しい時間を過ごそうとするが、この計画はすぐに硝子となじみにばれてしまい、開き直った恋は硝子には仁人のような平凡な人間よりも、自分のような華やかな人間こそがふさわしいはずだと訴える。だが、硝子はこの言葉を否定。自分の友人は自分で決めると反論し、仁人を連れて山井家を去るのだった。翌日、硝子は仁人に迷惑をかけてしまったことを謝罪するが、これがきっかけで仁人と硝子の距離は少し縮まる。さらにそこへ、なじみが反省した恋を連れてやって来る。そして恋は硝子に謝罪し、硝子が「コミュ症」であることを知り、自分が硝子の新たな友人となることで、コミュ症を克服させると意気込むのだった。

夏休みです。

山井恋中々思春矢田野まけると親しくなり、古見硝子の「コミュ症」は少しずつではあるが、改善されていた。しかし、自分から友人を誘って遊びに行くことはまだできず、夏休みになって1週間が経過しても、硝子は誰にも連絡できずにいた。そんなある日、硝子は長名なじみの誘いで、只野仁人上理卑美子を交えて四人でプールへ行くことになる。当日は噂を聞きつけてやって来た恋とその友人たちも加わり、硝子は途中ケガをしてしまうトラブルがありつつも、楽しい時間を過ごす。その後、硝子は父親の古見将賀と食事に行ったり、毎年恒例のお墓参りに行ったりと、充実した夏休みを過ごす。特にお墓参りで親戚が集まった際には、去年会った時はうまくコミュニケーションが取れなかった従妹の古見晶ともいっしょにボードゲームをするほどなかよくなり、祖母の古見結子にも、高校生活が楽しいと前向きな報告をする。そして夏祭りでは友人たちと賑(にぎ)やかに過ごすだけではなく、仁人と二人でゆっくり過ごすこともでき、お祭りが終わる頃には、硝子の友人の数はついに二桁を達成し、100人まで残り89人となっていた。

夏休みも終わりです。

夏休みも最終日となった8月31日、古見硝子は長名なじみに突如呼び出され、只野仁人山井恋も交えた四人で夏休みの宿題をすることになった。硝子と恋はすでに宿題を終えていたのだが、勉強嫌いのなじみはまったく宿題に手をつけておらず、仁人も危機的状況にあるという。硝子は勉強をしながら今年の夏を振り返り、こんなに充実した夏を過ごすのは初めてで、夏休みが終わって欲しくないほど楽しかったことを、三人に伝えるのだった。こうして新学期となった私立伊旦高校では、体育祭の季節が訪れる。そんな中、2年生の根津野ちかになぜかライバル宣言をされた硝子は、最終競技であるクラス対抗リレーの走者として、ちかと競うことになる。競技中転んでしまった硝子は、最終的にちかに勝ちを譲るが、ミスをしても応援してくれるクラスメートの温かさと、ケガをしながらも懸命に走る硝子を称えるちかのスポーツマンシップあふれる人柄に触れ、体育祭が思い出深いものとなるのだった。

文化祭の出し物です。

私立伊旦高校は体育祭も終わり、文化祭の準備が始まった。只野仁人たちのクラスでは、古見硝子の希望もあってメイド喫茶をすることになり、硝子は最近親しくなった尾根峰ねねに加え、尾鶏かえでともなかよくなり、クラスの一員として充実した準備期間を過ごす。そして訪れた当日も、硝子はなぜか女装させられた仁人や、売上アップに燃える長名なじみたちと共に、1年1組がクラス発表最優秀賞を獲得するため奮闘する。結果、1年1組はみごとクラス発表最優秀賞に輝こうとしていたが、なじみのあまりにも手段を選ばない営利行為を問題視され、最終的には受賞資格をはく奪されてしまう。こうして最優秀賞を逃してしまった硝子たちだったが、後夜祭のダンスパーティで、硝子は女装したままの仁人と踊り、二人はまた大切な思い出を増やすのだった。

不良です。

秋も深まり、古見硝子は私立伊旦高校1年1組のクラスメートたちと文化祭の打ち上げで楽しく過ごしていた。そんなある日、入学以来ずっと不登校だったクラスメートの片居誠がついに登校して来る。誠は入学直前に体調を崩したことで、入学式から欠席してしまったことで学校に行きづらくなってしまい、その後も半年以上学校を休んでいたのである。それがきっかけで誠は、この半年間で周囲に舐められないようにと身体を鍛え、ヤンキー風にイメージチェンジしたことで、非常に近寄りがたい雰囲気を醸し出していた。事情を知らない1年1組のクラスメートたちは、誠が登校しても彼がヤンキーであるとカンちがいし、誰も近づこうとしなかった。しかし、そんな誠にいち早く声を掛けたのは、只野仁人だった。仁人は誠が硝子と同じ「コミュ症」で、本当は穏やかな性格であることに気づいていたのである。そこで仁人は、性格の似ている硝子と誠であればきっとなかよくなれるはずだと考え、三人で過ごすようになる。こうして誠と硝子は親しくなり、仁人に救われた形となった誠は、その日から仁人をひそかに慕うようになるのだった。

メリークリスマス…です。

クリスマスが近づき、古見硝子はイブの日に開催される私立伊旦高校1年1組のクリスマスパーティに向けて、弟の古見笑介と買い物に出かけていた。そんな硝子は、その翌日の25日は自分の誕生日であると言い出せずにいたが、当日は只野仁人たちからサプライズでプレゼントを受け取り、幸せな1日を過ごす。そして年が明け、硝子が祖母の古見結子や親戚たちと初詣に行くと、結子の知人に頼まれ、急遽(きゅうきょ)巫女(みこ)のアルバイトをすることになる。そこで偶然、クラスメートの井中のこ子といっしょに働くことになった硝子は、のこ子のサポートもあり、無事にアルバイトをこなすのだった。その直後、硝子は体調を崩した仁人から、SOSの電話を受ける。旅行で家族が不在の仁人は、高熱で起き上がれなくなり、長名なじみに助けを求めようとしたが、間違って硝子に連絡してしまったのである。しかし、そうとは知らずに硝子は只野家を訪れ、仁人を看病する。そして仁人の容体が落ち着いて眠ってしまったあと、硝子は思わず仁人の手を握ってしまうが、その姿をなじみに目撃されてしまう。

修学旅行です。

古見硝子は、眠っている只野仁人の手を握る姿を長名なじみに目撃されたことで、非常に気まずい思いをしていた。そこで硝子はなじみに手紙を書くことにするが、あれは衝動的に行ったことであり、深い意味はないのだと説明すればするほど、長文になってしまう。しかし翌日、仁人はその時のことをよく覚えていなかったことや、なじみにも納得してもらったことで事なきを得るのだった。その直後、修学旅行に向けての準備が始まるが、中学時代は友人がいなかったため修学旅行に不参加だった硝子は、強い不安を感じていた。そんな硝子に仁人は、もしも硝子が当日旅行に行きたくないと感じたら、その時は自分も行かないので安心して欲しいと優しく声をかける。その温かい言葉に硝子は安堵(あんど)し、修学旅行に対して少し前向きになるのだった。こうしてまずは班決めが始まるが、硝子の予想に反し硝子は引く手あまたの人気者となる。そこで1年1組のクラスメートたちはくじ引きで班を決めることにするが、その結果、硝子はこれまでほとんど話したことのない、加藤三九二佐々木あやみと班を組むことになる。しかし当日いっしょに過ごすうちに、二人の意外な一面に触れた硝子は、思いのほか楽しい時間を過ごす。そして帰りの電車では、あやみの気遣いで、硝子と仁人はとなりの席で帰路につくのだった。

バレンタインです。

修学旅行が終わり、古見硝子たち私立伊旦高校1年1組のクラスメートたちは、旅行を通じて親しくなった友人と、新しい人間関係を築き始めていた。そんな中、硝子は友人たちに日頃の感謝を伝えるべく、尾根峰ねね尾鶏かえでの三人で、バレンタインデーに向けた友チョコ作りに励んでいた。しかし当日、硝子は最も感謝を伝えたいはずの只野仁人にだけはどうしても声を掛けられず、チョコレートを渡せないまま放課後になってしまう。このままでは終われないと考えた硝子は、只野家に向かう。硝子の来訪に気づいた只野瞳のはからいで、硝子は仁人にチョコレートを渡すことに成功する。これに感激した仁人は、1か月後のホワイトデーにキャンディとハンドクリームを贈り、二人の関係は、また少しだけ進展するのだった。

