天翔のクアドラブル

天翔のクアドラブル

戦国時代、日本の志能便(しのび)の術を極めた4人の少年たちが、ローマ教皇の召還により、暗黒の地と化したヨーロッパを目指して旅する物語。「週刊少年サンデー」2017年19号から連載中の作品。

正式名称
天翔のクアドラブル
ふりがな
てんしょうのくあどらぶる
作者
ジャンル
アドベンチャー
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概要・あらすじ

16世紀、ヨーロッパには異形の王が君臨して民の血肉をむさぼり、国土は腐り果て、漆黒が世界を覆っていた。状況を打破すべく、教皇・グレゴリウス13世は書状をつかわし、東国・日本の奇跡の少年たちの召還を要請した。イエズス会宣教師・ヴァリニャー二は、この召還を受け、伊東マンショ千々石ミゲル中浦ジュリアン原マルチノの4人の少年たちを使節団とし、共に船に乗り込んでヨーロッパを目指す。

この4人の少年たちは、皆、戦乱の中、親も身よりもなくし、物心つかぬ頃より厳しい志能便の修練を積んだ、恐るべき使い手たちだった。彼らは血の繋がりよりも強い絆で結ばれており、大いなる使命を果たした後は、全員で日本に帰ってくることを誓い合っていた。

大海原に船出した少年たちは、その驚異的な志能便の力を駆使して敵をうちくだき、魑魅魍魎うごめくヨーロッパを目指し、過酷な旅を続けていく。

登場人物・キャラクター

伊東 マンショ (いとう まんしょ)

使節団の主席正使。志能便の里で修行を積み、呪禁道を極めた少年。幼少時に人取りの一団にさらわれたが、流行病で死にかけていたところを千々石ミゲルと出会い、志能便となった。その出会いの時、ミゲルが仇に放った弾丸が貫通したため、伊東マンショは被弾し、瀕死の重傷を負ってしまう。手当てによってマンショは蘇生したが、弾丸の破片は胸に残り、その毒は今も彼の体を蝕んでいる。 しかし、ミゲルを「命の恩人」と呼び、「生まれて初めてできた最初の友達」として、誰よりも大切に思っている。学んだ呪禁道の術法を用いて、毒を定期的に排出して命を保っているが、完治は望めないとされている。実在の人物、伊東マンショがモデル。

千々石 ミゲル (ちぢわ みげる)

使節団の正使。志能便の里で修行を積み、修験道を極めた少年。偵察・追跡、飛び道具取り扱い、鳥獣の使役術、あらゆる状況下での生存技術において右に出る者のいない存在。白いフクロウの十六夜を使役し、二連弾の火縄銃を武器とする。かつて自分を売り飛ばした人取りの女を撃った際、貫通した弾丸が伊東マンショの心臓を傷つけてしまったことがある。 ぶっきらぼうな態度で人と接することが多いが、実は思いやりのある優しい性格の持ち主。実在の人物、千々石ミゲルがモデル。

中浦 ジュリアン (なかはら じゅりあん)

使節団の副使。志能便の里で修行を積み、機関を極めている。幼少時から眼鏡をかけている。薬学、暦学、和算、建築、数々の学問に精通し、とりわけ忍器・火術をとりいれた独自の機関開発を得意とする。4人の中で一番船に弱く、航海当初は船酔いに苦しんだ。しゆんという妹がいる。実在の人物、中浦ジュリアンがモデル。

原 マルチノ (はら まるちの)

使節団の副使。志能便の里で修行を積み、帰神を極めている。九十九傘を使って、風をつかまえ、空を飛翔することができる。いつも眠そうにしており、すきあらば寝ようとする。また、どこででも眠ることができる。実在の人物、原マルチノがモデル。

ヴァリニャーニ

イエズス会宣教師。温厚で徳の高い神父。教皇・グレゴリウス13世の召喚状を受け取り、伊東マンショ、千々石ミゲル、中浦ジュリアン、原マルチノの4人の少年たちを使節団として組織し、共に船に乗り込んでヨーロッパを目指す。日本人の文化の高さ、技術と業のすばらしさを認めている。実在の人物、アレッサンド・ヴァリニャーニがモデル。

