概要・あらすじ
東京都立クロマティ高校(クロ高)は、引き算ができれば入学できる学校として知られ、不良の巣窟になっていた。真面目で成績も優秀な少年神山高志は、とある理由でここに入学してしまう。不良たちの迫害に耐えているうち、いつしか林田慎二郎や前田彰などと仲間になり、クラスに溶け込んでいく。しかし、クロ高には、想像もつかないような者達まで潜んでいた。
さらに、クロ高と対立する他高校の番長も現れ、状況はますます混乱に向かっていく。
登場人物・キャラクター
神山 高志 (かみやま たかし)
真面目な優等生だったが、中学時代に勇気をもらった友人の不良、山本一郎の友情に応えるべく、彼と一緒に東京都立クロマティ高校を受験する。しかし受かったのは神山高志だけであった。1年2組の生徒。パシリ強要などの迫害に耐えながら登校を続けているうち、林田慎二郎や前田彰などの仲間もでき、不良たちにも一目置かれるような存在になっていく。 真面目そうに見えるが、メンバー最大のボケをかますキャラとして成長を遂げる。深夜ラジオに「ハチミツボーイ」という名で投稿している。
前田 彰 (まえだ あきら)
クロマティ高校の新入生として登場。神山高志と同じ1年2組。眉毛がなく、目付きが鋭い。中学時代はケンカに明け暮れ、負けたことのない正真正銘のワル、と自称するが、強そうなアダ名がなかったためスルーされる。尋常でない性格の人間ばかりのクラス内で、相対的に常識人となってしまい、もっぱらツッコミばかりをやらされたり、貧乏くじを引かされるキャラになってしまう。 何かというと林田慎二郎が先導して、仲間が彼の家に集まっている。身体能力は高く頭も悪くない。また、人情に厚く義理堅い。家族がみんな同じ顔である。『課長バカ一代』からの転用キャラ。
林田 慎二郎 (はやしだ しんじろう)
クロマティ高校の新入生として登場。神山高志と同じ1年2組。モヒカンヘアーの男。クラス最強決定戦で、妙な理屈により神山高志を推薦し、神山高志台頭のきっかけをつくる。頭はものすごく悪く、作品内のギャグの切り込み隊長であるが、後半で意外な姿を見せる。『課長バカ一代』からの転用キャラ。
平井 健 (ひらい けん)
クロマティ高校の生徒。神山高志と同じ1年2組だが、単位不足で留年した。17歳。話し相手がおらず、相手を探しているが、話す内容は説教臭い。ヒゲ剃り後が目立っている。
フレディ
クロマティ高校の1年3組の生徒として登場。上半身裸でサスペンダーのついたズボンを身につけた、濃い口ひげを生やした胸毛の濃い巨漢。名前は神山高志たちが勝手につけた。寡黙であるが(セリフが全くない)、腕力は強くケンカでも負けない。歌が上手く、聴く者に感涙を流させる。 「黒龍号」という名の大きな馬を飼育しており、馬に乗って登校したことがある。実在の人物である、ロック歌手のフレディ・マーリュリーがモデルと思われる。
竹之内 豊 (たけのうち ゆたか)
クロマティ高校のウラ番として一年生を仕切っている男。16歳。スキンヘッドで、怖い顔の巨漢。ケンカの実力も人望の厚さも頭の回転も学校一で、三年も一目置く男だが、ものすごく乗り物に酔いやすい体質という弱点を持つ。修学旅行でハイジャックにあったとき、マスクド竹之内と入れ変わってしまう。 アメリカでいろいろあり、苦難の末に帰国を果たす。
ゴリラ
クロマティ高校の1年3組でなぜか授業を受けている、どこから見ても本物のゴリラ。腕時計をして携帯電話をかけることができる。人間並みの日常生活を送り、もしかするとクロ高の他の生徒より知能が高い(ただし会話はしない)。フレディとは意思の疎通ができる。寿司屋に勤めていたことがあるが、保健所に引き取られた。 一時期、四頭まで増えた。
北斗 武士 (ほくと たけし)
クロマティ高校を牛耳る目的で転校してきた。オールバックの長髪で額にほくろがあり、真っ白いボタンのない学生服を着ている。父は北斗グループの会長で、高校の理事長。武士は、おのれの腕力と父の権力で、これまで18校を支配してきた。父がクロ高の理事長と思い込み、やりたい放題をする予定だったが、林田慎二郎に「クロ高は都立だから理事なんていない」と告げられ、転校する学校を間違えたのに気がつく。 前の学校からついてきた、子分のような男と一緒にいる事が多い。