ギャルです。

4月になり、只野仁人たちは2年生に進級した。幸いにも仁人と古見硝子は同じ2年1組となるが、ほかに1年1組から進級した仲間は長名なじみ片居誠だけで、女子はほとんど面識のない生徒ばかりだった。硝子は緊張しつつも前向きに考えようとするが、となりの席となった派手メイクの万場木留美子はそうではない様子だった。留美子もまた、一人だけ仲のいい友人たちとクラスが離れてしまい、非常に淋しい思いをしていたのである。そんなある日の授業中、留美子の体調不良に気づいた仁人と硝子は、すぐさま留美子を教室から連れ出して介抱する。これをきっかけに硝子は、留美子が新しい友人ができないことに悩んでおり、精神的に気落ちして体調を崩したことを知る。そんな留美子に1年前の自分を重ねた硝子は、留美子の友人になりたいと伝え、二人は友人となるのだった。

古見くんです。

貴宰高校の1年生になった只野瞳は、古見硝子の弟の古見笑介と同じクラスになる。笑介は眉目秀麗で成績優秀な人目を惹く存在ながら、極端に不愛想で面倒くさがりな性格だった。そんな笑介に興味を持った瞳は入学式から積極的に彼に声をかけるが、笑介は完全無視で返事もしない状況だった。それでも瞳はまったくへこたれずにコミュニケーションを取り続け、最終的には笑介が折れる形で、ついに返事をしたことをきっかけに、二人の奇妙な交流が始まることとなる。

マンバ再びです。

古見硝子万場木留美子は先日の一件がきっかけで、友人としての一歩を踏み出していた。しかし留美子は、硝子と共に自分に手を差し伸べてくれた只野仁人のことを警戒していた。先日、留美子は硝子と仁人の前で嘔吐(おうと)してしまい、留美子を保健室に連れて行ったのが硝子で、その場の掃除をしたのが仁人だった。しかし留美子は、自分が嘔吐した件を、仁人がクラスメートに吹聴しているのではないかと心配していたのである。だが留美子は、それからすぐに仁人の心優しく温かい人柄を知る。さらに仁人からメイクに関するアドバイスを受けた留美子は素直に従い、派手すぎるメイクを少し落としてみることにする。これがきっかけに留美子本来の美しさが目覚め、留美子は少しずつクラスに馴染(なじ)めるようになっていく。そんなある日、硝子は留美子からボウリングに行こうと誘われる。そこには留美子の1年の時からの友人もおり、硝子は彼女たちとも仲よくなる。その後、硝子と留美子はお泊まり会も経験し、二人は急速に仲を深めていくのだった。

アスレチックです。

ゴールデンウィークになり、只野家は長名なじみも交えた五人で、キャンプもできる巨大複合娯楽施設「ツインコースもちき」に旅行に来ていた。さらに古見家も旅行に来ており、いっしょにアスレチックで遊んだり、バーベキューをしたりと楽しく過ごす。そして夜、山の上の広場で天体観測が行われると知った古見硝子は、只野仁人を誘って二人で出かける。しかしすぐに大雨が降り始め、二人は慌てて近くの山小屋に避難する。その事態に気づいた只野瞳が雨具を持って駆けつけて来る。そして仁人と硝子は、ゆっくり山小屋で過ごしたことにより、二人の関係はまた深まっていく。

やりたいことリストです。

古見硝子は夏休みが近づき、夏やってみたいことをひそかにリストアップしていた。これを知った只野仁人たちもリストに書き加え、いっしょに充実した夏を過ごそうと約束するのだった。しかしいざ夏休みが始まると、硝子には誰からも連絡がなく、硝子は寂しい毎日を過ごしていた。硝子のことが大好きなクラスメートたちはお互い譲り合った結果、まだ誰も具体的な約束を硝子と交わしていなかったのである。そんなある日、ついに万場木留美子が連絡を取り、2年1組の面々はそろって海に遊びに行くことになる。そこで硝子たちは思い思いに楽しい時を過ごすが、留美子がナンパ集団に絡まれてしまう。しかし、そこに仁人と片居誠が駆けつけ、やんわりとナンパ集団を撃退する。これは強面(こわもて)の誠にナンパ集団が恐れをなしたのだが、留美子は最初に声をかけて助けてくれた仁人に、深く感謝するのだった。

ホットミルクです。

夏休みが始まってしばらく経過したある日、古見家では古見秀子の友人の娘である夏木戸澪を預かることになった。澪の両親は忙しく世界中を飛び回る仕事をしているため、二人が不在の1週間、澪は古見家で過ごすことになったのである。古見硝子は予期せぬことに戸惑いつつも、澪とコミュニケーションを取ろうとするが、いまだ「コミュ症」を完全には克服していない硝子と、不愛想でクールな澪はとことん相性が悪く、会話もままならないまま夜中になってしまう。そして、暗い場所から声をかけようとした硝子は幽霊とカンちがいされ、澪を泣かせてしまう。焦った硝子は、いっしょに飲もうとホットミルクを持ってきたことを澪に打ち明ける。これがきっかけで二人は、少しずつ距離を縮めていく。

澪ちゃんです。

夏木戸澪が遊びに来て数日が経過し、古見秀子が不在の日に留守を任された古見硝子は、澪といっしょに買い物に出かけるが、硝子が慣れない買い物に手間取っていると、突如澪がいなくなってしまう。硝子は店主との会話に必死になっていただけだが、澪はこれを硝子に無視されている、冷たくされていると受け止めてしまったようだった。硝子は慌てて澪を追いかけるが、澪は拒否してどこかへ行ってしまう。そこで硝子は、只野仁人長名なじみに頼んで2年1組のクラスメートたちを集めてもらい、人海戦術で無事に澪は見つかるのだった。こうして澪と再会した硝子は、自分に原因があると考えて澪に謝罪する。しかし澪は決して硝子に怒っていたのではなく、これまでずっと転勤族として生活してきたため、親しい人を作るのが怖くなっていたこと、今日もあえて嫌な人間として振る舞うことで硝子を遠ざけようとしたことを告白する。そんな澪の思いを知った硝子は、改めて澪と仲よくなりたい気持ちを伝える。こうして本当の友人となった二人は、今後お互いにもっと人間関係に積極的になり、どちらが先に友人を100人作るか競争しようと誓い合うのだった。

肝試しです。

夏休みのある日、只野仁人たちは長名なじみの提案で、片居誠の家で男女混合のお泊まり会をすることになる。仁人と古見硝子は、久しぶりに会えることに胸をときめかし、2年1組のクラスメートたちでいっしょにホラー映画を観たり、肝試しをしたりして楽しく過ごす。しかし肝試しで、仁人は男子の人数が足りないことから、硝子とペアで1回、万場木留美子とペアで1回の合計2回肝試しをすることになる。まずは硝子とトラブルがありつつもゴールした仁人だったが、お化けが苦手な留美子は途中で泣き出してしまう。そこで仁人は、そんな留美子の手を握って優しく導きながらゴールする。そして留美子は仁人の温かい人柄に、ますます惹かれていく。

高速バスです。

お盆になり、古見硝子古見晶に誘われて、古見笑介と共に予定よりも早く親戚の家に行くことにした。そこで古見秀子は、新幹線に乗れるお金を二人に渡しつつ、必ずしも新幹線で行く必要はないし、もしお金が余ったらお小遣いにしてもいいと伝える。そして二人は新幹線ではなく、高速バスで親戚の家に行くことにし、硝子は初めて高速バスで1泊することとなる。こうして到着した親戚の家では、偶然遊びに来ていた井中のこ子と再会。そして、のこ子が提案した田舎ならではの遊びを硝子や晶と共に楽しむのだった。

自転車の練習です。

お盆が過ぎ、古見硝子が作った「やりたいことリスト」も、かなりの項目を叶(かな)えていた。そんなある日、只野仁人はリストの中に「自転車に乗る」という項目があることに気づき、さっそく硝子を誘って自転車で出かけようとする。しかし硝子は、実は自転車に乗れなかったものの、リストに書いたのは苦手を克服したいと思っていたからだった。そこで仁人は、自転車に乗る練習に付き合うことにする。

