東京タラレバ娘

東京タラレバ娘

33歳の独身女性3人組が、「結婚していない」という事実に悩みながらも、それぞれの幸せを模索して恋と仕事に生きる大人のラブストーリー。「Kiss」'14年5月号から連載の作品。

正式名称
東京タラレバ娘
ふりがな
とうきょうたらればむすめ
作者
ジャンル
不倫
 
恋愛
レーベル
KC KISS(講談社)
巻数
既刊9巻
関連商品
Amazon 楽天

世界観

30代女性の仕事と恋愛が題材。現代日本を舞台に、「~だったら」「~であれば」と、現実を直視せず「たられば」話に盛り上がっているうち、未婚のまま33歳になった3人の女性の苦悩を描く。3人が直面する厳しい現実が、シニカルだがどこかユーモラスな雰囲気で語られているのが特徴。

作品誕生のいきさつ

作者の東村アキコは、東京オリンピックの開催が2020年に決まったとき、周囲の30代、40代の未婚女性たちが「2020年の自分に明るい展望が抱けない。結婚がしたい」と悲観している姿に注目した。東村自身は結婚を特別視しておらず、無理に結婚する必要もないと思っているが、周囲の女性たちの結婚への執着ぶりに対して「だったら結婚できるように努力をしろ」と告げているうちに、「いっそ、彼女たちとの会話をもとにした漫画を描いてみよう」と思うに至ったという。これが、本作『東京タラレバ娘』の構想のもととなった。

あらすじ

第1巻

 鎌田倫子小雪の3人は、学生時代からの親友同士。33歳になっても頻繁に会っては飲み会を開き、楽しく過ごしていた。しかし、独身女性同士で盛り上がっているうちにいつしか恋愛から遠ざかり「周囲に良い男性が見つかれば交際したい」「あの時こうしていれば、人生はより豊かになった」など、無益な「たられば」話ばかりしていた。そんなある日、3人はその考え方を同じ店に居合わせた鍵谷春樹(KEY)に厳しく指摘されてしまう。KEYの率直な言動に腹を立てる3人だったが、その日を境に、3人を取り巻く環境は大きく変化していく。

第2巻

 悪い噂の絶えない脚本家・沢田に仕事を奪われたショックで、鎌田倫子は衝動的に鍵谷春樹(KEY)と関係を持ってしまう。以来KEYのことが気になってたまらない倫子だったが、2人の関係を小雪ら周囲の人物に言いふらしたせいで、KEYには失望されてしまう。一方、香はKEYと親交の深いロックバンド「BUMKEY'S」のライブに足を運んだことで、元恋人の鮫島涼と再会する。人気ミュージシャンとなった涼に思わずときめいた香は、涼に恋人がいることを知りながら肉体関係を持つ。そんな中小雪は、自分の店である居酒屋「呑んべえ」で出会った丸井良男に惹かれるが、彼には妻子がいるのだという。幸せになりたいはずなのに、3人は自ら不幸になる行動ばかりをとり、ますます深みにはまっていく。

第3巻

 沢田が病気で脚本家を降板し、鎌田倫子が代役を務めることになった。結果的に鍵谷春樹(KEY)と仕事することになった倫子は、彼の厳しい指摘に落ち込みつつも、苦手なジャンルの脚本執筆に励む。さらに執筆中、映画の話題がきっかけでシネマバーを営む男性・奥田と出会った倫子は、新たな恋の予感にときめき、恋も仕事も良い方向に向かったように思われた。しかし、なかなか思うように良い脚本は作れず、さらに倫子は、隠れて自分よりも面白い脚本を書いていた弟子の芝田マミの才能に打ちのめされる。傷心の倫子は、仕事をやめ、奥田との恋愛に溺れようとする。

