弱キャラ友崎くん-COMIC-

弱キャラ友崎くん-COMIC-

屋久ユウキの小説『弱キャラ友崎くん』のコミカライズ作品。天才的なゲームの腕前を持つが、現実世界では消極的でコミュニケーション下手な「弱キャラ」の少年である友崎文也が、なんでも完璧にこなす「強キャラ」の同級生である日南葵の指南により、「人生」というゲームに向き合いながら学校生活になじんでいく姿を描いた青春ラブコメディ。「月刊ガンガンJOKER」2018年4月号から連載の作品。

正式名称
弱キャラ友崎くん-COMIC-
ふりがな
じゃくきゃらともざきくん こみっく
原作者
屋久 ユウキ
漫画
ジャンル
ラブコメ
 
学園
関連商品
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あらすじ

弱キャラと強キャラ

高校2年生の友崎文也は、ゲーム「アタックファミリーズ」においては日本1位の腕前を持つ天才プレイヤーだが、現実では周囲とうまくコミュニケーションを取れずに「弱キャラ」に甘んじていた。そんなある日、文也は日本2位のプレイヤー「NO NAME」から一度会ってみないかと誘われる。これに応じて文也が待ち合わせ場所に行くと、そこで待っていたのは、同級生の日南葵だった。葵は文也とは対照的に何事もそつなくこなす「強キャラ」なうえ、少々とぼけた一面もあって周囲からその人柄を愛されてもいる、非の打ち所のない人物だった。しかし、この日の葵は別人のようにクールで、文也のだらしない服装を見るや、文也に対して無礼で向上心のかけらもない、人生の負け犬とまで言い放つ。これに腹を立てた文也は自分の価値観を押し付けるなと反論するが、葵はこれを論破し、なぜか自宅に文也を招くのだった。そこで葵は、化粧を落とした本来の地味な自分を見せ、学校での自分は最大限努力して作り上げたものだと告白する。葵は日々の努力同様に「アタックファミリーズ」でも努力を重ねているが、文也にだけはどうしても勝てず、いつしか文也のことを理想の人物像に重ねていたのだ。それ故に、葵は文也が理想どおりの人物ではなかったことが受け入れられずにいたのだ。

人生攻略開始

友崎文也日南葵の、人生もゲームと同じように攻略法があり、それにのっとればどんな「弱キャラ」でも「強キャラ」に成長できるという主張に共感し、自分磨きを始めた。葵の言うとおり現実をゲームに例えてみると、苦手なことは上級者のテクニックを見て参考にしたり、必勝本を読んで学んだりすれば、今の自分にもできるという希望を見いだしていた。そんな文也は、1年後に恋人をつくることを目標に、まずは表情筋を鍛えて顔の印象をよくしようとしたり、異性のクラスメートに話し掛けたりと、葵から与えられたミッションを順調にこなしていく。そんな中、文也は中村修二に絡まれる。修二は「アタックファミリーズ」のプレイヤーなのだが、文也にこてんぱんにされて以来、文也を目の敵にしていたのだ。その場は葵の機転によって事なきを得たものの、文也は修二と再戦することになる。そんなある日、葵は文也の服のセンスを改善するために、いっしょに買い物へ行くことになる。その途中で立ち寄ったファミリーレストランで、偶然クラスメートの菊池風香と遭遇する。この時の風香のリアクションを見た葵は、文也が最初に親しくなる女性は風香がふさわしいと言い出す。

菊池風香攻略

友崎文也日南葵から、なぜか菊池風香ではなく、泉優鈴に毎日2回以上話し掛けて親しくなるように命じられた。結果は散々なものだったが、葵は会話に失敗しても、その過程での経験値で文也が成長できると考えていたのだ。そんな中、文也は風香から関心を持たれている理由を知る。文也はよく図書室で「アタックファミリーズ」の攻略法を考えているのだが、これをごまかすために図書室の本でカモフラージュしていたのだ。この本が風香の好きな作家「マイケル・アンディ」のもので、風香は文也が同じ作家が好きだとカンちがいしていたのだ。結局文也は、マイケル・アンディの本を読んだことがないのを打ち明けられず、風香をさらに誤解させてしまう。これを葵は好機ととらえるが、文也はウソをついたまま、風香と親しくしていいのかと悩む。そのまま帰宅しようとする文也だったが、そこで様子のおかしい優鈴に遭遇する。思わず声を掛けたところ、突如「アタックファミリーズ」を教えてほしいと頼まれる。優鈴は中村修二に思いを寄せているのだが、修二は文也に負けて以来「アタックファミリーズ」にさらに熱中するようになり、まったく自分に構ってくれなくなったと嘆く。文也はこれに応じ、その日から二人で特訓を始めるのだった。

