概要・あらすじ
製鉄技術を持った古代人がいかに世界に伝播したかを研究し、東亜文化大学で民俗学を教えている宗像伝奇教授は、各地の伝説や歴史を調査するフィールドワークで、さまざまな事件や騒動に遭遇。民俗学の知識と豊かな想像力を駆使して、真相を見極める。事件や騒動は、合理的に解決する場合もあれば、非合理なものを感じさせることもある。
登場人物・キャラクター
宗像 伝奇 (むなか たただくす)
東亜文化大学民俗学教室の教授。鉄の民を中心とした、人と文化の移動について研究している。妻と幼い娘を事故で亡くし、今は独り身。各地の伝説や歴史を調査するフィールドワークで、事件や騒動に巻き込まれること多数。民俗学の知識と想像力を駆使して、真相を見極める。いつも、山高帽にスーツと黒マント、手にはステッキという恰好をしている。
池 麗美奈 (いけ れみな)
雑誌の編集者。雑誌記事の取材で、宗像伝奇と行動を共にする。食いしん坊だが貧血性で、よく気絶をする。中世史研究をしている常磐学芸大学助教授の竜胆恒清と恋人関係になり、後に結婚した。土方歳三のファン。
忌部 捷一郎 (いみべ しょういちろう)
歴史関係のネタをテレビ局などに売り込む歴史研究家。宗像伝奇からは、派手な仮説が売り物の歴史屋と言われた。その仮説は宗像と通じ合うものがあるが、いつも今一歩及ばない。
宗像 湍 (むなかた たぎり)
宗像伝奇の姪。宗像三女神から名前が採られている。父親の死の真相を、伝奇と共に追う。
宗像 樹 (むなかた いつき)
宗像伝奇の姪。宗像三女神から名前が採られている。父親の死の真相を、伝奇と共に追う。
宗像 瀧 (むなかた たき)
宗像伝奇の姪。宗像三女神から名前が採られている。父親の死の真相を、伝奇と共に追う。続編の『宗像教授異考録』で、伝奇の助手になった。
津島 涼子 (つしま りょうこ)
宗像伝奇の元教え子。現在は青森で中学校の教師をしている。宗像に恋心を抱いている。
高群 真智 (たかむれ まち)
宗像伝奇が大学生の時、国文学の助手をしていた宗像の憧れの人。心臓の病で亡くなる。知らせを受けて京都に駆け付けた宗像は、そこで高群の幻影と対話する。
竜胆 恒清 (りんどう つねきよ)
常磐学芸大学の助教授。中世史研究の麒麟児と呼ばれている。源義経をテーマにした本で発表した仮説が批判され、学者生命の危機に陥る。池麗美奈と恋人関係にあり、後に結婚した。
河村 学 (かわむら まなぶ)
元東亜文化大学の学長。宗像伝奇の大先輩であり、大学関係者で好意的に接してくれた、数少ない人物。宗像と共に行ったニューギニアで、戦死した父親の遺骨を見つける。
館林 真人 (たてばやし まさひと)
東亜文化大学の学長。宗像伝奇を嫌い、大学を追い出そうとする。しかし後に、大学の不祥事が連続して、自身が追われそうになる。その騒動の渦中で宗像に飛鳥時代の三つの謎を叩きつけ、学問への情熱を取り戻した。
秦 誠吉 (はた せいきち)
元総理大臣。渡来した秦一族の末裔。自らの血筋に誇りを持ち、不老不死を求めた。秦一族の正体を知った宗像伝奇に、危険な実験を強要する。
立川 藻子 (たちかわ そうこ)
東北の寒村から上京し、銀座のクラブに勤め、やがてダーキニー原理教団の教祖となった。教団のメンバーを使嗾して、インドや日本の原子力発電所を狙ったテロ行為を繰り返す。一連の騒動にかかわった宗像伝奇に逃亡を阻止され死亡した。
南光坊 天海 (なんこうぼう てんかい)
『宗像教授伝奇考』の作中で使われる用語。天台宗の僧侶。徳川家康の側近として、徳川幕府の初期構想に参与した。前身は明智光秀だという説がある。宗像伝奇の仮説により、平将門を利用した、彼の壮大な計画が暴かれた。歴史上の実在の人物。