第4巻

 脚本家としてうまく行かず、仕事から逃げようと考えた鎌田倫子は、新しい恋人である奥田に夢中になっていた。しかし、髪型まで自分好みに変えさせようとしたり、過剰なまでに映画に関する知識を求める奥田に、倫子は次第に違和感を覚え、別れを決意する。失恋し、新たな仕事の当てもなくなった倫子だったが、そこに再び鍵谷春樹(KEY)がやって来る。なんでも、北伊豆の観光協会制作のインターネットドラマの脚本家が決まっておらず、KEYはそこに倫子を推薦したいのだという。気乗りしない倫子だったが、スタッフたちの熱意に心動かされ、1人の脚本家として、もう一度もがき始める。

第5巻

 仕事への意欲を取り戻した鎌田倫子は、そのきっかけとなった鍵谷春樹(KEY)に感謝の念を抱くようになっていた。しかしKEYとは会えば喧嘩になり「倫子のような、いつまでも同性同士でつるんでいる女性とは恋愛できない」とまで言われてしまう。さらにその話をしたのが原因で、倫子は小雪とも険悪になりかける。なんとか仲直りした倫子たち3人は、KEYの言葉を機に自分の生き方を見直そうとする。しかしそんな折、香の月経が止まり、鮫島涼の子供を妊娠したかもしれないことが発覚する。

第6巻

 は結局妊娠していなかったが、鮫島涼の勝手な言動に傷ついた香は、鍵谷春樹(KEY)の後押しもあり、涼との関係を終わりにする。一方の小雪は、父親にバレてなお、丸井良男との不倫をやめられずにいた。そして鎌田倫子は、以前自分に想いを寄せていた早坂芝田マミと別れたことを知る。傷心の早坂を慰めるうち、早坂を好ましく感じる倫子。しかしそこに、倫子のフラフラした態度を快く思わないKEYが姿を現すのだった。

第7巻

 鎌田倫子早坂の食事の場に突然鍵谷春樹(KEY)が現れ、倫子は困惑する。倫子はKEYに「倫子は早坂ではなく、自分を好きだったのではないのか」と問われて答えに窮するが、早坂に助けられてその場を去り、そのまま早坂と関係を持つ。さらに早坂から同棲の話を持ち掛けられた倫子は、KEYのことを完全に忘れ、早坂との将来を真剣に考えるようになる。一方、自身のドキュメンタリー映画を撮ることになったKEYは、自分の重い過去と向き合わざるを得なくなっていた。

第8巻

 鍵谷春樹(KEY)は自身のドキュメンタリー映画の撮影中、過去と向き合う苦しさに耐えられなくなり、突如失踪してしまう。脚本家として参加していた芝田マミはそこでKEYの過去を知り、KEYの亡くなった妻である沢田曜子が、鎌田倫子によく似ていることに気づく。KEYがこれまで、倫子に辛辣ながらも親身に関わり続けたのは、倫子に想いを寄せていたからではないかと考えたマミは、小雪に相談し、マミたち3人は倫子にもう一度KEYに会うよう説得する。困惑する倫子だったが、その真意を知るため、北伊豆にいるKEYに会うことを決める。

第9巻

鍵谷春樹(KEY)の本当の想いを知った鎌田倫子は、衝動的にまたKEYと結ばれる。早坂と幸せになる未来よりも、たとえ不幸せな結果に終わっても、KEYを愛する今を大切にしたい。そう考えた倫子は、北伊豆から帰宅後、早坂と別れて同棲を解消。その別れ話の際、早坂が見せた「倫子に出会えたから自分は成長できた」という前向きな姿勢に感銘を受けた倫子は、ただ他人や未来に期待するばかりの「タラレバ娘」からの卒業を誓う。そして、KEYに想いを伝えるため、撮影現場へと向かうのだった。 

