唐獅子警察

唐獅子警察

神守組六代目組長の神守新吉が亡き父の遺志を継ぎながら、北海道を舞台にさまざまな戦いと陰謀に立ち向かっていく様子を描いた任俠アクション。「週刊漫画TIMES」で1973年から連載された作品。

正式名称
唐獅子警察
ふりがな
からじしけいさつ
原作者
滝沢 解
作者
ジャンル
マフィア・ギャング・ヤクザ
関連商品
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あらすじ

第1巻

神守組六代目組長の神守新吉は、先代組長であった父親の神守辰造の遺志を継ぎ、家族と共に神守組の代紋を守りながら生きていた。妹の神守和本城武志金次と共に辰造が眠る芦別岳で小さな旅館を営みながら暮らす新吉にとって、芦別岳は絶好の平和郷であった。そんな新吉たちのもとに、大組織「白神会」の総長と代行以下数十名が訪れる。雪の中、足を運んできた白神会に警戒しながら、新吉たちは彼らが総会を開くための部屋を用意して迎え入れる。だがその夜、白神会組員との小競り合いの中で、武志と金次が重傷を負ってしまう。同時に金次から白神会の真の目的が、芦別岳に生アヘンを持ち込んで薬物工場を築き上げることだと聞いた新吉は、怒りに震えて白神会に襲い掛かる。新吉は怒りのままに、白神会の総長と組員を惨殺。武志や金次は無事だったものの、白神会が持ち込んでいた生アヘンの行方はわからないままだった。この事件をきっかけに、新吉たちの平穏は破られることとなった。白神会の総長らを殺害した新吉は旭川刑務所に入り、春が訪れる頃に和が面会に訪れる。少し瘦せた和は近況報告をしつつ、武志が新吉と面会できないことに悩んでいると告げる。一方、新吉と離れた武志は金次と共に、神守組を立て直すために行動を続けていた。

第2巻

旭川刑務所で過酷な獄中生活を送る神守新吉だったが、所内では何者かの手先によって新吉の命に幾度となく危険がせまる。さらに、新吉に恨みを持つ者たちが、殺し屋を差し向けたという噂も流れていた。一方、白神会が持ち込んだ生アヘンを新吉にも隠匿し続けていた本城武志は、この生アヘンを利用して神守組を再興させるという野望を抱くようになる。武志は金次と新たな舎弟として迎えた左近四郎の協力を得て、自分が監禁されていることにする。さまざまな危険を乗り越えた新吉は神守和と面会するが、彼女のお腹には武志の子がすでに宿っていた。面会でそれを知った新吉は激怒し、兄に拒絶された和はショックを受ける。同時に新吉は和と四郎を通して、武志が白神会系の組織「北丸組」に監禁されたことを知る。しかし、これは新吉に北丸組を潰させて乗っ取ろうともくろむ、武志たちの画策であった。新吉は武志の思惑どおりに精神病を装って脱獄し、武志を助けるために動き出す。脱獄した新吉はこれらの思惑を知らぬまま乗り込んで武志を救出し、北丸組潰しに協力してしまう。しばらくして出所した新吉が目にしたのは、武志の手によって大きく成長した神守組だった。その成功の裏には麻薬売買が大きく絡んでいることを知らぬまま、新吉は神守組に戻るのだった。

第3巻

神守和の出産日が近づき、神守組は躍進を続けていたが、本城武志たちが送り込んだ麻薬の売人が次々と殺される事件が発生。産気づいた和が病院に運ばれる中、左近四郎の要請で病院から離れて事務所に戻った武志は、増原組を襲撃して組長をその家族もろとも惨殺。和が無事出産を終えたあとに病院に戻った武志たちだったが、彼らの血の匂いに気づいた神守新吉は激怒し、和に対して不実な行動に走った武志が生まれた赤ん坊を抱くことを拒否する。しかし新吉は、増原組を襲撃した武志たちが「マリー」と呼ばれる、北海道に一丁しかない特別な機関銃を入手していたことに気づいていなかった。そんな中、警察による暴力団への監視や取り締まりがいっそう強まり、神守組には麻薬疑惑が発生するようになった。その情報は警察を通して新吉の耳にも達するようになり、彼は神守組の事務所にある書類を探ろうとする。麻薬の証拠をつかむことはできなかったものの、新吉は和や息子の忠志にも冷たくなった武志に対し、不信感を募らせていく。一方、新吉に麻薬の件を知られることを恐れる武志は、新吉に対して口が軽い金次を始末しようと考えていた。弟のようにかわいがっていた金次の死に激しい悲しみと怒りを覚える新吉は、金次を殺した犯人を血眼でつき止めようとする。

