あらすじ
第1巻
埼玉県の立華町に引っ越して来た田中広は、クラスメイトであり家も近い岡本一の自転車を盗もうとしてすぐにばれてしまうが、それがきっかけで友達になった。その縁で岡本の所属するボクシング部に入部した田中は、1学年先輩の村田大介、井上真也、大沢みきおらとも親しくなる。そんなある日、田中はプールの女子更衣室に忍び込み、そこに落ちていたパンツを拾う。パンツの持ち主であるユリコの彼氏・伊藤ヒロシに激怒された田中は、高校ボクシングのインターハイ優勝者である伊藤から一方的に殴られる。いつか伊藤にやり返したいと考えていた田中だったが、ある日二人はヘラブナ釣りでばったり再会する。そこで二人はヘラブナ釣りで対決し、その場は釣りの上手な田中が圧勝を収める。一方の伊藤は負けを認めずにその場を去るが、この一件を機に、二人は少し距離を縮めるのだった。ある日、ブサイクにもかかわらず女性にモテる男たっちゃんにユリコを取られてしまい憔悴するヒロシのために田中は身体を張るが、ヒロシは田中の苦労をよそにあっという間に次の彼女を作ってしまう。
第2巻
ボクシング部の部費10万円を預かった田中広は、そのお金を使って儲けようと欲を出して岡本一と共にパチンコに行き、全額すってしまう。困った二人は、粗大ごみの家電を拾い、それを買った事にしてごまかそうとするが、部の先輩である村田大介、井上真也、大沢みきおに見破られてしまい失敗する。結局、損失を補填するために、二人は工事現場でアルバイトをする事になる。そこで二人は、鋼のような肉体を持ち、ケンカが非常に強い加藤シンジと知り合うのだった。やがて春を迎えて田中達は進級し、彼らの高校に新入生・加藤ヨーコが入学して来る。田中達は美少女のヨーコに夢中になるが、実はヨーコは加藤の妹で、勝手に胸を触った田中は強烈な制裁を受けてしまう。
第3巻
なんとかして女性にモテたいと願う田中広と岡本一は、加藤シンジに相談を持ちかける。加藤は男気にあふれており、なにもしなくても女性を惚れさせるほどの魅力を備えていた。加藤からブサイクにもかかわらず女性にモテるたっちゃんを紹介してもらった田中と岡本は、彼から女性を落とすレクチャーを受ける。たっちゃんが実演した方法は、公衆の面前で土下座をして頼み込むというもので、田中と岡本はさすがに真似はできないとあきらめるのだった。後日、田中達は偶然会った加藤ヨーコと佐藤ミカを誘い、共に海水浴に向かう。ビーチで楽しく過ごす一行だったが、ヨーコをナンパし冷たくあしらわれた事に腹を立てた男性が、ヨーコを車で無理やり連れて行ってしまう。田中は知らない人の車を借りて、ヨーコをさらった車を追いかける。追いついた田中はバットで思い切り頭を殴られ、腕を殴られて骨折するが、満身創痍の身体で相手を倒し、無事にヨーコを救出する。
第4巻
大沢みきおは学校の帰り道に、かわいい女性から声を掛けられてプレゼントを渡される。添えられていた手紙で告白され、有頂天になった大沢は翌日、田中広や岡本一、村田大介、井上真也にその事を打ち明ける。衝撃を受けた四人はこっそり大沢とその女性の行く末を見守る事にする。一方の大沢は、女性と二人きりで歩きながら、自分の好きな将棋の事ばかりを一方的に語り、彼女を退屈させてしまう。その後、大沢は公園で女性にキスをしようとすると、彼女は大沢に告白したのは友達同士の罰ゲームだと笑いながら打ち明ける。屈辱を感じつつも転んでもただでは起きない大沢は、その女性に無理やりキスをして股間を触らせ、自慰行為のネタにするのだった。
第5巻
田中広達は、軽井沢がかつてのバブル時代には男女の盛り場になっていたという情報を手に入れ、ワケありの女性との出会いを夢見て、自転車で100キロの道のりを走る。夜になって田中達は軽井沢に到着するが、金も泊まるところもなく途方に暮れていた。そこへ美しい一人の女性が通りかかり、五人を親切なオーナーのいるペンションへ連れて行く。その女性にはかつて恋人がいたが、身分違いで別れてしまったという過去があった。話を聞いた岡本一は、そんな健気な女性に心を奪われてしまう。翌日、家へ帰ろうとする五人の前に女性のかつての恋人が現れ、二人は結ばれる事となった。幸せそうな彼女を前にして、岡本は複雑な気持ちを抱えるのだった。それからしばらく経ったある日、田中はヘラブナ釣り仲間のシゲが惚れた女性に合わせてバス釣りに転向した事を知る。大きなショックを受ける田中だったが、その女性はシゲから金を借りたまま、別の若い男性と夜逃げしてしまう。