特殊な描写

本作『東京タラレバ娘』は、現代日本を舞台にしたファンタジー要素のない作品だが、「タラ」「レバ」という謎の存在が鎌田倫子小雪の前に現れては、アドバイスや辛辣な指摘をするという特殊な描写がある。タラとレバは、もともとは倫子が酔っぱらった際に見た幻覚だが、のちに香と小雪のもとにも登場するようになり「実際は自覚しているが、認めづらいこと」など、3人の隠れた本音や心理状態を代弁する存在となっていく。

読者投稿

本作『東京タラレバ娘』のコミックス巻末には、読者投稿をもとにしたコーナー「タラレBar」が収録されている。コミックス第3巻よりスタートしたこのコーナーは、読者から寄せられた悩みにタラレバが答えるという形で進行し、本編同様、タラとレバが読者に現実を直視するよう促す、厳しくも痛快な内容となっている。また、第4巻の「タラレBar」には、作者・東村アキコと親交のある漫画家・石田拓実からの悩みも登場する。

コラボレーション

東京タラレバ娘×新宿伊勢丹

2017年1月、本作『東京タラレバ娘』TVドラマ化に合わせて、新宿伊勢丹にて『東京タラレバ娘』とファッションブランド「MUVEIL」をはじめとする多数のファッションブランドとのコラボレーションが実施された。「MUVEIL」は、デザイナーの中山路子による「タラ」と「レバ」をモチーフにしたカーディガン、ニットプルオーバー、Tシャツを制作・販売。他のブランドも、原作の読者層をターゲットにした服飾品や雑貨を販売した。

東京タラレバ娘×JR東海

2017年1月から2月にかけて、JR東海と本作『東京タラレバ娘』とのコラボレーションが実施された。企画内容は、2月末までにJR東海で特定の商品を購入すると、東京都の観光地や飲食店を紹介した冊子「東京タラレバガイド」がもらえるというもの。

タイアップ

ドコモのケータイ払い 東京ケーバラ娘キャンペーン

2016年3月から2017年3月末にかけて、「ドコモのケータイ払い 東京ケーバラ娘キャンペーン」と題し、NTTドコモと本作『東京タラレバ娘』とのタイアップ企画が実施された。キャンペーンサイト上でユーザーが簡単な診断を受けると、『東京タラレバ娘』の数コマをベースにしたユーザー自身が主人公のオリジナル漫画が自動生成されて読める、といったコラボレーションが行われた。2016年3月末でいったんキャンペーンは終了したが、『東京タラレバ娘』のドラマ化に合わせて、2017年3月末までキャンペーンサイトが復活した。

東京マクロビ派娘

2016年4月から、「東京マクロビ派娘」と題し、森永製菓の商品「マクロビ派」と本作『東京タラレバ娘』とのタイアップ企画が実施された。コラボレーションサイト上で、鎌田倫子たちと年齢や境遇が近い、首都圏でひとり暮らしをする26歳~34歳の独身の働く女性300人に、恋愛と食生活に関するアンケートを実施、その結果を分析・公表した。『東京タラレバ娘』の読者層に役立つ情報など多くのコンテンツが掲載された。

アフタリフト×東京タラレバ娘 Check

2016年4月、「アフタリフト×東京タラレバ娘 Check」と題し、KIRINの商品「アフタリフト」と本作『東京タラレバ娘』とのタイアップ企画が実施された。コラボレーションサイト上でユーザーのTwitter投稿文を解析し、ユーザーが「~たら」「~れば」というキーワードを使用する頻度をチェック、その結果に応じてタラレバがコメントをしてくれるというもの。また、『東京タラレバ娘』のイラストが使用された特別パッケージも制作された。

東京タラレバ娘×SUNTORY

2016年7月、「ほろよいタラレバ娘」と題してSUNTORYの商品「ほろよい」と本作『東京タラレバ娘』とのタイアップ企画が実施された。「ほろよい」のサイト上で、『東京タラレバ娘』のイラストが使用されたLINEスタンプが配布されるというもの。このスタンプは、「ほろよい」のWEB-CMの中でも使用されている。

