四月は君の嘘

四月は君の嘘

かつて神童と呼ばれていたが、母の死後ピアノが弾けなくなってしまった少年有馬公生。目標もなくただ日々を過ごしていた彼が、ヴァイオリニストの宮園かをりと出会い、ピアニストとして再生し成長していく姿を描いた青春物語。

正式名称
四月は君の嘘
ふりがな
しがつはきみのうそ
作者
ジャンル
ピアノ
 
恋愛
レーベル
講談社コミックス月刊マガジン(講談社)
巻数
既刊11巻
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あらすじ

第1巻

有馬公生は、同じ中学に通う幼なじみの澤部椿の紹介で、宮園かをりという同い年のヴァイオリニストに出会う。かをりは、会ったばかりの公生を自分が出るコンクールに誘う。ある事情でピアノをやめた公生はその誘いに難色を示すが、かをりに押し切られる形でコンクール会場へと足を運び、久しぶりに生の演奏を聴く。そんな中、出番を迎えたかをりの演奏は、まるで作曲家に喧嘩を売るような激しいものだったが、曲を自分のものにした素晴らしい演奏だった。譜面に忠実ではなかった事から、コンクールでは評価されなかったものの、会場の注目を一身に浴びたかをりは、聴衆推薦という特別枠での二次予選進出を果たす。一方、かをりの演奏が頭から離れなかった公生は、もどかしさを感じていた。かをりはそんな公生をカフェに誘い、そこにあったピアノを半ば無理やり弾かせる。曲の途中で弾くのをやめてしまった公生に対し、かをりはなぜピアノを弾かないのかと理由を尋ねる。そんなかをりに公生は、自分にはピアノの音が聴こえないという悲しい事実を伝える。

第2巻

有馬公生宮園かをりの強引な誘いにより、彼女の伴奏者としてコンクールに出場する事になった。いきなりの出場のため、まともに練習もできていない公生は、本番直前まで譜面と対峙していたが、かをりから喝を入れられた事で、公生は雑念を払って本番に臨む。公生は課題曲を何とか弾きこなしていくが、突如かをりが攻撃的な荒々しい演奏を始める。そんな中、公生は必死にかをりの演奏に食いついていくが、そんな公生の目前に、死んだ母親の有馬早希の幻が姿を現す。途端に公生は、ピアノの音が聴こえなくなり、伴奏がどんどんずれ始めていく。ついに公生は伴奏を中断するが、それに合わせてかをりまで演奏をやめてしまう。これを受けて客席からは罵声が飛び交うが、かをりはそんな事を気にも留めず、公生にもう一度弾き直すよう求める。覚悟を決めた公生は、音が聴こえない状態で再びピアノを弾き始める。音を失いながらも奏でる公生の伴奏には鬼気迫るものがあり、かをりは公生に負けじと演奏で応える。そんな二人の殴り合いのような演奏は、一気に会場の客を惹きつけるのだった。そしてこの日をきっかけに公生は、自分にはピアノしかないと悟る。

第3巻

有馬公生は、宮園かをりからピアノコンクールに出場するよう命令される。演奏中に音が聴こえなくなってしまう公生は、自らの演奏を録音したものを聴いてその酷さに自信を失うが、かをりはすでにコンクール出場のための書類を提出済みだった。公生は仕方なく練習を始めるが、その集中力はすさまじく、寝る間も惜しんでひたすらにピアノを弾き続ける。そしてかをりは、そんな公生の練習にひたすら付き合うのだった。そんな中、澤部椿は、幼なじみの公生がかをりとなかよくする光景を、複雑な心境で見ていた。椿は、公生の一番近くにいるのがいつの間にか自分ではなく、かをりになっている事にショックを受け、告白して来た先輩と付き合う事を決める。そんな中、椿はソフトボール部での最後の大会を迎える。しかし、かをりと二人で応援に来ている公生を見て、平常心を失い、自らのミスで試合に負けてしまう。その帰り道で自分を待っていた公生に会った椿は、公生が応援に来てくれた嬉しさと、試合に負けた悔しさとで涙を流すのだった。

第4巻

ついにピアノコンクールの日を迎え、有馬公生をライバル視する相座武士は素晴らしい演奏を披露する。公生は同じく自分をライバル視する井川絵見から、武士がここまで成長したのは、公生に追いつくためであった事を聞く。続いて順番を迎えた絵見は、これまで目標としていた公生に、今回のコンクールで再会できた事で、気持ちを奮い立たせて演奏に集中する。絵見は公生へのあこがれや怒りなど、さまざまな激情をピアノの音に乗せる。その演奏は、武士にもまったく劣らないクオリティで、会場中の心を一気に摑むものだった。武士と絵見の演奏に大きく刺激を受けた公生は、気持ちを高ぶらせ、2年ぶりにコンクールの舞台へと立つ。しかしそこには、死んだ母親の有馬早希の幻が現れる。

