概要・あらすじ
19世紀も半ばを過ぎたヨーロッパ。中欧諸国を支配するオーストリアのハプスブルク家。その皇太子ルドルフ (ルドルフ=フランツ=カール=ヨーゼフ=フォン=オーストリア)は9歳の時、3歳年上の孤児アルフレート(アルフレート=フェリックス)と出会った。ルドルフはアルフレートをウィーンに連れ帰り共に過ごす。
訳が分からないまま宮廷に来たアルフレートだったが、生来の生真面目さで周囲に受け入れられる。次第にアルフレートはルドルフの孤独に気づき、彼を「地上の神」と呼んで慕う。アルフレートはルドルフを支える人間になろうとメルクの神学校に行くことを決意するが、神学校の総長・ベルトルト(ベルトルト=バーベンブルク)が2人の運命を狂わせた。
やがて教会を中心としたヨーロッパの支配体制が音をたてて崩れる中、強い絆で結ばれたルドルフとアルフレートは、互いに求め合いながらも歴史の渦に翻弄され続ける。
登場人物・キャラクター
ルドルフ=フランツ=カール=ヨーゼフ=フォン=オーストリア (るどるふふらんつかーるよーぜふふぉんおーすとりあ)
『天上の愛 地上の恋』の主人公の1人。初登場時9歳。金髪の巻き毛の少年。後に成人し、オーストリアの皇太子となる。ハプスブルク家のオーストリア皇帝フランツ=ヨーゼフの1人息子。9歳の頃、バイエルンのシュタンベルクで、ある男性の死体と一緒にいるところをアルフレート(アルフレート=フェリックス)に目撃される。 アルフレートをウィーンに連れ帰り、共に過ごす。幼くしてオーストラリア瓦解の兆しを感じ取り、鋭い知性と冷酷さを見せるが、陰では課せられた宿命の重圧に深い孤独を感じている。自分を「地上の神」と慕うアルフレートと深い絆で結ばれるが、国の命運を司る使命のために、すれ違いを繰り返す。 歴史上の実在の人物、ルドルフ・フランツ・カール・ヨーゼフ・フォン・ハプスブルク=ロートリンゲンがモデル。
アルフレート=フェリックス (あるふれーとふぇりっくす)
『天上の愛 地上の恋』の主人公の1人。黒髪の少年。初登場時12歳。両親を流行り病で亡くした孤児で神父に引き取られた。生来勤勉で信仰心が篤かった。オーストリア皇太子となるルドルフ(ルドルフ=フランツ=カール=ヨーゼフ=フォン=オーストリア)と出会い、訳の分からないまま共にウィーンに連れていかれる。 はじめはルドルフの言動を理解できず、やがて彼の深い孤独に気づき、「地上の神」と呼んで傍にいることを誓う。ルドルフとの出会いの後、左頬に傷跡が残る。ルドルフを支えるためにメルクの神学校へ在学するが、神学校総長のベルトルト(ベルトルト=バーベンブルク)によって運命を狂わされる。 後にウィーンで宮廷付の司祭となりアルフレートと深い絆で結ばれるが、使命を果たそうとするルドルフとはすれ違いを繰り返す。
ベルトルト=バーベンブルク (べるとるとばーべんぶるく)
メルクの神学校総長。25歳で総長となった優秀な男性。自らの能力を、神が破壊を命じるために与えられたと解している。個人的に信者を集め、狂信的な集団を組織している。神学校に在学するアルフレート(アルフレート=フェリックス)を凌辱し、オーストリアの命運を握る皇太子・ルドルフ (ルドルフ=フランツ=カール=ヨーゼフ=フォン=オーストリア)から引き離そうとした。 また信者から集めた金で株を買い集め、博覧会景気で膨れ上がった相場で叩き売り混乱に陥れるなどウィーンを混乱の渦に陥れる。その後、姿を消すが、たびたびルドルフとアルフレートを脅かす。
ヨハン・ネポムク・サルヴァトール (よはんねぽむくさるゔぁとーる)
黒い長髪の青年。ハプスブルク家の一族・トスカーナ大公・レオポルド2世の末子として生まれ、家族と共にオーストリアに亡命した。ハプスブルク家一の問題児と言われ、粗野な言動や振る舞いが目立つが、オーストリア皇太子となるルドルフ (ルドルフ=フランツ=カール=ヨーゼフ=フォン=オーストリア)のために一身を捧げる事を決意している。 彼の意図を察し、危険な役割も進んで買って出る。ルドルフとアルフレート(アルフレート=フェリックス)の強い絆を理解しつつも、行き違いから一時アルフレートに対して敵意を持つ。ウィーン王立オペラ座の舞姫・ミリ(ルーミトラ・シュトゥーベル)と付き合っている。 歴史上の実在の人物、ジョヴァンニ・ネポムチェノ・サルヴァトーレ・マリーア・ジュゼッぺ・ジョヴァンニ・フェルディナンド・バルダッサーレ・ロドヴィーコ・カール・ゼノビウス・アントニンがモデルと思われる。