北斗の子分 (ほくとのこぶん)
クロマティ高校を牛耳る目的で転校してきた北斗武士にくっついて転校してきた男。短髪で少し丸っこく、特に特徴はない。名前を言おうとするたび邪魔が入り、結局最後まで名前はわからないままである。北斗とは中学時代からの友人であり、昔は対等に付き合っていたが、北斗の妙な時代劇口調(殿様しゃべり)に引きずられて敬語で応じるようになってしまい、子分扱いされることになった。 ケンカの実力はある。
メカ沢 新一 (めかざわ しんいち)
クロマティ高校の1年5組の生徒で16歳。円筒形に楕円形の目や細い割り箸のような足、蛇腹の手がついた単純なデザインのロボットのような外観をしている。頭部に油をさしたり、ドライバーで部品をいじったりしながら会話をする。義理人情に厚く、とても格好のいいセリフを吐き、体を張って友人を助ける。 「メカ音痴」「機械だけは苦手」が口ぐせ。神山高志と林田慎二郎は、彼のことをロボットとだと考えているが、他の人間は普通の人として接している。初期化ボタンがあったり、サトウ電気店でメンテナンスを受けたり、自動販売機に間違われたりする。メカ沢βという弟がいる。『課長バカ一代』からの転用キャラ(『課長バカ一代』の名前はボブ207)。 『メカ沢くん』というスピンオフ漫画が描かれたこともある(作者はダイナマイト太郎)。
前田の母 (まえだのはは)
前田 彰の母親。前田彰と同じ顔をしていて、とても無口。林田慎二郎の先導で、みんなが前田彰の家に集まってしまう際、必ずと言っていいほど前田彰と前田の母を間違える。喫煙者である。前田の父も前田彰そっくりで、非常に無口。
マスクド竹之内 (ますくどたけのうち)
クロマティ高校の修学旅行で使用されたジェット旅客機のハイジャック犯だったが、いつの間にか竹之内豊と入れ替わってクロ高に通う。家も、竹之内豊の家に住んでいる。プロレスラーがかぶるような覆面をしており、額に「竹」と書いてある。入れ替わりに誰も気づかないと思っていたが、林田慎二郎以外は気づいていた。 竹之内豊が帰国してからも、竹之内豊の家で竹之内豊と同居している。相撲部にも所属した。スペイン語が話せる。
伊賀 勝 (いが まさる)
クロマティ四天王の一人。四天王のリーダーで、「イガちゃん」と呼ばれる。自己中心的で、自分が一番大事といった性格だが、メンバーの危機には対応する。クロマティ四天王は、四天王だが五人いて、みんな顔にメイクをしている(ロックグループのKISSとグレート・ムタのメイク)。 なぜかいつもみんなで会議をしていて、どうでもいいようなことを熱く議論する。伊賀勝は、ジーン・シモンズのようなメイクをしている。
福富 功男 (ふくとみ いさお)
クロマティ四天王の一人で、「トミー」と呼ばれる。四天王の中では常識人だが、そのためひどい目に合うこともある。
百合ヶ丘 新 (ゆりがおか しん)
クロマティ四天王の一人で、「ユリー」と呼ばれる。メイクはそのままで、別の人間にすり替わることがある。のちに相撲部にも所属する。
民山 次郎 (たみやま じろう)
クロマティ四天王の一人で、「タミー」と呼ばれる。四天王の中で一番落ち着いていて、議論が混乱してしまったとき、解決に向かう案を出すなどする。伊賀勝の自分勝手な行為に、振り回されることも多い。
能智 雅宏 (のうち まさひろ)
クロマティ四天王の一人。特に通称はない。四天王の中では、伊賀勝に次いで性格が歪んでいる。プロレスラーのグレート・ムタのメイクをしているが、顔のメイクの文字が、よく変わる。
山口 ノボル (やまぐち のぼる)
デストラーデ工業高校の番格で、かつ暴走族「アース・ウインド・ファイヤー」の頭目。アフロヘアーにサングラス、細い口ヒゲと顎ヒゲの男。無口キャラを作っているが、実は「お笑い」に非常にこだわっている。不良同士の話し合いの間も脳内でギャグを考え、下ネタ等のつまらないギャグを口にする仲間には厳しい制裁を加える。 深夜ラジオのハガキ職人でもあり、ペンネームは「アジシオ太郎」で、「ハチミツボーイ」というハガキ職人(実は神山高志)をライバル視している。工業高校の生徒らしく、施盤とアーク溶接が得意。
