あらすじ
第1巻
ある日、ラウロは城からやってきた神官に、勇者として魔王討伐の旅に赴くことを告げられる。しかし、ラウロにはレッラという一人娘がいた。いい加減でやる気のない態度の神官に業を煮やしたラウロは、レッラを国に預けるのを拒否し、彼女を連れたまま魔王討伐の旅へと出発する。近くの街で同じ神官の託宣を受けた賢者のルカと合流するラウロだったが、子連れであることの非常識さをルカから責められてしまう。しかし、当のルカもまた、一人息子のエリオを育てている身であった。結局、ルカも国元に息子を残していくことができず、子連れ賢者として魔王討伐の旅に出ることになってしまう。(エピソード01「旅の始まり」。ほか、29エピソード収録)
登場人物・キャラクター
ラウロ
神官によって選ばれた勇者の男性。金髪をオールバックにして鋭い目つきをしている。腕っぷしには自信があり、やや大雑把で荒っぽい性格の持ち主。左の眉から頰にかけて、幼少の頃に魔物につけられた古傷がある。妻のロイレが理由も告げずに失踪してしまったため、一人娘のレッラの子育てに忙しい日々を送っている。神官の託宣を受け、勇者として魔王討伐の旅に出ることになったが、神官の態度がいい加減だったために国にレッラを預けるのを拒否。レッラを連れたまま、魔法討伐にいくことを決意した。レッラには非常に甘く、かなりの子煩悩。ふだんは何かと雑だが、ことレッラに関することになると極度の心配性になり、子供であっても男性がレッラに近づくことを警戒している。レッラからは「パパ」と呼ばれている。
レッラ
金髪のかわいらしい女の子。年齢は5歳。ラウロとロイレの一人娘で、天真爛漫な明るい性格をしている。ラウロに連れられ、魔王討伐の旅に出ることになった。ドラゴンやフクロノネコなど、さまざまな魔物となかよくなれる特異な才能の持ち主。しかしスライムだけは大嫌いで、旅の途中でスライムを見つけるとすぐさまぐちゃぐちゃにして、楽しみながらお金を集めていた。ラウロからは目の中に入れても痛くないほどに溺愛されている。
ルカ
神官によって選ばれた賢者の男性。赤い髪をした落ち着いた雰囲気を漂わせている。棘(とげ)のある物言いをするが、さまざまな知識や教養を持つインテリ。一人息子のエリオがいる。教育方針はかなりハードで、エリオも蛮族のごとく厳しく鍛え上げた。神官の託宣を受け、エリオを連れてラウロと共に魔王討伐の旅に出ることになる。道中では、ラウロとは子供じみた喧嘩を繰り返していた。旅の途中で転移魔法を使って故郷に帰り、妻の手作り弁当を受け取っていた愛妻家。レッラからは「ルカぴょん」と呼ばれている。
エリオ
ルカの息子。赤い髪をした少年で、年齢は11歳。優しく素直な性格で、相手が誰であっても礼儀正しく接する。幼少の頃からルカに厳しく鍛えられているため、すでにかなり高い魔力を保持しており、一人でも魔物を蹴散らせる実力の持ち主。ルカに連れられ、魔王討伐の旅に出ることになり、レッラとチロのお兄さん的な存在になっていた。
シラ
神官によって選ばれた戦士の女性。つねにおどおどしており、陰気な雰囲気を漂わせている。スタイル抜群だが、戦士の武具が恥ずかしいという理由で、ローブで体を隠していた。神官の託宣を受け、一人息子のチロを連れてラウロと共に魔王討伐の旅に出ることになる。重量のある戦斧を軽々と振り回すことのできる怪力の持ち主。幼少の頃は「パテカの野猪」の異名を持ち、野党退治に大活躍していた。しかし、その過去を神官にバラされてしまったせいで、夫に逃げられた苦い過去を持つ。レッラからは「シラちゃん」と呼ばれていた。
チロ
シラの息子。年齢は5歳。無表情でほとんど言葉を発さない幼児。母親譲りの怪力の持ち主で、五感にも優れており、迷子になった子供を匂いだけで探し当ててしまう。レッラとエリオにはよく懐いている。
神官
人間だけの国、クラニカで神官を務める青年。魔王討伐の名目でラウロをはじめとする勇者や戦士を集め、彼らを魔物の国、ミモストライカに送り込んだ。メンバーの集め方は適当そのもので、ダーツによってランダムに選抜した。三つ子の父親で、現在は育休中。そのため魔王討伐には同行せず、「予言の神」と呼ばれるスマホにそっくりな神器でラウロたちと連絡を取っている。血が通っていない役所的な仕事ぶりがラウロたちに極めて不評だったが、本当は人間と魔物を共生させるために知恵を絞っている切れ者。自称「王国屈指のイケボ神官」。
フクロノネコ
猫のような姿をした二足歩行の魔物の一種。風呂敷に似た袋状の皮膚を持ち、そこに多数の荷物を入れることができる。一説によると、袋状の皮膚の中は空間がねじれているといわれている。性質は比較的穏やかで、洞穴の中で群れで暮らしている。レッラとなかよくなり、ラウロたちの旅に同行することになった。レッラの言うことは素直に聞くが、無神経なラウロのことは嫌っており、まったく命令を聞かなかった。
魔王
魔物の国、ミモストライカの支配者。頭部に2本の角が生えているのが特徴。ロイレの父親で、ラウロの義父でもある。クラニカの神官と通じており、彼の説得を受けてクラニカと和睦する計画を密かに進めていた。かなりの親バカで、結果的にロイレを奪ったラウロには複雑な感情を抱いている。しかし、孫であるレッラの姿を見て、瞬時にクラニカとの和睦と国交回復を決意する。
ロイレ
魔物の国、ミモストライカの王女。魔王の娘だが、小さい頃から人間に強い興味を抱いていた。15歳の頃にミモストライカを抜け出し、クラニカで会ったラウロと恋に落ちる。ラウロとの娘、レッラを出産し、幸せに暮らしていたが、自分が魔族であることはずっと秘密にしていた。やがて、その罪悪感に耐えられなくなり、レッラを残してミモストライカへ舞い戻る。その後、ミモストライカにやってきたラウロと再会し、よりを戻す。
スライム
森や平原に出没する不定形の魔物。人間界でいう昆虫のような存在で、非常に数が多い。レッラが病的に嫌っており、発見次第楽しんでぐちゃぐちゃにつぶしていた。倒すとわずかばかりのお金が入手できる。