吉原プラトニック

吉原プラトニック

「神の雫」シリーズで知られるオキモト・シュウの連載作品で、企画・原案は『女優めし』の原作者である藤川よつ葉が手掛けている。江戸時代の吉原を舞台に、女性が苦手で浮世絵をこよなく愛するオタク侍の大久保貞近と、食にこだわりを持つ花魁(おいらん)、紫太夫とのプラトニックな恋愛模様を、グルメ要素を交えながら描いた“すん止め”ラブコメディ。講談社「モーニング」2021年51号から2023年7号まで連載。

正式名称
吉原プラトニック
ふりがな
よしわらぷらとにっく
漫画
ジャンル
グルメ
 
ラブコメ
レーベル
モーニング KC(講談社)
巻数
既刊4巻
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江戸時代が舞台のグルメラブコメディ

本作は、江戸時代の吉原を舞台に、花魁として活躍する紫太夫と、浮世絵の美人画に夢中になりすぎて生身の女性が苦手な貞近の、もどかしくもプラトニックな恋愛模様を描いている。ヒロインの紫太夫は美食を愛する花魁であり、各エピソードには趣向を凝らした江戸料理が登場するのが大きな特徴となっている。正反対の二人が共に料理を味わう中で、次第に心を通わせていく様子は、グルメコメディとしても楽しめる。作中では、江戸料理や遊郭に関する用語の解説、さらには当時の風俗や文化に関する小ネタが随所に盛り込まれており、江戸時代の豊かな食文化を中心にさまざまな豆知識を学ぶことができる。

女性が苦手なオタク侍×食道楽の花魁

縁談が決まった大久保貞近は、心配した父親の計らいで、吉原で人気の花魁、紫太夫に「筆おろし」を頼むことになった。しかし、貞近は浮世絵の美人画に夢中になりすぎて、生身の女性との会話が苦手だった。実際に紫太夫の前に立つと緊張してしまい、会話もままならない状態だったが、あるきっかけで彼女に手料理を振る舞うことになった。貞近が限られた食材で珍しい豆腐料理を作ったことに感銘を受けた紫太夫は、その日以降の逢瀬(おうせ)でも彼に料理を頼むようになる。こうして、貞近と紫太夫は食道楽という共通の嗜好を通じて、プラトニックな関係を築いていくことになる。

浮世絵と料理が織りなす人間模様

貞近は、浮世絵と料理のこととなると、紫太夫の前でも饒舌(じょうぜつ)になる。貞近はその後も紫太夫に新しい発想の料理を振る舞いながら、ぎこちなくも互いのことを知り、少しずつ心の距離を縮めていく。二人のあいだには平和な日々が流れているかのように見えたが、貞近は婚約者の京極なつと出会う。しかし、なつはなぜか男装をしたり、突然貞近の寝所を探るなど、個性的な女性だった。一方、吉原には奇抜な格好をした浮世絵師、階斬雪が現れ、彼は紫太夫をモデルに美人画を描きたいと申し出て、下働きとして吉原に留まることになる。料理や浮世絵を通じて交差するそれぞれの人間関係、そして女性と会話すらできなかった貞近が紫太夫と出会ったことで生じるさまざまな変化や成長も、本作の大きな見どころとなっている。

登場人物・キャラクター

大久保 貞近 (おおくぼ さだちか)

大身旗本留守居役・大久保家の嫡男。趣味である美人画の蒐集(しゅうしゅう)に没頭するあまり、現実の女性を苦手としている。許嫁(いいなずけ)のなつとの婚姻がせまる中、行く末を案じた父親の計らいで紫太夫と出会う。当初は面と向かって話すことさえできなかったが、食道楽という共通の嗜好をきっかけに、少しずつ打ち解けていく。奉公人の佐吉の影響で料理や食材にも詳しく、登楼するたびに自ら手料理を紫太夫に振る舞っている。

紫太夫 (むらさきだゆう)

吉原大見世「角屋」の売れっ妓花魁。才色兼備であり、その気高い姿はまるで天女のようで、浮世絵にも描かれている。美食家で、食に対して並々ならぬこだわりを持っている。お気に入りの高級料理を報酬として、貞近の父親から彼の「筆おろし」を依頼されることになる。当初は仕事と割り切っていたが、貞近が店の料理に意見を述べことがきっかけで、彼が作った「雷豆腐」に心を奪われてしまう。それ以来、紫太夫は貞近との逢瀬で振る舞われる手料理を心待ちにしている。

クレジット

原案

藤川 よつ葉

書誌情報

吉原プラトニック 4巻 講談社〈モーニング KC〉

第1巻

(2022-04-21発行、978-4065279410)

第2巻

(2022-08-23発行、978-4065287507)

第3巻

(2022-12-22発行、978-4065300350)

第4巻

(2023-03-23発行、978-4065309612)

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