概要・あらすじ
熊之迫蜜柑は、自分を正義のサイボーグだと思い込んだ少女。カツアゲをしている不良を見かけては喧嘩を売りに行く蜜柑に、幼なじみの少年であるタローは、いつも振り回されていた。そんなある日、蜜柑たちが通う中学校の3年に在籍する有名な不良集団「ニセスマップ」が、襲い掛かってくる。類い希な運動神経で返り討ちにする蜜柑だったが、水が苦手という弱点を突かれて、用水路へと突き落とされ、溺れてしまう。
そんな蜜柑を助けるために、タローは用水路へと飛び込むのであった。
登場人物・キャラクター
タロー
中学生の少年。自身をサイボーグだと思い込んだ少女・熊之迫蜜柑の幼なじみ。いつも彼女に振り回されている。蜜柑とは同じ中学に通うクラスメイト。作家の「滝之上当世」が執筆していた「サイボーグねえちゃん」という作品のファンだった。蜜柑からは、「熊之迫蜜柑ミ・104甲」の同志である3賢者の1人、と思い込まれている。しかし、他の2人がセキセイインコとアカメリュウキンであるため、嬉しく思っていない。
熊之迫 蜜柑 (くまのさこ みかん)
14歳の女子中学生。幼少時に、父親である熊之迫八朔から、自分がサイボーグであると思い込まされ、その状態が9年間続いた。そのため自らを、日本政府によって国土防衛のために製造されたサイボーグ「熊之迫蜜柑ミ・104甲」、と思い込んでいる。設定から、父親を「大佐」と呼んでおり、母親である柚がいない理由に至っては、X団という組織の仕業だ、と刷り込まれている。 日頃から、平和を守るという目的のための戦闘訓練に明け暮れているためか、運動神経抜群で喧嘩もめっぽう強い。喧嘩では、設定上は使えるはずの「ロケットパンチ」などのロボットっぽい技を使おうとするが、もちろん使うことはできない。ところが、掌に光球を生み出し敵に押し当てる「フィンガープレッシャー」という技だけは、気功か波動のような力により使用できてしまう。 そのため、思い込みに拍車を掛ける原因となっている。なお水が苦手で、お風呂に入るのも命がけ。幼なじみの少年・タローのことが気になっている、という人間の少女らしい部分もある。
熊之迫 八朔 (くまのさこ はっさく)
熊之迫蜜柑の実の父親。小説家を生業とする男性。作家としては「滝之上当世」を名乗っている。小説の執筆に悩むと、作品のイメージを掴むために、侍のコスプレをしたりするなど、何かと形から入る性質。自身の作品に登場する機械少女にリアリティを与えるため、当時まだ幼かった蜜柑に、自身がサイボーグだと思い込ませた。そのため、蜜柑が自身をサイボーグだと認識することになった。 現在は妻はおらず、娘との2人暮らし。蜜柑に母親がいない理由を、交通事故死に偽装したX団の陰謀と伝えている。実は、単に愛想を尽かされて出て行かれただけ。
柚 (ゆず)
熊之迫蜜柑の実の母親。熊之迫八朔が幼少時の蜜柑に、サイボーグだと思い込ませているのを見かね、蜜柑を連れて遠くへ逃げようとしたが失敗。その後も蜜柑を探していたが、消息を掴めずにいた。「魔法」を使うことが可能で、それを利用して世界征服を目的とした「X団」という組織に入団。日本支部の幹部となり、日本へ舞い戻った。 魔女のような衣服に身を包んでおり、足下まで伸びる長い髪を1本の三つ編みにまとめている。
猪八重 桃 (いのやえ もも)
帰国子女の少女。熊之迫蜜柑たちの通う中学校へ転校してきた。幼い頃は日本に住んでいたことがある。「スーパーエスパーK」という小説の執筆に悩んだ熊之迫八朔によって、蜜柑同様、小説のモデルへと仕立て上げられ、念動力が使えるエスパーだと思い込まされた過去を持つ。
集団・組織
ニセスマップ
熊之迫蜜柑たちと同じ中学の3年生集団。不良集団として噂になっている。メンバーの名前は長居(ながい)、蚊鳥(かとり)、稲勝(いながち)、草壁(くさかべ)。それにリーダーを加えた5人組だが、リーダーの名前は明かされていない。
X団 (えっくすだん)
世界征服を目的とする組織。熊之迫蜜柑の母親である柚が所属している。熊之迫八朔は、蜜柑に母親がいない理由を、X団の手によるものだと説明している。周囲からは嘘だと思われていたが、のちに実際に存在する組織だと判明。所属メンバーは、三角の覆面を被った怪しい身なりで、柚自身も魔女のような衣服を着ているため、何かと目立つ。 その一方で、普段は福祉事業活動などに精を出しており、外見とは裏腹に活動内容は健全。だが、これらはすべて真の目的である世界征服を果たすためのカモフラージュであり、前準備に過ぎない。
その他キーワード
サイボーグねーちゃん
熊之迫八朔が、小説家「滝之上当世」としてブレイクするきっかけとなった小説作品。角州スパイク文庫という文庫レーベルから発売されており、全17巻。小説執筆の際に、機械少女のリアリティに悩んだ八朔が、当時4歳だった娘の熊之迫蜜柑に、自分がサイボーグだと思い込ませ、主人公のモデルとした。蜜柑がモデルを務めた期間は実に9年にも及び、現在も自分をサイボーグだと思い込んでいる原因となっている。
ライジングドリル
熊之迫蜜柑が喧嘩の際に使用する必殺技。サイボーグである「熊之迫蜜柑ミ・104甲」に搭載された腕部ドリルによる攻撃。敵の顎を貫くようにドリルを突き上げる、というイメージとなっている。実際は、サイボーグではない蜜柑によって、腕を捻りながら繰り出される強烈な右アッパーである。
フィンガープレッシャー
熊之迫蜜柑が喧嘩の際に使用する必殺技。右腕の掌の先に光球を産みだし、それを敵の顔面に押し当てる攻撃。光によって相手の視界を奪い去る、というイメージとなっている。サイボーグである「熊之迫蜜柑ミ・104甲」の機能により使える必殺技のはずだが、気功か波動などの一種として、蜜柑自身の力で再現してしまっている。そのため、自分がサイボーグであるという蜜柑の思い込みに拍車をかける、大きな一因となっている。