黄土の旗幟のもと

黄土の旗幟のもと

17世紀の中国、明王朝で実際に起こった李自成の乱をベースにした歴史漫画。李自成の腹心となる明王朝の官僚、李戴之を物語の中心に置き、心を揺り動かしながら民のために李自成とともに歩み、明王朝に反逆する姿を描く。

正式名称
黄土の旗幟のもと
ふりがな
おうどのきしのもと
作者
ジャンル
その他歴史・時代
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概要・あらすじ

17世紀初頭の明王朝。圧政による困窮で人民は次々と反乱を起こし、万里の長城を挟んで迫る清国により、明王朝は国を保つには限界を迎えていた。明王朝の官僚である李戴之は、弟の李侔より大規模な農民軍を率いる豪傑、李自成の軍に入らないかと誘われる。だが、国と民の行く末を憂う清廉潔白な忠臣であり、人命を尊ぶことを第一とする李戴之はそれをきっぱりと断るのだった。

だが、李戴之李自成と実際に会い、その言葉から自分と同調できる思いを感じたことで、その心は揺れ動き始める。その後、李戴之を疎ましく思う官僚のの奸計により、李戴之は無実の罪を着せられ投獄されてしまう。

それは李戴之を慕う民衆たちの怒りの引き金となり、大規模な反乱に発展。徐々に官軍に押されていく民衆たちだったが、そこへ農民軍を率いた李自成が現れる。

登場人物・キャラクター

李戴之 (りたいし)

17世紀に李自成の乱と呼ばれる反乱を起こした革命家の李自成の参謀、李巌をモデルにしている。明国に仕える役人。飢民に対して家財を売って米を施し、貧者を救うべしという歌を町に流行らせるような仁者。ある日、賊を退治したが、それが税を払えず逃げ出した百姓と知り、剣を握れなくなったというトラウマを抱えている。 腐敗した明国の行く末を案じ、さる道士から聞いた自分の未来に関わる水徳の王が流賊の主である李自成と確信。葛藤を重ねた末に李自成の仲間となる。

紅娘子 (こうじょうし)

義侠心に溢れる男勝りな女傑で、民を苦しめる役人や賊を容赦なく懲らしめていた。民が窮していることを知りながら、上役の宋に抵抗しない李戴之の行動が偽善に映り、李戴之に対して辛辣な言葉を浴びせる。しかし、のちに李戴之が陰で民のために自身の財を犠牲にしていたことを知り謝罪。 民の安穏を脅かす元凶は流賊にあると考えており、李侔の誘いに乗って流賊の仲間になったフリをし、その頭である李自成の命を狙う。

李侔 (りぼう)

李戴之の弟で、2年前に家を飛び出し、李自成率いる流賊の一員となった。李戴之を仲間に引き入れるため、嘘をついて呼び出し、李自成に引き合わせる。旅の道中で自分を命の危機から救ってくれた紅娘子を「女将軍」と呼んで慕い、彼女も仲間へと引き込もうと画策。

李自成 (りじせい)

17世紀に李自成の乱と呼ばれる反乱を起こした実在の革命家、李自成をモデルとしている。義侠心に溢れる男で、民を救うために己を正義と信じて流賊を率いて明国に戦いを挑み、新しい国を興さんとする。参謀に民の信任厚い李戴之を欲しており、李侔の導きにより邂逅を果たした。 両者で腹を割って話をして国を憂う心を伝え、李戴之の見せたまっすぐな眼差しに、自分の目に狂いはなかったと確信する。

(そう)

明国に仕える役人で李戴之の上役。清廉な李戴之を目の敵にして貶めようとするが、それにより民が反乱を起こすことに。李戴之を救うために李自成率いる流賊まで駆けつけ、絶体絶命の窮地に追い込まれた。

淑艶 (しゅくえん)

李戴之の妻。家財を売って飢民を助けようとする夫に理解を示していた。だが、国を憂いた末にとはいえ、流賊にまで身を落としたことで心を病み、自ら命を絶ってしまう。

郭鵬樹 (かくほうじゅ)

洛陽の役人で、李戴之の親友にして淑艶の兄。国の行く末を憂いてはいるがプライドが高く、李戴之が流賊の仲間になったことが信じられなかった。李自成、李戴之、紅娘子と問答を繰り広げ、流賊に対して一定の理解は示すものの結局分かり合えはせず、彼らとは別の道を歩むこととなる。

場所

(みん)

朱家の貧民の倅によって建国された国で、二百数十年にわたって大陸を支配していた。だが17世紀初頭になると圧政に対して民が各地で賊として蜂起し、虎視眈々と侵略を狙う異民族により窮地に瀕している。

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