生徒会長選挙

友崎文也菊池風香にウソをつくことはやめ、本の件を正直に打ち明けたうえで、友人として付き合っていくことにした。泉優鈴中村修二も、文也と修二の再戦をきっかけに以前よりも関係がよくなる。そんなある日、文也はクラスメートの水沢孝弘に声を掛けられる。孝弘は文也が最近大きく変わったことに気づいており、それを好ましく思っていたのだ。そして文也は孝弘から、日南葵も交えていっしょに出掛けようと誘われ、優鈴も加えた四人で遊びに行く。修二の誕生日プレゼントを選びながら、この日は楽しく過ごすが、文也は優鈴から葵と孝弘が交際しているらしいという話を聞き、複雑な気持ちになる。そんな中、生徒会長選挙の時期となり、葵と幼なじみの七海みなみが立候補する。みなみとみなみの推薦人の山下由美子は大ざっぱなところがあり、文也はこれを不安視していた。葵はただでさえ強敵なのに、今のみなみの選挙運動では、とても勝ち目がないように感じられたのである。文也はこれをみなみに正直に打ち明け、頭脳面でみなみを支えたいと申し出る。文也とみなみは、一度でいいから葵を打ち負かしてみたいという目標のもと、選挙運動に励むのだった。

みなみと花火

生徒会長選挙は、日南葵の圧勝に終わる。それでも全力を尽くした友崎文也は晴れやかな心持ちでいたが、七海みなみは落胆の色を隠せないでいた。みなみは明るく振る舞っているものの、さらに葵をライバル視するようになり、日々努力を重ねていた。中学時代、葵とみなみは別の中学に通っており、共にバスケットボール部に所属していた。そんな二人は県大会で対戦するが、この時も葵の学校の勝利に終わる。しかしみなみは勝敗よりも、葵の勝負への真剣な姿勢に強く惹かれ、初めて本気で競える相手に出会えたと感じていた。そこで高校では、陸上に転向した葵についていく形で陸上部に入部し、今度こそ葵に負けない人間になろうと誓う。そんなみなみを、文也と夏林花火は心配しつつも温かく見守っていたが、みなみは日に日にやつれていき、やがて限界に達してしまう。みなみのやつれた姿を心配した文也はみなみと二人で話をするが、文也の言葉は届かず、とうとうみなみは陸上部を退部すると言い出す。これに納得できない文也は、今度は花火も交えて、みなみの本音を引き出そうとする。

関連作品

原作小説

本作『弱キャラ友崎くん-COMIC-』は、2016年5月から発行されている屋久ユウキの小説『弱キャラ友崎くん』を原作としている。原作小説版は小学館「ガガガ文庫」より刊行されており、イラストはフライが担当している。なお2021年1月から、テレビアニメ版『弱キャラ友崎くん』がTOKYO MX、AT-X、BS11で放送された。

登場人物・キャラクター

友崎 文也 (ともざき ふみや)

埼玉県にある私立関友(せきとも)高校2年2組に在籍する男子。ぼさぼさのショートヘアで目つきが悪く、どんよりとした暗い雰囲気を漂わせているが、のちに髪型を変えて爽やかなイメージとなる。ゲーム「アタックファミリーズ」のファンで、日本1位の腕前を持つ。このゲームで遊ぶ際のハンドルネームは「nanashi」。ゲームを攻略するという行為そのものが好きで、研究を重ねながらコツコツと努力することを苦にしない、まじめで誠実な性格をしている。「アタックファミリーズ」では敵なしだが、一方で現実世界では影が薄く、消極的でコミュニケーション下手という「弱キャラ」である。ゲームの世界に比べ、現実は生まれた環境や容姿、性格も違うために、人によってうまく渡っていくのに難易度が異なることから、「人生はクソゲー」だとの持論を持つ。それ故に、生まれつき弱キャラの自分にはつまらない人生しか待っていないと思い込み、努力を放棄している。そんな高校2年生のある日、「アタックファミリーズ」日本2位のプレイヤー「NO NAME」と会うことになり、その正体がクラスメートの日南葵である事実に驚く。そして、生まれつき完璧な人間だと思っていた葵が、実際は努力を重ねて現在の姿に至ったことを知り、自分も現実と向き合うことを決意する。人生もゲームのように攻略するという主旨で、葵の力添えにより、容姿やコミュニケーション能力を磨きながら、1年後に恋人をつくることを目指す。攻略を始めてからは、葵の出す課題を素直にこなし、メモを取りつつ持ち前の丁寧な姿勢で徐々に成長していく。