第6巻
田中広と岡本一は、たっちゃんに頭を下げて美人の女性を紹介してもらう。しかし、コンビニでアルバイトをしているその女性は、誰とでも肉体関係を持つ事で有名だった。岡本は勇気を出してその女性に声を掛け、遊ぶ約束をする。しかしそこに村田大介、井上真也、大沢みきおも合流し、いっしょに出かける流れになってしまう。自分が女性と関係を持つための最大の邪魔者は岡本だと判断した田中は、岡本を仲間外れにしようとするが、女性は岡本と共にどこかに行ってしまう。翌日、岡本だけが童貞を卒業した事で嫉妬に燃える四人は岡本を避けていた。だが、性交渉に至る前に岡本が果てたため未遂に終わった事を知り、安堵するのだった。後日、五人は再びその女性に会いに行くが、彼女はコンビニを辞め、新たな職に就いていた。
第7巻
将棋が趣味の大沢みきおは、町内の将棋大会に出場した。見学に行った田中広は、優勝賞品がペアのラスベガス旅行だと聞き、大沢の事を必死に応援する。結果、大沢は卑怯な手を使いつつも見事に優勝。しかし、ラスベガスとは近所のパチンコ屋の事であり、田中と大沢は大いに失望する。やがて梅雨の時期を迎え、田中は陰部のかゆみを覚え始める。みんなの前で岡本一からインキンタムシだと指摘された田中は、クラスメイト達から避けられるようになってしまう。状況を打開すべく、田中は美人の店員がいる薬局で恥を忍んで薬を購入。これによりインキンタムシは完治したものの、一度押されたインキンタムシ持ちの烙印はなかなか消えない。そんな田中に対し井上真也は、これを理由に高校在学中は、田中に彼女ができる事はないだろうと告げるのだった。
第8巻
村田大介が年上の女性からラブレターをもらった事で、田中広、岡本一、井上真也、大沢みきおは仰天する。女性は美人でスタイルもよく、田中達は合コンの開催を目的に村田の後押しをするが、村田はその女性の告白を断わってしまう。その理由は、男は完璧な女性に対して臆してしまうという心理からだった。そんな中、岡本は中学時代に自分に告白してくれた女性と再会する。綺麗になっていたその女性は、現在の岡本を見て、がっかりした様子を隠さなかった。中学では爽やかスポーツマンで成績もよくモテていた岡本は、田中達とつるんでいるうちに成績も下がり、いつしか冴えない男になっていたのである。これを機に岡本は田中らとつるむのをやめ、オシャレな仲間と共に女子達との交友を楽しむが、何か満たされないものを感じていた。そんなある日、岡本は田中達が作った落とし穴にはまってしまう。岡本は、自分を元気づけるためにこんなバカな事をする田中らを愛おしく感じるのだった。
第9巻
田中広は加藤シンジから依頼され、無免許でありながら車で新潟まで怪しげな荷物を運ぶ事になった。実はその荷物の中には、殺人未遂で指名手配されている一人の女性が隠れていた。田中は、殺しきれなかった男を殺しに行くと訴えるその女性を約束通り新潟まで運ぶが、その恨まれている相手とはたっちゃんだった。ほかの女性と過ごしているところに踏み込まれたたっちゃんは女性を返り討ちにし、田中は気を失ったままのその女性を交番へ送り届ける。一方、受験勉強のかたわら、学費を稼ぐために工場でアルバイトを始めた井上真也は、共に働く無口で陰気で服のセンスが悪い二階堂麗子の事が気になっていた。決して好みのタイプではないが、井上は麗子の意外な一面を見るたびにドキドキしてしまい、麗子もまた彼に対して心を開いていく。そして井上は、クリスマスに麗子をデートに誘い、バレンタインデーにキスをして、麗子との交際を始めるのだった。
第10巻
