ドン 極道水滸伝

日本中の極道を統一するという野望を持った男と、その野望を打ち砕くため不本意ながら動かざるを得なくなった主人公との対立を描く極道漫画。「ビッグコミック」1977年1号から1978年12号にかけて連載された作品。1992年にはOVA化もされている。

正式名称
ドン 極道水滸伝
作者
ジャンル
マフィア・ギャング・ヤクザ
レーベル
ビッグコミックス(小学館)
巻数
全3巻
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あらすじ

ヤクザ相手に喧嘩を売ったことで旭日刑務所に収監された島地健三は、そこで暴力団「伊達組」の若親分である伊達武吉と出会う。武吉は人を惹きつける奇妙な魅力を持つ人物で、その魅力に惹かれた健三は子分になりたいと申し出る。一方、下関では暴力団「播堂組」の三代目となった室戸正一が、日本の極道を1つにまとめるために各地で抗争を繰り返しており、武吉たちが旭日刑務所を出所した時には、既に正一が勢力を広げ、全国各地に「播堂組」の息のかかった暴力団員がのさぼっている状況だった。そんな中、武吉は呑気に子分の健三とともに、気の向くままに日本各地を転々としていたが、その道すがらで「播堂組」や他の組員と交戦することになってしまう。そして武吉はその都度勝利を収め、次第にその名は全国へ知れ渡っていく。日本の極道界を1つにまとめようとする正一は、本格的に武吉の首を取るために動き出す。そしてこれが、血で血を洗う極道界の一大抗争へと発展していく。

メディアミックス

OVA

1992年7月に関田修監督によるOVAが発売されている。演出は中山晴夫、脚本は広瀬襄とアミノテツローと山本正文が担当している。主人公の伊達武吉役は緑川光が務めている。

登場人物・キャラクター

伊達 武吉 (だて ぶきち)

暴力団「伊達組」の若親分の男性。松山市内の暴力団「赤岩組」をたった1人で叩き潰したという伝説を持つ。普段は飄々としておりとても強そうに見えないが、実際は非常に喧嘩が強く、知略にも長けている。そして何より、喧嘩をした相手すら惹きつけるカリスマ性を持っており、その魅力は丸尾総次郎にも認められている。しかし、伊達武吉本人は極道を嫌っており、争いごとは好まない。 それでも困っている人を見ると自ら面倒事に首を突っ込む、おせっかいな性格。それゆえに暴力団「播堂組」との抗争にも巻き込まれることになる。

島地 健三 (しまじ けんぞう)

旭日刑務所で伊達武吉と出会い、自ら志願して子分となった男性。もともとは誰の子分にもならないというのがモットーだったが、武吉の人間性に惚れ込んでいる。かつて大阪で番長を張っていた暴れん坊で、ヤクザ相手にも一歩も引かない根性の持ち主。気性も非常に荒く、やられたら確実にやり返す性格。

平 平吉 (たいら ひらきち)

旭日刑務所を出所した伊達武吉と島地健三が、立ち寄ったボロ小屋で出会った男性。ヤクザに騙されてソープに売り飛ばされた女性を助けるために単身暴力団に乗り込むなど、漢気のある人物。

金山 (かなやま)

旭日刑務所の二舎に収容されている男性。二舎においては「親」の立場にあり、多くの子分を引き連れている。旭日刑務所別棟にいる大瀬に喧嘩を売ってしまい、子分の手前引っ込みがつかず決闘することとなったが、結果的に敗北を喫する。

大瀬 (おおせ)

旭日刑務所別棟に収容されている男性。旭日刑務所にいる金山に喧嘩を売られたことにより、決闘をした。その際には木の棒で頭を殴られるもまったく動じず、逆に容赦なく鉈を振り落として金山の腕を切り落とし圧勝した。胆力も含め、圧倒的な力の差を見せつけた。

鈴木 (すずき)

旭日刑務所の所長を務める男性。旭日刑務所をまとめる立場にあり、受刑者に対して配慮もできる人物で、初めて旭日刑務所別棟へ連れて行かれる受刑者に餞別代わりにタバコを渡したりしている。そんな有能な鈴木さえも旭日刑務所別棟の受刑者たちには手を焼いている。

丸尾 総次郎 (まるお そうじろう)