屋台です。

夏休みも終盤となったある日、只野仁人古見硝子万場木留美子片居誠の四人は、夏祭りで上理卑美子の叔母が経営する屋台を手伝うことになる。そこで四人は二人ずつペアになって店番をするが、屋台には2年1組のクラスメートたちやたくさんの友人が顔を出してくれ、硝子は自分の世界が大きく広がったことを実感するのだった。こうして店も落ち着いてきた頃、仁人と留美子は休憩中にほかの屋台や花火大会を見に行くことにする。ここでも二人は楽しく過ごし、留美子は仁人への恋心を自覚するが、二人でいっしょにいるところを、只野瞳加藤三九二佐々木あやみに見られてしまう。

清潔です。

新学期となり、生徒会選挙の季節を迎える。只野仁人の2年1組からは潔清子が立候補するが、極端な潔癖症の清子は、クラスメートたちに同情票は不要だと吐き捨て、応援を拒否する。そんな清子には親しい友人もおらず、応援代表も決まらずにいた。そこで清子は、1年生の頃に親しかった阿瀬志吹に応援代表を頼むが、志吹は無下に断る。志吹は明るく穏やかな性格で周囲からも好感を抱かれていたが、非常に汗っかきであることを気にしており、自分に自信が持てず、自分では応援代表が務まらないと考えていたのだ。そんな志吹は代わりに古見硝子を推薦するが、硝子がやる気になりかけたところ、今度は清子が拒否する。清子は人気者の硝子をひそかに嫉妬しており、彼女の人気にあやかるのはおかしいと思っていたのである。納得のいかない硝子は放課後清子のあとをつけると、硝子は清子のまじめで心優しい人柄に触れる。

たたいてかぶってじゃんけんぽんです。

古見硝子は、正々堂々と生徒会選挙に望みたいという潔清子の意向を汲(く)んで、票集め担当としてではなく、友人として応援代表を務めることになった。そんな二人を見た阿瀬志吹たちクラスメートは安堵し、自分たちも応援したいと申し出るが清子はこれを断り、その冷たい態度にクラスメートたちは困惑する。しかし、ここで長名なじみが現れ、険悪な雰囲気を一変させる。「たたいてかぶってじゃんけんぽん」で勝負し、清子が勝てば自分たちはいっさい応援しないが、負けたら好きなように応援させてもらうと約束を取り付ける。こうして始まった清子とクラスメート全員との勝負は、清子の圧勝に終わる。しかしなじみはあっさりと約束を反故にし、こうしていっしょにゲームをした自分たちはもう友人なのだから、硝子同様自由に応援していいだろうと主張。この言葉に清子も折れ、2年1組はクラス一丸となって生徒会選挙に挑むこととなる。

生徒会です。

生徒会選挙で潔清子を応援できることになった古見硝子たちは、清子に立候補の理由を尋ねる。それは入学式の日、生徒会長の伊調せとかが、体調を崩した生徒を間接的に助けた姿を見たことから始まる。この時から清子はせとかにあこがれ、自分もせとかのようになりたいと思って立候補したのだ。この言葉に感動した万場木留美子は、さっそくせとかに会いに行こうと、硝子、清子、阿瀬志吹の四人で生徒会室に向かうが、ここで衝撃の事実が判明する。当時せとかは体調の悪い生徒を気遣ったわけではなく、単に自分が立っていることに疲れただけで、無理やり校長の話を遮って生徒たちに着席をうながしたのだ。その結果、体調を崩した生徒を助けた形になっただけだった。それに加えてせとかは、気さくでリーダーシップに長(た)けているものの、ずぼらで衛生管理には欠ける、清子がもっとも苦手とするタイプの人間だった。せとかの人柄を知った硝子たちは、清子が立候補を取り下げるのではないかと不安になるが、硝子たちが自分のために時間を割いてくれていることを理解している清子は、精力的に選挙活動を続ける。

応援代表です。

生徒会選挙当日となり、立候補者と応援代表による演説が始まった。しかし潔清子は、この段階になっても応援代表者を決めていなかった。これを案じた只野仁人古見硝子万場木留美子の三人は、不測の事態に応えられるようにそれぞれ原稿を用意して待機していたが、直前になって、清子は阿瀬志吹に代表になって欲しかった思いを語り始める。二人は中学生の頃は非常に親しかったが、清子はある日突然潔癖症となってしまう。これによって清子は思わず志吹を汚物扱いしたことで、それ以来志吹は、自分の汗っかきな体質を気にするようになっていた。また清子も、これ以上いっしょにいてもまた志吹を傷つけるだけだと判断し、距離を置くようになっていたのだ。そんな清子の思いを知った三人は急遽志吹を呼び出し、清子は改めて応援演説を頼む。これに応えた志吹は、ぶっつけ本番で演説を成功させ、清子は生徒会長に当選する。そしてこれがきっかけとなり、二人の関係も修復されるのだった。

自転車でお出かけです。

体育祭を迎え、2年1組は優勝を逃したものの、2年連続で熱い戦いを繰り広げた古見硝子根津野ちかは、友人関係となる。体育祭の翌日、只野仁人、硝子、万場木留美子は、振替休日を利用して自転車で出かけることにする。この日は硝子が二人にお勧めの場所を案内する形で、三人は猫カフェで楽しい時間を過ごすのだった。

金魚です。

秋のある日、只野仁人万場木留美子から金魚についての相談を受ける。留美子は、夏祭りで仁人といっしょに金魚すくいでゲットした金魚、ぴーぷるくんを飼っているのだが、このところ体調が思わしくないのだという。そこで仁人は万場木家を訪問して不調の原因を調べ、いっしょにアクアリウムショップへ行って体調を回復させるためのものを購入する。これが功を奏してぴーぷるくんの容体は回復のめどが立ち、仁人への思いが高まった留美子は、思わず好きな人はいるのかと、仁人に尋ねる。

文化祭の練習です。

文化祭の季節となり、2年1組の出し物は演劇に決まった。主演女優は古見硝子が務めることになるが、主演俳優を務める宝塚真矢は、硝子はヒロインのキャラクター像と大きくイメージが異なり、硝子もまた演じづらそうにしているのを案じていた。そこで真矢はもう1本作品を準備して、当日は2本の演劇を交互に上映することを提案する。そして硝子は、最初の役を万場木留美子と交代し、もう1本の作品「冷たい血のプリンセス」のクールでセリフの少ないヒロイン役を演じることになるのだった。「冷たい血のプリンセス」で主演俳優を務めた只野仁人のサポートもあり、硝子はいい演技を見せて、文化祭初日は大盛況となる。しかし留美子は硝子の迫真の演技を見て、これが演技ではなく、硝子が仁人に思いを寄せているからこそのものだと気づいてしまう。これに深いショックを受けた留美子は身を引くことを決意し、仁人に不自然な態度を取ってしまう。

どうでもよくないです。

文化祭初日、只野仁人古見硝子は、万場木留美子の様子がおかしいことに気づき、二人で話し合った結果、まずは硝子が事情を聞きに行くことにした。ここでも留美子はなんでもないの一点張りだったが、とうとう折れて、仁人に思いを寄せていたが、あきらめようと思っていることを打ち明ける。一方その頃、仁人は舞台に穴を開けないために、主演俳優を片居誠に頼んで、自分は女装して硝子の代役を務めていた。こちらは無事に成功するが、硝子と留美子の話し合いはうまくいっていなかった。硝子と留美子は今日の話し合いをきっかけに、二人とも仁人に思いを寄せていることを知る。それゆえに留美子は自分が身を引くと言い出したのだが、硝子は納得できないでいた。硝子にとっては留美子もまた大切な存在であり、一方的に我慢を強いることに納得していなかったのだ。結局この日は、心配した仁人が話の途中で現れたことで結論は出ないままに終わる。しかし硝子の言葉で留美子の気持ちは明るくなり、再び笑顔を見せるようになる。

文化祭デートです。

2日間の文化祭の中で、古見硝子万場木留美子は話し合いの結果、それぞれ只野仁人と二人きりの時間を過ごした。そして二人は、今すぐ仁人をめぐる三角関係に結論を出すことはできないが、今後はお互い遠慮せずにどんな結果になっても友達で居続けようと決めるのだった。こうして文化祭は終わり、2年1組のクラスメートたちが打ち上げをしていると、留美子は宝塚真矢から声をかけられる。真矢は留美子に主演を務めてくれたお礼と、仁人のことで尋ねたいことがあり話しかけてきたのだ。そこで留美子は仁人に思いを寄せていることを打ち明け、同時に2年1組の大半が仁人と硝子の関係を応援していることを知らされる。しかしそれでもあきらめないと宣言する留美子を、真矢は優しく抱きしめるのだった。

