狼の口 ~ヴォルフスムント~

狼の口 ~ヴォルフスムント~

14世紀初頭のアルプス地方を舞台に、圧政への叛乱軍と支配者の関所との闘いを描く歴史アクション作品。

正式名称
狼の口 ~ヴォルフスムント~
作者
ジャンル
歴史もの一般
レーベル
ビーム コミックス(アスキー、KADOKAWA)
巻数
全8巻
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概要

14世紀初頭のアルプス地方。ドイツとイタリアを最短距離で結ぶ要地であるザンクト・ゴットハルト峠の権益を持つ自治邦だったウーリ、シュヴァイツ、ウンターヴァルデンの三邦(盟約者団)は、オーストリア公であるハプスブルク家の侵攻を受け、その圧政に苦しんでいた。ハプスブルク家への叛乱を計画する盟約者団だったが、そのためには、三邦と外部との唯一の出入り口であるザンクト・ゴットハルト峠に設けられ、交通を遮断している堅牢な関所・狼の口(ヴォルフスムント)を突破して外部との連絡を図り、最終的に狼の口を攻略して武器を領内へ運びこむことが必須であった。関所は通行人から莫大な通行税を得られる財源でもあり、ハプスブルグ家は死守を目指していた。こうして、狼の口を守る代官・ヴォルフラムと、伝説の英雄ヴィルヘルム・テルの息子であるヴァルターたち盟約者団の闘士との闘いが始まっていく。

ハプスブルグ家の公弟・レオポルトの指示の下、城では盟約者団の反乱首謀者エルンストが斬首されていたが、その娘は行方が知れなかった。反乱をおこせば一族皆殺しと宣言している公弟・レオポルトは、各街道の関所に必ず娘を捕らえるように指令を出した。領外へ逃亡する最短距離にある関所は、ザンクト・ゴットハルト峠に設けられた狼の口であった。エルンストの娘・リーゼロッテとエルンストに仕えていた騎士・ゲオルグは、狼の口を抜けての逃亡を試みる。ザンクト・ゴットハルト峠の近くの宿屋に泊まった2人に、宿屋の女将・グレーテは、「何人もの人が身分を偽って関所破りをしようとしたが、代官・ヴォルフラムの目をごまかして通り抜けられた人は1人もいない」と警告する。

代官・ヴォルフラムには人の心を見透かす魔力があり、それは狼が人間に産ませた子供だから、という噂があった。リーゼロッテは馬糞を顔や髪の毛にこすりつけ、ゲオルグの従者を装い狼の口の突破に挑んでいく。そこに立ちふさがったのは、見た目にはとても優しそうな顔をしたヴォルフラムだった。

瞬殺の魔女と呼ばれる女闘士・ヨハンナは、盟約者団の同士がいる街に、活動資金を引き出す元となる指輪を届けるため、狼の口を突破しようとチャレンジする。しかし代官・ヴォルフラムの目はごまかせない。アルプス一の山男と評判を取り、盟約者団にとって心の支柱とも言えるヴィルヘルム・テルとヴァルターの父子も、盟約者団の同士がいる街を目指すが、あえて狼の口を通らず、人間が通る道ではないと言われる冬のアルプス山脈越えに挑んでいく。代官・ヴォルフラムによる反乱軍に対する徹底した粛清が続き、盟約者団側はヴォルフラムを駆逐すべくあらゆる対抗手段を検討する。

その後も、盟約者団の内部事情や、独立運動が激化する中で渦中に呑まれ翻弄されていく市民たちの顛末が描かれていく。町一番の美人・エヴァを女房に持つ居酒屋の主人・ハンスは、エヴァが求める装飾品を買うために、盟約者団の情報を敵に売っていた。裏切りがばれたハンスは峠を越えて逃亡しようとする。それを、実は盟約者団の一員である宿屋の女将・グレーテが追跡し、「生きること即ち戦いよ。みんな命懸けて生きている。そして人生の終わりに選んだ生き方の代償を支払うの」と裏切りの代償を払わせる。だがその女将にも過酷な運命が待っていた。

ヴィルヘルム・テルの家族に対して、代官・ヴォルフラムが想像の限界を超えるほどの過酷な拷問を加える中、ついに盟約者団の狼の口攻略作戦が始まる。仲間を犠牲にして勝ち得た千載一遇のチャンスを活かすべく、ヴァルターが人間の能力を超越した技で山を越えていき、盟約者団軍を指揮する。ついに反旗を翻した盟約者団軍と、人数では劣勢だが無敵を誇る代官・ヴォルフラム率いる狼の口の兵がぶつかり合う。ヴォルフラムの緻密で狡猾な戦略による反撃に対して、盟約者団軍は怒涛の攻勢に出る。

盟約者団軍は、ギリシア火や投石でダメージを与えて狼の口の本城に攻め入ろうとするが、本城は防御も固く次々と新兵器を繰り出して来る。城に近づけば溶けた鉛や爆弾が次々と降ってくるため、盟約者団軍も勢いをそがれ一時後退を強いられる。何とか城内に侵入しようとする盟約者団軍と、絶対に防ごうとする狼の口の城側との戦いが続く。ヴォルフラムの守備は幾重にも張り巡らされており全く隙がない。