網走刑務所に収容されている78歳の老人。一級殺人の罪で無期懲役となっている。受刑者の身でありながら、六角と仁助を引き連れて所内を自由に行動することができる。「将軍」の別名で知られる極道界の超大物で、配下に無期懲役囚500人を持ち、実質的に全国の刑務所の実権を握っている。そのため、丸尾総次郎が一声かければ全国の刑務所で暴動が起き、手のつけられない状態になるとまでいわれている。 現在も日本全国のヤクザから顧問料を受け取っており、長者番付に載ったこともある。

六角 (ろっかく)

丸尾総次郎と行動をともにしている受刑者の男性。ヤクザとつるんで不正な金を得ていた警察署の署長を殺害した罪で服役している。旭日刑務所別棟へ行った際に総次郎から「どのくらいで別棟の暴れん坊をまとめられる?」と尋ねられ、「3日もあれば」と心強い回答をするなど、その腕には絶対の自信を持つ。

仁助 (じんすけ)

丸尾総次郎と行動をともにしている受刑者の男性。丸尾総次郎が旭日刑務所別棟へ行った際には運転手も務めていた。室戸正一のことを買っており、日本の極道を1つにまとめる逸材であると感じている。

播堂 練太郎 (ばんどう れんたろう)

暴力団「播堂組」の二代目を務めていた男性。しかし、敵対している組の策略によってトラックに轢かれ、姪のよし子とともに死亡した。遺言には自分の亡き後、まだヤクザになって経験の浅い室戸正一に「播堂組」を継がせると遺していた。

室戸 正一 (むろと しょういち)

播堂練太郎の遺言で暴力団「播堂組」の三代目となった男性。「播堂組」に入ってまだ3年足らずだが、練太郎の姪のよし子と結婚していたこともあり、練太郎とは懇意の仲だった。三代目を継ぐことに関しては自分がまだ新米ということもあり、いずれは他の組員に譲ろうと考えている。しかしそれは本意ではなく、実際は自分が君臨し続け、将来的に全国の極道をまとめて極道界の頂点にのし上がろうとしている。 一橋大学を卒業している秀才だが、就職試験の際に両親がいないことを理由に就職できなかったことで自暴自棄になり、極道の道に足を踏み入れた。

前川 銀造 (まえかわ ぎんぞう)

暴力団「播堂組」の若頭を務める男性。死亡した播堂練太郎の遺言により、まだ極道経験の少ない室戸正一を三代目にすることに関して納得がいかず、真っ向から反対している。義理人情に厚い人物で、正一を除けば最も三代目にふさわしい人物とされていた。しかし、正一の謀略で他暴力団と結託し播堂練太郎を殺害した張本人ということにされてしまい、そのまま正一の手によって殺害されている。

辰巳 (たつみ)

前川銀造亡き後、暴力団「播堂組」の若頭を務める男性。三代目の室戸正一のことを心の底から尊敬しており「親分のためならいつでも死にまっせ」と絶対の忠誠を誓っている。正一からも信頼は厚く、新しく下関で「播堂組辰巳一家」を旗揚げし、九州へ勢力を拡大するよう命令されている。

輪島 光男 (わじま みつお)

暴力団「播堂組」に所属する男性。室戸正一が勢力を拡大するために行った神戸侵攻では、いの一番に名乗りを上げ、神戸のシマを取ることを約束した。女相手でもおかまいなく暴力を振るう冷徹な一面がある。自分は天下を取る器ではないことを自覚しているが、正一に付いていけば天下とは言わないまでも自分も相応の権力を得られるだろうと考えている。

小島 五郎 (こじま ごろう)

暴力団「播堂組」に所属する男性で、輪島光男直下の若衆。暴力団「東洋会」と「海王組」が進めている縁談が上手く行っていないことを嗅ぎつけ、「海王組」の組長の娘である高子に近づき結婚を阻止しようと暗躍する。やられても確実にやり返すという漢気に溢れた人物で喧嘩が強く、普段は男を磨くために旅に出ている。

よし子 (よしこ)

室戸正一の妻で播堂練太郎の姪。正一が就職試験で落とされ、自暴自棄になっていた時に出会い支えとなっていた。その後、子宝にも恵まれたが、練太郎と正一を狙うトラックの襲撃の際に、正一を庇う形で幼子ともども命を落とした。

(たわら)