体育倉庫です。

文化祭も終わり、ライバル宣言をした古見硝子万場木留美子は、以前よりも積極的に只野仁人にアプローチするようになっていた。しかし、いまだに「コミュ症」を完全に克服したわけではない硝子と、照れ屋で恋愛には奥手な留美子の思いは、鈍感な仁人にはまったく伝わっていなかった。そこで二人は、恋愛上級者である吐露蜜にアドバイスを求め実行するが、それでも仁人には伝わらずに終わるのだった。そんなある日、加藤三九二佐々木あやみと遊ぶことになった硝子は、仁人との進展具合を尋ねられる。そこで硝子は、留美子のプライバシーのためにも彼女の名前は出せないものの、現在友人を交えて三角関係になっていることを正直に打ち明ける。すると二人はこれを面白がりつつも、辛いことを乗り越えた硝子を称えて励ますのだった。しかしその直後、仁人と硝子は体育の準備中、体育倉庫に閉じ込められてしまう。そこで硝子は、仁人が留美子についてどう思っているかを尋ねる。

合コン? です。

秋のある日、古見硝子は最近友人を増やす活動を怠っているのを長名なじみに指摘されてしまう。そこでなじみは、合コンと称して、急遽女子のみの親睦会を開催する。ここには女装をした只野仁人も同行するが、集まったのは安智有梨沙や、これまでまったく話したことのない三人だった。それでも仁人の尽力によりなんとか親睦会は進むが、有梨沙は批判的な思考の持ち主で、よくも悪くも思ったことをはっきり口にしてしまう人物だった。そんな有梨沙には、硝子が受けを狙ってわざと暗い人間であるかのように振る舞ったり、ふつうに話せるのにわざと筆談で話しているように見えていた。そこで硝子は誤解を解くため、自分が「コミュ症」であるがゆえに友人がいなかった過去と、これを克服するために、さまざまの人たちと友人になりたいと思っていることを伝える。それでも有梨沙は、自分のようなきつい性格の人間とは親しくならない方がいいと突っぱねるが、硝子はあきらめない。そんな中、ほかの参加者もまた、有梨沙が友人を作りたくてこの会に参加したこと、悪口のように聞こえる鋭い指摘も、面と向かって言われる分には腹が立たずに、ツッコミを入れているようで面白いことに気づく。これによって場の雰囲気は次第によくなり、最終的に硝子は三人と友人になるのだった。

四者面談です。

高校2年生も2学期が終わろうとしており、只野仁人の2年1組では、四者面談が行われることになった。これは、担任教師と生徒、生徒の親の三者だけでなく、学級委員長である仁人も参加するものだった。仁人はこの抜擢に驚きつつも、クラスメートの親たちに各自のいいところを伝えていく。そんな仁人は、潔清子の厳格な父親や、極端に無口な片居誠の母親とも円滑にコミュニケーションを取り、担任をうまくサポートしていく。さらにそれだけでなく、褒められた生徒たちもまた、仁人の鋭い観察眼や些細(ささい)なことまで記憶し、ポジティブ思考な温かい人柄に感動するのだった。そして仁人の順番となると、なぜか長名なじみが担当となり、仁人がクラスメイトの男女問わずにモテることや、女装をして安智有梨沙たちとの合コンに参加したことを暴露されてしまう。

スノーボードです。

冬休みのある日、只野仁人たち2年1組の面々は、万場木留美子の提案でスノーボード旅行へ出かけることになった。初日は夜に集合して高速バスの中で泊まることになるが、古見硝子ととなりの席になった仁人は寝つけないでいた。しかしそれは硝子も同じで、二人は携帯電話の画面を使ったり、ひそひそ声でコミュニケーションを取ったりして楽しむのだった。そして、いよいよスノーボードが始まり、仁人たちは経験者の阿瀬志吹米谷忠釈に教えてもらいながら練習を重ねていく。こうして楽しい時間はあっという間に過ぎて帰る時刻になるが、ここで留美子がヘアアクセサリーをロッカーに忘れてきたことに気づく。そこで仁人は、硝子たちには先にバスに乗ってもらい、二人で探しに行くことにするが、戻って来るとすでにバスは出発していた。乗務員に事情を伝えるはずの硝子たちはみんな疲れて眠ってしまい、全員そろったとカンちがいしたバスは発車してしまったのである。

旅館です。

荷物もないまま取り残されてしまった只野仁人万場木留美子は、近くの旅館に泊まることにした。さっそく仁人は女将(おかみ)に事情を伝え、無事家族に連絡が取れ、宿泊できることになる。しかし旅館は繁忙期で一室しか空室がなく、二人はいっしょの部屋に泊まることとなる。仕方なく仁人と留美子は同じ部屋で過ごすが、夜には事態を知った古見硝子から電話もかかってくる。こうして一夜は明けるが、仁人は留美子が夜中に発した、仁人が好きだという言葉を聞いてしまう。

寝言です。

無事にスノーボード旅行から帰宅した只野仁人は、さっそく只野瞳からの質問攻めに遭う。しかし、あまり立ち入ったことは話したくない仁人は、兄妹間でのルールを駆使して逃げ出す。その夜、仁人は万場木留美子と出会ってからのことを思い出していた。そしてもしかすると留美子は、自分のことが好きなのかもしれないという結論に至るが、結局確信は持てずに夜は過ぎていく。

年末の報告相談です。

年末となり、古見家は古見結子たちの待つ田舎に遊びに来ていた。そこで古見硝子は結子に最近の悩み事を相談したり、親戚一同でお餅つきをしたりと充実した時間を過ごす。そして新年となり、硝子は只野仁人に新年のメッセージを送ろうと意気込むが、文面に悩んでいるうちに深夜になってしまう。そこで硝子は遅い時間になりすぎたことを理由にひとまず眠ろうとするが、その時ちょうど仁人からメッセージが届き、幸せな気持ちになるのだった。その後、硝子は去年同様結子の知人の神社で、井中のこ子古見晶といっしょに巫女のアルバイトをすることになる。その仕事中、体調を崩した少女を見かけた硝子は、勇気を出して声をかける。

搭乗です。

今年の修学旅行はアメリカのニューヨークで、只野仁人たちは初めての海外に緊張しつつも、しっかりと準備をして当日を迎える。こうして仁人たちが無事現地に到着すると、そこにはなぜか3年生の伊調せとかが待機しており、仁人たちは現地ガイドを自称する彼女と共に各地を観光することになる。そしてブロードウェイミュージカルや、美術館での芸術鑑賞を経て迎えた旅行3日目の朝、古見硝子は担任の許可を取って万場木留美子と外出し、現在アメリカで暮らしている夏木戸澪に会いに行く。すると澪も友人のミラを連れて来ており、四人はおしゃべりやバドミントンを楽しむのだった。

こっち向いて。です。

古見硝子万場木留美子から、修学旅行中に只野仁人に告白するつもりであることを打ち明けられる。これを阿瀬志吹潔清子に偶然聞かれてしまったことで、硝子と留美子は事情を説明し、翌日から留美子は仁人と二人きりになれるよう、積極的に働きかけていく。これに留美子から話を聞いた米谷注釈も加わったことで、教会での休憩中、ついに留美子は仁人と二人きりになることに成功する。しかし留美子はなかなか勇気が出せず、現在思いを寄せている人がいるが、告白すると今の友人関係が壊れるかもしれないから告白できないと、仁人に相談してしまう。しかし仁人は、たとえそうであっても告白した方がいいと背中を押し、留美子を励ます。だが、結局留美子は思いをはっきりと伝えることはできず、間接的に好意を伝えるのに留まるのだった。一方その頃、硝子は複雑な気持ちで留美子の報告を待っていた。

メディアミックス

実写ドラマ

2021年9月6日より、本作『古見さんは、コミュ症です。』の実写ドラマ版『古見さんは、コミュ症です。』がNHK総合で放送された。脚本は水橋文美江、総合演出は瑠東東一郎が務めている。キャストは、只野仁人を増田貴久、古見硝子を池田エライザ、万場木留美子を吉川愛が演じている。

テレビアニメ

2021年10月6日より、本作『古見さんは、コミュ症です。』のテレビアニメ版『古見さんは、コミュ症です。』がテレビ東京系列で放送された。総監督は渡辺歩、監督は川越一生、シリーズ構成は赤尾でこが務めている。キャストは、只野仁人を梶原岳人、古見硝子を古賀葵が演じている。また、 2022年4月6日からテレビアニメ第2期が放送された。

登場人物・キャラクター

只野 仁人 (ただの ひとひと)

