概要・あらすじ
大正8年(1919年)、新潟県中蒲原郡亀田にある造酒屋の田乃内家に女児が産まれる。「田乃内烈」と名付けられた少女は、家族の愛に包まれて育つが、夜盲症をわずらい、小学校入学前に失明すると宣告される。病身の母は巡礼先で亡くなるが、未婚の叔母が育て親となり、愛情に包まれて育つ。
登場人物・キャラクター
田乃内 烈 (たのうち れつ)
大正8年生まれ。代々、造酒屋を営む旧家にして大地主、田乃内家に産まれる。眼病をわずらい、小学校入学前に失明すると宣告を受ける。徐々に失われていく視力に絶望し、家に閉じこもりがちになる。
田乃内 意造 (たのうち いぞう)
烈の父。田乃内家の当主。父の死により、代々続く造酒屋、田乃内酒造を継ぐ。帝大卒。
田乃内 賀穂 (たのうち かほ)
烈の母。病弱のため、妊娠した子8人を全て失い、烈が9人目の子ども。33歳の厄年で烈を出産。旧姓は佐野。烈の眼病の治癒を願い、越後三十三か所詣りに出立するが、巡礼先で倒れ、亡くなる。
田乃内 三佐衛門 (たのうち さんざえもん)
意造の父。烈の父、意造が帝大を卒業し、地元に帰ってきたある日、雪だまりに倒れ、命を落とす。
田乃内 むら (たのうち むら)
三佐衛門の妻。賀穂を見初めるが、佐野家の長女のため一度は断られる。三佐衛門の四十九日を終え、佐野家に再度懇願し、賀穂を嫁に迎え入れる。病弱な賀穂を支え、深い愛情をもって烈に接する。
佐野 佐穂 (さの さほ)
賀穂の妹。乳母の帰郷時、病弱な姉に代わり、子育てを手伝うため、烈が1歳になるのを機に田乃内家に同居し始める。姉の死後、烈の育て親となる。未婚。
浜江 (はまえ)
烈の乳母。烈の1歳の誕生日に帰郷する。自分の子、千鶴は烈の乳姉妹となる。
場所
田乃内酒造 (たのうちしゅぞう)
新潟県中蒲原郡亀田に代々続く造り酒屋。「冬麗」などの銘酒を製造している。現当主は田乃内意造。
その他キーワード
冬麗 (とうれい)
『藏』に登場するアイテム(銘酒)。意造の父、三佐衛門が当主だった時代に、杜氏の梅次の手により醸造された。のどごしのいい奥行きのある味と称される。