新聞社「関西タイムス」に勤めていた男性。室戸正一とは昔からの知り合いで、正一が全国の極道を1つにまとめるために起こしている抗争を良しとせず、止めようと考えている。正一に説得を試みるも失敗し、「関西タイムス」を退社して自分もヤクザとして真正面から正一を止めることを決意する。

井上 (いのうえ)

暴力団「共和会」に所属する男性。頭に血が上りやすく、すぐに手が出る喧嘩っ早い性分。普段は「忙しい」と自称しているが、実際は好き勝手に遊び回っており、周囲の人間からは「遊び人」と評されている。

品川 鉄次 (しながわ てつじ)

松山の暴力団「東洋会」に所属する男性。松山市内ではその顔は広く知れ渡っている。高子との結婚が決まっており、高子のことはとても大切に想っている。そのため、高子にちょっかいを出す人間を見つけると容赦をしない。

高子 (たかこ)

松山の暴力団「海王組」の組長を父親に持つ女性。父親の厳命で、松山の極道を1つにするために品川鉄次と結婚することが決まっている。高子本人はこの結婚には後ろ向きで、鉄次のことを「上海ブタ」と罵り嫌っている。

三田村 (みたむら)

松山の暴力団「海王組」に所属する男性。伊達武吉の父を刺殺した人物で、その功績を買われて将来は暴力団「播堂組」の幹部になれると考え、調子良く振る舞っている。実際は小心者で、自分が劣勢な状況になると縮こまってしまう。

伊達武吉の父 (だてぶきちのちち)

伊達武吉の父親。暴力団「伊達組」に所属はしているが、ヤクザ稼業からはほとんど足を洗っている。それでも周りのヤクザ者や、伊達組以外の者からも「親っさん」と親しまれているほど人望がある。しかし、竹蔵とともに道を歩いていたところを暴力団「海王組」の構成員に刺され死亡している。

竹蔵 (たけぞう)

暴力団「伊達組」に所属する男性。伊達武吉が「伊達組」を留守にしている間、伊達武吉の父と行動をともにしていたが、暴力団「海王組」の構成員に不意を突かれて武吉の父親を殺されてしまった。その後、警護できなかった責任を取り自ら小指を落とした。

大村 (おおむら)

広島の暴力団「大村組」に所属する男性で、前川銀造の兄貴分にあたる。銀造の性格も良く知っており、銀造が播堂練太郎に対して他暴力団と結託し殺害に加担したという話を聞いた時も「25年も尽くしてきた親分を裏切るような人間ではない」とその話の真偽に疑問を抱いている。そのため、銀造亡き後に都合良く「播堂組」の三代目を室戸正一が継いだことに関しては不満を抱いている。

内田 頼三 (うちだ らいぞう)

暴力団「二見会」に所属する男性。自分の女であるユカが山下一郎と関係を持ったことをネタに、一郎から慰謝料3000万円を強請り取ろうとしている小悪党。暴力団「播堂組」の組員からは「なんちゅうこともないチンピラ」といわれている。

ユカ

内田頼三の女。普段はクラブで働いているが、山下一郎と知り合い関係を持ち、一郎が慰謝料3000万円を強請られる原因を作った。暗にバックには暴力団「二見会」が付いていることをにおわせ、一郎を震え上がらせた。

山下 一郎 (やました いちろう)

山下造船の社長を務める男性。室戸正一のことを信頼しており、日本全国の極道を統合するのは素晴らしいことだと褒め称えていた。クラブで知り合ったユカと関係を持ったことで、暴力団「二見会」の内田頼蔵から強請られ、困って正一に相談を持ちかける。

石松 (いしまつ)

暴力団「二見会」が主催している、八百長ありのインチキボクシングに出場している男性。「二見会」とは繋がっているものの構成員ではなく、島地健三からは「流れ者」といわれていた。背丈は高くないものの喧嘩慣れしており、軽い身のこなしと自分より一回り大きな大男すら倒すパンチ力を持つ。

天海 (あまみ)

暴力団「二見会」が主催している、八百長ありのインチキボクシングを見守っている男性。「二見会」とは繋がっているものの構成員ではなく、石松と同様の「流れ者」。石松とは異なり体力もなく腕っぷしも弱いが金に対する執着は強い。

沢田 (さわだ)