私立伊旦高校1年1組に所属する男子生徒。前髪を眉上で短く切った短髪ヘアに、頭頂部に生えたトマトのヘタのような白い髪が特徴。中学時代、自らの個性をアピールしようとして失敗した過去から、高校では周りの空気を読み、できるだけ目立たないように生活しようと考えている。そんなある日、隣の席の古見硝子が「コミュ症」であるという秘密を知り、硝子の「友達を100人作りたい」という夢に協力することになる。

古見 硝子 (こみ しょうこ)

只野仁人のクラスメイトで、私立伊旦高校1年1組に所属する女子生徒。癖のある前髪を目の上で切り、腰まで伸ばした黒髪ストレートロングヘアをしている。常に寡黙でクール、しかも非常に美しい容姿をしていることから、入学してすぐ学園のマドンナ的存在になる。しかし実際は人とコミュニケーションをとるのが極端に苦手な「コミュ症」で、緊張のあまり誰とも会話ができずにいた。 しかし仁人に「コミュ症」であることを知られ、彼の協力を得て友達を作ることを決意する。筆談であれば問題なく気持ちを伝えられるため、仁人とは黒板に文字を書きあったり、ノートに文字を書いて会話することが多い。

長名 なじみ (おさな なじみ)

只野仁人の幼なじみで、私立伊旦高校1年1組に所属する生徒。性別は不明。癖のある前髪を目の上で切り、肩につかない長さの灰色のボブヘアを外にはねさせている。頭頂部から2房飛び出した「アホ毛」が特徴。「長名なじみ」の名の通り、知り合った人とすぐに「幼なじみ」であるかのように親しくなれるという驚異的なコミュニケーション能力の持ち主で、非常に顔が広く友人が多い。 一方で虚言癖があり言動が一致せず、本当の性別すら誰も知らないなど謎が多い。誰とでも仲良くなれるが、古見硝子のことだけは苦手で、小学校2年生の時に声をかけたが友人になれなかったショックを今も引きずっている。

上理 卑美子 (あがり ひみこ)

只野仁人のクラスメイトで、私立伊旦高校1年1組に所属する女子生徒。前髪を真ん中で分けて額を全開にし、癖のある髪をポニーテールにしたパイナップルのような髪型で、眼鏡をかけている。極度のあがり症で人前に立つことが非常に苦手。自身の容姿や性格にも強いコンプレックスを感じており、自分に自信が持てずにいる。そのため、友達になりたいと声をかけてきた古見硝子に対しても、「友人」ではなく、進んで下僕のような存在の「犬」になってしまう。

山井 恋 (やまい れん)

只野仁人のクラスメイトで、私立伊旦高校1年1組に所属する女子生徒。前髪を目の上で切り揃え、胸のあたりまで伸ばしたロングヘアを外にはねさせている。髪の左サイドにだけ顔の高さにリボンを付けている。クラスでは目立つ女子グループに所属しており、一見、人当たりが良いが実は裏表が激しい性格で、仁人など、クラス内で自分よりも立場が下とみなした相手には非常に冷たい。 一方で古見硝子のことは熱烈に慕っており、ひそかに「古見様」と呼んでいる。自分自身のことは「普通」の人間と捉えている。

まぁくん

長名なじみの幼なじみで、なじみが引っ越しする前に親しくしていた男子生徒。本名は不明。前髪をカチューシャで上げて額を全開にし、肩につかない長さの髪を後ろにはねさせている。体型は少々太目で、耳にピアスを多数付けている。なじみとは友人として親しくしていたが、なじみが引っ越してから恋愛感情を抱いていたことに気づき、行方を探していた。 再会後は、極端なアプローチをしてなじみを困らせる。

しーちゃん

まぁくんの友人で、長名なじみの幼なじみでもある男子生徒。本名は不明。前髪を上げて額を全開にし、顎のあたりまで伸ばした髪を外にはねさせている。少々出っ歯気味で、目が細い。なじみを必死で探していたまぁくんの恋路を応援しており、彼の想いが報われるように祈っている。

矢田野 まける (やだの まける)

私立伊旦高校1年1組に在籍する女子。只野仁人のクラスメイト。前髪を眉が見えるように切ったラウンド前髪に、腰まで伸ばした薄桃色のロングヘアを肩の高さで二つに結んでいる。極端に負けず嫌いな性格で、高校入学直後から古見硝子のことを「神」「クラスで最も優れた存在」と呼び、一方的にライバル視している。そのため、身体測定や体力測定で硝子に勝とうとするが、50メートル走で硝子といっしょに走った際にその美しさに目を奪われ、「強敵(とも)」と呼んで負けを認めた。しかし、その直後もちょっとした誤解から、硝子もまた自分をライバル視していたと勘違いし、再び打倒硝子に燃えるようになる。それ以降はテストの成績や射的の腕などで硝子と競おうとしているが、すべて硝子に負けている。

中々 思春 (なかなか おもはる)

私立伊旦高校に通う1年生の女子。右から左に向かって斜めにカットした前髪に、顎の高さで切り揃えた黒のボブヘアにしている。左腕全体に包帯を巻き、右手には指抜きグローブをはめ、左目の「邪眼(ものもらい)」を眼帯で隠している。いわゆる「中二病」で、自分はファンタジー世界からやって来た、前世以前の記憶を持つ闇の眷属で「真名」(自称)は「マルソート・レス・プリマベラ」である、という設定で生活している。そのため友人はおらず、いつも一人で行動していた。しかし高校1年生の初夏、校内で偶然見かけた古見硝子の事を気に入り、友人になりたいと考えるようになる。そこで硝子に声を掛け、自分と硝子は、以前「マルソート・レス・プリマベラ」と「コミリア姫」として生きていた頃に出会った親しい存在であると噓をついて「血の契約」を結ぶよう迫るが、硝子が本気にしてしまったためにボロを出してしまい、その場を逃げ出す。しかしその後、硝子の方から改めて接触した事により、友人となった。自分でも自ら考えた設定を正確に把握していなかったり、簡単に変えてしまったりするため「マールト・トリー・ヴェスナー」と名乗る事もある。

井中 のこ子 (いなか のここ)

私立伊旦高校に通う1年生の女子。前髪を眉上で短く切った、癖のあるショートカットにしている。両頰にそばかすがある。田舎出身で、言葉に訛りがある事を非常に気にしている。そのため私立伊旦高校入学後も、訛っているのがばれないように、必要最低限の言葉しか発さず、結果友人ができずにいた。しかし、高校1年生の2学期開始を機に自分を変えようとしていたところ、以前からあこがれていた古見硝子が、一人でファーストフード店「サボウェイ」に向かう姿を目撃し、店での硝子の所作を学べば、都会的な女性になるのではと考える。そこでこっそり硝子を尾行し、硝子の真似をして買い物に成功する。しかし、硝子が慣れない店におびえており、うまく買い物ができず目的と違うものを買って帰った事にはまったく気づかなかった。

根津野 ちか (ねつの ちか)

私立伊旦高校2年3組に在籍する女子。前髪を右寄りの位置で斜めに分けて左目が隠れそうなほど伸ばし、セミロングヘアを高い位置でポニーテールにしている。炎のような形の大きな髪飾りを付けており、色黒で引き締まった体型をしている。非常に熱い性格で、物事を熱や温度で例える事が多い。高校2年生の体育祭で古見硝子と出会い、当初は硝子の事を、優秀だがクールでつまらない人物だと捉えていた。しかし、クラス対抗リレーで、転んでしまっても必死に走る硝子の姿に感銘を受け、考えを改めた。

尾根峰 ねね (おねみね ねね)

私立伊旦高校1年1組に在籍する女子。只野仁人のクラスメイト。前髪を真ん中で分けて額を全開にし、胸の高さまで伸ばした茶色のストレートロングヘアをポニーテールにしている。左目尻と、口元の2か所にほくろがある。穏やかで面倒見のいい性格で、周囲の姉的存在として知られている。高校1年生の9月、いつも雑用を押し付けられている仁人を心配して、何かにつけ手伝うようになる。古見硝子の事は、近寄りがたく高圧的な人物だと捉えていたが、仁人の手伝いをする過程でそれは誤解であったと気づき、さらに硝子が仁人に片思いしているらしい事を察する。それ以降は、二人の仲を陰ながら応援するようになる。

尾鶏 かえで (おとり かえで)