第4巻

本城武志の命令で金次を殺したことを後悔する左近四郎は、次第に武志への不信感を募らせていく。そんな中、神守新吉に惚れ込んだ四郎は、武志を裏切って彼に命を預けると誓う。武志が札幌進出をもくろむ中、四郎と神守組の組員たちが離反し、今後は新吉につくと宣言。四郎は武志の命令で金次を殺したことや、麻薬売買に手を染めていたことなど、今までのいきさつを新吉に語る。薬物工場を閉鎖させた新吉は、武志を殺さないでほしいと願う神守和の懇願を振り切り、武志と戦うことを決意。一方、孤立した武志は麻薬売買ルートを手土産に札幌の「道正会」に逃げ込み、組長の五代と手を組むようになる。武志を追って一人で札幌へ向かった新吉は、あとを追ってきた四郎と合流し、神守組系構成員の中から精鋭を集め、武志や道正会との「札幌戦争」の準備を開始する。だが、北海道随一と名高い道正会もこの動きを見逃すことはなく、武志と五代の策略により、新吉と四郎以外の組員は次々と潰されていく。追う者と追われる者、全道制覇の野望に燃える武志の謀略が次々と炸裂する中、新吉と離れて行動していた四郎は五代の息子を人質に武志の行方を探る。その頃、新吉は神守和のガス自殺の真相を探っていた。そしてすべての決着をつけようと、新吉たちは再び芦別岳へと集結するのだった。

登場人物・キャラクター

神守 新吉 (かみもり しんきち)

神守組六代目組長を務める男性で、先代組長の神守辰造の息子。父親の遺志を継いで家族と共に神守組を守りながら、渡世の道を歩んでいた。妹の神守和や本城武志、金次の四人で芦別岳の小さな旅館を営んでいたが、白神会の陰謀に巻き込まれたことで平穏な生活が崩れ去り、神守組と自らの信念を守るためにさまざまな戦いに身を投じることとなる。辰造に任された和のことを大切に思い、彼女と武志の結婚式を何よりも楽しみにしていた。白神会の組長と組員を殺害したために過剰防衛で刑務所に入るが、何者かに命を狙われるようになり、幾度となく命の危険に陥る。のちに武志の計略により脱獄し、白神会系の組織「北丸組」を壊滅させる。出所後は武志の手で大きく成長した神守組に驚くものの、神守組への麻薬疑惑が発生してからは武志を疑うようになる。また、和や息子の忠志を大切にしない武志には、不信感を抱くようになる。芦別岳にこもっているうちに極道の世界が大きく変化しているのを察しつつも、辰造の最期の言葉を胸に抱きながらあくまで渡世の道にこだわり、薬物売買などの汚い手も嫌っている。このため、世界の変化に翻弄され、どんな手段を使ってでも野望を果たそうする武志とは考えが合わなくなり、すれ違いを繰り返す。弟分の金次の死をきっかけに完全に武志と対立するようになり、左近四郎と手を組んで武志と戦うようになる。

神守 辰造 (かみもり たつぞう)

神守新吉と神守和の父親で、神守組五代目組長を務めていた。義理堅い性格で、渡世の道を歩んでいた。新吉が若い頃に重傷を負い、彼に神守組と幼い和を託して息を引き取り、亡きがらは芦別岳の麓で眠っている。元は捨て子だった金次を引き取り、彼の育ての親となった。

神守 和 (かみもり かず)

神守新吉の妹。兄の新吉たちと共に芦別岳で旅館を営みながら、神守組を守っている。父親の神守辰造が亡くなった時はまだ幼かったが、現在は気立てのいい美しい女性に成長している。本城武志の婚約者で、新吉が刑務所入りになったあとは武志に連れられてアパートに引っ越し、時々新吉のもとへ面会に訪れていた。のちに武志とのあいだに息子である忠志を産むが、神守組を大きくするために手段を選ばなくなったうえに、自分や忠志に冷たくなった武志に対して不信感や不満を抱くようになる。金次の死をきっかけに武志との離婚を考えるものの、どんなに変わっても忠志の父親である彼を失うわけにはいかず、新吉が武志を殺すと決意したことでさらに苦悩を重ねる。これらの苦悩から追い詰められ、忠志と共にガスを使って心中を図る。

