ピアノの森

森でピアノを弾いて育った少年一ノ瀬海。彼が世界のピアニストとして成長していく姿や、その才能に魅了され人生をも変えられてしまった人々のドラマを描く。第12回文化庁メディア芸術祭マンガ部門大賞受賞。

概要・あらすじ

森の端と呼ばれる歓楽街で、娼婦の子供として生まれた一ノ瀬海は、3歳の時から森に捨てられていたピアノを弾いて育った。陽の光や月明かりに照らされ、森に住む動物たちを観客に見立てては演奏会を開く日々。森が育んだカイの才能は、聴いた人を驚愕させるまでになっていた。かつて天才ピアニストといわれた阿字野壮介や、無限大の可能性を秘めた若きピアニストたちとの出会いを通して、カイは人間としてもピアニストとしても大きく成長していくことになる。

登場人物・キャラクター

一ノ瀬 海 (いちのせ かい)

森の端という歓楽街に、娼婦の息子として生まれた。3歳の時部屋の窓から落下するが、森に続いている大きな木がクッションとなり、そのまま捨てられていたピアノの上に落ちた。この日からピアノはカイにとっての遊び相手になり、自然に指と耳を鍛えていくことになる。元天才ピアニスト阿字野壮介に才能を見いだされたカイは、勧められるままコンクールに出場することに。 その規格外な演奏で、出場者や審査員に強い衝撃を与えることとなる。幼い頃から一貫して女の子に間違えられる。初対面の人は、たいていその綺麗な顔に見とれてしまう。

一ノ瀬 怜子 (いちのせ れいこ)

主人公カイの母親。「森の端」という歓楽街で生まれ育ち、一度も外で暮らしたことがない。15の時にカイを産んだ。父親が不詳なことや、娼婦をやっていることで、世間からはしばしば批判されているが、カイだけはどんな事があっても守り、ひたむきに愛情を注いでいる。カイにはいつか森の端を出てほしいと願っており、阿字野の下でピアノを弾くよう勧める。 かなり美しい女性で、雨宮が初めてカイの家を訪れた時は天使だと思ったほど。

阿字野 壮介 (あじの そうすけ)

主人公カイのピアノの先生。かつて天才ピアニストとして世界中を風靡していたが、交通事故に遭い左腕を負傷、ピアニスト生命を絶たれた。絶望から一度は手放したピアノを、10年後に森で発見し、近くの小学校で音楽教師として働くことを決める。カイの奏でる旋律に衝撃を受け、かつての自分の音を思い出す。 カイを世界に連れていくと決めてからは、失った感情を取り戻し過去を引きずる事もなくなった。

雨宮 修平 (あまみや しゅうへい)

主人公カイの同志。小5の時一時的に転校した学校でカイに出会う。一流のピアニストを父に持ち、自らも英才教育で全国トップクラスの実力がありながら、カイとのレベルの差に苦しみ続ける。一時はカイの才能から逃げるように海外留学するも、5年後再会したカイは、想像を超える努力でピアノを続けていた。 カイとはライバルという枠を超えて、深い友情で繋がっている。

丸山 誉子 (まるやま たかこ)

主人公カイに憧れ続けるピアニスト。小学6年生の時に出場したコンクールでカイに出会った。極度の上がり症であった誉子を、カイが優しく励まし、見事克服させる。この時聴いたカイのピアノに感動しもう一度再会したい一心で様々なコンクールに出続けている。カイとの才能の差に苦しむ雨宮とは違い、純粋にカイのピアノが好き。

ベンちゃん

主人公カイの兄貴的存在。森の端の住人で、もともとヤクザのつかいっぱしりをしていた。現在はトラックで荷物を運んでいる。面倒見がよく、仕事のついでにカイを外の街に連れ出してくれる。カイの母怜子にぞっこんで、一時期はカイの父親ではないかとの噂も流れた。相棒は犬のてん丸。

岸上 冴 (きしがみ さえ)

主人公カイの恋人。伝説の彫師、彫兵衛を祖父にもち、自身も彫師としての腕は一流。職業上、18歳のところを20歳で通している。カイがマリアとして演奏するストリップ劇場に、週一で通うほどの大ファンであった。徐々に親しくなり、カイの方から男である事を告げられる。 戸惑いながらも一気に恋愛関係となり、同棲することになった。

ジャン=ジャック・セロー

世界的なピアニストで指揮者。遠い昔、審査員として参加していたショパンコンクールで阿字野が落とされた事に激怒、以後は審査員を依頼されても引き受けないと決めている。阿字野が事故で病んでしまった後も、日本に通ってはつたない日本後で励まし続けた。時が経ち、阿字野と共にカイの後押しをすることになる。

亜里沙 (ありさ)

主人公カイの友達。身寄りのいない捨て子。森の端で客引きのポン爺に拾われ、ずっと一緒に暮らしている。多少だが知的障害を抱えており、カイが面倒を見てあげる事が多い。

佐賀 武士 (さが たけし)

主人公カイのピアノに魅了された一人。カイが初めて出場したコンクールで審査員を務めていた。カイが稀に見る天才である事を認めながらも、その才能を早い内に摘んでしまったほうがいいと主張する憎まれキャラ。数年後、カイ扮するマリアの演奏に惚れ込み、ストリップ劇場PCLUBに足しげく通うことになる。 腱鞘炎による手術を繰り返したのち、ピアニストの道を諦めた苦い過去を持つ。