日南 葵 (ひなみ あおい)

私立関友(せきとも)高校2年2組に在籍する女子で、焦げ茶色のウルフボブヘアにしている。スタイル抜群で、自信に満ちあふれている。部活動は陸上部に所属しているが、中学時代はバスケットボール部だった。ゲーム「アタックファミリーズ」のファンで、日本で2位の腕前を持つ。このゲームで遊ぶ際のハンドルネームは「NO NAME」。学校では容姿端麗で成績優秀、スポーツ万能の完璧な「強キャラ」として知られているが、時折とぼけたスキのある一面を見せるため、愛されキャラクターとして周囲から親しまれている。しかし、これは作り上げた偽の人格で、実際はまじめで完璧主義故に自分にも他人にも厳しい、辛辣な性格をしている。努力で成せないことはないと考えており、「アタックファミリーズ」で日本1位になることを目指している。しかしそれは叶わず、いつしか1位に君臨するプレイヤーの「nanashi」を神格化するようになる。そんなある日、nanashiを誘って会ってみたところ、その正体が冴えないクラスメートの友崎文也であると知り、落胆。すぐにその場を去ろうとするが、文也が現実の世界は生まれつきの攻略難易度に差がありすぎる「クソゲー」だと言い切る主張が受け入れられず、激怒する。そこで、これまで自分が培ってきた「人生」というゲームの攻略法を文也に教えることを決意。1年後に文也が恋人をつくることを目標に、いっしょに人生攻略を始める。「ゆけ! うちまくりブイン」というゲームも大好きで、この作品に登場するキャラクターの「鬼のように正しい」という意味合いの決めセリフ「おにただ」を文也の前ではよく使う。好きな食べ物はチーズ。

七海 みなみ (ななみ みなみ)

私立関友(せきとも)高校2年2組に在籍する女子。陸上部に所属しており、中学時代はバスケットボール部に所属していた。日南葵とはその頃からの知り合いで、現在も親しい。紺色のロングヘアをポニーテールにしている。スタイル抜群で、明るく活発な性格の持ち主。友崎文也は、その顔立ちを日本人形のようだと評する大和撫子。「ななみみなみ」と名前には「み」が三つ入っていることから、略した「みみみ」という愛称で呼ばれ、夏林花火だけは「みんみ」と呼んでいる。容姿端麗で文武両道に加え、誰にでも分け隔てなく接している。さらに話し上手な「強キャラ」で、会話を盛り上げるのが得意。しかし、その場の雰囲気をよくするために自分の意見を曲げてしまうこともあり、自分とは対照的な花火を尊敬している。だが、そんな花火の主張を通すために、さらに自分の意見を曲げるという状況に陥っている。葵のことを尊敬しつつ、彼女と競うといつも2位に甘んじてしまうことを非常に悔しく思っており、いつか彼女に勝利したいと願っている。そんなある日、友崎文也が「人生」というゲームの攻略を始めたことで、交流を持つようになる。当初はふつうのクラスメートとして文也と接していたが、生徒会長選挙で葵と戦うことになり、文也が自分に協力をしてくれた時から、一気に距離が縮まっていく。

夏林 花火 (なつばやし はなび)

私立関友(せきとも)高校2年2組に在籍する女子。亜麻色のショートヘアで、華奢で小柄な体型の少女。さらに童顔で、小動物を連想させるちまちまとした立ち居振る舞いから、実年齢よりも幼く見える。「花火」という名前が、花火を見るときの掛け声「たまや」を連想させるため「たま」「たまちゃん」というあだ名で呼ばれている。生まじめな性格で、どんな場面でもまちがっていると感じたときははっきり反論したり、いっさい賛同しなかったりと頑固な一面があり、裏表のない七海みなみには信頼される一方で、周囲との衝突が絶えない。夏林花火自身もこれを自覚しており、高校生になってからは友人が欲しいとは思いつつ、積極的に行動できずにいた。そんな1年生の2学期、みなみによく話し掛けられるようになる。当初はこれを不思議に思っていたものの、やがてみなみが、孤立している自分に理由をつけて話し掛けてくれていることを理解し、仲よくなった。みなみの、よくも悪くもがんばりすぎる一面を案じているが、これをうまく伝えられずにいる。

泉 優鈴 (いずみ ゆず)