春になり、村田大介、井上真也、大沢みきおが高校を卒業した。村田と大沢はプータロー生活を送る事となったが、それを知った田中広は、まじめに高校に通う事をばかばかしく思うようになってしまう。一方、井上真也は大学デビューをし、髪の毛を茶色に染めて、合コンばかりして遊び呆けていた。綺麗でオシャレな女性達と毎日飲んでいるうちに自分がモテると勘違いをした井上は、二階堂麗子の存在を疎ましく思い、別れてしまう。しかし、実は遊んでいる女性達にまったく相手にされず、こんな自分を唯一好きになってくれた麗子の存在の大きさにようやく気づく。井上は勇気を出して麗子に会いに行き、土下座をしてよりを戻したいと頼むが、麗子は涙を流しながらそれを拒絶するのだった。そんな中、将棋好きな大沢は将棋クラブで、村田はファミリーレストランでアルバイトを始めた。それぞれにやるべき事を決めた仲間達を見て、田中は休みがちだった学校に顔を出すようになる。しかし担任から不まじめさを指摘された田中は、衝動的に高校を中退する事を決めてしまう。
登場人物・キャラクター
田中 広 (たなか ひろし)
顔の1.5倍ほどある大きなアフロヘアーがトレードマーク。おしゃれでやっているのではなく、くせ毛をのばし続けたが故、アフロヘアーになった。転校したての高校では最初に知合った岡本一の紹介でボクシング部に入部するも長続きせず。怠惰な性格で基本やる気がない。釣りが得意でボクシングではまるで歯の立たなかった伊藤ヒロシを負かす腕前。 けんかは弱いが殴られている友人の井上大介を見捨てず助けようとしたり、一目惚れの相手である加藤ヨーコが不良達に拉致されそうになった時にもひるむ事なく助けようとするなど正義感はいっぱし。かなりの面食いで女性に対する目は厳しい。
岡本 一 (おかもと はじめ)
存在感は薄いが仲間内では一番、頭も顔も良く比較的モテる方。性格も常識人であり、部活にもまじめに取り組むのでボクシングの成績もそこそこである。基本的に女性嫌いらしく、「女性から体を取ったら何も残らない」とドライに言い切る。母子家庭でありアルバイト代の半分は家に入れているなど苦労人である。
村田 大介 (むらた だいすけ)
田中広より一学年上。ボクシング部のキャプテンではあるが、キャプテンらしい事は何もしていない。相当頭が悪く、試験でも赤点ばかりである。女性の許容範囲が広く、田中と共に休日に道を歩く女性を「やれる」か「やれない」かで判断していくというゲームでは、ほとんどの女性を「やれる」と入れていた。
井上 真也 (いのうえ しんや)
田中広より一学年上。肥満体で田中らに胸をもまれる事しばしば。トイレで剣道部にからまれている所を田中に助けられるが返り討ちに会う。ボクシング部に所属しているにも関わらずミルクティやフルーツ牛乳を水代わりに飲んでいるため、全くやせない。太っている事を開き直るため仲間達から「ふてぶてしいデブ」と評される。
大沢 みきお (おおさわ みきお)
田中広より一学年上。背が低く少し太めの体系。雲のような髪型が特徴で青ひげが生えている。休日はオナニーに明け暮れている様子。お好み焼き店で大便を流さずその後に女子高生が入ってしまったり、ボクシング部の看板を運ぶ途中に便意に襲われ結果、外で用を足してしまうなどの大便にまつわる下ネタが多い。 趣味は詰め将棋。
伊藤 ヒロシ (いとう ひろし)
イケメンで田中広らが所属するボクシング部の、元部員。ミス立華高校である北島ユリコと付き合っている。小学校の頃からボクシングジムに通っており、高校インターハイの優勝者。田中広と釣り対決で負ける。その後彼女の北島ユリコを謎のモテ男たっちゃんに寝取られる。
たっちゃん
弱冠20歳で500人斬りを達成したと噂されるモテ男ではあるが、その外見からは全く想像ができない。伊藤ヒロシの彼女である北島ユリコを寝取る。現在ヒモ生活をしている。女性や寝取られた男性からの恨みを勝っている事が多いらしい。愛車はワゴンR。
加藤 シンジ (かとう しんじ)
田中広と岡本一が部費返済のためにアルバイトとして雇われた先の先輩社員。屈強であり、かなりの強面で外見に違わぬ乱暴者。工事現場での階段を使うのが面倒だからと受け身を取りながら飛び降りるが平気な顔をしている。褒めると表情には出さないが微かに喜んでいるらしい。たっちゃんとは知り合いである。 ナンパの際は口説く等の回り道はせず、いきなり女性を持ち上げ、文字通りお持ち帰りする。
加藤 ヨーコ (かとう ようこ)