東京タラレバ娘×FANCL

2016年9月から2017年3月末にかけて、FANCLと本作『東京タラレバ娘』とのタイアップ企画が実施された。コラボレーションサイト上で肌に関する診断に答えると、結果に即して『東京タラレバ娘』の数コマを使用したオリジナル4コマ漫画が生成される「東京タラレバ肌娘 4コマジェネレーター」や、オリジナルLINEスタンプの配布、プレゼントキャンペーンなど、多数のコラボレーションが行われた。

東京タワー×東京タラレバ娘 ~イタ(痛)イルミネーション

2016年12月から2017年2月末にかけて、東京タワーにて「東京タワー×東京タラレバ娘 ~イタ(痛)イルミネーション」と題し、本作『東京タラレバ娘』とのタイアップ企画が実施された。『東京タラレバ娘』の重要なシーンで東京タワーが舞台になることにちなみ、扉絵イラストや名場面の展示、『東京タラレバ娘』の世界観をイメージしたイルミネーションの点灯などが行われた。

東京タラレバ娘 meets DYNAMITE BOATRACE

2017年2月から3月にかけて、「東京タラレバ娘 meets DYNAMITE BOATRACE」と題し、本作『東京タラレバ娘』とBOAT RACE振興会のタイアップ企画が実施された。これはボートレースのプロモーション活動として行われたもので、ボートレースを題材にした『東京タラレバ娘』の描き下ろしコミックが東京メトロ田園都市線渋谷駅構内に張り出され、鎌田倫子たち女性の目線でボートレースの楽しみ方が語られるなどした。

メディアミックス

2017年1月、日本テレビ系にて本作のTVドラマ版が放送された。脚本は松田裕子。鎌田倫子役を吉高由里子、役を榮倉奈々、小雪役を大島優子、鍵谷春樹役を坂口健太郎が演じた。

登場人物・キャラクター

鎌田 倫子 (かまた りんこ)

脚本家として働く33歳の女性。前髪を左寄りの位置で分けて額を全開にし、顎の高さで切りそろえたボブヘアをしている。大学卒業後、脚本家を目指してテレビ番組制作会社に就職。30歳の時に独立し、現在はアシスタントの芝田マミとともに2人だけの事務所で働いている。23歳の頃、早坂に交際を申し込まれて断って以降は恋愛から遠ざかっており、学生時代からの友人である香と小雪の3人で、頻繁に会っては女性だけの集まりを楽しんでいた。 しかしある日、同じ店に居合わせた鍵谷春樹(KEY)に厳しい指摘を受けたことから、自分の現状について思い悩むようになる。脚本家としては主に恋愛ドラマを執筆しているが、視聴者層を意識するあまり、やや安易な展開が多く、沢田やマミのような若い才能に押されがちなことを気にしている。 KEYに強く惹かれつつも、若く異性に人気のあるKEYに自分自身が相手にされているとは思えず、会うといつもけんかになってしまう。

(かおり)

鎌田倫子と小雪の友人で、ネイリストとして働く33歳の女性。前髪を眉上で切り揃え、胸の前まで伸ばした茶髪ストレートロングヘアをしている。東京の表参道でネイルサロンを経営しており、美人でスタイルも抜群だが独身。気が強そうに見えるが実際は小心者で、倫子からは「精神年齢永遠の16歳」と評されている。かつて交際していた鮫島涼と別れて以降は恋愛から遠ざかっていたが、涼がミュージシャンとして成功していると知り、倫子の伝手を通じて再会。 現在の涼には他にも恋人がいると知りながら、また関係を持つようになってしまう。一人暮らしはせず現在も実家暮らしで、料理は母親任せにしているため苦手。

小雪 (こゆき)