本城 武志 (ほんじょう たけし)

神守新吉を「兄貴」と慕う男性で、神守組の代貸を務める。芦別岳で旅館を営みながら新吉たちと神守組を守りつつ、平穏な生活を送っていた。しかし、白神会の陰謀に巻き込まれて負傷し、新吉と共に山小屋に来た白神会組員を倒すが、彼らが持ち込んだ生アヘンの件は新吉にも隠蔽し続けていた。神守和とは婚約者同士で、新吉が刑務所入りになったあとは和を連れてアパートに引っ越す。新吉が不在のあいだも神守組を立て直すために行動していたが、左近四郎との出会いなどをきっかけに、白神会の生アヘンをもとに神守組を立て直して北海道一の組に躍進させるという野望を抱くようになる。その後は金次や四郎の協力を受けながら本城武志自身が監禁されたことにして、白神会系の組織「北丸組」を乗っ取るために新吉を脱獄に導く。北丸組を潰したあとは生アヘンの売買を中心に、神守組を大規模な組織へと成長させて組員を増やし、事務所も構える。新吉のことは昔から敬愛しているものの、極道の世界のさまざまな変化に翻弄され、渡世にこだわる新吉とは次第に価値観が合わなくなり、麻薬売買の件も隠し続けていた。神守組に麻薬疑惑が発生し、四郎に金次を殺させたのをきっかけに、新吉と完全に対立するようになる。のちに四郎にも裏切られ、神守組からも孤立したことで、札幌の道正会へ逃げ込む。

金次 (きんじ)

神守新吉を「兄貴」と慕う青年で、神守組の一員。耳当て付き帽子をかぶった素朴な外見で、芦別岳の旅館を手伝いながら、新吉たちと共に平穏な生活を送っていた。新吉が刑務所入りとなったあとは、本城武志の野望に協力するようになる。ひそかに神守和に思いを寄せていたが、彼女と武志との関係を知っていたために身を引いていた。元は赤ん坊の頃に捨てられた捨て子で、新吉と神守辰造に拾われて育てられてきた。このため、辰造や新吉のことは家族のように大切に思っている。神守組が成長したことで出世して武志への協力も続けていたが、昔から新吉には弱いため、彼への隠し事は下手なままだった。神守組に麻薬疑惑が発生してからは、新吉に生アヘンの件が漏れるのを恐れた武志の命令を受けた、左近四郎によって殺害される。

左近四郎 (さこんじろう)

街で本城武志と出会った、女好きの青年。武志を気に入って彼の舎弟となってからは、武志の野望に協力している。成長した神守組の一員となり、武志への協力も続けていたが、ある出来事をきっかけに武志を見限るようになり、神守新吉に惚れ込んで味方するようになる。武志を追って一人で札幌に向かった新吉を追い、札幌や芦別岳を舞台に武志や道正会と戦う。増原組を襲撃した際に入手した、希少な機関銃「マリー」を愛用している。

五代 (ごだい)

札幌を拠点する暴力団「道正会」の組長を務める男性で、眼鏡をかけている。麻薬売買ルートを手土産に神守組から逃げ込んできた、本城武志と手を組むようになる。武志に協力しながら、札幌を舞台にした神守組との抗争「札幌戦争」を始める。

集団・組織

神守組 (かみもりぐみ)

北海道を拠点とする暴力団。神守辰造の死後は神守新吉が組長を務めることとなる。辰造の死によって組員がほとんど去って弱体化するが、芦別岳で小さな旅館を営みながら平穏に暮らしていた。しかし白神会との戦いをきっかけに、さまざまな抗争や陰謀に巻き込まれるようになる。

白神会 (しらがみかい)

北海道西部に勢力を伸ばしている暴力団。神守新吉たちの住む芦別岳に薬物工場の設立をもくろんでいたが、それを知って激怒した新吉によって総長と代行以下数十名が殺害される。

クレジット

原作

滝沢 解

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