司馬 高太郎 (しば こうたろう)

主人公カイのピアノに憑りつかれた一人。誉子のピアノの先生。カイや誉子が出場したコンクールの審査員を務めていた。5年後誉子に再会し、生徒としてレッスンを受けるよう提案する。誰よりも誉子の心に寄り添い、技術面だけでなく人としても成長させていく事になる。

白石 (しらいし)

誉子の使用人。両親に構ってもらえない誉子を気にかけ、結婚もせずにずっと側で仕えてきた。いつでも誉子の味方。誉子だけでなく、カイや雨宮の事も本気で応援する心の大きな人物。

雨宮 洋一郎 (あまみや よういちろう)

雨宮修平の父親。有名ピアニスト。大学の頃、阿字野のピアノに憧れるも、その才能を恐れていた。カイという天才にに苦しむ修平を、過去の自分と重ねて見てしまう。一歩引いた性格で、修平の意志を尊重している。日本で唯一会場を満員にするピアニストで、癒しのピアノといわれている。

雨宮 奈美恵 (まるやま なみえ)

修平の母親。息子を溺愛し、一流のピアニストにする事だけを考えている。かつて天才ピアニストだった阿字野に憧れていた。引っ越し先の小学校で阿字野が教師をやっている事を知るや、修平のピアノを観てくれるよう強引に頼む。少々教育ママではあるが、話せば通じるタイプ。

金平 大学 (かねひら だいがく)

主人公カイのクラスメイト。カイの育った環境を見下し、何かにつけて「娼婦の息子と」いじめてくる。転校してきた雨宮に、森に捨てられたオバケピアノを弾いくるよう命令。これをキッカケにカイと雨宮は親しくなっていく。

龐 威 (ぱん うぇい)

主人公カイをライバル視する中国人ピアニスト。自殺した母親のお腹から奇跡的に引き出され、天涯孤独で壮絶な人生を送ってきた。阿字野のピアノに出会ってからは、それだけを心の支えに生きてきた。それ故、愛弟子であるカイに強く嫉妬している。

場所

P☆CLUB (ぴー・くらぶ)

『ピアノの森』に登場する店。カイがマリアという女性に扮して働くストリップ劇場。マリアの美貌と演奏は瞬く間に評判になり、固定ファンが大勢いる。後の恋人となる冴ともここで出会った。

森の端 (もりのはた)

カイが生まれ育った歓楽街。チンピラやヤクザがはびこり、学校では立ち入り禁止の場所として教えられている。

その他キーワード

森のピアノ (もりのぴあの)

『ピアノの森』に登場するピアノ。元は天才ピアニスト阿字野が特注で作らせたもの。ピアノからの未練を断ち切るために業者に引き渡したものが、巡り巡ってカイの近所の森に捨てられた。とっくに壊れて音を失っているハズだが、小さい時からいつも一緒だったカイにだけは音が出せる。阿字野がカイの才能に気づいて間もなく、雷に打たれ燃えてしまう。 ピアノにカイを託されたと感じた阿字野は、真剣にピアノを教えることになる。

書誌情報

ピアノの森 既刊9巻 講談社〈アッパーズKC〉 連載中

第1巻

(1999年8月発行、 978-4063460308)

第2巻

(1999年8月発行、 978-4063460315)

第3巻

(1999年10月発行、 978-4063460407)

第4巻

(2000年4月発行、 978-4063460568)

第5巻

(2000年8月発行、 978-4063460674)

第6巻

(2001年3月発行、 978-4063460971)

第7巻

(2001年9月発行、 978-4063461183)

第8巻

(2002年5月発行、 978-4063461428)

第9巻

(2002年11月発行、 978-4063461695)

ピアノの森 全26巻 講談社〈モーニングKC〉 完結

第1巻

(2005年4月発行、 978-4063724295)

第2巻

(2005年4月発行、 978-4063724301)

第3巻

(2005年4月発行、 978-4063724318)

第4巻

(2005年5月発行、 978-4063724363)

第5巻

(2005年5月発行、 978-4063724370)

第6巻

(2005年5月発行、 978-4063724387)

第7巻

(2005年6月発行、 978-4063724448)

第8巻

(2005年6月発行、 978-4063724455)

第9巻

(2005年6月発行、 978-4063724462)

第10巻

(2005年7月発行、 978-4063724493)

第11巻

(2005年12月発行、 978-4063724837)

第12巻

(2006年4月発行、 978-4063725094)

第13巻

(2006年12月発行、 978-4063725544)

第14巻

(2007年6月発行、 978-4063726107)

第15巻

(2008年5月発行、 978-4063726756)

第16巻

(2009年8月発行、 978-4063727524)

第17巻

(2010年3月発行、 978-4063728811)

第18巻

(2010年7月発行、 978-4063729177)

第19巻

(2010年11月発行、 978-4063729542)

第20巻

(2011年9月発行、 978-4063729801)

第21巻

(2011年11月発行、 978-4063870220)

第22巻

(2012年8月発行、 978-4063870992)

第23巻

(2013年5月発行、 978-4063871173)

第24巻

(2014年5月発行、 978-4063883244)

第25巻

(2014年10月発行、 978-4063883893)

第26巻

(2015年12月22日発行、 978-4063884852)

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