しかし盟約者団軍は膠着状態を打破する作戦を立案する。その手段は、超巨大な凧による空からの侵入だった。侵入に成功し、門を開けることはできたが、代官・ヴォルフラムの知略に一気に反撃され、盟約者団軍は勝機を失い、またもやヴォルフラムによる拷問が始まる。その時、盟約者団軍の別動隊が動いたことで、ヴォルフラムの顔に初めて追い詰められた焦りの表情が生まれた。劣勢になったヴォルフラムだったが、狼の口の砦の防備は見事に固めてあり、盟約者団軍もなかなか攻め切れない。しかし盟約者団軍の命を捨ててでも今やるしかないという決死の覚悟と犠牲心が、ヴォルフラムの防備を超える時が訪れる。ヴォルフラムは隠れ部屋に潜んでヴァルターたちとの最後の戦いに打って出る。

狼の口を落とし、代官・ヴォルフラムを処刑し、ついに自由への道を切り開いた盟約者団軍の前に、狼の口を救援に来た公弟・レオポルトが立ちふさがる。盟約者団軍は狼の口周辺の城を落とし自らのものとして、レオポルトに対抗する。これに対しレオポルト軍は攻城兵器・遠投投石器を使い、盟約者団軍の手に落ちた城を一方的に破壊していくのだった。戦闘の行方は未だ定まりを見せない。

登場人物・キャラクター

伝説の英雄ヴィルヘルム・テルの息子である盟約者団の若き一員。父親譲りの高い登山技術により、山を越えて三邦の中と外の同志の連絡を成功させ、攻城戦においても常人では登り得ないような壁を登っての攻撃を成功さ... 関連ページ:ヴァルター

ヴォルフラム

狼の口と呼ばれる関所の代官。一見いつも笑みを浮かべている優男だが、密行者を見抜く鋭い勘と高い戦闘能力を持ち、性格は冷酷・残忍で非情。密行・叛乱を企てた人間を容赦なく処刑してきたため、悪魔のように恐れられていると同時に多くの恨みを買っている。

グレーテ

狼の口のすぐ近くにある宿屋の女将。それと気付かれないようにしているが盟約者団の一員であり、関所の監視や同志の支援を行っている。

クロスボウの名手で、息子・ヴァルターの頭の上に乗せたリンゴを80歩先から射抜くことを強要されるも、それを成功させたという伝説で知られている英雄。非常に高い登山技術も持っており、盟約者団の闘士の一人とし... 関連ページ:ヴィルヘルム・テル

盟約者団の一員である女性。かつては牛飼いの妻だったが、夫をハプスブルク家に殺されてから復讐の鬼となった。牧童だった従者二人とともに、夫が編んだ農具を使っての武術を受け継いでいる。鎌を振るって敵兵を切り... 関連ページ:ヒルデ

ブルクトー

狼の口を守る騎士の一人で門衛長。後にヴォルフラムの護衛も務めるようになる。盟約者団の騎士の一人・ゲオルグとの闘いで顔に大きな傷を負い、良縁を逃した。

クルト

盟約者団の一員である男性。槍の名手。男手一つで育てた娘を殺されてからハプスブルク家に対する恨みに燃えており、大凧を利用して狼の口に侵入する作戦の実行者となる。

レオポルト

『狼の口』の登場人物である貴族。ハプスブルク家のオーストリア公フリードリヒの弟であり、盟約者団の三邦を統治している。実在のオーストリア公レオポルト1世がモデル。

フリードリヒ

『狼の口』の登場人物である貴族。オーストリア公であり、レオポルトの兄。ザンクト・ゴットハルト峠から上がる利益などを利用し、神聖ローマ帝国皇帝に選ばれることを目指している。実在のオーストリア公フリードリヒ1世がモデル。

ゲオルグ

盟約者団の叛乱指導者であったエルンストに仕えていた騎士。エルンストがレオポルトに処刑されたため、エルンストの娘であるリーゼロッテを逃がそうとして狼の口を抜けることを試みる。エルンストを父のように慕っていたため、リーゼロッテのことは妹のように思っている。

リーゼロッテ

盟約者団の叛乱指導者であったエルンストの娘。エルンストがレオポルトに処刑されたため、ゲオルグに連れられて狼の口を抜けての逃亡を試みる。

集団・組織

盟約者団

『狼の口』に登場する組織。ウーリ、シュヴァイツ、ウンターヴァルデンという、ザンクト・ゴットハルト峠の権益を持つ三つの自治邦が同盟を組んだもの。ハプスブルク家のレオポルトによって圧政をしかれており、ヴァルターたち闘士が抵抗運動を続けている。現在のスイス連邦の原型である「盟約者団(原初同盟)」がモデル。

場所

ザンクト・ゴットハルト峠

アルプスの山中にある峠で、神聖ローマ帝国のイタリア地域とドイツ地域を最短でつなぐ道であり、盟約者団の三邦と外部との唯一の出入り口となっている。「狼の口」と呼ばれる関所が建てられており、また険しい山のせいで峠を迂回することは常人にはほぼ不可能なため、自由な通行は阻害されている。

狼の口

アルプスの山中、ザンクト・ゴットハルト峠に建てられている関所の異名。代官ヴォルフラムによって守られ、密行に成功した人間は一人もいないことからこう呼ばれるようになった。侵入者を殺すための仕掛けも数多い、堅牢な砦となっている。

書誌情報

狼の口 :ヴォルフスムント 全8巻 アスキー、KADOKAWA〈ビーム コミックス〉 完結

第1巻

(2010年2月発行、 978-4047263185)

第2巻

(2010年10月発行、 978-4047267619)

第3巻

(2011年11月発行、 978-4047276307)

第4巻

(2012年9月15日発行、 978-4047283602)

第5巻

(2013年10月15日発行、 978-4047292444)

第6巻

(2014年10月14日発行、 978-4047299726)

第7巻

(2015年11月14日発行、 978-4047307803)

第8巻

(2016年11月15日発行、 978-4047343214)

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