異能を持つ謎の殺人鬼を追うサスペンス
本作は、異能を持つサイコパスの太郎を主人公に据えたサイコ・バイオレンス。彼が引き起こす凶悪犯罪と、その異能にまつわる謎が、ミステリーやサスペンスの要素を交えながら展開される。無差別殺人事件の犯人である太郎は、手に持った武器を他人に視認させないという特殊な異能を持っており、一般人はもちろん、彼を追う警察官たちさえも次々と返り討ちにしていく。淡々と殺人を重ねる太郎の凶行と、それを阻止しようとする警察側の視点で物語が描かれる一方、回想シーンを通じて太郎の暗い過去や異能の秘密も徐々に明かされていく。太郎がなぜ殺人を繰り返すのか、その不可解な動機が物語の重要な鍵となっている。
犯行方法が謎な殺人犯が事件を起こす
若者で賑わうカフェの昼下がり、突如として無差別殺人事件が発生した。しかし、防犯カメラに映っていた犯人と思われる男は、凶器をいっさい持っていなかったにもかかわらず、彼の目の前にいる人々が、存在しないはずの凶器によって次々と倒れていく。この知らせを受けた刑事たちは、防犯カメラの異様な光景に言葉を失う。捜査を進めるうちに、数年前に万引きで調書を取られていた少年の山田太郎と、今回の犯人が同一人物であることが判明した。
名無しの少年が殺人鬼になった謎
かつての太郎は、自分の名前も出身地もわからない名無しの孤児だった。幼い頃から街をさまよい歩く中で、同じく孤児の少女と出会い、共に暮らしていた。やがて二人は警察に保護され、担当の巡査・丸山隆平によってそれぞれ「山田太郎」と「里中サト子」と名付けられ、同じ養護施設に預けられた。太郎は左腕をきつく縛り、まったく使えないようにしていた。大人たちがそのことを指摘しても、彼は決してその縛りを解こうとはしなかった。刑事の国枝たちは、無差別殺人事件を起こした太郎を追ううちに、彼の自宅で腐敗した遺体と誕生日ケーキを発見する。その遺体は、かつて太郎と共に過ごしたはずのサト子のものであった。その後、捜査官たちが太郎の確保を試みるが、彼の手に持つ武器が見えず、何もできないまま次々と返り討ちに遭ってしまう。
登場人物・キャラクター
山田 太郎 (やまだ たろう)
謎に包まれた殺人鬼の男性。黒髪を坊主頭に刈り上げた平凡な外見ながら、どこか不気味な雰囲気を漂わせている。本名も出身地も不明の孤児で、生まれた場所を警察に尋ねられた際には「ロッカー」と答えている。「山田太郎」という名前は、役所に届け出る際に巡査の丸山が付けたもので、水島新司の漫画『ドカベン』の主人公、山田太郎に由来している。少年時代にはサト子と共に放浪生活を送っていたが、彼女とは偶然出会っただけで血縁関係はない。かつては左腕を紐やコードで強く縛り、ほどけないようにしていた。実は左手には特殊な能力が秘められており、手に持った銃やナイフなどの凶器を他人の視線やカメラから隠すことができる。
里中 サト子 (さとなか さとこ)
かつて太郎と共に暮らしていた女性。少女時代には太郎と共に放浪生活を送っていたが、二人に血縁関係はなく、偶然出会っただけだった。その後、警察によって児童養護施設に預けられ、再び太郎と共に生活することになった。彼女の名前「里中サト子」は、役所に届け出る際に巡査の丸山が名付けたもので、水島新司の『ドカベン』に登場する里中智に由来している。サト子は太郎を慕う一方で、彼の異能の秘密を最も深く知る存在であり、同時に誰よりもその力を恐れていた。やがて、太郎が次々と無差別殺人を繰り返し警察に追われる中、サト子は太郎の自宅のバスルームで遺体となって発見された。
クレジット
- 原作
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佐藤 二朗