藤本 貴一 (ふじもと きいち)
マニエル高校の番格。強面で喧嘩が強く、校内の不良たちから恐れられているオッサン顔の巨漢だが、家に帰るとパソコン三昧という外見とズレのある趣味を持っている。インターネットの掲示板では、礼儀正しく理知的な書き込みを行なう。ネット上では割と神経質で、ちょっとしたミスを気に病み、そのストレスを登校した際に仲間への暴力で解消する。 ラノベやアニメ・漫画にはまっている。
瀬戸内 ジャクソン (せとうち じゃくそん)
バース高校一年の番長的存在。腕っ節が強く、「バースの破壊王」の異名を持つ。金髪でゴツイ顔。上級生のやり方を、生ぬるいと批判する。No.2の竹城秋夫をとても信頼している。
プータン
テレビで国民的人気の着ぐるみキャラクター。神山高志や山口ノボルもファン。ハムスターを思わせる着ぐるみだが、顔が丸出しで、ヒゲと鼻をマジックで書いたようなメイクをしている。相方がいて、そっちはウサギのような着ぐるみで眼鏡をかけている。「ほのぼの爆笑コメディ プータン」という番組を持っている。 非常に怠惰な芸風である。一日に日本全国二十数箇所でサイン会をやった際、フレディがバイトで着ぐるみに入っていたこともある(その後のテレビでもフレディがプータンをやっていた)。
メカ沢β (めかざわべーた)
メカ沢 新一の弟で、「メカラッタ」としか言わない。サスペンダーのついた半ズボンをはいている。登場した頃は、メカ沢の半分くらいの大きさだったが、ゴリラに踏み潰されたり、サトウ電気で修理されるなどしているうちに、茶筒か大きめの缶詰くらいの大きさになってしまった。このため、鯖缶に間違えられたことがある。 その後も何かと壊されるが、いつの間にか直っている。
北斗家の執事 (ほくとけのしつじ)
北斗武士が乳児の頃から面倒を見てもらっていた執事。北斗は「じいや」と呼ぶ。林田慎二郎と顔がそっくりであり、北斗は林田慎二郎の祖父かと疑う。
佐田 政志 (さだ まさし)
北斗 武士がクロ高に来る前に結成していた北斗軍団のNo.2。「地獄の料理人」と呼ばれるほどの戦いぶりを見せたが、現在は北斗軍団を我が物にしようとしている。幹部の半分は、すでに佐田と結託している。
伊東 海 (いとう かい)
クロマティ高校の新1年生(神山高志たちは物語中で2年になっている)。ゴリラによく似ている男として評判が高い。ゴリラと交渉をさせられたりする。
バンチョーちゃん
クロマティ高校の新1年生で、突然転入してきた、真っ白ですごく顔が大きいクマの着ぐるみ。ほとんど喋らず、スケッチブックに筆談で会話する。可愛いと人気者である。ケンカは強く足も早いが、中身の正体は不明。
宇宙人 (うちゅうじん)
クロマティ高校の校庭に、突如落下した隕石から出現した2人組のグロテスクな姿の宇宙人。口から背中へと、有機的な管が伸びている。迎えの宇宙船がやってきて、すぐ帰ってしまう。『課長バカ一代』でも、ほとんど同じキャラが登場していた。
サトウ電気店店主 (さとうでんきてんてんしゅ)
電気屋「サトウ電気店」の店主。メカ沢は、健康診断で精密検査を受けるように言われたので、サトウ電気店店主のメンテナンスを受け、初期化される。神山高志たちは、メカ沢に店主を医者と思い込ませている。
集団・組織
東京都立クロマティ高校 (とうきょうとりつくろまてぃこうこう)
不良達が集まり、「ワルのメジャーリーグ」とも言われている都立高校である。引き算ができれば入れるという触れ込みだったが、物語の途中で「名前が書ければ入れる」とさらにランクダウンしてしまった。1923年(大正12年)に東京府立第四十九中学校として創立し、戦後に高等学校となり、1950年に東京都立クロマティ高校と改称した。
都立デストラーデ工業高校 (とりつですとらーでこうぎょうこうこう)
クロマティ高校やバース高校より歴史の浅い新設の工業高校。工業高校であるため、クロ高よりは就職率が高い。教育理念は「友情・努力・旋盤」。
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アニメ
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