加藤シンジの妹で、田中広の高校に入学してきた一年生。一目惚れした田中に兄である加藤シンジの前で胸をもまれ、田中を恨んでいる。海で不良に車で拉致された際、田中に助けられたが気を失っていたため覚えていない。
二階堂 麗子 (にかいどう れいこ)
ドライバーを作る工場で働く20歳の女性。人間業を超越したほどの速くて正確な仕事ぶりから、井上真也に「ロボ」というあだ名を付けられている。無口で不愛想、髪型や服のセンスも悪く、冴えない。また、前髪で顔を隠しているため、表情がわかりづらく、とっつきにくい印象を与える。しかし実はとても忍耐強く、寛容な心の持ち主。のちに井上と出会い、お互いに惹かれていく。
石丸 (いしまる)
田中広と岡本一のクラスメイトの女子高校生。スタイルは抜群ながら、能面のような恐ろしい人相をしている。胸と尻のみに注目していた事で顔面の恐ろしさに気づかなかった岡本から優しくされ、彼に思いを寄せるようになる。バレンタインデーに岡本の家にこっそり侵入し、チョコレートを置いていくようなストーカー気質の持ち主。
場所
立華町
埼玉県にある田中広らが住む架空の町。埼玉県加須市がモデルになっている。何の変哲もない郊外の街で、ヤンキーも多い。東京からは遠くも近くもないため、卒業後に地元を離れず地元で過ごす者も多い。
続編
中退アフロ田中 (ちゅうたいあふろたなか)
「アフロ田中」シリーズ第2弾。前作『高校アフロ田中』で高校を中退し無職となったアフロヘアーの青年・田中広を中心に、冴えない男たちの日常を描いたギャグマンガ。 関連ページ:中退アフロ田中
上京アフロ田中 (じょうきょうあふろたなか)
「アフロ田中」シリーズ第3弾。アフロヘアをした青年・田中広の日常を描いたコメディ漫画。成人して定職に就きながらも、まだまだ精神的に幼さを残す男性の内面を描く。小学館「週刊ビッグコミックスピリッツ」20... 関連ページ:上京アフロ田中
さすらいアフロ田中 (さすらいあふろたなか)
「アフロ田中」シリーズ第4弾。アフロヘアの青年・田中広の日常を描いたコメディ漫画。自分自身の性欲に振り回される日常や、女性の扱いに苦労するリアルな男性の姿を描いている。小学館「週刊ビッグコミックスピリ... 関連ページ:さすらいアフロ田中
しあわせアフロ田中 (しあわせあふろたなか)
「アフロ田中」シリーズ第5弾。前作『さすらいアフロ田中』から2年ぶりのシリーズ新作となった。舞台は現代の日本。28歳になった田中広は、勤務先の旭工務店を突如退職。神奈川県三浦市三崎で、古民家を改修した... 関連ページ:しあわせアフロ田中
結婚アフロ田中 (けっこんあふろたなか)
「アフロ田中」シリーズ第6弾。前作『しあわせアフロ田中』で、彼女の山田ななこにプロポーズした田中広が、結婚に向けて動き出す姿をコミカルに描く。「ビッグコミックスピリッツ」2018年21・22合併号より... 関連ページ:結婚アフロ田中
マイホームアフロ田中 (まいほーむあふろたなか)
「アフロ田中」シリーズ第7弾。現代の日本、前作『結婚アフロ田中』から1、2年後が舞台。足立区の賃貸マンションで暮らす田中広は、妻のナナコからマイホーム購入を提案され、あまりに高額な土地と35年ものロー... 関連ページ:マイホームアフロ田中
書誌情報
高校アフロ田中 10巻 小学館〈ビッグ コミックス〉
第1巻
(2002-04-02発行、 978-4091864314)
第2巻
(2002-07-30発行、 978-4091864321)
第3巻
(2002-11-30発行、 978-4091864338)
第4巻
(2003-02-28発行、 978-4091864345)
第5巻
(2003-04-30発行、 978-4091864352)
第6巻
(2003-07-30発行、 978-4091864369)
第7巻
(2003-10-30発行、 978-4091864376)
第8巻
(2004-01-30発行、 978-4091864383)
第9巻
(2004-06-30発行、 978-4091864390)
第10巻
(2004-10-29発行、 978-4091864406)