鎌田倫子と香の友人で、居酒屋「呑んべえ」で働く33歳の女性。「呑んべえ」店主の一人娘でもある。前髪を上げて額を全開にし、胸まで伸ばしたロングヘアを後ろで1本の三つ編みにし、眼鏡をかけている。「サバサバしている」と評される真面目なしっかり者。恋愛に対してもシビアで、不倫などはご法度、自分は真っ当な交際しかしないと考えていた。 しかし、「呑んべえ」の客である丸井良男と不倫の恋に落ちてしまう。職業柄、料理は非常に得意で、まるで料理をしない倫子と香をひそかに案じている。

鍵谷 春樹 (かぎたに はるき)

モデル、俳優として活動する25歳の男性。モデル事務所「H&Rモデルエージェンシー」に所属し、本名が「鍵谷」であることから、「KEY」の芸名で活動している。前髪を目の上で切りそろえたマッシュボブヘアの、長身で非常に美しい容姿をしている。クールな雰囲気と歯に衣着せぬ正直な言動から誤解されがちだが、誠実で、自分の行動には真摯に責任を取る真面目な性格。 ある日、居酒屋「呑んべえ」で、鎌田倫子、香、小雪のあまりにも「たられば」が過ぎる会話を聞いて厳しい指摘をしたことがきっかけで、彼女たちと知り合う。以降、倫子とは仕事などで何かと顔を合わせるようになる。倫子たちに対して非常に辛辣だが、不当に貶めることはせず、事実を的確に告げている。 しかし倫子たちはKEYの言葉を受け止められず、いつも険悪な雰囲気になってしまう。幼い頃は慢性腎炎を患い入退院を繰り返しており、沢田曜子とは、曜子がKEYの主治医になったことで知り合った。また、ロックバンド「BUMKEY’S」のミュージックビデオによく参加しており、鮫島涼とも親しい。

タラ

レバとともに、鎌田倫子、香、小雪の前に幻覚として現れる謎の存在。タラの白子に目と口をつけた感じで、全身が白い雲のようなふわふわした楕円形をしている。普段は体の中に引っ込んでいて見えないが、必要な時には手足も飛び出す。人間の言葉を話し、語尾に「~タラ」とつけて話すのが特徴。倫子が居酒屋「呑んべえ」で酔っぱらって幻覚を見たのがきっかけとなり、その後、レバと一緒に度々姿を現す。 かわいらしい容姿をしているが意見は非常に辛辣で、倫子たちの味方ではあるものの、厳しい指摘も多い。レバと芝居に興じるときは男性役を演じることが多い。

レバ

タラとともに、鎌田倫子、香、小雪の前に幻覚として現れる謎の存在。小さい長方形に切った真っ赤なレバーの身体に目と口をつけた感じで、頭にオレンジの輪っかを二つ並べた髪飾りをつけている。普段は体の中に引っ込んでいて見えないが、必要な時には手足も飛び出す。人間の言葉を話し、語尾に「~レバ」とつけて話すのが特徴。 倫子が居酒屋「呑んべえ」で酔っぱらって幻覚を見たのがきっかけとなり、その後タラと一緒に度々姿を現す。一見倫子たちの味方のように思えるが、厳しい指摘も多く、倫子たちを精神的に追い詰めることもある。タラと芝居に興じる時は女性役を演じることが多い。

早坂 (はやさか)

テレビ番組制作会社でディレクターを務める35歳の男性。前髪を目の上で切り、癖のある髪型をしている。眼鏡をかけている。心優しく誠実だが、やや地味でのんびりとした性格。それゆえ、女性には退屈な男性と思われることが多く、悩んでいる。鎌田倫子とは10年前にテレビ番組制作会社でADだった頃に知り合い、当時は倫子に想いを寄せていた。 しかし「今一つ垢ぬけない」という理由から倫子に振られてしまい、現在は倫子のアシスタントである芝田マミに想いを寄せている。

鮫島 涼 (さめじま りょう)