第5巻

ピアノコンクール本番で、有馬公生は順調な滑り出しで演奏を行っていたが、またも死んだ母親の有馬早希との辛い過去の幻に囚われ、演奏中に音が聴こえなくなってしまう。どんどん悪くなっていく自分の演奏に、公生は途中で投げ出してしまおうかと考えるが、そんな中、彼の頭に宮園かをりの姿が浮かぶ。一度は演奏を止めながらも、あきらめる事を許さないかをりの姿に触発された公生は、もう一度気持ちを奮い立たせる。難しい事を考えず、ただかをりのためだけにと奏でる公生の演奏は、それまでとはまったく別の雰囲気を演出し、会場を自らの世界へと引き込んでいく。音楽の自由さを素直に楽しんだ公生は、笑顔で演奏を終える。その瞬間、公生は、これまでとは違って笑顔を浮かべている早希の幻を目にするのだった。そんな公生の姿を見た相座武士は複雑な思いを募らせ、同時に井川絵見は本当の公生が戻って来たのだと高揚する。そして、コンクールを終えた公生のもとに、早希の友人だった瀬戸紘子が2年ぶりに訪ねて来る。

第6巻

有馬公生は、宮園かをりと再びコンビを組み、藤和音楽コンクールの記念公演である藤和ホール・ガラコンサートに向けて練習を重ねていた。しかし公生は、かをりの選んだ曲を弾くのに気乗りがしていなかった。その曲は、公生の母親の有馬早希が好きだった曲であり、それを演奏すると、どうしても早希の姿がちらついてしまうからだった。そんなある夜、公生は早希の友人だった瀬戸紘子と共に夏祭りへと出かける。母親との辛い思い出から、公生は紘子に自分はピアノを弾いていてもいいのかと問う。紘子はそんな公生が母親と真の意味でお別れできるよう、やはり公生にピアノを弾く事を勧めるのだった。その後、公生はかをりと毎日喧嘩を繰り返しながらも練習を積み重ねていく。そんな公生に紘子は、もっと衝動に身をゆだねるべきだとアドバイスを送る。そして迎えたコンサート当日、会場ではかつてインパクトのある演奏を披露したかをりが話題の中心となっていた。しかし、当のかをりは会場に姿を見せておらず、連絡も取れない。そんな中、公生は覚悟を決め、一人だけで舞台に立つ。

第7巻

有馬公生は、母親である有馬早希が好きだった課題曲を通して、記憶の中の早希と向き合う。それは、これまで恐れていた早希の幻との決別でもあった。演奏を終えた公生には、いつものような早希の幻は姿を現す事なく、公生は複雑な思いで舞台を降りる。一方で会場の観客は公生の演奏の凄さに圧倒され、ただ余韻に浸るだけだった。公生の演奏を見ていた三池俊也は、公生が作り出した異様な雰囲気の中で演奏を始める。アウェーのような状況の中、俊也は自分も公生のように燃焼したいと、いつもよりもやわらかい演奏を始め、成長の片鱗を見せる。公生の演奏は、周囲の演奏者にまで影響をおよぼすほどのものだったのである。こうしてコンサートは終了するが、結局、宮園かをりが会場に姿を現す事はなかった。後日、公生はかをりが入院していた事を知る。短期間に2回も入院する事になったかをりに、死んだ母親の早希の姿を重ね、公生は心配して心を痛める。一方、公生に触発された井川絵見はコンクールで圧倒的な存在感を示していた。逆に、相座武士は公生へのあこがれが崩れ、自分を見失いつつあった。

第8巻

有馬公生は音楽の道に進む事を決意し、音楽科のある高校へ進学するか、海外への留学を考え始める。それを知った澤部椿は、公生が遠くに行ってしまうのではないかと戸惑い、空回りする毎日を送っていた。そして椿は、中途半端な気持ちで付き合っていた事で今の彼氏を傷つけていた事を知り、同時に公生の傍にいたいという自分の本心に気づくのだった。そんな中、公生は、2学期になってから登校していない宮園かをりのお見舞いに行く。そこで気を失っている少女と出会った公生は、少女を瀬戸紘子のもとへ連れて行く。気を失っていた相座凪は目を覚ますと、いきなり紘子に弟子入りを志願。凪のピアニストとしての腕前を見た紘子は、すぐに凪の弟子入りを認めるが、教えるのは公生が担当するように指示する。後日、公生は改めてかをりの入院する病院を訪れる。しかし病室からは、かをりと、かをりが好きな渡亮太の会話が聞こえて来たため、公生は病室に入る事なく黙って帰ってしまう。落ち込む公生だったが、そこにかをりから電話が入る。