私立伊旦高校1年1組に在籍する女子。只野仁人のクラスメイト。前髪を目の上で切り、お尻まで伸ばした深緑色のロングヘアを、首の付け根の高さと、腰の高さで2回結んでいる。同級生に対しても敬語で話し、語尾の延びた、ゆっくりとした話し方をする。非常におっとりとしたマイペースな性格で、周囲よりもワンテンポ遅れてしまう事が多い。そのため、高校1年生の秋に文化祭実行委員に選ばれても周囲をハラハラさせていた。しかし、いっしょに作業をする相手に古見硝子と尾根峰ねねを選んだ事により、最終的に作業は順調に進んだ。以来、三人で行動する機会も増え、特に硝子との相性はいい。尾鶏かえで自身がのんびりしている事もあり、硝子が緊張のあまりなかなか行動できず、時間がかかってしまう事があっても、気にせず待つ事のできる心の広さを持っている。猫には非常に好かれている。

片居 誠 (かたい まこと)

私立伊旦高校1年1組に在籍する男子。只野仁人のクラスメイト。前髪を上げて額を全開にしたショートカットの髪型をしている。三白眼で目つきが悪く、鼻の頭にいつも絆創膏を貼っている。大柄で筋肉質な、がっしりとした体型。強面の容姿だが、物静かで穏やかな性格の持ち主。しかし不器用で口下手なのが災いし、周囲には恐れられてしまっている。中学時代までは地味で目立たない存在で、伊旦高校に入学する直前に体調を崩し、最初の1週間を休んでしまった。これがきっかけで学校に行きづらくなってしまい、不登校になっていたが、夏休みに自分を変えるため肉体改造を始め、別人のような強靭な肉体を手に入れた。これによって自信がつき、11月から学校に通うようになる。だが、コミュニケーションが苦手な性格は変わっておらず、周囲から誤解される事が多い。片居誠が古見硝子と同様の「コミュ症」であるといち早く理解して、声を掛けてくれた仁人の事を、密かに慕っている。好きな食べ物はハンバーグで、苦手な食べ物はピーマン。

成瀬 詩守斗 (なるせ しすと)

私立伊旦高校1年1組に在籍する男子。只野仁人のクラスメイト。前髪を目の上で切り、髪を3段階に段をつけたショートカットヘアで、眼鏡をかけている。極端なナルシストで、自分の事を、周囲の注目を集める美男子だと思っている。しかし実際は、いつも一人でおかしな事をしている妙な人物であると認識されている。だが決して付き合いづらい性格というわけではなく、ノリがよかったり、天然気味な一面もある。美しい自分には古見硝子こそがふさわしいと考えているが、高校1年生の冬になっても硝子が接触してこない事を不思議に思っている。そこでもしかして硝子は「コミュ症」なのではと、思わぬ形で真実に気づくが、その後硝子が成瀬詩守斗の落としたハンカチを拾った事で、硝子は自分の事が好きに違いないと勘違いするようになってしまった。

加藤 三九二 (かとう みくに)

私立伊旦高校1年1組に在籍する女子。只野仁人のクラスメイト。前髪を上げて額を全開にしたショートカットの髪型で、焦げ茶色のロングヘアを2本の三つ編みにし、輪っかを作ってまとめて眼鏡をかけている。まじめで落ち着いた性格の持ち主。特技は将棋で、将来はプロ棋士になる事を夢見ている。クラスでは目立たない存在で、高校1年生の冬までは、仁人や古見硝子とはかかわりがなかった。しかし、修学旅行の班決めがくじ引きで行われ、硝子と佐々木あやみと同じ班になった事がきっかけで二人と親しくなる。旅行の計画はしっかりと立てたいタイプで、修学旅行当日は充実した1日にしたいあまり、過密スケジュールを立ててしまった。それが原因であやみと一瞬険悪になってしまうが、硝子のフォローで仲直りし、旅行後も三人で過ごす機会が増えた。密かに片居誠にあこがれており、あやみの協力もあり、少しずつ親しくなっている。

佐々木 あやみ (ささき あやみ)

私立伊旦高校1年1組に在籍する女子。只野仁人のクラスメイト。前髪を目の上で切り、顎の高さまで伸ばした暗い茶色の前下がりボブヘアを、黒のヘアバンドでまとめた髪型をしている。明るくノリのいい性格。特技はヨーヨーで「U-18ヨーヨー世界大会」で3位になるほどの優秀なパフォーマー。しかし子供の頃、女子がヨーヨーをするのはおかしいと、男子から笑われてしまったのがきっかけで、周囲にはこの特技を隠している。クラスでは目立たない存在で、高校1年生の冬までは、仁人や古見硝子とはかかわりがなかった。しかし、修学旅行の班決めがくじ引きで行われ、硝子と加藤三九二と同じ班になった事がきっかけで二人と親しくなる。さらに旅行中に、ヨーヨーが特技だという事を二人に知られてしまうが、二人がそれを高く評価した事でヨーヨーパフォーマーとして自信が持てるようになった。佐々木あやみ自身には特に思い人はいないが、恋愛の話題は大好きで、硝子と三九二の恋愛がうまくいくようにサポートする事も多い。

鬼ヶ島 朱子 (おにがしま あかこ)

私立伊旦高校1年1組に在籍する女子。山井恋の友人。前髪を目の上で切り、顎の高さまで伸ばした赤のボブヘアにしている。釣り目で、八重歯が2本ある。明るく分け隔てない性格の人気者で、周囲からは幼なじみにしたい女性No.1として知られている。しかし、怒ると非常に恐ろしく手が付けられない事から、不機嫌な鬼ヶ島朱子には恋でさえ決して近づかない。高校1年生の2月のある日、不運続きで非常に苛立っていたうえ、水飲み場にイヤホンを落としそうになったところを古見硝子にキャッチされ、これがきっかけで硝子の心優しい人柄を知る。その後、そのままいっしょに遊びに行き、友人となった。

佐藤 甘美 (さとう あまみ)

私立伊旦高校1年1組に在籍する女子。只野仁人のクラスメイト。前髪を目の上で切り、顎の高さまで伸ばした銀色の前下がりボブヘアにしている。非常に心優しく面倒見のいい性格だが、他人の願い事を聞くために自分を犠牲にしすぎてしまったり、必ずしも佐藤甘美が必要というわけでもない些細な頼み事も聞いてしまったりするため、友人達からは、他人に甘すぎると心配されている。そのため多忙な日々を送っていたが、高校1年生の2月に古見硝子から、もし甘美も頼みたい事があれば自分に言ってほしいと言われた事がきっかけで、硝子と親しくなる。また、これがきっかけで、少しずつ人に頼る事ができるようになった。

檎林美 (ごりみ)

私立伊旦高校に通う女子。上理卑美子と同じく図書委員で、卑美子の先輩にあたる。前髪を長く伸ばして真ん中で分けて額を全開にし、ボブヘアを耳の上の高さで二つに結んだツインテールにしている。長身で筋肉質のがっしりとした体型で、腕っぷしが強い。図書室で騒がしくしている生徒がいるとハリセンで叩いて注意をし、注意回数が3回になった生徒は無理やり退室させている。しかし只野仁人には、生徒の話す声よりも、檎林美のハリセンの音の方がよほどうるさいと思われている。

只野 瞳 (ただの ひとみ)

只野仁人の妹。前髪を目の上で切り、セミロングヘアを頭の高い位置でツインテールにし、リボンでまとめている。明るく世話焼きな性格で、勘が鋭い。長名なじみとは、なじみのコミュニケーション能力の高さもあり、仲がいい。古見硝子とは、仁人が自宅に硝子を招いた事で知り合い、当初はなぜ硝子のような女性が仁人と親しくしているのか不思議に思っていた。仁人の事はさえない兄だと捉えているが、なんだかんだで仲がよく、いっしょに買い物に行ったり、仁人が硝子に贈るホワイトデー用のプレゼントをいっしょに選んだりする事もある。

古見 将賀 (こみ まさよし)

古見硝子の父親。前髪を上げて額を全開にし、撫でつけたショートカットヘアに、眼鏡をかけている。硝子同様コミュニケーションが苦手で極端に無口だが、なぜか硝子とは言葉を交わさなくても意思疎通ができ、秀子にはいつも不思議がられている。硝子の事を非常に大切に思っており、硝子といっしょに服を買いに行った際は、硝子の見立てた服をすべて購入したほど硝子の事が大好き。秀子とは高校時代に知り合い、一見不愛想な古見将賀が捨て猫を助けようと猫の小屋を手作りしたり、家庭科の授業で料理上手な面を見せたりと意外な活躍をしていたのを、秀子が見ていたのがきっかけで交際し、結婚した。秀子とは、現在でも非常に仲がいい。

