平和をもたらす、青龍と朱黒鳥の神話
本作の舞台である「紹(シャオ)」は、中国の清朝に似た異世界の国。紹を治めているのは皇帝陛下であり、その下には五大家という貴族がいる。中でも曹家と瀏家は、代々大臣や皇帝の妃を輩出している名家である。紹は、大陸の東を広く支配しているが、周囲の他民族からの圧力が増している。そんな状況下、数年前から皇帝陛下の体調が思わしくなく、国内では権力争いが起きていた。なお、紹の建国神話には「青龍が天から降臨して朱黒色の鳥を招きよせるとき、砕け散った世界がひとつになる」とある。皇帝である龍とその運命の女・朱黒鳥が一緒になれば、国の安泰が約束される。朱黒鳥は、明るい髪をした異人の娘と伝えられていることから、曹高星(ガオシン)は、高森鈴花こそ朱黒鳥で、国に平和をもたらす存在ではないかと推測する。
「ガオシンか日本か」究極の選択を迫られる鈴花
鈴花は、大好きな兄が約束を守ってくれなかったことに拗ね、崖の上でたそがれていた。そして何者かに海に突き落とされ、いつの間にか紹の国に来ており、ガオシンの腕の中で目が覚める。男性恐怖症の鈴花は、助けてくれたガオシンを避けてしまい、兄にそっくりな瀏永陽(ヨンヤン)にしか近づけなかった。しかし、何度も助けてくれたうえ、「一生大事にしてやる」といった力強い言葉で好意を伝えるガオシンに、次第に惹かれていく。そして、日本に帰れるかもしれないという「青磁玉碗」を手にした時、ガオシンの花嫁になるか、兄や両親が待つ日本に帰るかという究極の選択を迫られることになる。
10年前のガオシンの初恋
10歳までの皇族の男子は、後宮で母親に育てられる。ガオシンも、五大家筆頭・曹家の子供として、後宮で恵まれた生活をしていた。しかしある日、陰謀に巻き込まれた母が毒殺されてしまう。人々は曹家のライバルである瀏家の機嫌を伺い、ガオシンの周りには誰もいなくなってしまった。一人ぼっちになったガオシンは寂しさに耐えきれず、絶望の日々を送っていた。そんな時、突如現れた一人の女性が、ガオシンを優しく抱きしめて励ました。それは明るい髪の色をした異人の娘であった。娘はすぐに姿を消してしまうが、彼女のおかげでガオシンは立ち直ることができた。その異人の娘が鈴花とそっくりだったことから、ガオシンは鈴花を運命の女だと信じ、共に生きることを強く願っている。
登場人物・キャラクター
高森 鈴花 (たかもり すずか)
兄のことが大好きな女子高生。金髪が特徴。高校では書道部に所属している。子供の頃に男性に襲われたことがあり、それ以来男性が苦手。ある日、何者かに海に突き落とされ、紹(シャオ)という中華風の異世界に迷い込んでしまう。言葉も通じず困っているところを、五大家の貴族、曹高星(ガオシン)と劉永陽(ヨンヤン)に助けられた。一緒にいるうちに、ガオシンのことを好きになっていく。
曹 高星 (つぁお がおしん)
紹(シャオ)の五大家の貴族、曹家の六男。天真爛漫な性格をしている。瀏永陽と共に、ある任務を遂行中、現代日本から紹に迷い込んでしまった高森鈴花に遭遇する。幼い頃に出会った初恋の人に似ていることもあり、鈴花に好意を抱き、プロポーズする。皇太子誘拐事件で、捜索に加わらなかったことから、重要参考人にされてしまう。
瀏 永陽 (りう よんやん)
紹(シャオ)の五大家の貴族、瀏家の四男。文武両道、眉目秀麗の妖艶な男性。高森鈴花の兄に似ている。曹高星(ガオシン)と共に、ある任務を遂行中、現代日本から紹に迷い込んでしまった鈴花に遭遇する。瀏家は、反皇太子派の筆頭だが、個人的に羽夜(ユーイエ)皇太子を支持しており、ガオシンとは親友同士である。
クレジット
- 原案
-
梨千子