暴力団「二見会」に所属する男性で、倉石文次の兄弟分。そのため「二見会」での発言力は強く、構成員同士のもめごとも一声で制する力を持っている。室戸正一が神戸へ攻め込んで来た時も慌てふためくことなく、まったく動じない姿勢を見せていた。

倉石 文次 (くらいし ぶんじ)

暴力団「二見会」の会長を務める男性。「二見会」の構成員からの信頼も厚い。最近勢力を伸ばしてきている暴力団「播堂組」の室戸正一を返り討ちにし、逆に「二見会」のシマを増やそうと目論んでいる。そのために、神戸で抗争を繰り広げている間に「播堂組」の活動拠点である下関に攻め込み壊滅させるという策略を立てる。

マリ

伊達武吉が暴力団「二見会」とのいざこざに巻き込まれた際、介抱した女性。怪我の治療だけでなく食事を御馳走するなど、優しく接した。普段はスナックを経営している。実は六角の妹である。

金田 (かねだ)

九州の暴力団に所属する男性。丸尾総次郎の知り合いで、総次郎から伊達武吉の力になるよう命令を受け、暴力団「二見会」と「播堂組」の抗争を止めようとしていた武吉の前に現れて手を貸した。極道界でもその名を知られた有名人で、室戸正一にも「今の日本じゃ金田と喧嘩できる人間などいやしない」と高く評価されている。

集団・組織

播堂組 (ばんどうぐみ)

山口県下関を中心に活動している暴力団組織で、所属している組員は500人。二代目組長の播堂練太郎が死去したことにより、三代目は室戸正一が継いでいる。正一が継いでからは過激な抗争を繰り返し、その勢力を全国へ拡大させている。

二見会 (ふたみかい)

神戸を拠点に活動している暴力団組織で、倉石文次が会長を務める。神戸でも巨大な組織として知られ、素人を相手にインチキボクシングをしたり、女をけしかけて美人局をするなど手広い手法で資金集めをしている。他の暴力団組織とも繋がりを持っており、利害が一致すれば共同戦線を張ることもある。

伊達組 (だてぐみ)

松山を拠点に活動している暴力団組織で、伊達武吉が親分を務めている。300年もの歴史を持つ名門だが、現在は若い衆が2~3人しかいない。実質的に松山市内は暴力団「東洋会」と「海王組」が取り仕切っている。

伊達一家 (だていっか)

松山を拠点に活動している暴力団「伊達組」を筆頭に、四国の極道が手を結び、暴力団「播堂組」を迎え撃つために結成した極道連合。この連合ができた背景には、四国中の極道から親しまれていた伊達武吉の父の存在が大きく、彼の死後その跡を継いだ伊達武吉が四国の親分連中に声をかけたことで実現した。

東洋会 (とうようかい)

松山を拠点に活動している暴力団組織。暴力団「海王組」と松山市内の覇権を二分しており、品川鉄次と高子との結婚で1つにまとめようとしている。しかし、高子は鉄次との結婚を拒否しており、現状上手く話がまとまっていない状況となっている。

海王組 (かいおうぐみ)

松山を拠点に活動している暴力団組織。暴力団「東洋会」と松山市内の覇権を二分しており、品川鉄次と高子との結婚で1つにまとめようとしている。しかしこの縁談が流れたことで暴力団「播堂組」の支配下に置かれることとなり、実質的に「播堂組」の松山支部となってしまう。

場所

旭日刑務所 (あさひけいむしょ)

鳥取にある特殊な刑務所。主に一大勢力を持った暴力団に対し、単独で立ち向かった暴れん坊のみを収容している。これは組が刑務所に殺し屋を送り込み、復讐することを避けるという目的もある。

旭日刑務所別棟 (あさひけいむしょべっとう)

旭日刑務所の区画の1つで、刑務所内で問題を起こした血の気の多い受刑者を収容する別棟。映画鑑賞会などのイベントでは旭日刑務所の受刑者と行動をともにすることもあるが、基本的には普通の受刑者とは隔離されている。別棟内のいさかいにより殺し合い発展することもあり、今まで何人もの死者が出ている。ここで生き残るためには騒ぎを起こさず、おとなしくしていることが絶対条件とされている。

書誌情報

ドン 全3巻 小学館〈ビッグコミックス〉 完結

第1巻 鳴動編

(1978年5月発行、 978-4091801715)

第2巻

(1978年6月発行、 978-4091801722)

第3巻

(1978年7月発行、 978-4091801739)

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