第9巻

有馬公生は、入院している宮園かをりの具合が優れない事を知って落ち込んでいた。そして集中力のないままピアノに向き合い、瀬戸紘子から叱責を受けてしまう。そんな中、渡亮太からかをりのお見舞いに誘われた公生は、一度は断るものの、亮太の粘り強い説得を受けてお見舞いに行く事にする。病院で、公生は弱気なかをりと口喧嘩してしまうが、それによりかをりは少し元気を取り戻すのだった。その後、公生は、凪が学祭で行うピアノ演奏に、自分も参加したいと申し入れる。それを快諾した凪は、二人での演奏を意識し、公生に負けないよう練習に励むが、公生の人並み外れた集中力と練習量に焦りを感じ始める。何とか学際当日を迎えた凪は、公生と共にステージに立ち、二人でのピアノ演奏が始まる。その公生の演奏は、客席にいる亮太の携帯電話越しに、かをりに聴こえていた。

第10巻

宮園かをりは、有馬公生の演奏を聴いて、危険な手術を受ける事を決意する。かをりはもう一度ステージでヴァイオリンを弾くために必死でリハビリに励み、公生は、もう一度かをりと二人で演奏するために、携帯電話越しにかをりと演奏の練習を行うのだった。そして迎えた、次のピアノコンクールの日。井川絵見相座武士と打ち解けた公生は、なかよく会話をしていた。そんな中、最初に出番を迎えた武士は、公生に対するあこがれと失望を自ら消化し、ここ最近の不調を振り払うかのような圧巻の演奏で完全復活を果たす。そして公生、絵見、武士の三人は、本選への出場を勝ち取るのだった。

第11巻

容体が急変し、宮園かをりは集中治療室に入る事になった。有馬公生はピアノコンクールの本選を控えながら、かをりの事で完全に心が折れ、ピアノを弾く事をやめてしまう。そんなある日、渡亮太づてにかをりから手紙が届く。かをりの病室を訪れた公生は、もうピアノを弾く事は無理だと語るが、そんな公生にかをりは、手術を受ける事を伝え、無理をして立ち上がり、ヴァイオリンを弾く真似をするのだった。そして迎えたコンクール本選当日。相座武士井川絵見は、圧倒的な技術と表現力による演奏を見せつける。しかし、未だかをりの事で頭がいっぱいな公生は、最悪のメンタル状態で本番のステージに立つ事となった。さまざまな思いに押し潰されそうになっていた公生だったが、そんな中、静まりかえった会場に澤部椿のくしゃみをする声が響く。これをきっかけに、ようやく自分を取り戻した公生は、自分の中にかをりがいる事を感じながら、豊かな表現でピアノを演奏していく。

登場人物・キャラクター

有馬 公生 (ありま こうせい)

市立墨谷中学校2年生。外見は地味で眼鏡以外に特徴がない。母の有馬早希からピアノの英才教育を受け、多数のコンクールで優勝した経験を持つ。その演奏の正確さから「ヒューマンメトロノーム」と渾名された神童だったが、母の死をきっかけにピアノが弾けなくなる。宮園かをりに出会うことで、ピアニストとしての自分を取り戻し、新たな表現を手に入れていく。 几帳面で優しい性格の持ち主。

宮園 かをり (みやぞの かをり)

有馬公生の同級生。明るく華やかなロングヘアの女の子だが、突っ込みが鋭く彼に対してよく激昂している。独創的な演奏をするヴァイオリニストで、審査員の評価は分かれがちだが、本人は気にしていない。逆に聴衆には最も愛されるタイプの演奏家である。音楽コンクールで活躍していた有馬公生に憧れており、ピアニストとしての彼を再生させていく。 洋菓子屋の一人娘。

澤部 椿 (さわべ つばき)

有馬公生の同級生で、隣の家に住んでいる幼馴染み。明るく快活で、ソフトボール部に所属しているショートカットの女の子。有馬公生を弟のように思っていたが、やがて彼のことが好きだということに気づく。

渡 亮太 (わたり りょうた)