集団・組織
秦一族 (はたいちぞく)
『宗像教授伝奇考』に登場する組織。徐福と共に渡来した大陸の一族。隠然たる力を持ち、日本を陰から動かす。現在は、元総理大臣の秦誠吉が一族のトップ。宗像伝奇によって、一族の抱えていた秘密が暴かれる。
ダーキーニ原理教団 (だーきーにげんりきょうだん)
『宗像教授伝奇考』に登場する組織。立川藻子が立ち上げた宗教団体。立川に使嗾された教団員が、インドや日本で原子力発電所を狙ったテロを起こす。たまたま一連の騒動に巻き込まれた宗像伝奇は、テロを阻止するために奮闘した。
東亜文化大学 (とうあぶんかだいがく)
宗像伝奇が教鞭を執る大学。学長の館林真人から宗像は敵視されている。他科の学生に頼まれた宗像が、教授と揉めた助教授を助けるために動いたことがある。
場所
海照火明神社 (あまてるほあかりじんじゃ)
福岡県の宗像にある、宗像大社の摂社。宗像伝奇の実家。神社を継いでいた兄の死に不審を感じた宗像が、三人の姪と共に真相を追った。
京都 (きょうと)
朝廷が置かれ、長年に渡り日本の中心となっていた。日本の歴史を考察する時には欠かせぬ場所であり、宗像伝奇も何度か訪れている。
その他キーワード
平 将門 (たいら の まさかど)
『宗像教授伝奇考』の作中で使われる用語。平安時代中期の坂東の豪族。一族との抗争からの流れで、朝廷に叛旗を翻すも討伐された。宗像伝奇の仮説に、何度かかかわってくる。歴史上の実在の人物。
スサノオ
『宗像教授伝奇考』の作中で使われる用語。日本神話の英雄。八岐大蛇退治が有名。宗像伝奇の仮説に、何度か登場する。
ステッキ
宗像伝奇が外出時に愛用している。いざというときは武器にもなり、立川藻子の逃亡を阻む時にも使用された。
ライター
宗像伝奇が、常に所持している。地下や洞窟に潜る時、灯代わりに使用されることが多い。
日本書紀 (にほんしょき)
奈良時代に完成した日本の歴史書。宗像伝奇の仮説の発想の原点や補強材料として、何度も使われている。
宗像三女神 (むなかたさんじょしん)
日本神話にある、アマテラスがスサノオの剣から生んだ三人の女神。三女神はそれぞれ、青い玉、紫の玉、八咫の鏡を神体として、九州の沖ノ島、大島、玄海町に祀られている。この三ヶ所の総称が宗像大社であり、宗像伝奇の実家の海照火明神社は、宗像大社の摂社となる。
鉄の民 (てつのたみ)
『宗像教授伝奇考』の作中で使われる用語。製鉄技術を持った、古代の人々を指す。彼らがいかにして世界に伝播したかが、宗像伝奇のメインの研究となっている。
白鳥伝説 (はくちょうでんせつ)
『宗像教授伝奇考』の作中で使われる用語。白鳥処女説話が、なぜ世界的に広がったのか。また、北方の伝播ルートが、白鳥の渡りの分布と重なる理由を、宗像伝奇が鉄器文化と絡めて仮説を立てる。以後、この仮説が宗像の研究の柱のひとつとなる。
星の伝説 (ほしのでんせつ)
『宗像教授伝奇考』の作中で使われる用語。古代から世界各地にある星に関する伝説が、宗像伝奇の仮説に何度も使用されている。
隕鉄 (いんてつ)
鉄を含んだ隕石のこと。この鉄を使って作られた日本刀に流星刀がある。宗像伝奇は、隕鉄と北斗七星を絡めた仮説を披露している。
十二支 (じゅうにし)
古代中国を起源とする暦法。日本では十二年を一単位として、それぞれの年に、違った種類の動物が当てはめられている。その十二支を題材にした干支シリーズを、宗像伝奇は池麗美奈が所属している雑誌で書いている。また、十二支を題材にした作品が幾つかある。