私立関友(せきとも)高校2年2組に在籍する女子。バドミントン部に所属している。肩まで伸ばした茶色のウエーブボブヘアを一部だけお団子にし、口元にほくろがある。ふっくらとした体型で胸が大きい。クラス内では、いわゆるイケてるグループの一員で、明るくよく笑う明朗快活な人物。しかし、その一方で人の顔色をうかがい、気を使いすぎる一面がある。そのため周囲から浮かないよう、目立ちすぎないように振る舞っており、人に合わせてばかりの自分に自信が持てずにいる。中村修二に思いを寄せているが、告白できずにいた。友崎文也とはまったく交流がなかったが、文也がコミュニケーション能力向上のために話し掛けてくるようになって親しくなる。また、文也が唯一「アタックファミリーズ」で修二を負かした人物であることから、修二を振り向かせるために文也から「アタックファミリーズ」を教えてもらうようになる。

菊池 風香 (きくち ふうか)

私立関友(せきとも)高校2年2組に在籍する女子。銀色の髪をショートヘアにした、どこか浮世離れした雰囲気を漂わせた美少女。なぜか同級生に対しても敬語で話す。その容姿から、友崎文也には妖精のようだと評されている。ファミリーレストランでアルバイトしており、アルバイト中は前髪を上げ、眼鏡を掛けているために印象が変わる。穏やかでおとなしい性格で、あまり自己主張することはない。趣味で小説を書いているため、観察眼に優れている。また、大の読書家で図書室にもよく通っており、特に「マイケル・アンディ」という作家が好き。同じように図書室で彼の作品を読んでいる文也もファンなのだろうと考え、関心を抱くようになる。そんな文也とは、彼がコミュニケーション能力向上のためにクラスメートに話し掛けるようになってから交流が始まり、当初はマイケル・アンディのファンだとカンちがいしたまま距離を縮めていく。しかし、これが誤解であるとわかってからも、文也の誠実な人柄に惹かれていくようになる。

中村 修二 (なかむら しゅうじ)

私立関友(せきとも)高校2年2組に在籍する男子。茶色のウルフカットヘアで、釣り目で三白眼が特徴。クラス内でも最上位の立場に位置する中心的存在だが、気に入らない者、自分以下とみなした者に対しては威圧的で見下した態度を取る。また、非常に負けず嫌いで、やや子供っぽい性格をしている。ゲーム「アタックファミリーズ」のファンで、自分が最も強いプレイヤーだと考えていた。ある日、友崎文也もまた「アタックファミリーズ」のプレイヤーであると知って勝負を挑むが、惨敗したことで文也を目の敵にするようになる。この態度を日南葵にたしなめられてからはあまり攻撃的な態度を取らずにいたが、友人の泉優鈴が最近文也と親しくしていることを知って激怒。文也に再戦を挑む。シニカルな態度を取ることも多いが、努力や練習そのものを馬鹿にしているわけではなく、文也に負けてからは、以前よりも熱心に「アタックファミリーズ」に取り組んでいた。再戦時、文也にプレイを高く評価されてからは、少しずつ態度を軟化させる。

水沢 孝弘 (みずさわ たかひろ)

私立関友(せきとも)高校2年2組に在籍する男子。黄土色のふんわりとしたショートヘアにしている。将来は美容師を目指していることから、ヘアスタイルに関しては特に強いこだわりがある。いつも穏やかで余裕があり、自分の価値観をしっかり持っている。友崎文也が、ここ最近容姿やコミュニケーション能力を改善し始め、クラスの女王である紺野エリカにも自分の意見をはっきり伝えている場面を目撃してから、文也に関心を持つ。また、文也が短期間でこれだけ変化したのには何か理由があると考えている。

山下 由美子 (やました ゆみこ)

私立関友(せきとも)高校に通う1年生の女子。七海みなみの後輩で、彼女とは中学時代から仲がいい。爽やかな体育会系女子で、ベリーショートヘアにしている。声も大きく元気はつらつとしているが、よくも悪くも大ざっぱな一面があり、書類作りなどの細かな仕事は苦手としている。1年生の1学期に行われた生徒会長選挙でみなみの推薦人となるが、友崎文也に弱点を見抜かれたため、これを補ってくれる文也と共に選挙活動をしていくことになる。

紺野 エリカ (こんの えりか)

私立関友(せきとも)高校2年2組に在籍する女子。金髪外はねロングヘアで、狐顔の美女。高圧的できつい性格から、クラスでは女王様的な存在で、紺野エリカに直接意見できるクラスメートはいない。また、努力する人間を過剰に見下すところがあり、それが友人であっても容赦なく毒舌を吐く。

クレジット

原作

屋久 ユウキ

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