概要・あらすじ
主人公の久住秋央は、少年の頃に出会った、天才的才能を持つ少女、曽成ひびきの指揮した演奏の音を理想として追い求めて音大のヴァイオリン科に入学。しかし、その理想に追いつけないがゆえに、すでに音楽に対する情熱を失いかけていた。そんなある日、大学の新歓コンパで曽成ひびきに再会。その出会いによって、止まりかけていた運命の歯車は再び動き始めることとなる。
登場人物・キャラクター
久住 秋央 (くずみ あきお)
私立音羽良音大ヴァイオリン科に通う大学一年生。子供の頃に見た、曽成ひびきの指揮する演奏に衝撃を受けるが、その演奏に追いつけないことで、音楽に対しての情熱を失いつつある。幼い頃から著名なヴァイオリニスト榊のもとでレッスンを受け、他にすることもないからという消極的な理由で、榊が教授を務める音羽良音大に進学した。 しかし、大学でひびきと再会したことで、ふたたび彼女の音楽に魅せられ、ひびきの指揮するオーケストラでコンサートマスターを務めるという目標を持つようになる。
曽成 ひびき (そなり ひびき)
私立音羽良音大指揮科に通う大学一年生。幼い頃から指揮者として天才的な能力を持ち、指揮者である父親がコンサートの練習中、オーケストラと噛み合わずに席を外していた際に、代理で指揮をしてプロの演者たちをまとめ上げた経験を持つ。自分の中にある音をイメージするために、暗くて静かな場所で過ごす癖がある。 しかし、大学に進学してからは自分のアパートが線路沿いにあったため、防音設備の整った久住秋央の部屋のバスルームをしばしば借りに来るようになる。
迫田 美月 (さこだ みつき)
久住秋央の幼なじみ。音楽一族に生まれ、ヴァイオリニストの父を持つ。小学校4年生の頃に、父親がドイツのオーケストラに招聘されたことをきっかけに渡欧。その後、ドイツのピアノコンクールで入賞し、プロとして活動を始めている。秋央が曽成ひびきに惹かれていることに気をもんでいる。
如月 風花 (きさらぎ ふうか)
私立音羽良音大の教授。ヴァイオリン科で久住秋央、南条顕治たちの指導を受け持つ。なぜか秋央に対して当たりが強い。以前はヴァイオリニストとして活動していたが、腕の故障が原因で現役を退いている。
波多野 美香 (はたの みか)
私立音羽良音大ヴァイオリン科に通う大学一年生。同じ学科の久住秋央や南条顕治たちとよくいっしょに行動する。密かに秋央に好意を寄せているが、態度に出てしまうため周囲の人間はみなそれを知っている。
梶原 甚征 (かじわら じんせい)
私立音羽良音大指揮科に通う大学一年生。新歓コンパで学科の違う久住秋央たちと出会い、仲が良くなる。指揮者だった祖父のコンサートを幼い頃に見て感動し、指揮者を目指している。軽い性格で女たらしだが、音楽にかける想いは強く、曽成ひびきの才能を目の当たりにした時は動揺を隠しきれなかった。
南条 顕治 (なんじょう けんじ)
私立音羽良音大ヴァイオリン科に通う大学一年生。大学進学前に見た榊の演奏に感銘を受け、榊のいる音羽良音大に進学する。しかし榊が病気で大学を休職したため、進学後は如月風花の指導を受ける。当初は残念に思っていたが、次第に如月の指導にも好意を覚えるように。
須賀川 比呂彦 (すかがわ ひろひこ)
私立音羽良音大指揮科の教授。曽成ひびきの指導を担当している。定員2名だった指揮科の定員枠を超え、特別措置でひびきを入学させる。優れた才能を持ちながらも、荒削りな部分のあるひびきに経験を積ませようとしている。
曽成 維和夫 (そなり いわお)
曽成ひびきの父親で指揮者。迫田美月の父親がコンサートマスターを務めるオーケストラの指揮を担当していたが、練習では演奏者と噛み合わず、さらに練習時にひびきの行った代理の指揮に演奏者たちが引きずられてしまったことから本番で失敗。その後、自分の夢をひびきに託し、指揮者を引退する。
桂木 和弥 (かつらぎ かずや)
ヴァイオリニスト。ヨーロッパの様々なコンクールで入賞した人気カルテットのリーダー。学生時代には如月風花らとカルテットを組んでおり、彼女と交際もしていた。性格に難があるものの、演奏者としては一流。
外山 雄二 (とやま ゆうじ)
私立音羽良音大作曲科に通う大学生。元はヴァイオリン科で、久住秋央の先輩。大学入学前から榊の指導を受けていた秋央とは仲がいい。大学に通うことを将来のための人脈作りと考えており、神出鬼没で交友関係が広い人物。
榊 (さかき)
ヴァイオリニスト。私立音羽良音大ヴァイオリン科の教授だったが、脳梗塞で倒れ、現在は弟子の如月風花に学生の指導を任せて休職している。久住秋央に子どもの頃からヴァイオリンを教えており、秋央が音羽良音大に進学するきっかけになった。