有馬公生と澤部椿の友人。サッカー部の部長で、女の子に大人気。複数人とつきあっているが、友達づきあいは大事にしている。実は周りを良く見ている人物で、有馬公生に的確な助言をすることもある。

相座 武士 (あいざ たけし)

ピアニストで、少年時代から有馬公生をライバルとしていた。毎報コンクールで一度優勝したが、憧れでもあった有馬公生に勝つために、ドイツのコンクールを蹴って二度目のコンクールに参加する。ツンツンした髪型のやんちゃな少年だが、派手な容姿に似合わず堅実で端正な演奏をする。

井川 絵見 (いがわ えみ)

何でもできる多才な少女だったが、5歳の時に有馬公生の演奏を見てピアニストになることを決意する。非常に勝気で気分屋な美少女。有馬公生の不在に影響を受け伸び悩んでいたが、彼の再生を目の当たりにして、一気に才能が開花する。

瀬戸 紘子 (せと ひろこ)

日本屈指のピアニスト。有馬早希とは音大の同期で親友だった。毎報音楽コンクール一次予選で有馬公生と再会、彼の先生となる。一人娘の小春と暮らしている。

相座 凪 (あいざなぎ)

胡桃ヶ丘中学校音楽科1年で、ピアノを専攻している。相座武士の妹。兄のスランプの原因である有馬公生に敵意を抱き偽名を使って接近するが、最終的に彼の弟子となる。胡桃ヶ丘中学校の天使と言われる可愛らしい容姿だが、中身は意外と腹黒い。

有馬 早希 (ありま さき)

有馬公生の母で、彼が小学生の時に他界。音楽教室を営み、息子を世界的なピアニストに育てるべく厳しい教育を施していた。その厳しさが愛ゆえのことだと、有馬公生が気づくまでには時間が必要だった。

柏木 美和 (かしわぎ みわ)

澤部椿の友人で部活仲間。観察眼に優れていて、彼女やその周りのことをよく見ている。そばかすとポニーテールが特徴。

三池 俊也 (みいけ としや)

藤和音楽コンクールの中学生の部優勝者。藤和のガラコンサートの際に有馬公生に順番変更を頼まれたが拒否する。相座凪と同じ学校で、犬猿の仲。

イベント・出来事

藤和音楽コンクール

藤和ホールで開催される。新設された全国規模のヴァイオリンコンクールで、全ての演奏にピアノの伴奏がつくという珍しいコンクール。有馬公生が初めて宮園かをりの演奏を聴くきっかけとなり、また彼女の伴奏をすることになる運命のコンクール。

毎報音楽コンクール (まいほうおんがくこんくーる)

毎報新聞社が主催している全国規模のピアノコンクール。かつて有馬公生は小学生部門で優勝した。海外進出の足掛かりとなる重要なコンクールで、地区予選、地区本選を経て初めて全国大会に出場できる。有馬公生が再生後初めて演奏したコンクールでもある。

藤和ホール・ガラコンサート

藤和音楽コンクールの入賞者が演奏できるコンサート。宮園かをりは特別に招待され出場できることになったが、本番当日に彼女の姿はなく、有馬公生が一人でピアノを演奏した。

東日本ピアノコンクール (ひがしにほんぴあのこんくーる)

日本有数の音楽コンクールで、歴史が古くネームバリューも高い。冬に開催されるため雪のコンクールとも呼ばれる。現在ピアニストとしての実績がない有馬公生は、志望校に入るためにも、このコンクールの上位入賞者を目指す必要がある。

アニメ

四月は君の嘘

天才ピアニストと称される少年・有馬公生は、母の死がトラウマとなりピアノが弾けなくなってしまう。それ以来、鬱屈した日々を過ごす公生。そんな彼を気にかけた幼なじみの少女・澤部椿は、彼をダブルデートへ誘う。... 関連ページ:四月は君の嘘

書誌情報

四月は君の嘘 11巻 講談社〈講談社コミックス月刊マガジン〉

第1巻

(2011-09-16発行、 978-4063713015)

第2巻

(2012-01-17発行、 978-4063713176)

第3巻

(2012-05-17発行、 978-4063713275)

第4巻

(2012-09-14発行、 978-4063713459)

第5巻

(2013-01-17発行、 978-4063713596)

第6巻

(2013-05-17発行、 978-4063713756)

第7巻

(2013-09-17発行、 978-4063713879)

第8巻

(2014-01-17発行、 978-4063714050)

第9巻

(2014-05-16発行、 978-4063714180)

第10巻

(2014-10-17発行、 978-4063714357)

第11巻

(2015-05-15発行、 978-4063714678)

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