概要・あらすじ
山深い一軒家に家族と共に越してきた紀子は、その家で鬼の顔をした女性を見る。けれど小さな兄弟と父親、そして病気で寝たきりの母親と祖母の世話に追われる日々に、その恐怖を胸に秘めて暮らしていた。「鬼」は紀子を弱らせようと食事に毒を入れているらしく、吐き気が続く日々のなか、夜中には黒い大きな塊が紀子にのしかかってくる。
それを押し入れからじっと見続けていた「鬼」は、ある日、遂に斧を振りかざして這い出してきたのだった。
登場人物・キャラクター
紀子 (のりこ)
か弱く繊細な印象の15歳の少女。家族と共に山深い一軒家に越してきて、鬼の顔をした女性の姿を見るようになる。しかし、家族の世話と介護に追われる日々に、ひとり恐怖に耐え続ける。
お祖母ちゃん (おばあちゃん)
紀子の父方の祖母。寝たり起きたりの生活で、既に耳も遠く、紀子が「鬼」と出会って叫び声をあげても気づかない。
ママ
紀子の母親。腎臓が悪くてずっと寝たきりの生活をしている。そのため紀子は、この母親の代わりにまだ小さい弟と妹、祖母、父親の分の家事をしなければならない生活になっている。
鬼 (おに)
山深い一軒家に越してきて以来、紀子だけが見る鬼の顔をした女性。襖の隙間から、押し入れから、ふと気がつくと紀子を見ている。その姿は紀子への殺意と憎悪に溢れている。