フランシスコ・カブラル (ふらんしすこかぶらる)

イエズス会宣教師。日本教区責任者。差別的で独善的な思考の持ち主。日本人を低級な民族として見下す態度が問題視され、日本教区責任者の地位を解任される。

グレゴリウス13世 (ぐれごりうすじゅうさんせい)

第226代ローマ教皇。魔女、妖術使いが跋扈し、異形の王が支配する秩序なきヨーロッパを救済すべく、日本の奇跡の少年たちの召還を宣教師・ヴァリニャーニに命じた。実在の人物、グレゴリウス13世がモデル。

しゆん

使節団に同行している中浦ジュリアンの妹。ジュリアンを「兄様」と呼ぶ。勉強に熱心で、よくジュリアンに教えてもらっている。

十六夜 (いざよい)

千々石ミゲルが連れ歩き、使役する白いフクロウ。戦いにおいてもミゲルをサポートする頼りになる存在。

場所

肥前・日之江 (ひぜんひのえ)

現在の長崎県島原市周辺。宣教師・ヴァリニャーニは、この地のセミナリオに伊東マンショ、千々石ミゲル、中浦ジュリアン、原マルチノの4人を集めた。そしてこの地で、彼ら4人の志能便の最終試練が行われた。

志能便の里 (しのびのさと)

伊東マンショ、千々石ミゲル、中浦ジュリアン、原マルチノの4名が修行した里。ここには身寄りのない子供たちが大勢集められ、4つに満たぬ頃から過酷な修行を積まされ、特殊な能力を持つ志能便に育て上げられる。

その他キーワード

志能便 (しのび)

忍者の古き呼び名。転じて「忍」となった。飛鳥時代、聖徳太子の国づくりを陰で支えた者達がそのはじまりとされる。彼らは、あらゆる武芸、術に秀でており、その暗躍は「音も匂いもなく名すらなくその功天地造化のごとし」、すなわち国家を揺るがすほどだと讃えられ、また恐れられた。

呪禁道 (じゅごんどう)

伊東マンショが究めた志能便の修法のひとつ。刀と呪符をもって悪しき気を断ち、あらゆる厄災からの護身をなす術。気脈を操ることにより、病気・怪我の治癒を行う。また、この術を用いると、湯気刀刃にも傷つかない、人知を超えた力を得ることも可能である。その使い手は、伊東マンショを含め、志能便の里の上忍数名を数えるのみという、秘術中の秘術である。

修験道 (しゅげんどう)

千々石ミゲルが究めた志能便の修法のひとつ。野を駆け、偵察・追跡、飛び道具を扱う術。鳥獣の使役もまたこの術に含まれる。この修験道を根幹として又鬼の業があり、千々石ミゲルはこれもまた究めている。

機関 (からくり)

中浦ジュリアンが究めた志能便の修法のひとつ。様々な装置や部品を組み合わせ、武器や道具を作り、使用する術。その術の歴史は古く、7世紀、「日本書紀」の記述にまでさかのぼる。その技に13世紀、元寇により目撃された火薬の技術が加わり、独自の発展をとげた。

帰神法 (きじんほう)

原マルチノが究めた志能便の修法のひとつ。道具に魂を宿し、自在に使役する呪法。

又鬼 (またぎ)

日本古来の狩人の名称。平安時代、山の神に加勢し、大百足の両眼を射抜いて「山立御免」を授かった伝説の弓使い「磐司磐三郎」を祖に持つ。数多く説のある又鬼の名の由来のひとつとして、「鬼よりもまた強い鬼」がある。又鬼の技の根幹には修験道があり、千々石ミゲルはこれを究めている。

九十九傘 (つくもがさ)

原マルチノがいつも携帯している傘。帰神法により、この傘は風を捕まえて、自由に空を舞うことができる。

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