古見 秀子 (こみ しゅうこ)

古見硝子の母親。前髪を目が隠れそうなほど伸ばした、少し癖のあるショートカットの髪型をしている。旧姓は「新見」。容姿は硝子に瓜二つで、一見近寄りがたく見える。しかし硝子とは真逆で、明るく冗談好きの、親しみやすい性格。只野仁人と長名なじみとは、なじみの提案で二人が古見家を訪問した際に知り合った。将賀とは高校時代に知り合い、一見無口で不愛想な将賀の心優しい一面や器用な一面を何度も目撃するうちに、その意外性に惹かれて恋に落ち、結婚した。将賀とは、現在でも非常に仲がいい。

古見 笑介 (こみ しょうすけ)

古見硝子の弟の男子中学生。前髪を目が隠れそうなほど伸ばした、癖のあるショートカットの髪型をしている。極端に無口で不愛想だが、硝子と違って話すのが苦手というわけではなく、必要であれば問題なく話せる。

古見 結子 (こみ ゆいこ)

古見硝子の祖母で、古見笑介の実母。前髪を真ん中で分けて額を全開にし、銀髪を後ろで一つにまとめて、眼鏡をかけた老女。古見家の長であり、一見厳格で近寄りがたく見えるが、子供と孫達の事をとても気にかけている。毎年夏のお墓参りなど、親戚が集まる際には親戚中に、最近の生活や悩みなどを一対一で報告させるのが通例になっている。

古見 晶 (こみ あきら)

中学1年生の女子。古見硝子と古見笑介の従妹。前髪を目の上で切り、顎の高さまで伸ばした内巻きボブヘアにしている。以前から硝子と親しくなりたいと考えていたが、中学1年生になるまでは、硝子の「コミュ症」が災いして、うまく会話する事もできずにいた。しかし、中学1年生の夏に、お墓参りで祖母の古見硝子の家に集まった際、前よりも話しやすくなった硝子といっしょにボードゲームする事に成功し、感激して涙を流した。その後、冬休みも硝子と会い、その際は祖母の古見結子も交えて花札に興じた。

雁巣 真姫 (かりす まき)

カリスマ美容師として知られる若い女性。古見硝子の担当美容師を務めている。前髪を右寄りの位置で分けて、左目が完全に隠れるほど伸ばしたショートカットヘアに眼鏡をかけている。中性的な雰囲気を持ち、後輩の新井嘉美子に対しては、男性のような口調で話す。4年前から硝子の担当を務めており、硝子の「コミュ症」を理解している。そのため硝子との接し方を熟知しており、硝子が言葉を発しなくても意思疎通ができる。

新井 嘉美子 (あらい かみこ)

雁巣真姫と同じ美容院で働く、新人美容師の若い女性。前髪を左寄りの位置で斜めに分けてピンで留め、セミロングへアを高い位置でポニーテールにしている。新人であるため、店では主にシャンプーと掃除、雑用を担当している。古見硝子とは、硝子がカットのため来店した際に知り合った。しかし、硝子の「コミュ症」を知らなかったため、どのような接客をしても反応の薄い硝子に、何か失礼な事をしてしまったのではと慌てる。だが最終的に、硝子は単に人と話すのが苦手なだけだったと気づき、安堵する。

しょこら

猫カフェ「gateau(ガトー)」のボス的存在の猫。三白眼の黒猫で、首にリボンを巻いている。性別はメスだが、一人称は「俺」で、男性のような口調で話す。猫カフェで生活しているが不愛想な性格で、人間には懐かず、触られる事が嫌い。古見硝子とは、硝子達が高校1年生の冬に「gateau」に来店した事がきっかけで出会った。当初は硝子達のもとには行かずマイペースに過ごしていたが、やがて硝子のあまりの猫の扱いの下手さを見かねて、自分から接触する形で親しくなった。その後、硝子の持っている、硝子の友人の名前を書き込むメモ帳「古見友人帳」に手形を押したため、猫ではあるが、硝子の友人といえる存在になった。

米谷 忠釈 (こめたに ちゅうしゃく)

私立伊旦高校2年1組に在籍する男子で、只野仁人の友人。癖のある黒髪をショートヘアにし、やや小柄で中性的な顔立ちをしている。万場木留美子からは「ジャック」と呼ばれている。極端に無表情なため、何を考えているのかわかりにくいが、笑うときだけなぜか美少年に変身する。寡黙だが観察眼に優れ、周囲のことを非常によく見ており、さりげない気配りができる。そのため、成瀬詩守斗のナルシストではあるが思いやりのある性格を理解しており、仲がいい。また、詩守斗のわかりにくい言動について注釈を入れる役割も担っている。仁人とは詩守斗をきっかけに親しくなり、2年生になっても同じクラスになったことから、ゆっくりと親しくなっていく。ひそかに女性に人気があり、海に出かけた時は逆ナンパをされ、檎林美にも気に入られている。姉と妹がいる。

万場木 留美子 (まんばぎ るみこ)

私立伊旦高校2年1組に在籍する女子。只野仁人たちとは2年生に進級してから知り合った。金髪のセミロングヘアを軽く巻き、明るく快活な性格をしている。2年生になるまでは非常に濃いメイク「ヤマンバメイク」を好んでおり、派手で近寄りがたい印象を与えていたが、仁人の勧めですっぴんに近い薄めのメイクに変えてからは、大きく雰囲気が変わった。1年時からの友人たちには、その名前を略して「バギコ」と呼ばれており、米谷忠釈からは「ルーミー」と呼ばれている。明るくおおらかで分け隔てなく、誰とでも仲よくできる。基本的にはコミュニケーション能力が高いが、今一つ自分に自信が持てないため、慣れない環境や意識してしまう相手の前では本来の人柄を発揮できない。それゆえに高校2年生に進級した際も、友人グループの中で自分だけが違うクラスになってしまったうえに、派手なメイクもあって周囲から敬遠され、友人がなかなかできずに悩んでいた。そんなある日とうとう体調を崩してしまうが、仁人と古見硝子に助けられ、悩みを打ち明けて硝子と友人になる。また、これがきっかけで仁人を強く意識するようになるが、恋愛には奥手で臆病なことからなかなか進展せずにいた。それでも仁人、硝子とは良好な関係を築いていくが、ある日硝子もまた仁人に思いを寄せていることに気づき、やがて硝子と前向きなライバル関係となっていく。

阿瀬 志吹 (あせ しぶき)

私立伊旦高校2年1組に在籍する女子。只野仁人たちとは2年生に進級してから知り合った。薄桃色の髪をボブヘアにして片側だけ小さく結んでいる。穏やかでかわいらしい雰囲気を漂わせているが、極端な汗っかきであることを非常に気にしており、そんな自分が近寄ると相手に不快な思いをさせてしまうのではないかと思うあまり、自分に自信が持てないでいる。その結果、明るく気配りのできる人柄ながら、卑屈に振る舞いがちである。潔清子とは中学時代からの友人で、当時は非常に親しかった。しかしある日突然、清子が潔癖症となり、体に触れてきた阿瀬志吹を思わず拒絶してしまった一件から疎遠になってしまう。これがきっかけで、志吹も自分の汗を気にするようになってしまう。それ以来、清子とはずっと距離を置いていたが、高校2年生の2学期に生徒会選挙がきっかけでもう一度清子とコミュニケーションを取るようになる。自信家の成瀬詩守斗とは対照的な性格だが相性がよく、人のよいところを見つけるのが得意な詩守斗には、いつも励まされている。汗っかきなのは遺伝らしく、母親もちょっとした緊張で、志吹に負けず劣らずの大量の汗をかく。

潔 清子 (いさぎ きよこ)

