概要・あらすじ
平和に暮らしていた道士の三人姉妹・紅蘭、珠々、青霞のもとに、ある日しゃべるブタが現れる。ブタは、実は仙術によって姿を変えられた、国の皇太子・超万里その人であった。騒動に巻き込まれる形で、超万里をもとの姿に戻すための旅へと出た一行は、各地の仙人たちや、超常の存在たちが作ることのできる7種類の仙水を集め始めるのだった。
登場人物・キャラクター
超万里 (ちょうばんり)
人間の言葉を話すことのできるブタ。その正体は、仙人・錦玉の仙術によって姿を変えられてしまった、国の英明な皇太子の超万里である。年齢は16歳で、人間としての素顔は、同い年の少女である紅蘭がはっとするほどの美形。お年頃なので女の子にも興味があり、三姉妹の中で特に紅蘭を恋い慕うようになる。
紅蘭 (こうらん)
三姉妹の次女。花仙姑に師事して道士をしている16歳のしっかり者。火炎術の使い手で、「ブタさん」こと超万里を人間の姿に戻すため、ともに旅に出る。ブタさんのことを、はじめのうちは非常食くらいに考えていたが、旅の途中で彼の人間としての素顔を知ってからは、恋心を抱くようになる。
珠々 (しゅしゅ)
三姉妹の三女。花仙姑に師事して道士をしているおませな幼女。「ブタさん」こと超万里を人間の姿に戻すため、ともに旅に出る。占いの術の使い手で、年の割に三姉妹の中で一番知恵が回る。旅先にちょろちょろ姿を現す錦玉を、一時的にとはいえ、生け捕りにしたりと、さまざまな活躍を見せる。
青霞 (せいか)
三姉妹の長女。花仙姑に師事して道士をしている若い女性で、宝石に目がない。「ブタさん」こと超万里を人間の姿に戻すため、ともに旅に出る。水の術の使い手であるが、年の割に、三姉妹の中で一番生活能力が破綻しており、しょっちゅう高価な宝石を買いあさっては家計を圧迫している。
壇貴妃 (だんきひ)
国の皇帝の妃。超万里にとっては父親の後妻、すなわち継母にあたる。大きな野心を抱いており、その美貌で皇帝を籠絡して国政を牛耳っている。前皇后の子である超万里を宮廷から排除するため、友人の錦玉に超万里のことを教え、変化の術をかけるように仕向けた。
助福 (じょふく)
超万里がもっとも信頼している部下。じいやであり、そして国の宰相でもある。もともと、超万里の母親の家臣であった身から、国の宰相まで取り立てられたという事情があるため、超万里に対する忠誠は極めて篤い。
錦玉 (きんぎょく)
超万里に変化術をかけた、「胡洞仙」の異名を持つ仙人。高度な変化術などを巧みに使いこなすが、身体能力は非常に低く、ブタの姿の超万里に攻撃されただけでノックアウトされてしまう。超万里をブタに変えたのは、壇貴妃にそそのかされただけでなく、錦玉自身が同性愛者で、超万里に歪んだ愛憎を抱いているためでもある。旅を続ける超万里と三姉妹の前にたびたび姿を現し、一時期は素性を隠して全身タイツをまとい、自らを「怪傑☆リンドウ仮面」と名乗っていた。
花仙姑 (かせんこ)
都の西方、雅眉山に住まう仙女。紅蘭、珠々、青霞ら三姉妹の師にあたる。若く美しい女性の姿をしているが、実際の年齢は謎に包まれている。超万里をもとに戻すため、三姉妹に積極的に協力する。
柳川君 (りゅうせんくん)
仙術を使いこなす、年経た巨大な龍。年齢は控えめに見積もっても数千歳。龍の巨体を維持したまま、分体のような人間の姿を取ることもでき、その時には若い男性の姿となる。妻である桃玉に言伝をするだけの簡単な条件で、超万里に仙水を譲る。
桃玉 (とうぎょく)
仙術を使いこなす、巨大な年経た龍で、柳川君の妻。年齢は控えめに見積もっても数千歳。龍の巨体を維持したまま、分体のような人間の姿を取ることもでき、その時には若い女性の姿となる。人間とはまったく異なるタイムスケールで生きており、うたた寝をしている間に、背中の上に旅館が建ってしまったため動けなくなり、人間体になってそこで従業員をして暮らしている。
格厳 (かくげん)
助福の兄にあたる人間の仙人。見るからに厳めしい仙人然とした姿の老爺であり、性格も厳しい。超万里に色々と説教をして、自分の仙水を渡すための条件として、筆記試験に合格することを要求する。
膨祖 (ほうそ)
仙界である崑崙の地で、エステティシャンをしている男性の仙人。房中術の研究をしており、超万里にも、仙水を渡す条件として、房中術を学んでいくことを要求する。錦玉の師に当たる存在でもあり、錦玉に説教して、彼の持っている仙水を超万里に渡させる。
鳳千花 (ほうせんか)
山賊の頭領をしている若い女性。非常に高い戦闘能力を持つ。超万里が探していた最後の仙水を、それを持っていた妖怪を殺害して奪い取った。その仙水を超万里たちに、5000両という国家予算規模の金額で売りつけようとする。
集団・組織
股ん誤ヤシ (またんごやし)
人語を解し、歩く能力を持ったヤシの木の群れ。超万里を戻すための仙水の1つを持っている。タクラミマン砂漠の天女仙を住処にしており、迷い込んだ旅人に幻を見せ、もてなして滞在させている。その目的は、人間の排泄物からの栄養分を得るため。
その他キーワード
尸解仙 (しかいせん)
錦玉が使いこなす仙術の1つ。一般的には、自身に術をかけて仮死状態になり、死んだように見せかけて、他の場所で生き返る術のことをいう。錦玉の場合は、もっと巧妙に術を仕掛けてあり、他害的な手段によって殺されても死なず、生き返ることができる。つまり事実上、不死の術である。
仙水 (せんすい)
ブタに変えられた超万里をもとに戻すための液状の仙薬。仙水という名前は、本来は一般的な総称であり、変化術を解くためのものに限らず、さまざまな効果のものがある。万里の身体は、七部位に7つの変化術が別々にかけられており、それぞれの術を、すべて異なる仙水によって解呪しなければならない。そのため、超万里をもとに戻すには、特定の7種類の仙水が必要となる。
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