香の元恋人で、ロックバンド「BUMKEY’S」のギタリストを務める33歳の男性。前髪を目が隠れそうなほど伸ばし、肩につきそうな長さの髪を外にはねさせている。明るくノリが良いが、いい加減で軽薄な性格。香とは5年間交際していたが、香の浮気が原因で別れた。しかし「BUMKEY’S」が人気バンドになったのを機に香の方から再度接触し、交際相手がいるにもかかわらず再び香と関係を持ってしまう。 あまり人の話を聞いておらず、香が一度した話を覚えていないことが多い。

丸井 良男 (まるい よしお)

サラリーマンの35歳の男性。前髪を目の上で切って真ん中で分けて襟足まで伸ばしたストレートヘアをしている。妻は丸井織乃。ある日、小雪の不在時に居酒屋「呑んべえ」に害虫が発生し、鎌田倫子、香が丸井に無理やり駆除を頼んだ。その後すぐさま、小雪と親しくなり、お互いに好みだと感じ、そのまま不倫の関係になってしまう。 正直でかわいらしく無邪気な性格だが、後先を考えず欲望のままに行動する軽率なところがある。

芝田 マミ (しばた まみ)

鎌田倫子のアシスタントで、19歳の女性。前髪を眉上で切りそろえ、パーマをかけて耳の下で切りそろえたボブヘアをしている。原宿系ファッションの派手な容姿と、にぎやかで軽い雰囲気から誤解されがちだが、実際は頭の回転が速く、よく気がつく性格。倫子のことを深く尊敬しており、常に明るくサポートしている。反面、奔放すぎる行動言動から、倫子には「宇宙人のように理解しがたい存在」と思われることも多い。 異性関係が派手で恋人を切らしたことがないが、恋愛はすべて仕事に生かすための人生経験でしかなく、恋人よりも仕事の方がはるかに大切だと考えている。

奥田 (おくだ)

シネマバー「サンセット」を経営する若い男性。前髪を上げて額を全開にし、髪全体を立てて左から右に向かって流している。長身で筋肉質の、がっしりとした体形をしている。鎌田倫子とは、レンタルショップで同じ映画のDVDを借りようとしていたのがきっかけで知り合い、その映画を「サンセット」で一緒に見ることになり親しくなる。一見爽やかで話しやすく見えるが、極度の映画マニア。 倫子が脚本家であることを知り、倫子に映画の知識があると思い込み、どんな作品も知っているという前提で話す身勝手なところがある。また、恋人に自分の好みを押し付け、容姿などを自分好みに変えようとする癖がある。

丸井 織乃 (まるい おりの)

丸井良男の妻。前髪を眉上で短く切り揃え、耳の下まで伸ばした内巻きボブヘアをしている。良男との間に第2子を妊娠しており、里帰り出産のため東京を離れて地元の福岡県に戻っている。第1子を出産した際に精神的に追い詰められて別人のようになってしまったことで、良男と距離ができてしまった。

山田 (やまだ)

鎌田倫子、香、小雪が婚活居酒屋「コンカツヤ」で知り合った若い男性。〇×商事に勤めている。前髪を真ん中で分けて額を全開にし、左右に流した髪型をしている。山田の仲間曰く普段は真面目で善良だが、酔うと途端に無礼で意地悪な性格になる。そのため、初対面にもかかわらず失礼な言動で倫子たちを不快な目に遭わせ、さらにその後も同じ店で鉢合わせしてしまう。

沢田 (さわだ)

脚本家の女性。22歳。前髪を左寄りの位置で斜めに分け、顎の高さまで伸ばした内巻きボブヘアをしている。脚本家になる前はグラビアアイドルとしても活動しており、スタイル抜群の華やかな容姿をしている。若く才能があるが、プロデューサーと肉体関係を持つことで仕事を得ている疑いもある。

小雪の父親 (こゆきのちちおや)