私立伊旦高校2年1組に在籍する女子。只野仁人たちとは2年生に進級してから知り合った。紺色の癖のある髪の毛をショートボブヘアにして眼鏡をかけている。不正や不義を嫌う正義感の強い性格をしているが、生真面目なゆえにやや言動がきつくなることがある。机や椅子など自分が触れる場所はあらかじめ消毒しないと気が済まない、極端な潔癖症である。そのため、本来は親切で世話焼きな人柄ながら、周囲には偏屈な頑固者として知られていた。そんな高校2年生のある日、現生徒会長の伊調せとかにあこがれて生徒会長に立候補するが、応援しているクラスメートたちに同情票は不要だと吐き捨てたことから反感を買い、自分の応援者が誰もいない状態になってしまう。そこで、中学時代に親しかった阿瀬志吹に応援代表を務めてほしいと頼むが、断られたことで、只野仁人や古見硝子とかかわるようになる。志吹のことをずっと大切に思っているが、中学時代、自分の潔癖症が原因で志吹を傷つけてしまったことを悔やんでいる。しかし、生徒会選挙を通じて志吹との友情が復活し、硝子や万場木留美子とも親しくなっていく。顔立ちや雰囲気だけでなく、性格までもが父親似であるため、志吹と再び親しくなってからは、父親が自分に対して取っているような過保護で嫉妬深い態度を、志吹にも取ってしまっている。

宝塚 真矢 (たからづか まや)

私立伊旦高校2年1組に在籍する女子。只野仁人たちとは2年生に進級してから知り合った。癖のあるショートヘアを撫で付け、宝塚の男役のような中性的な容姿で、少し芝居がかった話し方をする。まつげが非常に長く、耽美な雰囲気を漂わせている。穏やかで落ち着いた性格で、演劇に強い情熱を持っている。高校2年生の文化祭では主演の男性役を演じて、シナリオライターや全体の監督役を兼任した。また、同級生たちよりも大人びていることから、クラスメートにも慕われている。古見硝子とは文化祭を通じて親しくなり、硝子の思いを見抜いて仁人と進展しそうな台本を書くが、のちに万場木留美子もまた仁人に思いを寄せていることに気づいてしまう。余計なことをしすぎてしまったかもしれないと反省しつつ、留美子のことも応援するようになる。ふだんは芝居がかった口調ながら、動揺すると、一般的な女子高校生の話し方になるため、周囲からは驚かれている。

吐露 蜜 (とろ みつ)

私立伊旦高校2年1組に在籍する女子。只野仁人たちとは2年生に進級してから知り合った。黒髪セミロングヘアで、セクシーで大人びた雰囲気を漂わせている。鼻の左下にほくろが一つある。低血圧で貧血気味なことが多く、いつも周囲の男子に助けてもらっている。そのため、人の心をつかむのがうまく異性からは人気があるが、同性の友人はあまりいない。そんな高校2年生の秋、異性慣れしていることから、古見硝子と万場木留美子からアドバイスを求められ、これを機に二人と親しくなる。いつもけだるい様子ながら面倒見はよく、二人にも丁寧に具体的なアドバイスを送っていた。

安智 有梨沙 (あんち ありさ)

私立伊旦高校2年3組に在籍する女子。只野仁人たちとは2年生に進級してから知り合った。癖のある外はねボブヘアで、少し険のある態度で近寄りにくい印象を与える。辛辣な性格で、物事に対して批判的な態度を取りがちなため、自分の意見そのものは正しいと思いつつも、自分自身を好きになれずにいる。このような性格からうがった見方をしがちで、古見硝子の「コミュ症」についても、本当にコミュニケーションが苦手なのではなく、そんな人物を演じることで受けを狙っているのではないかととらえていた。そんな高校2年生のある日、長名なじみが友人づくりのための同性限定の合コンを開くと聞いて参加する。そこで硝子と女装した仁人と知り合うが、ここでも参加者たちに意地悪を言ってしまい、場の空気を悪くしてしまう。しかし、最終的にはそんな正直な人柄がかえって好感を持たれ、参加者全員と友人になる。

伊調 せとか (いちょう せとか)

私立伊旦高校に通う3年生の女子。3年生になるまでに一回留年しているため、只野仁人の2歳年上である。気さくで明るい性格で、ストレートロングヘアにしている。破天荒かつマイペースな行動で、周囲を驚かせることも多いが、みんなを巻き込むカリスマ性を持つ。しかしあまり物事を深く考えないため、その場の勢いで行動してしまうところがある。古見硝子とは、高校3年生の生徒会選挙の際に知り合い、修学旅行では勝手についてきて共に過ごすことになる。

夏木戸 澪 (なつきど れい)

古見秀子の友人の娘で、小学2年生の女子。黒のストレートロングヘアを大きなリボンでまとめてハーフアップにしている。知的でクールな性格の持ち主。両親が世界中を飛び回る仕事をしていることから、ずっと転勤族で一つの場所に長くいたことがない。そのため、いつしか別れがつらくならないようにあえて嫌な人間を演じることで、周囲と距離を置いて誰とも親しくならないようにしている。そんな小学2年生の夏、両親が不在であることから古見家に1週間預けられるが、当初は古見硝子に対しても冷たい態度を取っていた。しかし、硝子にその寂しさを見抜かれたことで心を開き、それからは年の離れた友人として付き合うようになる。また、この時にお互い人間関係に前向きになれるよう、どちらが先に友人を100人つくれるか勝負しようと約束した。その後は両親の仕事の都合でアメリカへ行き、次の年の冬に修学旅行でニューヨークに来ていた硝子と再会する。

重尻 実葉 (おもじり みわ)

私立伊旦高校で社会科教師を務める若い女性。2年1組の副担任をしている。クールな性格で、ショートヘアを真ん中できっちりと分けている。校内では厳しい先生として知られているが、自宅ではずぼらで生活力に少し欠けるところがある。2年1組の副担任となった春、偶然気を抜いている姿を古見硝子に見られてしまう。

片居 愛 (かたい あい)

片居誠の妹で、貴宰高校に通う1年生の女子。誠同様に目が細く強面の顔立ちで、金髪のストレートロングヘアにしている。校内でも特攻服を身につけている。誰かとつるむことをよしとしない硬派な性格の不良ながら、古見笑介にひそかに思いを寄せている。

場所

私立伊旦高校 (しりついたんこうこう)

只野仁人たちが通う私立高校。県内有数の進学校だが、入学試験は面接のみで行われ、合格基準は「個性的な生徒であるか」の1点のみという変わった方式を採っている。そのため生徒は成績優秀であるのに加え、奇人、変人、はぐれものといったアクの強い者しかいない。ゆえに「コミュ症」な古見硝子にとっては、通常の高校よりも友達を作るのが困難な環境となっている。

書誌情報

古見さんは、コミュ症です。 35巻 小学館〈少年サンデーコミックス〉

第1巻

(2016-09-16発行、 978-4091273437)

第2巻

(2016-12-16発行、 978-4091274267)

第3巻

(2017-03-17発行、 978-4091275097)

第4巻

(2017-06-16発行、 978-4091275752)

第5巻

(2017-07-18発行、 978-4091276643)

第6巻

(2017-10-18発行、 978-4091278562)

第7巻

(2017-12-18発行、 978-4091278852)

第8巻

(2018-03-16発行、 978-4091280916)

第9巻

(2018-06-18発行、 978-4091282545)

第10巻

(2018-09-18発行、 978-4091283900)

第11巻

(2018-12-18発行、 978-4091285904)

第12巻

(2019-03-18発行、 978-4091288028)

第13巻

(2019-06-18発行、 978-4091291660)

第14巻

(2019-08-16発行、 978-4091293299)

第15巻

(2019-11-18発行、 978-4091294418)

第16巻

(2020-02-18発行、 978-4091295552)

第17巻

(2020-05-18発行、 978-4098500727)

第18巻

(2020-09-18発行、 978-4098501786)

第19巻

(2020-11-18発行、 978-4098502776)

第20巻

(2021-02-18発行、 978-4098503896)

第21巻

(2021-05-18発行、 978-4098505296)

第22巻

(2021-08-18発行、 978-4098506446)

第23巻

(2021-10-18発行、 978-4098507207)

第24巻

(2022-01-18発行、 978-4098508662)

第25巻

(2022-04-18発行、 978-4098510580)

第26巻

(2022-07-15発行、 978-4098511853)

第27巻

(2022-10-18発行、 978-4098513499)

第28巻

(2023-01-18発行、 978-4098515325)

第29巻

(2023-04-18発行、 978-4098520275)

第30巻

(2023-07-18発行、 978-4098526116)

第31巻

(2023-10-18発行、 978-4098528530)

第32巻

(2024-01-18発行、 978-4098530731)

第33巻

(2024-04-17発行、 978-4098532209)

第34巻

(2024-07-18発行、 978-4098534340)

第35巻

(2024-10-18発行、 978-4098536351)

古見さんは、コミュ症です。アニメ化記念 1~4巻SPプライスパック 小学館〈少年サンデーコミックス〉

(2021-08-18発行、 978-4098507092)

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