小雪の父親で、東京にある居酒屋「呑んべえ」の店主をしている初老の男性。仕事中は額に折りたたんだタオルを巻き、短い髪を上げている。目が細く、いつも目を閉じているように見える。妻とは離婚しており、高校卒業までは埼玉県にいた小雪とは、離れて暮らしていた。しかし上京したい小雪が引っ越してくる形で再び同居するようになり、現在は一緒に働いている。 ぶっきらぼうに見えるが、小雪のことを常に案じている。

沢田 祥子 (さわだ しょうこ)

沢田曜子の姉で、モデル事務所「H&Rモデルエージェンシー」を経営する女性。前髪を眉の高さで切りそろえ、肩につくほどのセミロングヘアをゆるく巻いている。鍵谷春樹(KEY)をモデルの世界に誘った人物で、曜子の死後、KEYが高校も辞めて自暴自棄になっているのを案じて無理やり事務所に所属させ、仕事を与えた。 若く美しく才能もあるKEYを売り出したいと考えており、堂越にKEYを紹介する。

沢田 曜子 (さわだ ようこ)

鍵谷春樹(KEY)の元妻で故人。沢田祥子の妹でもある。前髪を左寄りの位置で斜めに分け、肩につくほどのセミロングヘアをゆるく巻いている。髪型などは異なるが、どこか鎌田倫子と雰囲気が似ている。医師で、KEYとは主治医と患者の関係として知り合ったため、もっぱら「先生」と呼ばれていた。明るく前向きな、仕事熱心な女性だったが、不養生がたたり33歳の若さで亡くなった。 KEYからは以前から想いを寄せられており、曜子が余命いくばくもないと発覚した後、彼女の「結婚がしたい」という願いをKEYが叶える形で結婚した。

堂越 (どうごし)

ドキュメンタリー映画監督をしている中年の男性。前髪を真ん中で分けて額を全開にし、顎の高さまで伸ばしたボブヘアで、眼鏡をかけている。20年間で5本しか映画を撮っていない寡作な監督だが、非常に実力があり、その5作すべてが国際的な映画賞を受賞している。気分屋で気持ちが乗らないと撮影をしないが、沢田祥子に紹介されたのがきっかけで鍵谷春樹(KEY)に関心を持ち、KEYのドキュメンタリー映画を撮影することになる。 KEYのどこか自暴自棄で暗い面を見抜いている。

タラ、レバ

『東京タラレバ娘』に登場するキャラクター。居酒屋の呑んべえのメニューで出てきたタラの白子のタラと、レバテキのレバ。タラレバ話ばかりをする倫子たちに皮肉的に真実を告げるため、時折出現する幻想。

場所

呑んべえ (のんべえ)

小雪の父親が経営する和風居酒屋。小雪も従業員としてここで働いている。酒がグイグイ進むようなツマミで飲みたいと望む鎌田倫子たちが、女子会の会場として活用することが多い。ちなみに鍵谷春樹もこの店の常連客。

その他キーワード

第4出動 (だいよんしゅつどう)

鎌田倫子、香、小雪の3人組が使う言葉。「今すぐ集合して恋愛相談に乗ってほしい」という緊急案件を指す。3人の間でのみ通じる隠語だが、もともとは消防用語。ちなみに、第1出動から第4出動まであり、第1出動は「暇なので飲みたい」、第2出動は「仕事の愚痴を聞いてほしい」、第3出動は「誰かの悪口を聞いてほしい」という意味で使われる。

続編

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書誌情報

東京タラレバ娘 9巻 講談社〈KC KISS〉

第1巻

(2014-09-12発行、 978-4063409352)

第2巻

(2015-05-13発行、 978-4063409567)

第3巻

(2015-08-12発行、 978-4063409642)

第4巻

(2015-12-11発行、 978-4063409741)

第5巻

(2016-05-13発行、 978-4063409888)

第6巻

(2016-09-13発行、 978-4063409970)

第7巻

(2017-01-13発行、 978-4063980073)

第8巻

(2017-04-13発行、 978-4063980172)

第9巻

(2017-07-13発行、 978-4063980240)

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